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それはある朝突然に  作者: 偽野海月
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5

若干遅れましたが、ようやく同じ時間軸。




 モテ期到来!?


 今日は本当によくアタックされる。


 一度言ってみたかったセリフをやっと言える!


「モテる女って辛いわ~」


 誰も聞いてくれないから独り言になっちゃったけど。







 ●●●Side.A●●●







 持ってきたままのパイプ椅子がこんなに役に立つとは・・・。


 今日は本当にモテる。今まで合コンでも引き立て役にしかなれなかったのが嘘のようにモテる。


 今はわたしの時代なんだ。


 もう抑えきれないフェロモン的な何かを振りまいてるに違いない。


 だって、さっきから会う人会う人老若男女、みんなわたしに襲いかかってくるんだもの!!





「よいしょ、っと!」






 おかげでパイプ椅子の扱いのコツがだいぶ掴めてきた。

 今では一撃必殺。

 乙女の柔肌にむやみに触れさせるわけにはいかないんですからね!






「ひぃっ・・・だ、だれか・・・たすけ・・・!!」






 廊下の先に、尻餅をついたままずりずりと後ずさりしている人が見えた。


 茶髪でピアスをじゃらじゃら付けている、今風の軽そうなお兄さんだ。


 どうやら、彼も誰かに襲われているらしい。


 相手は・・・後ろ姿しか見えないけど白髪混じりなところから見てかなり年配の・・・ご老人。


 うーん、わたしのモテ期かと思ったのだけど、実はみんなの発情期だったのかもしれない。


 ヒトの恋路は邪魔しちゃいけないし、とにかく掲示板を確認して遅刻でもいいから講義に出席しなきゃ!


 わたしは男同士の恋愛にも理解があるしね。年の差恋愛もありだと思うし。


 と、別のルートから1階に降りようとして・・・ふっと気付いた。


 廊下の先にある光景を、もう一度見つめる。






 ふらふらと青年に手を伸ばす老人。



 恐怖に顔を引き攣らせる青年。



 涙でぐしゃぐしゃになりながら、それでも周りを必死に見まわして・・・わたしに気づいたらしい。






「た、助けてくれ!!」






 わたしは_____駆け寄って、彼に襲いかかろうとしている老人の頭に、力いっぱいパイプ椅子を叩きつけた。


 イイ感じに決まった。

 気分はホームラン。

 わたしに縋りつこうとする青年を避けながらたった今殴り倒した老人の顔を覗き込む。


 ちょっと頭部がへこんでいる気がしないでもないけど・・・







「やっぱり藤堂先生!!ダメじゃないですかこんなところで!!」







 1限の講師の藤堂先生、この様子だと最低30分は起き上がらないだろう。

 ・・・一生起き上がれそうもない気もするけど。

 授業開始から30分以内に講師が来なければ、自然休講になる!

 遅刻もなかったことになる!

 顔を見られないように殴ったし、殴りつける理由もあった!

 今は9:16だから・・・あと14分!

 





 よし完璧。







「えーと先生、後で医務室の人に声をかけときますね?」







 だからあと14分、寝ていてくださいね☆







 若干棒読みな気がしないでもないけれど、まあそこは愛嬌だ。


 さて、目的地は掲示板前から食堂に変更だ。だって朝ごはんがまだなんだもの。


 さっぱりした気分で、くるりと向きを変えると、こっちを見つめる瞳とぶつかった。

 

 

  

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