表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

第4話 Confirmation

【小谷 一花】への気持ちを恋だと理解した【神崎 悠太】

そうして、2人で連絡を取りあっている内に

悠太の気持ちはどんどん大きくなっていく。

悠太の心の中で何かが少しづつ変わっていく。

1つ目の歯車が動き出す時。悠太は新たな道へ歩み始める。

その変化を悠太は自覚する。自らの気持ちを確認する。

その時、悠太はーーー。

【愛ね、暗いね、君の隣】

第4話 Confirmation

あの日、俺は恋を理解してしまった。

それは誰にも譲れないこの“気持ち”だと気づいてしまった。

俺は、小谷 一花(こたに いちか)に恋をしている。

悠太は“その気持ち”を

改めて“恋”だと理解した。


「じゃあね!またね〜」

萌香達は帰る用意をして先にラーメン屋を出た。

「悠太くん、また会おうね〜」

去り際に一花が悠太を見て言った。

それは今の悠太には十分すぎる、幸せだった。


「うん!また会おう!」

何気ない会話が悠太の冷えきっていた部分を温める。

これが恋だということを完全に理解した悠太は

どこか、絡まっていたものが解けていくのを感じていた


一花達が先にラーメン屋を出ると

悠太は風吹と少し話始めた。

「風吹。俺、一花ちゃんが好きだ。あの子の隣に居たい。」

横の風吹は一瞬驚いた顔をしていたが

それでも、悠太の気持ちを、尊重してくれた。

「いいじゃん。俺は応援するよ〜、なんつーか

あの子を見てる悠太の目、完全に知らん悠太が

出てきてたもん。びっくり。」

風吹は自分の意見を素直に述べた。そこに嘘偽りは無く、

ただ、ただ、心からの本心だった。

それほどまでに、今までの悠太とは何もかも違っていたのだ。

「あー、やばい。一花ちゃんの事しか考えれん。。」

風吹はその発言を聞いて笑っていた。

(俺が一花ちゃんを幸せにしたい。そばに居たいなぁ。)

何気ない幸せがいつまでも続くことを願って。

悠太と風吹は《蘭丸》を後にした。


ー数日後ー


あの日、悠太と風吹は《蘭丸》を出たあと、外で煙草を吸い

解散した。その日以降、悠太は一花と連絡を取り合っていた。

『悠太くんは毎日《CUBE》行ってるの〜?』

『最近はあんまり行けてないなぁ〜。

次、いつ行くかわかんないかも!』

悠太は、ここ最近。バイトが忙しくあまり

《CUBE》に行けていなかった。

そして、連絡を取りあっているうちに悠太は

一花から《CUBE》に誘われていた。

『次は、ハロウィンだよ!平日だから面白くないかなぁ?』

悠太は一花からハロウィンの日、《CUBE》に誘われていた。

悠太自身も、ハロウィンは元々行くつもりだったので

一花も来ることを知って嬉しく思っていた。


『ハロウィンって仮装していいのかなぁ?するつもりなんだけどー!笑』

悠太はハロウィンに《CUBE》へ仮装をしていくつもりだった

『えーそうなの!見に行こかなぁ笑笑

一花も猫耳でもつけてこ』

悠太は一花の猫耳を想像した。

(いや、やばいやばい、死ぬ。死ぬってそれは。

流石に可愛すぎるって。)

その時の悠太は思考が回っていなかったのだろう。

気づけば連絡先の会話で

今思ったことをそのまま送ってしまっていた。


『えぇ、かわい。見に来て?ありがちな仮装だけど笑』

『うわ、楽しみなんだけど。』

『ちゃんとメイクもするから!』

『何するか聞きたいけど楽しみにしといた方がいいかな』

『いや、別に全然教えれるけど笑一花ちゃん次第だなぁ笑』

『ききたい笑』

なんて事ない、ただの普通の会話が続いていく。

直接会わなくても、連絡を取り合えるこの環境に

悠太はとても歓喜していた。

それがたとえ、一方通行であっても

その時の悠太はそれで満足していたのだ。


『一花ちゃんに猫耳は反則でしょ。

本当に一花ちゃんの事、可愛いと思ってるしなぁ。』

『そんな事ゆってくれるの悠太だけだ笑笑』

(ん?!?!?!呼び捨て?!?!?!)

突然飛んできた呼び捨てに、悠太は心臓が早くなる。

脈打つ鼓動を肌で、心で、脳で、感じていた。

しかし、それよりも、もっとすごいものが飛んでくるとは

微塵も思わなかった。

それだけ、その言葉は悠太を刺激した。


『結婚しよーか笑笑笑笑笑笑』

ただの冗談。そんなことはわかってる。

ただ、それでも、その時の悠太には

雷が落ちるような。海が割れるような。

まるで、雲に風穴があいたような。

そんな、神話的な光景が例えになってしまうほどの衝撃が

悠太の心を、理性を、刺激した。

(け、け、け、けっこん!?!?!?!この子は!!

なに言ってるんだ!?!?!?!)

今までの悠太では、明らかに考えられないほどの動揺だった。


しかし、それでも、それは

悠太の心を埋めるには十分すぎるものだった。

何よりもそれが悠太に安心と温もりをくれた。

そして、悠太は我に返る。

(やばい!急いで返信しなきゃ!!)

携帯を打つ手は自然と早くなった。


『嘘つけ笑笑 モテてるでしょ笑』

『してくれよ本当に笑笑 捕まえてくれよ爆笑』

(してくれよって何言ってんだ俺は。

冗談なのは分かってるのに。なんか、俺、馬鹿になった??

実際、一花ちゃんモテてるだろうしなぁ)

悠太は心の中で自らを卑下しながら苦笑いを浮かべた。

『ねー、今日《CUBE》行くかも』

『捕まえるわ笑』

どちらも衝撃の走る、連絡だった。


(今日?!《CUBE》にくる?!一花ちゃんが!!

てか!?捕まえるわ?!?!)

どこまでも冷静になれない悠太は一つ一つの返信に動揺を

隠せなかった。

「いやぁ、よかった。ほんとに。直接会ってなくて。」

何故か、安堵をして胸を撫で下ろしながら

悠太はスマホのカレンダーを開いた。

「今日、一花ちゃんは《CUBE》に来るのか〜。

今日の予定はっと。あ。。」

カレンダーを開き、悠太は絶句した。そこに記された文字は

《CUBE》に行けないことを示していた。


・柚葉の家でお家デート


(しまった。今日、俺、柚葉の家じゃん。

しかも、次の日バイト12時からかぁ。無理だなこれは。

《CUBE》は諦めるか……。)

次の日のバイトが12時からでなければ、あるいは。

という考えもよぎった悠太だったが、

そもそも、今日もバイト終わりで柚葉と会う時間が遅いため、《CUBE》へは行けないと悠太は悟った。

しかし、会いたい気持ちはずっと心に残ったままだった。


『えええええ。会いたいなぁ。

でも、今日もバイトだし、明日も12時からバイトなんだ。』

気がつくと悠太は“会いたい”という言葉を

躊躇なく送っていた。それはきっと恋を理解したからだろう。

これは間違いなく、悠太にとって大きな変化だった。

『それは、オールしんどいなぁ。また会おー!!』

一花からの返信は気遣いで溢れていたが

悠太にとってそれは望む形の返信では無かった。

(会いたいでは無いか。この前のはたまたまだよなぁ。)

以前、返信で来た、会いたいを思い出し、

感傷に浸る悠太だった。


(もう少し押してみるか。)

悠太は、意を決して、追加で“会いたい”と送ることにした。

『さすがになー。ありがとう、マジで会いたいよ』

『家近いのー??』

実は、悠太の家は《CUBE》から遠いところにある。

住んでいるのは京都駅周辺だった。

しかし、《CUBE》は河原町近辺にあるためバイト先からは

近かったのだ。そのため次の日の予定がない日や

バイトが午後からの日などはほとんど

バイト終わりに《CUBE》へ向かっていた。


『いや、京都駅ら辺だよー、《CUBE》まで歩いたら

40分くらいかかっちゃうし笑

まぁ、バイト先からは近いから

バイト終わりによく行くんだけどね笑笑』

『そうなのかぁ。バイト頑張ってね!

あと、元気余ってたら来てね笑 あいたいし!』


(………。)

絶句。それはそうだろう。望んでいた答えが。

まさかのタイミングで飛んできたのだから。

(いやぁ。これはずるいだろ。このタイミングの会いたいは

ズルすぎるだろ!!)

『その会いたいはズルくないかな?笑笑

余ってたらね笑』

悠太の心と返信は、何故か、重なり合っていった。

心で思ったことをそのまま送るようになっていたのだ。


『ずるいかぁ笑 また、来るなら教えてね!』

『うん!そうするよ!ありがとう!』

(んー、まぁ、多分無理だな。今日は、柚葉の家だし。)

自分の心とは相反する状況に、悠太は嫌気がさしていた。

もし、今日何も無ければ。明日が12時からでなければ。

深くそう思う悠太だった。

そのタイミングで柚葉から連絡が来た。


『今日、バイト終わりでしょ?何時頃に家着きそう?』

『んー、23時前とかじゃないかな多分。』

『OK、わかったよん、ご飯は?賄い食べる?』

『柚葉が作ってくれるなら、柚葉ご飯がいいかも笑』

『しゃーない、煙草1箱ね笑』

『はいはい、分かったよ〜笑笑』

もはや、こいつら付き合ってるだろ。と第三者が見れば

どう考えてもそう錯覚する連絡の内容を見ながら

悠太はそれを鼻で笑った。

(何だこの会話。付き合ってんのかーって。笑)

心の中でそんな独り言をしながら悠太はバイトへ向かった。


何事もなく、バイトを終え、

悠太は柚葉の家へ向かっていた。

その間、悠太は一花へ連絡していた。

『やっほー、今バイト終わったとこ

ごめん。やっぱ今日、明日の時間もあるし行けないなぁ。

何も無かったらすぐ会いに行けたのにー。』

一花は萌香らと飲んでいるそうなので返信は来ないと思って

いたが、すぐに返信が来た。


『そっかぁ、ざんねん。会いたかったなぁ。』

酔っているのか、そんな事を想像してしまう位、直球の返信に

悠太は悶絶していた。

(あー、やばい、しぬ。俺、今、完全に変な人。)

《CUBE》の通りの抜けた少し人通りの少ない住宅街の道で

胸を押えて悶絶しているのだ。間違いなく変な人だろう。

しかし、そんなことは、今の悠太には関係なかった。

『もー、茶化しすぎだよー笑』

『茶化してないよ笑 会いたいじゃん笑』

(やめてくれ、心臓が破裂…。も、もう、もたない……。)

そして、悠太は絶えず悶絶し続けるのだった。


『ねーー!!!笑笑 もうー笑

結構すぐ本気にするから気をつけて

あいたいけどさ!!笑笑

迷惑なるよ笑笑』

(ん?、待って、俺何送ってーーー。)

心で思っている事と

返信する内容がリンクしすぎてしまっていた悠太は返信を

頭で考える前に送ってしまっていた。

そして、後悔に浸るよりも先に一花から返信が来た。


『迷惑ならんよ!笑 頑張って《CUBE》きて!笑』

(なんだこれ。やばいニヤけが止まらない。

幸せすぎる!!なんだこれ!!笑笑)

悶絶からはしゃぎに変わる姿はますます変人だろう。

そんな事も考えず、悠太はまた心の通りに返信をしていた。


『んねーー、もう!!笑笑

結構ホントに好きになるって笑

ただでさえいいなって思ってるのに笑笑』

(あ、しまった。普通に好きとか言ってしまった。

何してんだぁぁぁぁぁ!!!俺のバカァァァァ!!!!)

一花からの返信が気になりすぎて

悠太はスマホから目が離せなくなっていた。


『笑 まってるよ!』

(………。笑って濁された。終わった。気まず。。

いやここは、悟られたらダメだ!!)

明らかに濁された返信に対して、悠太はすぐにツッコミを

入れた。ツッコむことで笑いに変換したかったのだろう。

『笑って濁すな爆笑

行けないよーー笑

行きたいけどーー』

(我ながら何してんだ俺は。)

ずっと幸せにふけることはできず、時々、我に帰ってしまう。

そんな悠太であっても一花からの返信は全て嬉しかった。


『えーそっかー。かなしい。』

(?!?!?!かなしい?!だとっ?!

これは逆説的に!!)

一花からの返信に一喜一憂してしまう悠太だったが。

咄嗟にそんな風になっているとは思われたくなかったため。

返信をすぐに返した。


『ごめんじゃん笑

俺は一花ちゃんとデートできるように頑張るよ笑笑

一花ちゃんは、萌香ちゃんと《CUBE》楽しんでねー!』

一喜一憂しているとは思われたくない悠太だったが

それ以前に思っていることを

どんどん、直接的に返信してしまっていた。

(何言ってんだ、俺、本当に馬鹿になったのか?笑)

もはや、面白くなってきてしまった悠太だった。


『デートはまだ早い!もっと仲良くなろ!』

一花からの返信は思っていたより一線を画すものだった。

(あー、まずい、俺としたことが。グイグイ行き過ぎた。

一旦冷静になろう。)

悠太は一花からの返信を見たあとひと呼吸置き、返信した。


『分かってるわ爆笑

俺も、そのつもりで言ったよー笑笑』

我ながら雑だな。と思いつつも苦し紛れの言い訳のような

返信を悠太はしてしまっていた。

しかし、それは冷静な判断の上での返信だった。


『ありがとー!ハロウィンね!会お』

その一花からの“会お”という言葉は悠太の心を温めるには

十分すぎる言葉だった。

(絶対にハロウィンは行こう。絶対に。)

『絶対ね。一花ちゃん、また今度連絡してもいい??』

『いつでも!はなそ』

その言葉には悠太にとって甘い誘惑が詰まっていた。

それを誘惑とは、思わない悠太だったが、今考えると

どう考えてもあれは、誘惑だったな、と思う。

その時はそんなこと、一切、頭に浮かんでこなかったのだ。


『手のひらで転がしてくれてもいいけど。

飽きたらちゃんと言ってね笑』

自分でも、何故、この時こんなことを言ったのか分からない。

それでも、その時の心が、悠太が、そう訴えていたのだ。

遊びなら、構わないでくれと。

遊びなら。この真剣な恋を(もてあそ)ばないでくれ。と


『爆笑爆笑爆笑爆笑

転がせるような女じゃないから大丈夫だよ笑笑』

『転がるような男だから安心して笑笑』

普段なら絶対に送らないであろう返信。

今までの悠太なら、確実に転がす側であったはず

そんな自分の変化に悠太は、この時まだ気づいていなかった。


『爆笑爆笑

それは面白いかも、転がってください笑笑』

『でんぐり返ししながら、1周しとくわ笑笑』

『しといて爆笑

今から行くよん!』

『気をつけて!』

ただの他愛ない会話だが、それが悠太にとっての幸せだった。

そんな幸せがずっと続けばといつものように思う悠太だった。


気がつくと、時刻は0時を回っていた。

柚葉の家に着いた悠太は呼び鈴を鳴らした。

「おっす、おっす〜」

「来るのおそーい、お疲れさま〜、開けるね〜」

柚葉の自宅に上がり、机を見るとそこには

色々な、中華料理が並んでいた。

「おぉ。すげぇ。」

悠太は思わず声が出た。黄金の炒飯。王道の餃子。

それを締めるように回鍋肉と焼売が置いてあった。

「でしょ。私の料理の腕、なめないでよね!」

柚葉は自信満々に腕を組んでいた。

それを見た悠太は笑いながら他愛ない会話を続け

2人はその中華料理を食べるのだった。


食事を終えたあと、柚葉がお風呂を勧めて来たので

悠太は柚葉の家でシャワーを浴びていた。

ふと、頭に一花のことがよぎった。

(今、一花ちゃん。《CUBE》にいるんだよな。ここから

すぐなのに、会えないのが、こんなにもどかしいとは。)

会いに行ける距離にいるのに、会えないというもどかしさが

悠太を苦しめていた。


悠太がお風呂から上がると、柚葉は食べた物を全て片付け

洗い物まで終わらせてくれていた。

「あー、ごめん。作ってくれたんだから、洗い物くらい

俺がやるのに。」

「いーの、いーの。お客さんはくつろいでてくださいな。

んじゃ、私もお風呂入ってくるねー!」

そう言いながら、お風呂へ行く柚葉を見送り、

悠太はスマホを開いた。


以前、ラーメン屋へ行った日。

その日に悠太は、一花と風吹と一緒に写真を撮っていた。

その写真を悠太はぼうっと眺めていた。

「ほんっとかわいいな。一花ちゃん。会いたいな。」

他の女性の家で手料理まで振舞って貰いながら

他の女性に会いたいと思っているのは

(いささ)かクズだなと思う悠太だったが

誰がどう見てもそれはただのクズだろう。

悠太の価値観はまだ正常ではなかった。しかし、その価値観が

少しずつそれが変化していっているのを

この後、悠太は自覚する事になる。


柚葉がお風呂から上がると2人はソファの上で他愛ない会話

をしていた。すると、今日は柚葉から悠太を“誘ってきた”

「ねぇ、悠太、今日はしないの??」

その目は完全に雌の目だった。本能的な目。

悠太はその目をよく知っていた。

「したいの?」

「うん、したい。だから、触って?」

そう言う柚葉を、見つめながら

悠太は深いキスを交わし、ゆっくりと絡み合った。

それは妖艶で、あまりにも、策略的だった。

そうして慣れた手つきで下着の金具を外した悠太は

もはや、何度目か分からない柚葉とまた、体を重ねた。


行為を終えて、タバコを吸いながらスマホを見ていると

風吹から連絡が来ていた。

『おい、悠太。今、一花ちゃんいるけど

《CUBE》来ないのか?』

連絡と一緒に1枚の写真が送られてきていた。

そこにはどう考えても盗撮にしか見えない一花が写っていた。


『おい、お前、盗撮すんな。馬鹿野郎。貴重な一花様だぞ。』

『お前のためを思ってだ。とにかく来るなら早く来いよ。

位置情報見たけど、柚葉ちゃんの家いるんだろ。

適当に理由付けてはやく来い。』

(お前なぁ。簡単に言うなよ。でも、写真はありがとう。笑)

「ちょっと。横に、抱いた女がいるのに、やけに楽しそうに

スマホ見てんじゃないの。どーしたのー?」

どうやら、悠太はスマホを見てにやけていたらしい。

それを見た柚葉が、少しムスッとして悠太を問い詰めた。

しかし、それを躱すのは悠太にとって朝飯前だった。


「別に、風吹が《CUBE》に誘ってきてるだけだよ。」

「ふーーーん。じゃあ、この女の子誰なの??」

(ーーまずい。まさか、写真まで見られていたとは。)

悠太がスマホを見ていた時、柚葉には背中を向けていたため

柚葉が自身のスマホを覗いているのを

悠太は気づいていなかった。

その時、言い訳を必死に考えていたが

以前、紅哉に一花のことを話した時、

言われたことを思い出した。


「おまえさ。本当に一花ちゃんが好きなら、本当に大切に

したいなら、今いる“そういう関係”女、全部切れよ。

一花ちゃんが、どういう子かは知らないけど、

俺ら側じゃないなら、100%理解されないだろうし

ましてや、《CUBE》で出会ってんだから【遊び人】なのは

思われてるだろ。本当に好きならそれだけの、それ相応の、

お前自身の。覚悟を見せろよ。」


(あ。俺は何してんだろう。これじゃあ、今までと何も

変わらないじゃないか。それじゃダメだ。この気持ちに

向き合うには、この気持ちを理解したあとでは

前のままではいられない。)

そう思うと悠太は勝手に口が動いていた。


「柚葉、ごめん。した後に言うことじゃないんだけど。」


「え、なに。」


「俺、本当に心から好きな人が出来た。

だから、もう会えない」


ーーーパァァン!!!

発言の直後、悠太は柚葉に思い切りビンタされた。

「最っ低。ありえない。好きな人が出来たことじゃなく

した後にそれ言ってくるのキモすぎ。まじでありえない。」

柚葉のその言葉は何も間違えていなかった。

何もかも間違っていたのは悠太の方だった。


「本当にごめん。俺、ちょっと行ってくる。」

「さっさと出てって。もう会うこともないだろうから。」

そうして、悠太は服を着て柚葉の家を出たのだった。


「俺、変わったな。そうだよな、変われてるよな。」

耳にイヤホンをつける。流す曲は一花ちゃんと出会ってから

何故か聞いてしまう曲。それまではその曲の世界観が

嫌いだった。でも、今ならわかる。好きな人がいる今なら。

悠太は曲のフレーズを口ずさむ。

「最後に言ってよね。俺が好きだってさ。」

その曲に合わせ、歩幅が早くなる。

一花に会いたい気持ちが強くなる。

そうして、悠太は《CUBE》へと走った。


今なら刺さる。この曲の歌詞が。

1人部屋に残された柚葉も歌を聴いていた。

柚葉は曲のフレーズを口ずさむ。

「お風呂で流す、嘘の匂い。首から上だけでも残してよ。」

(あーあ。私いつからこんなに悠太のこと本気に

しちゃってたんだろ。私たちにそんな気持ちなんてある訳

ないのになぁ。ほんと、馬鹿だな私は。)

柚葉の部屋には啜り泣く声が響いた。



ー《CUBE》ー

「はぁ、はぁ、はぁ。やっば、走りすぎた。一花ちゃんは。」

途中から走りっぱなしだった悠太は息が上がっていた。

着いた先からすぐにフロアを見回す

しかしそこに一花はいなかった。

悠太は突然後ろから肩を叩かれた。

「よっ、やっほい。プライベートだよん、どしたの??」

美亜(みあ)?!しかも、プライベート?!」

そこには《CUBE》のダンサー。MiA(ミア)が居た。


《CUBE》には盛り上げる為のダンサーがいる。

悠太はその中に仲のいいダンサーが二人いる。

その1人が美亜だった。

今日の美亜はプライベートで《CUBE》に来ているようだった


「プライベートでも、《CUBE》来るその根性がすげぇわ」

「でっしょ〜、ちなみに明日は普通に《CUBE》だよん」

「まじか。それで普通に来るのすげぇな。」

悠太はシンプルにnight clubのダンサーを尊敬していた。

それもそうだろう、酒を飲んでさらに踊る。それを生業と

しているのだから、悠太には尊敬しか無かった。


「そんでー?何をそんなに息を上げて探してんの〜??」

美亜は息の上がっている悠太を見て

不思議そうにこちらを見ていた。

「あぁ、そうだった!!ごめん!いま、時間ない!!

またゆっくり話すわ!!」

そう言い、走り去ろうとする悠太の肩を美亜は掴んだ。

「ま、ち、な、さ、い!何してんのよ本当に!」

正直に言わないと逃がしてくれなそうだったので

悠太はありのままを告げた。


「好きな子に会いに来た!!」

そう言って悠太は上のフロアへ走り出した。

「え??ちょ!待って!!また話聞かせないよ〜!!」

美亜は唖然とした後何か言っていたが

悠太には何も聞こえていなかった。

(一花ちゃん。会いたい。君に会いに来たんだ。

好きって、そうちゃんと伝えるために。

君に俺の気持ちを確認してもらうために!)


上のフロアへ着き、フロアを見渡す。

真ん中付近の柱の方に“見慣れた”人影を見つけた。

もう、悠太はその人影を見間違えることは無いだろう。

そこに“彼女”は居た。近づこうとすると心臓が。

鼓動が、脈が早くなる。心が訴えかけてくる。

好きだ。と、会いたかった。と。

そして、先に話しかけたのは一花だった。


「え?!悠太じゃん?!来てくれたの?!?!うれしい!」


そう言って“彼女”小谷 一花(こたに いちか)は悠太へ飛び込んできた。


「え、ちょ、ま、まって!!」


そうして2人は抱き合った。そう、ハグをしたのだ。

悠太はその時想いを言葉に乗せた。


「一花ちゃん、好きだよ。」


その声は《CUBE》の音にかき消された。


第4話 Confirmation 完。

初めましての方は初めまして!

お久しぶりの方はお久しぶりです!

治崎 龍也です!

第4話 Confirmation になります!

なんか、編集しまくってたらクソ長くなりました!

読むの大変だった方はすみません!!

今回の第4話の曲を紹介いたします。

今回の曲は【Be yourself/Saucy Dog】です!

是非、曲を流しながら読んでみてください!

(今回は分の長さと話の長さ合わなすぎるけど笑)

それではいつものように第4話振り返って行きましょう!


⚠️ここからは該当話のネタバレを含みます⚠️

今回はほとんど連絡がメインの回になりました!

この連絡はインスタのDMをイメージしてます!

ちなみに、今更ですが……

「」←これは普通の会話

『』←これがDM

という感じで今まで書いてました!

(はよ解説しとけや。遅いねんボケ。)

はい、本当にすみません。笑

DMメイン回どうでしたでしょうか。

個人的にはですね……。

いや、一花、お前あざとすぎるだろ。

この一言に尽きますね、いやもう、ほんともう、

メインヒロインだからってあざとさ全開すぎんだろ!!

(いや書いてるのおまえだろ。)

いや、まぁ、そうなんですけども。笑

なるべく、一花の、あざとさを引き出したかったんですが

上手くいってましたでしょうか??作品が進むつれ

どんどんあざとくなる様子を見てもらえると嬉しいです笑

さて、今回のタイトルの意味と由来を話したいと思います

第4話にあたる今回のタイトルは【Confirmation】

意味は“確認”や“証明”です。なぜこのタイトルにしたかと

言いますと!この第4話は主人公である【神崎 悠太】が

自らの変化。そして、一花への気持ち。を確認し

変化を証明するという所に焦点を当てています。

その中で柚葉の気持ちを、柚葉が確認し、証明したりと

なんか、試行錯誤しながら編集しまくってたら

クソ長くなってクソいい感じにハマりました。

作者的にクソ最高です(そこはクソじゃねぇだろ。)

タイトル考えるだけで頭抱えますけど、やっぱりこの作品に

対する思入れが強いので書くのは楽しいですね!!


最近、ちょくちょく、感想をいただけるのですがすごく嬉しく

励みになっています!マジでありがとうございます!

是非、読まれた方は話数毎に感想

かけますのでよろしくお願いします!

なんか、3話のあとがきで変に語ってしまったので

今回はここら辺でドロンさせてもらいます笑

ぜひこれからも【愛ね、暗いね、君の隣】をお楽しみください


それではこの作品が少しでも多くの方にご愛読されることを

切に願い、後書きとさせて頂きます。次もお楽しみに!

それでは!

ちざきりゅうやでした!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ