表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第3話 Realize

【攻略法が存在しない恋】

一花への気持ちをそう形容した悠太は

まだ答えを出せず、悩んでいた。

本当の恋とは何なのか、自分の本当の気持ちはなんなのか。

何が恋で、何が愛で、何が自分の気持ちなのか。

悠太はそれを理解することは出来るのかーー。

【愛ね、暗いね、君の隣】

第3話 Realize

「お疲れ様です〜。お先に失礼しまーす。」

バイトを終え、悠太は更衣室で翔と話していた。

「神崎さん、煙草行くっすよね?」

「もちろんだろ、いくぞいくぞ」

悠太と翔はいつもバイトが終わると2人で煙草を吸っている。

それが悠太にとってはひとつの至福の時間だった。

そして2人は喫煙所に向かった。


ソフトパッケージの煙草を叩く。

叩くことで出てくるそれを1本取りだし、悠太は火をつける。

翔はBOXタイプの煙草なので、箱から普通に1本取り出し、

火をつけていた。悠太は元々、タバコが嫌いだった。

悠太の母親もタバコを吸っているが、昔は、その匂いにすら

耐えることもできず、煙草やめろよ。と何度も言っていた。


そんな悠太が、なぜ煙草を吸っているのか。

きっかけは先輩から貰った1本。もちろん最初はむせた。

しかし、気づくと体に馴染み吸うようになっていたのだ。

煙草は別に吸わなくても死ぬこともない。

むしろ、体に害でしかない。

肺は汚れ、病気のリスクも増える。

それでも何故、悠太は吸うのか。それはもちろん

ストレス軽減だ。言わゆる煙草に逃げている。と言うやつだ。


口から煙を吐き出す。

(すっかり、タバコの煙にも慣れたな。)

悠太が吸っている煙草はLow-darkというかなりキツめの

煙草だった。翔にはいつも少し引かれている。

「神崎さん、ようLow-dark吸えるっすね。

バカきついっすよ、それ」

翔は引き気味の笑みをこぼしながら言った。

「もう俺はこれ以外で満足できん体になってしまったのさ。」

冗談交じりで悠太はそう言ったが、事実これより弱い煙草を

吸っていても満足したことは無かった。


「神崎さん、今日もclubっすか?」

翔は悠太がよくclubに行くのを知っているので聞いた。

「んー、そうだな、別に明日バイトだけど、夕方からだし、

行くつもりよ、特に用事あるわけじゃねぇけどな。」

その日、悠太は別に《CUBE》に行くつもりは無かったが、

翔に言われ、行く気になったので行くことにした。


悠太は煙草を吸いながら、一花のことを考えていた。

(今日も、もしかしたらいるかな。会えるなら会いたい。

つーか、顔みてぇ。まじ会いてぇ。あ、翔に言ってみよう)

悠太は一花のことを翔に話すことにした。


「なぁ、翔。俺、今もしかすると人生最大の恋してるかも」

悠太が独り言のようにぽつりと言葉を発すると

翔は目を丸くしていた。

「え?ガチすか?あの神崎さんが?」

翔も悠太が【遊び人】なのを知っている。

何度かそういう話もしていたし、

よく《CUBE》に行っている事を知っているからだ。


「そーなんだよ。あの俺が一目惚れしたっぽい、

なんつーか、笑顔にやられた。」

少し笑いながら悠太はそう言ったが。

それが一番の本心だった。

「なんすか、そのあっつい話。いいじゃないすか。どんな子なんすか??」

翔は、最初目を丸くしていたが、話している悠太を見て

悠太が真剣なのを悟ったようだった。


「んー、どんな子かぁ。」

悠太は一花のことを思い浮かべる。

(どんな子って言われても、

まだよく一花ちゃんのこと知らないな。もっと知りたいな。

俺ってこんなこと思うようなやつだっけ。なんだろう。

この違和感。)

得体の知れない違和感を抱きつつも、

悠太は思っていることを翔へ伝えた。


「なんか、そうだな、一言で言えば天使?なんて言うか、

その子を見ていると、世界が変わるんだよ。自分の。

その子に会いたいとか、声が聞きたいとか

本能的に思っちゃうし。

でも、“恋”なのか分からないんだよな」

たった一抹の疑問。

その疑問が悠太の頭にそれを認識させていなかった。

心が溶かされるような感覚。包み込まれるような笑顔。

話していると感じる温かみ。それら全てを心で感じてはいた

しかし、まだ悠太は

この“感情”を頭で理解してはいなかった。


「へぇ。神崎さんもそんなこと思うんすね。

なんか意外っすわ。人間なんすね、ちゃんと。」

翔がやけに真剣に訳の分からないことを言うので

悠太は思わず笑ってしまった。

「いや、おい待て。今までなんだと思ってたんだよ」

笑いながらそう言ったが、

ある意味その言葉は核心をついていたのかもしれない。


「まぁ、でも、そんだけ、真剣に言えるってことは

それは“恋”だと思うっすけどね。

なんか、いいっすね。そういうの。」

翔の言葉になぜだか悠太は少し背中を押された感じがした。

「そうかな?まぁ、出会ったのは《CUBE》なんだけどな。」

煙草の日を消しながら

悠太は翔に、少し一花との出会いを話した。


「あー、そうなんすね。

clubで出会ったなら余計珍しいっすね、あの神崎さんが。」

翔の言葉の真意は恐らく、《CUBE》に来るような女の子に本気で恋するなんて珍しいと言う意味だったのだろう。

悠太もそれは理解していた。

「うん、そうだなぁ、たしかに珍しいというか。

無かったな。今までそんなこと。」

言葉の通り、一花に出会うまで

悠太は《CUBE》でこんな気持ちになることは1度もなかった

「新しい神崎さん。誕生の瞬間かもしれないっすね。」

翔の発言を鼻で笑いながら、悠太は思う

(これはなんなんだろうな。これは、この気持ちは。)

悠太はそんな悩みを抱えながら

翔と喫煙所を出て解散し、《CUBE》へ向かった。


重低音が心臓を揺らす。

この心地いい音の響きと、心臓を直に揺らす低音が。

悠太の感情を刺激する。

(あぁ。やばい、この非日常。ヤバすぎる。久しぶりに

ステージ行くか。)

《CUBE》ては、night clubには珍しい、一般客もステージの上で踊ることが出来る。

悠太は昔、よく踊ったり騒いだりしていたが、

いつからか、そんなことはしなくなっていた。


ステージの台の上へ上がる。照明に照らされる自分。

踊り狂う、最前列の人々。

自分が盛り上げればみんな乗ってくれる。

この瞬間、この自分が絶対神になったような感覚。

足先が。手先が。脳が。身体中が。全ての細胞が。

訴えかけてくる。騒げと。上げろと。

「Hey!Amigo!!なる!Champion!!」

手を挙げ、叫ぶ。フロア全体が揺れる。叫ぶ客。踊る客。

これが、愉悦。これが、感情に浸るということ。


「Every body!wanna!say!!」

耳に手を当て、観客へのパス。人々はそれを理解する。

そうしてフロア全体で叫んだ。


「「「これ私のstyle!!!」」」

(これだ。これだよこれ!!さいっっっこうだ!!!

気持ちいい。気持ちよすぎる!!!)

悠太の頭は、心は、完全にイっていた。頭が、脳が、震える。

身体中の細胞にしみ渡る愉悦。それが感情を高ぶらせる。

響く重低音が体を自然と揺らし、フロアの皆が同じダンスを

踊る。その一体感は正しくLIVE、そしてステージの上にいる

悠太はもう。完全に主人公だった。

そして、一通り騒ぎ終えた悠太はステージを降りた。


「お兄さん!ばか騒いでたっすね!!」

「マジで盛り上げんの上手い!クソおもろかった!!」

「お兄さんお酒飲も〜??」

色んな人から話しかけられる悠太だったが、

適当に全て返答して、その場を離れた。

「ありがとう〜、また皆、騒ごうな〜!」

そうして、BARカウンターへ行き、お酒を注文している時

見知った顔に話しかけられた。


「やーやー、お久しぶりだね、悠太くん〜!」

そこにいたのは、少し前に話したことがある南 優香(みなみ ゆうか)だった。

「おぉ、おつかれ、お前!最近来てなかったな〜、久しぶり」

優香は、悠太にとってシンプルなclub友達だ。

彼女を抱こうとしたこともなければ、

過度なスキンシップも取ったことは無い。

ごく普通の友達だった。


「ほんとねー、最近、学校忙しくて来てなかったのよ〜」

優香はclubの雰囲気が好きでここに来ている。

悠太と、同じ分類と勘違いされがちな見た目も相まって

よくナンパされているが、全て軽くあしらっていた。

本当にただ、ただ、この雰囲気と非日常が好きなのだ。

「あー、そうなんだ?おつかれおつかれ、大変じゃん。」

悠太は優香と、軽く世間話をしていた。

その時、また、見知った顔に優香が先に気づいた。


「あ!風吹(ふぶき)だー!やっほー!」

「お、風吹おつかれ〜」

2人で挨拶した彼は伊藤 風吹(いとう ふぶき)

悠太、優香。そしてほか何人かとも共通の友達いる

仲のいいメンバーの一人だ。

「おぉ!優香ー!悠太ー!」

このメンツが揃った時、必ずやることがある。


「このメンツが揃ったということは…??」

優香がニヤつき、悠太と風吹はやれやれと思いながらも

音頭を取った。

「「おはよう、テキーラ!!!」」

そうして3人はBARカウンターで、テキーラをかちこんだ。

そうしてまた、3人で世間話を始めた。

「最近どうなのよー、悠太と風吹はー!」

優香からすると何気ない質問なのだろうが、

悠太は頭の中に一花が過ぎった。


優香と風吹が、会話を展開していく中、先程自ら買った

ジントニックを飲みながら悠太は考えていた。

(この2人に相談してみるか。)

悠太は意を決して2人に一花のことを話し始めた。

「そういえば、俺はーー。」

少し話した途端。2人は叫んだ。

「「はぁ?!?!好きな人ができたぁ?!《CUBE》で?!」」

その声はもちろん。clubの音には負ける音量だが

悠太の耳を刺激するには十分だった。


「いや。かもしれないってだけだし、

あとお前ら声でかすぎだし。」

苦笑いしながらそう言う悠太に優香が詰寄る。

「なに!どんな子!!今日居ないの?!私が見極めるよ!!」

何故か、やる気満タンの優香に、悠太がツッコミする前に

風吹が突っ込んだ。


「なんで優香が見きわめるんだよ。違うだろそれは」

風吹に続いて悠太も発言をする。

「本当だよ、それにまだそんな距離縮めれてないし、

お前はいつから俺の好きになった女の

見極めマシーンになったんだ。」

笑いながらやり取りしていたその空間は

悠太の一言により、一瞬で静寂に包まれた。


「あ。萌香ちゃんがいる。」

そこには一花と仲のいい、萌香が居た。

「え?!好きって言ってる子の友達じゃん!」

真っ先にに沈黙を破ったのはやはり、優香だった。

駆け寄ろうとした優香を、悠太は全力で止めた。

「待て待て待て!!!おまえはだ!め!だ!!」

「なーんーでよー!!私も話したいー!!」

駄々をこねる様子を見ていた風吹は、やれやれ、と笑っていた

(一花ちゃんは、いないのかな。)

少しの疑問を抱えた状態で

悠太は3人でフロアのステージの方へ向かった。


「悠太!上行って!騒いできて!」

優香からそう言われた悠太は少しだるそうにした。

「えぇ、もうさっきしたよー、汗かいて疲れるんだぞー?」

なぜだか、それを望み続ける優香を横目に

悠太は風吹に肩を叩かれた。

「悠太。行ってこい。お前が行かないと、酔ったこいつは

誰にも止められん。」

(お前もかよ。)


はぁ、と言わんばかりに肩を落とした悠太は、小さい歩幅で

ステージの上へと登った。

(やるとなったらやりますか。よし!)

悠太が、スイッチを切りかえた瞬間。

タイミング良く、盛り上がる曲のイントロが流れた。

響く重低音から始まるその曲は3人のテンションを高める。

「やばぁ!!!悠太!騒げー!!」

「悠太ー!!踊れ踊れー!歌え歌え!!」

優香と風吹は悠太に声援を送った。


「夜が来たぁ!!目覚ましな!!」

悠太は再び手を挙げ、騒ぎ、叫んだ。

その時、フロアの奥に“彼女”が見えた。

(ーーーーーあ、いる。)

そこには 一花 が居た。


横にいた萌香が、悠太に気づいた。

そこには能島ちゃんもいた。

そうして3人は、それなりの距離まで寄ってきた。

(カマすなら、テンション上がってる時だろ!!)

そうしてタイミングのいい歌詞がくる。

「Danger!鳴らせ!サイレン!君はターゲット!!」

そのタイミングで悠太は意を決して一花に人差し指を向けた。

「僕のターゲット!!走れ!!」

一花はそれに気付いていなかったが、悠太は満足していた。

そうしてまた悠太は悦に浸っていくのだったーー。


ー1時間後ー

悠太は踊り狂い、死ぬ気で叫び終わり、抜け殻になっていた。

「し、しんどい。き、きつい。つかれた。。」

悠太は完全に死にかけの状態だった。

(えっぐい、久々、騒ぐのくっそ疲れるなぁ。)

風吹と優香は、疲れている優太を見て笑っていた。

「いやー、おつかれおつかれ悠太、良かったよ」

風吹に、少し慰め気味な声をかけれながら肩を叩かれた。


「あー、まじありがとー。」

掠れた声で悠太は返答したが、それに優香は爆笑していた。

「やっば!声カッスカスじゃん。

音量負けないくらい声通ってたもんね」

優香は爆笑しながら、先程の悠太を解説してきた。

その話を笑いながら3人でしている時、萌香がやってきた。


「悠太くん、やっほー!さっきバカ騒いでたね!」

もちろんその横には、一花がいた。

「やっほい!最近よく会うねー」

破壊力抜群の笑顔は相変わらずだった。

「2人とも魂胆は分かってるぞ。。酒だな?」

悠太は少し笑いながら、2人の魂胆を見抜いた。


「さっすが!ありがとう!!」

萌香はもはや、買ってもらえるつもりらしい。

(なんで、買う前提なんだ。

まあ、一花ちゃんおるし買うけど。)


「いつもありがとね、悠太くん!」

一花がそう言うと悠太は、心の中で悶絶していた。

「あー、うん、全然いいよー」

(うん!良くない!全っぜん良くない!!可愛すぎる!!

俺、死ぬ!!悠太!!しっにまーーす!!!)

某ロボットアニメの主人公のような事を心で口ずさみながら

悠太は2人にお酒を奢った。


その様子を見ていた、優香と風吹の2人は悠太に声をかけた。

「あの子か。悠太の好きな子は。いい子そうやん。」

風吹は一花を見て素直に思ったことを告げた。

優香の意見は風吹の意見とは反対だった。

「悠太。あれは茨の道だわ。やめな。あれは、やめな。」

優香はとても真剣な眼差しでそう告げた。

悠太には、それが理解できなかった。


「なんでだよ、どう見ても天使だろ。あれは、神だろ。」

悠太のその発言に優香は頭を抱えた。

「あちゃあ〜。もう沼ってんのかぁ。遅かったぁ。

まあまあ、頑張りたまえよ。」

優香は悠太の肩をポンポンっと叩いた。


優香のその言葉は今思い返せば。

”事実”だったのかもしれない。

でも、悠太が“それ”を知るのはまだまだ先の事だが…。


3人はその後、《CUBE》を出て、優香だけは先に解散した。

悠太と風吹は迷っていた。

「この後どーするー?」

風吹が悠太に問いかけた。

「んー、腹減ったなぁ、ラーメンでも行く?」

悠太は動き疲れと酒のせいもあるのか

ラーメンが食べたかった。

「おぉー、ありだなー、行くか?《一徹》??」

《一徹》とは、club終わりなどによく人が集まる

早朝でも空いてるラーメン屋だ。よく行く人が多いので

風吹は悠太にそこを勧めた。

するとそこに萌香達がやってきた。


「今日なら、《蘭丸》空いてるよん。」

萌香が、新情報を持ってきた。

《蘭丸》とは、濃厚豚骨スープが売りの全国チェーン店だ。

麺の量も少し少なく、値段設定は少し高めだが、

味に定評がある。間違いないラーメン屋だった。


「マジで?!そうなの?!なんで?!」

その発言に食いついたのは風吹だった。

「それは、ここに従業員いますから。毎週土曜はこの時間も

空いてるんだって〜」

そう言って指をさした先には一花が居た。

「どもども、《蘭丸》店員でーす!」

やはりいつ見ても破壊力抜群の笑顔だった。

もはや、あれは違う生物だろ。と思う悠太だった。


(一花ちゃん。《蘭丸》で働いてるんや。居酒屋と両立?

すげぇな。)

以前聞いたアルバイトの話とかけあわせ

悠太は感嘆していた。

「そーなんだ?!一花ちゃん!《蘭丸》で働いてるんだ??」

一花に真っ先に食いついたのは悠太だった。

風吹は笑っていた。

「お前、ちゃん呼びなのか。」

「今、それはどーでもいいだろ!」

笑いながら振られた突然の話題に悠太は焦って切返す。


一花はそれを見て笑っていた。

「そーだよ!《蘭丸》と居酒屋の掛け持ち!凄いっしょ!」

一花はえっへんと言わんばかりに手を腰に当てて言った。

(あぁ。えぐい、くそかわいい。)

悠太は、またひとつ一花への気持ちを飲み込んだ。

口に発することはまだ出来ないみたいだ。


その後、一花達とは離れ

2人で《一徹》か《蘭丸》か悩んでいた。

「悠太、じゃあ、せっかく空いてるなら《蘭丸》行くか?」

「そーすっか。ありあり」

2人は悩み話抜いた末意見が合致したので

《蘭丸》へ向かった。


向かっている徒歩10分くらいの間に

風吹は悠太に質問をしてきた。

「そういえば、あのー、一花って子のどこが好きなんだ?」

風吹は悠太の核心を突いた。

「やっぱ、笑顔かなぁ。やばいだろあれ、マジ天使だろ。

後、今日見てて思ったのは友達大事にするところとか?」

《CUBE》にいる時、悠太は少し、一花達を見ている時

そう感じていた。ただ、それにしても引っかかりが残る。

「でもさぁ。これが、恋なんか分からんのよなぁ。」


その疑問が、思考を、想いを止める。

それが、ずっと心に、(わだかま)りを残していた。

「まぁ、それは、いつかハッキリするんじゃない?」

風吹はそう言ってくれるが悠太は不安だった。

(ーーいつか、ね。それが遅くないといいけどな。)

他愛ない会話を続け。2人は《蘭丸》へと着いた。


《蘭丸》は全ての席が半個室のような状態になっている。

店員さんに席へ案内された席。そこには、一花達がいた。

「え、奇跡じゃん!!」

萌香は笑ってそう言ったが

悠太はしどろもどろになってしまっていた。

「おぉ、良かったなー悠太ー!」

「うるせぇ!いらんこと言うなー!!」

店内で出せる最小限のボリュームで会話していた。

「良かったのー?」

笑いながら会話に入ってきた一花に

悠太は思わず言ってしまった。

「だって、一花ちゃんいるもん。あ。」

「あ。」

風吹と同時に「あ。」となったが、それでも一花は笑っていた。

「ありがとー!嬉しいよー!」

(あぁ。やばい。本当、可愛すぎる。。)

一花の笑顔はいつ見ても、悠太には破壊力抜群だった。


悠太達はラーメンを食べながら、他愛ない話をしていた。

その時に悠太は心が温まって行くのを感じていた。

(あぁ。これが、好きなのかもな。)

悠太はずっと考えがまとまらないでいた。

それが今の悠太にはもどかしく。最大の悩みだった。

人を本気で好きになるとは、どういうことなのか。

その答えはまだ分かっていない。


ラーメンを食べ終わっても悠太達は少し話していた。

その時に気づいてしまったのだ。

悠太は自分の心と頭が整理されていくのを感じていた。

(あー、そうか。俺はこの子が大事なんだ。とても。

誰にも、渡したくないんだ。俺は一花ちゃんが好きなんだ。)


この日。悠太は理解してしまった。纏まってしまったのだ。

悠太の、心と、頭が、合致してしまった。

心の中の氷が完全に溶けた。溶けていった。


会えない時に会いたいと思う。

誰にも渡したくないと思える。

いつでも、頭で考えてしまう。

そして、心が理解してしまう。


(そうか。これが、恋なんだ。“彼女”のことが。好きなんだ。)

俺は小谷 一花(こたに いちか)に恋をしている。


悠太は自分の気持ちを心と頭

両方で、その“感情”を完全に理解してしまった。


この日、悠太は恋を理解した。


第3話 Realize 完

初めましての方は初めまして!

お久しぶりの方はお久しぶりです!

治崎 龍也です!

第3話になります!おまたせしました!!

Realize。いかがでしたか??

今回の話に合わせる曲は【アイラブユー/back number】です

是非曲を流して聞いてみてください!

それでは、いつものように振り返りしましょう!!


⚠️ここから先は該当話のネタバレを含みます⚠️

さて、今回、第3話では、悠太が自分の気持ちに気づきました。

きっとこれは周りの助けがあったからですね!うん!きっと!

1人では分からない事も誰かと意見を交流する事で理解に繋がる

そういう経験が、皆さんもあると思います。

もちろん、譲れないほど大切な意見もあるでしょう。

あくまで、私個人の意見ですが。

そういう大切な意見こそ誰かの意見を交流する事で

より良い意見になるのだと思っています。

私の好きな言葉に

【ぶつからなきゃ分からないことだってある】

という言葉があります。某アニメの人気キャラの台詞ですね。

しかし、本当。そうだよな、と思います。大切な人ほど。

大切な事柄ほど、【ぶつからなきゃ分からないことがある】と

私は思います。もちろん、人は完璧ではありません。

人、それぞれの価値観と、それぞれの気持ちがあります。

誰かが我慢をすればいい。

我慢をすることでそれが上手くいくなら。

と思うこともあるでしょう。

しかし、それは我慢をした分だけ自分の意見を殺すということ

自分という人格を。心を。情を。殺すことだと思います。

我慢と変化は違います。1人で全てを抱え込むのではなく。

誰かと意見を気持ちを分け合ってぶつけ合ってください。

【ぶつからなきゃ分からないことだってある】

その時に生まれた新たな意見は。変化に繋がるはずです。

人は変化また進化する生き物ですから、それを恐れないように

過ごして行けたらいいですね。(多分自分が1番できてない笑)

悠太もきっと誰かに話を聞いていなければ一花への気持ちに

辿り着けていなかったでしょう。何もぶつかるというのは

喧嘩をするという訳では無いと思うので。意見の交換。それも

大切なぶつかりだと私は思います。長くなってしまいましたが

今回の第3話をお読み頂きありがとうございました!!

これから4話、5話、6話、7話、と。どんどん展開されていく

治崎 龍也ワールドをお楽しみに!ガチでおもろいぞ!!

この作品!!笑笑


それではこの作品が少しでも多くの方にご愛読されることを

切に願い、後書きとさせて頂きます。次もお楽しみに!

それでは!

ちざきりゅうやでした!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
今回も最高でした!一花ちゃんとのこれからの関係を早く見たい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ