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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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素直じゃない私の意思表示

ヤンデレ度★★☆☆☆


 私たちの屋敷に一緒に帰ろう――


 カイナル様に求婚された時に告げられた、プロポーズの台詞。だけど、実際にいるのはカイナル様の実家。


 つまり、ゴルディー公爵家なの。


 そして私がいるのは、カイナル様の執務室。客間が執務室に変わっただけ。


 でも、過ごしやすさはダントツ執務室の方が良かった。自由にできるからね。カイナル様が引っ付いてこないのが大きいよ。っていうか、出来ない。執事という見張り役が目を光らせているからね。見張り役がいなくなったら、普通に仕事中でも、私を膝の上に乗せてる。仕事の邪魔なのにね。


 亜人族の中でも、竜人と獣人、特に狼獣人は、番に対して重きを置いているのは有名な話。


 カイナル様もそう。


 常に私を、目の届く場所に置いておきたい様子。私が少しでも動くと、必ず目で追ってる。特にカイナル様はその傾向が強いって、執事さんがソッと教えてくれた。そういうのって、獣性って言うんだね。納得したよ。


 私もそこまで無責任じゃないから、あれから亜人族について勉強してみた。勉強って言っても、深く掘り下げたりはしないよ。知らないよりは知っていた方がマシレベルかな。カイナル様と私のためにもね。


 今日も用意されたお菓子に舌鼓した後、読書を楽しんでいた。本が大好きだって話してないのに、当たり前のように本が用意されてるの。名前のことといい、私のプライバシーあってないようなものよね。ゴルディー公爵家の力を使えば、苦も無く簡単に知ることができるわ。


 でも私は、カイナル様のことを全然知らない。例えば、カイナル様の家族のこととか……


(同じ屋敷にいるのに、誰一人会わないっておかしくない?) 


 来た当初は、めっちゃ緊張したよ。カイナル様の家族に会う可能性が高かったから。なのに、通いだしてそれなりに日にちが経ってるのに一度も会わない。数日はそんなこともあるのかなって、特に気にもとめていなかったけど、一か月以上も会わなかったら、さすがに疑問を持つよ。なので、休憩時間に素直に訊いてみた。


 (ちな)みに、カイナル様は私を膝の上に乗せている。これを拒否したら、(へそ)を曲げて拗ねるから我慢。仕事も放り投げちゃうので、渋々大人しく座ってる。カイナル様が仕事しようがしまいが、私には関係ないけど、周囲はそうはいかないみたい。大の大人が子供に泣き付くなんて、そうそうないわよ。ちょっとした修羅場だったわ。


「ゴルディー様、この屋敷は離れですか?」


 見上げながら尋ねた。途端に、ビシッと固まるカイナル様。少し不機嫌そう。


()いたら駄目だった? いまいち、何処にトラップが仕掛けられてるか分かんないだよね。一応、カイナル様以外には訊かなかったんだけど)


「……違う。ここは本宅だ」


(だよね。この広さの屋敷で離れはないわ)


「ゴルディー様のご家族の方々、皆さん忙しいんですね」


 この反応、意図的に会わさないようにしてる気がする。


「会いたいのか?」


 そう尋ねる声も、すっごく不満そう。


「……別に、会いたいわけではありませんが」


 私が正直にそう答えると、カイナル様は明らかにホッと胸を撫で下ろした。


(家族でさえ、排除の対象なのね……)


 亜人族って、ほんと人族とは根本的に違う生き物だ。狼獣人のカイナル様だから、強く出てるかもしれないけど、大なり小なり皆そうだと思う。


「…………会わせたくない。ユリシアは俺だけのものだ」


(重すぎ。それに、いつ私がカイナル様のものになったの? その記憶ないんだけど)


「私は、私だけのものです」


(否定出来る時に否定しないとね)


 きっぱりと否定すると、カイナル様は私の身体をギュッと抱き締める。


「ユリシア……悪かった。数日でも、親元から引き離してしまった。ユリシアはこんなに小さいのにな……」


 震える声に絆されたわけじゃないよ。許すつもりはないけど、謝ってくれた気持ちは受け取るべきよね。


「……二度と、あんな想いは味わいたくありません。出来れば、行動に移す前に言葉にして下さい。そうでなくても、種族が違うのだから」


 私はまだ、カイナル様の白百合を受け取ってはいない。でも、そんなのもう関係ないと思う。だってカイナル様、私を逃がす気(まった)くないから。奇跡的に逃げられても、絶対捜し出して捕まえる。恋愛事に全然興味がない私でも分かるよ。


 会ったばかりの私なら、ほんの(わず)かでも、なんとかなる可能性はあると信じていたかった。だけどこの一か月で、そんな希望を持つのは無駄だって分かったよ。分からされた。なので、諦めたわ。それでも、全てをカイナル様に合わせる気はない。


 番だと受け入れる。


 受け入れるけど、私は私の未来をあげはしない。私には叶えたい夢があるから。


 これが、私なりの妥協点――


「分かった……これからは、ユリシアに訊いてから行動に移す」


「出来れば、行動に移してほしくはないですが、爆発する前には必ず声に出して下さいね、カイナル様」


 私がカイナル様の名前を呼んだ時、抱き締めていた腕が一瞬緩んで、また抱き締められた。その時、とてもとても小さな声で「ありがとう」って呟く声が聞こえたの。私はポンポンとカイナル様の腕を軽く叩いた。本当は、背中を叩きたかったんだけど、届かなかったの。


 素直じゃない私が出来る最大の意思表示。ちゃんと受け取って下さいね、カイナル様。




 

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