表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/71

私の感情を否定しないで

ヤンデレ度★★★★☆


 作戦会議は(とどこお)りなく終わり、その日は、そのまま義両親の所に泊まることになっていたのに……何故か、目を覚ましたら、カイナル様に抱き締められ自室で一緒に寝ていました。


 答えは簡単。深夜、私が寝ている部屋にカイナル様が忍び込み、運んだまま寝たからでした。


(じゃないわよ!! さすがに、これはアウトだよ!! アウト!! 年齢関係ないから!!)


 婚約はしていても、まだ結婚してないのに同衾はもってのほか。全然外れない。隙間も出来ない。抱き枕みたいに、がっしりと抱き込まれてるよ。格闘していると、耳元から声がした。


「…………また、俺から離れようとするのか? 暴れるほど俺の事が嫌いなのか? だが、俺はどんな手を使ってもシアを離したりはしない。絶対、逃さない。逃がすものか。シアの全ては俺のものだ。なのに、シアは約束を破った。俺以外に肌を見せた。許さない。許せない。ほんとに、シアは悪い子だな。始めてを俺じゃない、違う奴にあげたのだから。躾をしなくてはいけないな。でも大丈夫。俺は寛大だから優しくする」


(病み度が更に進んでる)


 色々要因はあるけど、決定打は嫌いって叫んで飛び出した事とお風呂ね。分かってはいるけど、自分の母親にも敵意を(あらわ)にするなんて、予想の斜め上で呆れるというか、カイナル様らしい。


 私は小さく溜め息を吐くと、ジタバタするのを止めて、大人しく抱き枕になることにした。


「離れたりしませんよ。少し喧嘩をしただけじゃないですか……これから、長い時間を一緒に暮らすのですから、喧嘩ぐらいしますよ。(むし)ろ、しない方がおかしいですよ」


 いい所で遮らないと永遠に続きそう。貞操も危ないし。


「……喧嘩は嫌だ。嫌いと言われただけで、差し出した手を拒否されただけで、俺の胸は潰れそうになる。激しい痛みが襲って、気が狂いそうになる。もう……あのような痛みを味わいたくはない」


 切実で、悲壮感たっぷりで、ましてや泣きそうな声で、カイナル様は今の気持ちを吐露(とろ)する。


(想像出来ないよね……)


 大陸一の強さを持ち、数々の武運を若くしてあげ続ける、ぜシール王国の英雄様。軍馬に(またが)り王都を行進する様は、本当に神々しくて、私は一生忘れない。


 あの時のカイナル様と今のカイナル様、どちらがいいかと訊かれたら、私は今のカイナル様を選ぶかな。病んでいる時は非常に厄介だけど、人間味があって温かく感じるの……心も身体もね。カイナル様には絶対言わないけど。


「……カイナル様は、私に怒るなと言いました。カイナル様は怒って、伯爵家とそれに連なる家に制裁を与えたのに」


 私は出来る限り感情を押し殺し、淡々とした口調で事実だけを語った。


「俺はシアの身が危険に(さら)される事はしなくないだけだ!! 何故、それを分かってくれないんだ!!」


 容赦なく、カイナル様は感情を私にぶつけてくる。


「カイナル様が、私の身を案じてくれているのは分かっています。私は人族であり、まだ子供ですから。でも、カイナル様が与えてくれた魔法具のおかげで、私は常に護られています。何人たりとも、私を傷付ける事はできません」


「だとしても――」


(どう説明したら、カイナル様は気付いてくれるの。私がここまで怒っている理由、本当に分からないの? それとも、気付かない振りをしてるの?)


「私は自分が馬鹿にされたり、蔑まれた事でここまで怒ってるんじゃない。だってそうでしょ。私は平民なのは間違いないし、容姿が華やかなわけでもない。平凡な子供だよ……私が怒ったのは、カイナル様が私のせいで馬鹿にされたからだよ。番である私を非難することは、私を選んだカイナル様を非難する事でしょ。だから、私は自分を(おとり)にしようと考えたの。私がここまで怒るのは、カイナル様が馬鹿にされたからだよ。大事な人を馬鹿にされて、怒らない人なんていない」


 もう、敬語とかどうでもよかった。話の途中で、それは違うとか口を挟んできたけど、私は続けて強い口調で言い切った。


「シア……」


 カイナル様が優しく抱き締めようとした手を私は払い除け、ベッドから飛び降りた。呆然とするカイナル様。


「だから、怒るななんて言わないで!! 私の感情を否定しないで!! お願いだから、しないで……私の気持ちを踏みにじらないで……」


 感情が一気に爆発したみたいだった。感情が高ぶりし過ぎて涙が出てしまう。あのお花畑妄想女が言っていた通り、今の私は馬鹿丸出しね。分かっているのに、涙が止まらない。


 すっごく、不細工な顔になってるよね。平凡な顔が益々酷くなってる。手を払い除けてから、カイナル様、硬直してるし。唇を噛み締める。


 これ以上、汚い顔を見られたくなくて、私は寝間着のまま部屋を飛び出した。カイナル様は追い掛けて来なかった。


「カイナル様の馬鹿――!!」


 深夜、廊下に私の声が響き渡った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ