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ヤンデレ狼の英雄様に、無理矢理番にされました〜それでは、デスゲームを始めましょうか〜  作者: 井藤 美樹


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病むほど大事にされています

ヤンデレ度★★☆☆☆


 昼休み、私と両殿下は軽食を持って生徒会室に来ていた。


 私が出来る事は限られていて、資料の仕分けと項目事に束ねることだけ。あとは、連絡係くらいかな。これぞ、ザ雑業。でも、意外と楽しいの。


 昨夜、カイナル様にお願いされたことを、皆が昼休憩を取っているうちに、生徒会長に言うことにした。なので、生徒会長の机の前に立つ。何故か、生徒会長は唾をゴクリと飲み込んだ。


(もしかして、緊張してるの? 二つも年下の下級生に? 原因はあれか……)


「申し訳ありませんが、放課後手伝うことは無理そうです」


「あ〜そうなると思っていたから、大丈夫だ」


 ホッとした様子で、あっさりと認めてくれたよ、生徒会長。認められるとは思っていたけど、ちょっとは嫌な顔されるかなって思っていた。


「一時間も認めてくれなかったのね」


 席に座ろうとしたら、隣に座っていたスノア王女殿下が声を掛けてきた。


「ええ。私の性格上、皆がが作業していると抜け出せないからって。陽が暮れる前に帰って来て欲しいとお願いされました」


 過保護ですよね〜って感じで、困った風に話したら、スノア王女殿下に真顔で言われたの。


「それ、普通だから。自分の大切な番が、真っ暗な夜道を帰って来るなんて、耐えられないことよ。想像しただけで、恐ろしいわ」


 何を想像したのか分からないけど、真っ青な顔でスノア王女殿下は怒り出す。


「いや……馬車乗って帰りますけど」


(徒歩通学なら、スノア王女殿下の言う言葉も分かるけど……それに、平民が使う馬車じゃなくて、公爵家の馬車だよ。安全に決まってるじゃない)


「襲われるかもしれないでしょ」


「平民の乗る乗り合い馬車なら兎も角、公爵家の馬車ですよ、誰も報復が怖くて襲いませんよ」


 スノア王女も過保護だなって思いながら言うと、残念な子を見るような目で見られた。それは、アジル殿下と生徒会長も同じで、私は少し顔を引き()らせた。会話に参加してなくても、広い部屋じゃないからバッチリ聞こえるよね。


「普段は舌を巻く程聡いのに、こういう所はまだまだね。いい、ユリシア、今やカイナル様の名声は大陸中に(とどろ)いてるの。そのカイナル様を手に入れたいと願う者は多いわ。反対に、亡き者にしたいと考える者も一定数いるのが現実なの。これまでのカイナル様は、一切の隙もなく、誰もが手を出せなかった。でも、今は違うわ。ユリシア、貴女という弱みをカイナル様は持ってしまったの。この意味分かる?」


 噛み砕いかのように教えてくれたスノア王女殿下の言葉の一つ一つが、私の心に深く突き刺さる。考えまいとしていたけど、そうだよね、カイナル様の強さは大陸中に轟いている。


(…………番いの私は、カイナル様の弱点……)


 言葉を失う私に、アジル殿下が口を挟んてきた。


「確かに番は、僕たち亜人族にとって弱点だ。だからといって、僕たちは番を否定しないし、弱点だからと不要とは思わない。番が自分の傍にいてくれるだけで、とても幸せで、心も身体も満ち足りる事を知っているからね、細胞レベルで。その幸せは、何を犠牲にしても手放せない程、大切で愛しい」


「私たちは残念ながら、まだ出会えていないけど、番を夢見るわよ。出会ったら、したい事沢山あるし、大事に大事にしてあげたいわ」


(大事って言葉、二度使ったね、スノア王女殿下)


 想像しただけで、とても柔らかくて惚けた表情してる。カイナル様だけじゃないのね……アジル殿下とスノア王女殿下の言いたいことは、よく分かるの。番が亜人族にとって、とても大事な存在だったことが。


「……俺は人族だからよく分からないが、そもそも、ユリシア嬢を傷付けられる者はいないんじゃないか」


 今度は生徒会長が話に加わった。その台詞を聞いて、全員が納得する。


「「「確かに」」」


「それに、あんな魔法具を持たせているんだから、ユリシア嬢が知らないだけで、他に内緒で色々付与されてると思うが」


 呆れた口調で生徒会長は続けた。


 まさに、その通り。色々付与されてるし、一個じゃない。訂正するなら、了承済みって点ね。当然、この会話も聞かれてるはずよ。生徒会長、要注意人物になっているからね。


「……もし、馬車が襲われて誘拐されても、無傷で、直ぐに発見される気がします」


(まぁ、その後は血の雨が降るでしょうね)


 あのカイナル様が絶対許すわけない。なんなら、子々孫々まで報復しそう。っていうか、するわね。大事にされ過ぎているから、病むほどに。


 私の台詞に皆、声を出さずに大きく頷いた。


 

 

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