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8. 妖精姫は追跡されて、そして姫抱っこで運ばれる

誤字脱字、微修正を致しました。


ようやく銀髪仮面の名前がでます。

そして、もう一人の仲間も再登場です。

 国境近くのパルマン領は、ハルナ山脈を背に細長く広大な土地だ。西の国交の要を抑えた大きな街がある。まさかパルマン辺境伯がこの件に絡んでいるとは思いたくないが、変人で曲者。ここ何年も宮廷行事に出て来なかったのに、数年ぶりにデビュタントに顔を出すと返事を受けていた。


「珍しいこともあると思ったが。まさかこの為に出てきたというのか」


「殿下、パルマン領までは馬車で5日は掛かります。馬車2台で来ていても必ず途中で休むはずです」


 クラウスが地図を指しながら言った。


「ああ。パルマン辺境伯は、先々代からの褒章で国内に飛び地の領地を幾つも持っているはずだ」


「そうですね。靴を拾ったハルナ湖近くから少し先にもありますね。ここには別邸もあるはずです」


「良く知っているな。地図には森しかないが」


「ええ。実は数年前に大量の大理石の買付をされていましたので。それに工事の職人も相当雇い入れておりましたから。多分そうかと」


「クラウス。お前は人の家の買い物や使用人の数まで知っているのか?」


「まさか。前回離宮の床修繕をする時に、大理石の相場が少々上がっていたので調べただけです」


 クラウスはモノクルに触れながら涼しい顔で言う。


「お前に内緒で変な買物をしたらバレるな」


「アレッド殿下の買物は、変な物でなくても把握しています」


「・・・・」アレッドが眉根を寄せた。


「と、とにかくそこに行ってみるか。クラウス、シリウス達に伝えろ」


「はい」


馬車の窓を開けて、シリウスに伝える。


「殿下、先に参ります」


 シリウスと彼に仕える騎士団の数名が一団から抜け出した。





 シリウス達が靴の拾われた場所に着くと、先発で探査に向かっていた王宮警備団の伝令が待っていた。


「お待ちしておりました。私達と第二騎士団で馬車を追っております。近衛騎士団のマルカム様には追い付いていませんが、この道を道なりに進むしか馬車の通れる道はありません」


「そうか。後から来る馬車にも同じことを伝えてくれ」


 そう言うとシリウスは、暗い森の中の道を進んでいった。







 2台の真っ黒な馬車は、深い森の道をガラガラと進んでいた。王宮からは大分離れて、あと数時間すれば朝が来る時刻になっている。


「そろそろ着くころか」


 銀髪の青年はリリを膝枕しながら、彼女が落ちないように気を付けている。


(よく眠っている・・・)


 さすが、良く効く眠り薬だ。自分のような薬に慣れている者は少しなら問題はない。しかし、純粋培養のリリの様な少女には効きすぎる位かもしれない。


(やっぱり、嗅ぎ薬は改良が必要だな・・・)


 青年はリリの安らかな寝息に合わせてプラチナブロンドの髪を優しく撫でた。




 しばらくすると車輪と蹄の音がカツカツと硬質な音に変わった。土の道から石畳の道になったようだ。


「さあ、着きますよ。妖精姫」




それから、間もなく速度が緩やかになり馬車は静かに停まった。

カタンっと馬車の扉が開いた。

黒いマントに仮面姿の男が中を覗き込み、驚いたように言った。


「ルイ。お前何をしている?」


「お嬢様が寝ていらっしゃいますから。お支えしているだけですが?」


「膝枕だろ。まったく。どうしてこんな体勢になったんだ。早く彼女をよこせ」


 ルイと呼ばれた銀髪青年は、声を掛けてきた男に言った。


「ああ、お大丈夫です。お嬢様は私がこのまま運ぶよ。カーンはご主人様をお願いします」


「・・・。チッ。しょうがねーな。気を付けて運べよ。お前、仮面はどうした?」


「お嬢様に頬をぶたれまして。その拍子にとれてしまいました」


「何もしてねーだろーな?」


()()()()()()()()()()()()。さあ、早く運んであげましょう」


 ルイは、ひょいとリリを抱き上げると馬車からスルリと降り立った。


「お疲れ様です。さあ、お部屋にご案内しましょう」




 眠り込んでいるリリは、ルイに抱かれて大邸宅の中に運ばれて行った。


面白かった。続きが気になる。等感じて頂けましたら、

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ブックマークしてくださった皆さん、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。


「異世界エステティシャンは、王室御用達!」も連載開始しました。

こちらもよろしくお願いします。

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