54. 無かった事にしますわ!宜しいですわね?
あと少し引っ張ってから
誘拐事件は終了します。
シリウスとルイ君を絡ませないとね!
ということで、もう少しお付き合いを
お願いします。
オーキッド様達の処罰について、アレッド王太子様からお任せ頂いたので、少し落ち着いて考えたいと思いました。でも、ふと見たルシェール様の顔色が、すこぶる悪く何だか額に汗が出ているようです。もしや、医官様が言っていたように熱が出てきてしまったのでしょうか。
「あの・・・ルシェール様、お熱があるのではないですか?」
私は思わず駆け寄ると、(失礼します)と小さく言ってルシェール様の額に手を当てました。
「リ、リリ様!?」
やっぱり。熱が出てきています。
「ルシェール様、熱が出ていますわ!お辛いのではなくて?ベッドで休んだ方が良いです。アレッド王太子様!ルシェール様が休める様なお部屋をお貸し下さいませんか?」
どこにお泊りしてるかは知りませんが、今日の所はここから動かないほうが良いと思います。おせっかいかと思われるかもしれませんが、王宮内にお泊り頂いた方が安心ですわ。
「リリ嬢、お気遣いはありがたいのですが、私はオーキッド達と一緒に帰ります。これ以上ご迷惑は掛けられません」
ルシェール様は、大分熱が上がってきたのか、上気した頬に瞳も潤んだように見えます。ちょっと、これって、凄く不謹慎ですが・・・艶っぽいというか、色っぽいというか・・・
美形の殿方が弱っている姿って!ああ、いけません。私ったら(汗)。
「オーキッド様!お泊りの所には、お医者様はいらっしゃいますか!?」
「えっ!?い、いないけど?」
「では、やはり王宮にお泊りになるのが宜しいと思いますが?王太子様、如何でしょうか?」
「・・・・」
「アレッド王太子様? 聞いていらっしゃいますか!?」
もう!アレッド王太子様が、私の顔を見ながら茫然?としたように呆けていらっしゃいます。何でしょう、私変な事を言ってますか?
どうなんですの? 泊まれるの? 泊まれないの?
じっと見つめて返答をお待ちしていますが、ぱちぱちと何回も瞬きをしてからお答え頂きました。
「レブランドに部屋を用意させよう」
お返事を頂いた私は、ほっとして、
「アレッド王太子様。お願いを聞いて下さってありがとうございます」
と、最終兵器である ≪妖精姫の微笑み≫ を浮かべ、優雅にカーテシーをしてお礼を申し上げました。
結局、ルシェール様に付き添う形で、オーキッド様も一緒に王宮内にお泊りすることになりました。カルバーン様は、他の従者の方々も心配しているからと、宿泊している場所に戻るとのことです。もっとも、カルバーン様は、王宮内に泊れる身分では無いと頑なに固辞されたこともあって、そこは無理強いしないことになりました。
「ルシェール様を王宮で看病するとして、何とかトウレンブルクにも面目を保つことができるか・・・」
クラウスお兄様が、ぶつぶつと呟いています。まあ、そこは上手くお考え下さいな。
「とにかく、誘拐事件は無かったのですから、今日はもうお開きに致しましょう?明日、また王宮に伺いますので。皆様それで宜しいでしょうか?」
ちょっと、強引だったかもしれませんが、もう今日はお話しすることも無いと思います。今日は色々あり過ぎました。これ以上は頭がパンクしてしまいます。
皆様も同意見でしたのでしょう?だって、大きく頷いて下さったのですから!!
「リリ。疲れていませんか?」
王宮を後にした私とシリウス様は、来た時と同じようにスタンフォード公爵家の馬車に乗っています。さすがに疲れていた私は、口数も少なく大人しく馬車に揺られていたのです。
「ええ。少し疲れました。今日1日で、色々あり過ぎましたもの」
正面に座っているシリウス様に、ちょっとだけ微笑みながら答えました。シリウス様は、すっと立ち上がると、私の横に座られました。このポジション定番化しそうですわね。
「リリ。貴方が決断してくれたお陰で、この国の体面も保てます。貴方の思考は柔軟で的確でした。国を守る者として、お礼を言います。ありがとう」
シリウス様はそう言って、私の手の甲に口付けを落としました。この方に褒められると何だかとっても嬉しいです。疲れも吹っ飛びますわ。凛々しくてキラキラしい美貌は、朝から変わること無く完璧ですのね?などと見詰めていましたら、
「くっ!くっくっくっ!あ、あはははは」
「!?」
なんと、シリウス様が堪え切れ無いように、大笑いされました!なぜ!?
「シリウス様?」
「す、すみません。思い出してしまいました。貴方がルシェール殿を王宮に泊めて下さるように、殿下にお願いしている時の事を、思い出してしまいました」
まだ、笑いが止まらないようです。シリウス様ってこんなに笑う方だったのでしょうか?冷たい氷の騎士とか言われていませんでしたっけ?
「いえ。すみません。笑い過ぎですね。貴方が見た目より、ずっとしっかりした女性であると感心したのです。もちろん、只可愛らしいだけだなんて思っていませんでしたよ?でも、それを斜め上にいくギャップだったので・・・」
「嫌になりました?もしそうなら・・・」
「まさか!!もっと貴方を知りたくなりましたよ?」
「本当・・ですの?嫌いになっていませんか?」
「とんでもない。もっと、好きになりました」
「!?」(爆)
シリウス様はそう言って微笑むと、私を膝の上に抱き込みました。もう。またですわ。と思いましたが、何だか真っ赤になった顔を見られるのも恥ずかしくて、そのままシリウス様の肩に顔を埋めました。微かにシリウス様自身にグリーンシトラスの残り香が混じって、とても落ち着く香りがします。深く息を吸うとくすぐったかったのか、シリウス様が小さく身じろきました。
「リリ」
「・・・何ですか?」
「リリ?」
「何ですか?」
「リリ?」
「ン、もう。シリウス様ったら、何なのですか?」
彼の肩に埋めていた顔を上げて聞き返しました。
「ンッ!?」
シリウス様の唇が、私の唇を塞ぎました。
うそ!? シリウス様に口付けをサレマシタ!!!! まったく、不意打ちですわ!
「・・・泥棒・・・」
照れ隠しに出たのは、何とも自分でも予想外の言葉でしたが、
「詐欺師の次は泥棒ですか・・・?」
そう言ってまた笑うと、(では、もう一度)と言ってまた口付けを落としました。
私、屋敷に着くまでに爆死しそうです!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日、ゆっくり休んだ私は、午後から王宮に行くことになりました。表向きの理由は、王妃様へお茶会のお礼です。
一応、昨日のお茶会は、途中解散になりましたが、王妃様と私達のお母様方が何とか誤魔化して下さったみたいです。どう誤魔化したかは怖くて聞けませんけど。
まあ、それは置いておいて、本当の目的はルシェール様のお見舞いと、オーキッド様達の償いをどうするかです。それはですね。ちょっと考えたのですわ。いけるか、どうかは相談しないといけませんけど。
「リリ。準備はできているか?」
今日は、クラウスお兄様と王宮に向かいます。昨夜、私よりも遅くに帰られたので、今日は午後から私と一緒に登城できるそうです。シリウス様は、本業の騎士団で昨日捉えた隣国の騎士?の、取り調べをしているはずです。
「はい。クラウスお兄様。準備万端ですわ」
昼前にサンルームから摘んできた花は、元気が出るオレンジ色を中心にした花籠に仕上げました。爽やかで微かに甘い香りは気分が良くなると思います。ルシェール様が気に入って下さると良いのですが。
それから、侍女のマーサが厨房に取りに行った手籠には、果物を沢山使ったクリームパイと、甘さを抑えたチーズパイが入っています。お好きな物が判らないので、甘い物と甘くない物をご用意して持っていきます。
「それでは、行こうか」
私達は王宮に向かう馬車に乗り込みました。
誤字脱字は気づき次第修正します。
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とにかく、頑張ります!!




