第0章 Re:START
大学3年生の春。女と酒と煙草に溺れた悠太は
行きつけのnight club《CUBE》で“彼女”に出会う。
そうして悠太は“彼女”へ惹かれ、底なし沼に落ちていく。
これは、クズと純粋な恋の物語。
愛ね暗いね、君の隣。
人生とは簡単なものらしい。
昔、ある偉人がこう言いました。
『人生とは本来、簡単なものなのに我々、人が、それを複雑により難解にしている』と。
このように人生とはーーー。
大学の講義室。長ったらしい教授の話。つまらない。
「だとしたら俺の人生はクソもおもんねぇよ。」
100人ほど入れるだろうその講義室には、30名ほどの生徒しかない。そもそも、この授業を選択している生徒の過半数は、出席せずとも単位が貰えるため、選択しているだけなのだ。
「えー、今日の授業はここまで、次週までの課題を出しておくので、各自提出の方よろしくお願いします。それじゃあ、お疲れ様ー」
大学3年生の夏が終わり秋に差しかかる頃。
俺、神崎 悠太は人生に退屈していた。
そう、あの人に出会うまでは。
街の喧騒が、耳を穢す。
この雰囲気が、この非日常が俺は好きだ。
俺の行きつけの night club 《CUBE》
ここは、HIPHOP、洋楽、JPOPの曲に合わせてダンスしたり。男が女をひっかけたりその逆もあったり。
男女が入り乱れる空間だ。
とにかく、この空間には非日常が詰まってる。
「お姉さん、1人?奢るからさ、乾杯しようよ。」
慣れた声のトーン。いつものように何事もなく声をかける。
そうして、慣れた動作でBARカウンターへ歩く。
「なんか、めっちゃ慣れてるね〜」
「えぇ?そんなことないよー」
声をかけられた女性は多少警戒する。
まずはこの警戒を解くことから。
少しのアルコールと俺の話術があれば十分。
いや、むしろ、余裕だ。
悠太は世間で俗に言う【遊び人】なのだろう。
それを本人も理解しているし、周りの友達も理解している。
彼の人生はいつからか壊れてしまったのだ。
原因は明白。彼はそれをわかっていても。
何も変えられないのだ。
そろそろ行けるでしょ。頃合かな。
「俺とホテル行こうよ」
悠太は慣れた口調で声をかけた女性をホテルに誘う。
もちろん、それが全てでは無いが、
そういう気持ちもあるのだ。
「えぇ、いきなりホテル??」
ん?まじか、こいつ。これで無理なのか。めんどくさ。
とりあえず、連絡先だけ貰っとこう。
「じゃあ、連絡先だけ交換しない?」
「連絡先なら全然いいよ〜」
時にはシフトチェンジも大切。
ずっとギアを上げていては自分も疲れてしまうから。
今日はここまでかな。こいつはまた後日食べよう。
あ、そーだ。あいつに連絡しよっと。
『柚葉、今から会える?』
悠太が連絡したのは3ヶ月前に《CUBE》で出会った女性だ。
彼女とは出会ったその日にホテルに行った。
そこから“そういう関係”を続けている。
『いいよ〜、悠太くん、どーせまた、CUBEにいるんでしょ笑』
『さすが俺の一番の理解者〜笑笑』
彼女と悠太は別に付き合っている訳では無い。
2人にそんな特別な感情は存在しない。
ただ、お互いの利害が一致しているだけ。
『今から行くわ〜』
『はいよぉヾ(ω` )/』
悠太は《CUBE》を出てすぐ近くの柚葉の家へ向かった。
たった数分の道。
その短い道の中でもclubやBARがあるこのエリアは
どこも混沌的に、また秩序的に、人々が入り乱れている。
酒で潰れ、道に寝込む人。
恫喝のように声を荒上げて喧嘩する若い男たち。
BARへ引き込む際どい服装の女。
night clubの前に立つセキュリティー。
相変わらず。いつ見てもカオスだな。ここは。
悠太はそんな町の喧騒を横目に歩いた。
ピンポーンーー。
「おっすおすー」
「はーい、今開けるね〜」
柚葉の家に着いたらすることはもう1つ。
お互いそれを理解している。ただこいつは雰囲気とかムードだとか色々めんどくさいもんを用意してやらんといけない。
別に俺らにそんな特別な感情なんてないのにな。
馬鹿だろこの女。
いつものように他愛ない会話を10分ほどした時。
悠太はおもむろに柚葉へキスをした。
唇が離れた途端、柚葉は少し拗ねた表情をした。
「もうー。ちょっとがっつきすぎじゃない?」
これは、まずいーー。
「悪いな。溜まってんだよ。」
咄嗟に誤魔化したが、これで上手くいくとは
悠太も思ってない。
「じゃあ、最近、ナンパ失敗してるんだ?」
柚葉がチクリと悠太の図星を突いた。
全くのその通りだった。
この1ヶ月ほど悠太は新規顧客を捕まえれていない。
「うるせぇ。」
図星を突かれ、少し愚痴を零しながら、悠太は慣れた手つきで下着の金具を外す。
それが外れた音と共に2人は体を重ねた。
行為を終えて少ししてから柚葉が口を開いた。
「今日、いつもより激しかったけどさっきの図星だった?」
先程の話を掘り返そうになり悠太は眉間に皺を寄せた。
テーブルの上にあるグラスに入ったジントニックを1口飲み
悠太は柚葉を見つめた。
「別にそんなんじゃない。柚葉もおるし、そんなナンパばっかりしないよ。」
1ミリも思っていないことを平気で口にしながら柚葉を抱きしめて悠太は言った。
「そっか、ならいいけどね。」
その日、悠太は柚葉の家で寝て、大学へ向かった。
この数式はこのように代入来て計算すると
簡単に計算することが出来ます。
ですので皆さんしっかり数式をーー。
相変わらずこの大学の授業クソつまんねぇな。
悠太は3年生になってから真面目に授業を受けていない。
最初からそうだった訳では無いのだ。
大学3年生の春。
《CUBE》と出会って悠太は変わってしまった。
遊ぶ友達は大学の友達から《CUBE》の友達に変わり。
女と酒に溺れ、煙草も吸うようになった。
さて、今日も行きますか。
悠太はいつものように《CUBE》へ向かう。
キレイめでカジュアルな服装。
キツくないけれど何故か鼻に残る香水。
ほんのりと肌をトーンアップさせるためのクリーム。
目尻に引くアイライン。
準備を終えた悠太は今日も《CUBE》へ向かう。
そして、今日、悠太は“彼女”に出会う。
『萌香ちゃん、今日CUBE、来るんでしょ?』
悠太は昨日出会い、ホテルへ行けなかった女性へ連絡した。
『うん、行くよ〜!友達連れていくから!悠太くん、手出さないでね!!』
萌香は悠太がクズなのを見抜いているようだった。
『俺そんなにクズじゃないんですけど〜笑そんなことしないから安心してよ〜笑』
悠太はいつものように自分の心とは真反対の言葉を軽々しく送るのだった。
女の勘ってほんとこえーわ。
《CUBE》に入ってしばらくすると
悠太の元へ萌香とその友達が来た。
「悠太くん!やっほー!この子友達!」
そう言って萌香は、自分の横にいる友達を、紹介した。
「初めまして!一花です!よろしくね、悠太くん!」
風が吹いた。いや、厳密にはそんなことはない。
でも、素直にそう感じた。そう感じざるおえなかった。煌びやか
低めの身長、ボブくらいの髪、決して濃くないメイク。
clubによくいる露出高めの派手な服装じゃなく
パーカーにスウェットパンツ。
そして、それら全てを完全にまとめる
煌びやかで無垢な純粋な笑顔ーー。
あ、これは、やばいーー。
悠太はこの時、“彼女”
“小谷 一花”に一目惚れをした。
2人の物語はここから始まる。
第0章 Re:START 完。
初めましての方は初めまして。
お久しぶりです。治崎 龍也です。
まず、初めに2年ほど更新をストップしていましたことに関しまして、お詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした。
簡単に言うとただのスランプです。
創作意欲、インスピレーション、作品への気持ち全てが無くなってしまいました。人生って色々ありますよね、ほんとに……。
そんなこんなで色々ありましたがこの度新作を執筆させていただくことにしました。過去の作品たちも随時更新していきますのでよろしくお願いします。
さて、ここからはこの作品を少し紹介出来たらと思います。
⚠️ここから先は本編のネタバレを含みます⚠️
まず初めに今回執筆させていただくこの物語は私史上、最高傑作になると思っています。この作品自体とある人の恋愛を題材にしていますので終わりはきちんとあります。それまでのストーリーを追っていただければ幸いです。
この作品は主人公《神崎 悠太》が一人の女性に出会い物語が始まります。このお話は出会うまでの第0章。彼がどういう人間なのかという部分に焦点を当てて執筆させていただきました。
これから悠太は彼女との出会いを通して、色々な感情を、取り戻していきます。
その中で、“ある事件”が起きます。
その事件をきっかけに悠太はとある特殊能力に目覚めます。
きっとみなさんも欲しい特殊能力だと思います。
ですがその力は絶対ではありません。
あまり話しても面白くないと思いますので
次の第1章をお楽しみにお待ちくださいませ。
最後にこの作品は
“FACT”(事実)דFICTION”(虚構)
“ファクション”です。
この作品が1人でも多くの方にご愛読されることを願い
あとがきとさせていただきます。
ちざき りゅうやでした!!!
※たくさんの評価やコメントなどお待ちしております。
※どんどんバズらせてくださいお願いします(>人<;)