45. ルイ様の銀髪は珍しい
緊張感がMaxのリリちゃんです。
シリウス、オーキッド、ルイは腹の探り合い?
次話で、ついにリリちゃんとルイ様が二人きり!?
になると思います。
ルイ様は、隣国の王族に連なる方ですと?名前もルシェール様と言うのですか?
まじまじと、王妃様にご挨拶している様子を見ています。確かに、2年前よりも髪が伸びています。肩下までのサラサラボブですわ。それに随分お背も伸びて、肩幅も広くなったような気がします。以前の華奢な感じはしないです。ただ少し憂いを帯びたような、硬質な面差しは変わっておりませんね。
アクアマリンの瞳もです。
「少し事情がありましてね。私の領地にずっと滞在して頂きました。ただ、いつまでもこのままでは不自由ですから、申し訳なく思いまして。それで、正式に陛下の許可を頂きに参った次第なのです」
オーキッド様は、そう言うと相槌を求めるようにルイ様に向かって微笑みました。間違えました。ルシェール様でした。ルシェール様は、オーキッド様に答えるように小さく頷きました。
「それが王都に来られた目的ですの?ルシェール様、お初にお目に掛かりますわ。王妃のステーシアです」
「王妃様、このような形でご挨拶させて頂く無礼をお許しください。パルマン辺境伯のご厚意に甘えて、図々しくも王都まで参りました」
「そういう訳だから。陛下にもご挨拶したいのだけど・・・待っている間、皆さんと一緒に楽しいひと時を過ごさせてもらおうよ。いいでしょう?王妃様?」
王妃様がお返事する前に、オーキッド様がルシェール様の手を引いて、私達の座るテーブルに向かって歩き始めました。そして、振り返ると王妃様に何か合図をしたようです。(こちらかは見えませんでしたけど)
王妃様が、はしたなくも ≪アカンベー≫ をしたのを、私とシリウス様、アレッド様だけが見ることになりました。初めて見ました。王妃様のあんなお顔(驚)
「失礼するよ。さあ、ルシェール殿、こちらにどうぞ」
オーキッド様が、私とオーキッド様の間にルシェール様を座らせました。そして、私達をご紹介して下さいます。ルシェール様は、あくまでもにこやかに微笑んでいらっしゃいます。
「で、こちらがリリ・アンナ・スタンフォード次期公爵夫人だよね?。今日17歳のお誕生日」
「リリ・アンナです。初めまして、ルシェール様」
「・・・初めまして」
「そしてね、こちらがリリちゃんの旦那様のシリウス・スタンフォード殿。宮廷近衛騎士団の副団長様だよ」
「ルシェール・サウザランドです。よろしく」
「こちらこそ」
シリウス様とルシェール様は、にこやかに握手をしています。私はそんなお二人をポヤっと見ていますが、何とも変な空気が漂っています。だって、アレッド様は空を睨んでいますし、オーキッド様はニコニコ顔。カルバーン様は好奇心いっぱいの目をしています。
このまま、何事も無く過ぎて欲しいのですけど・・・
美味しいお茶と、王宮菓子技師渾身の季節のケーキのはずですが、全く喉を通りません。変な緊張感が解けませんもの。とにかく、あくまでも自然に。自然にしないと。
平静を装いゆっくりとお茶を飲んでいると、お隣のルシェール様の視線を感じました。
「・・・・何か?」
「ああ、失礼しました。初めてこんなに美しい方を見たので、つい見とれてしまいました」
なんと、そう言うことをおっしゃいますか?初めて見たとか?言いますか。
「あら、お上手ですわ。そんなことを言われると照れてしまいます」
ルシェール様の視線は、本当に初めて会ったような感じに聞こえます。何となく、頬も赤くなっているような・・・
「わが妻をお褒め頂いて恐縮です。ところで、貴方のその美しい銀髪はこの国では稀有ですが、お国でもそうなのですか?」
シリウス様は、ルシェール様がルイ様であると判っていますわね。あの時、遠くからですが見ていると言っていましたもの。ルシェール様は、シリウス様に視線を移すと唇を少し上げてお答えになりました。
「ああ、この髪はメルト国では珍しいのですか?確かに、ここに来る間に見ることは在りませんでした。我が国では、王家の血を引く者に多く見られます。私の父も同じ銀髪でした」
「お父上も銀髪でしたか。今、でした。とおっしゃいましたが・・・」
さすが、シリウス様です。過去形を聞き逃しませんでしたね。ルシェール様の顔が一瞬強張ったように見えましたが、それはすぐに消えて何とも言い難い表情をされました。
「ええ。もう二度と会うことはできません。もう随分前のことになりますが・・・」
「・・・それは、失礼致しました」
随分前にお亡くなりになったということですわね。シリウス様は申し訳なさそうにお詫びしましたが、ルシェール様は、ニッコリと儚いような笑顔を向けると、気になさらないで。とおっしゃいました。
しかし、この空間の居た堪れなさと言ったら!!もの凄く居心地が悪いですわ。そんな気持ちを隠すようにお茶ばかり飲んでいます。
「そうだ!リリちゃん。ルシェール殿に、この中庭を案内してあげてくれない?今日は特別に、貴方のお誕生日仕様になっているでしょう?小川や小さな滝もあるから見ごたえあるし。どうかな?」
オーキッド様が、微妙な空気を読んだのでしょうか?私に、ルシェール様をご案内して欲しいと提案されてしまいました。私としては、この場を動きたくないのですが!?
「ぜひ、お願いします。シリウス殿、お許しいただけますか?」
私に乞う前に、シリウス様にお伺いを立てましたよ。ちょっとこれは、さっきの質問への意趣返しでしょうか?こう聞かれたら、断れないじゃないですか!?シリウス様!どうしますの!?
「ええ、結構ですよ。リリはこの中庭に詳しいですから」
ええっ!随分あっさりと了解しましたよ!?この方、私を攫った実行犯ですよ!?シリウス様、何をお考えなんですか!?私の顔が、青くなったり赤くなったりしていたと思います。
「でも、申し訳ございませんが少しお待ちください。皆様に結婚の記念にと僅かばかりではありますが、送り物をご用意したので、それを二人で取りに行ってからで宜しいでしょうか?」
そうでした。お誕生日のプレゼントのお返し兼、結婚記念品としてご用意した物があるです。サファイアブルーの地に白百合が描かれた七宝焼き製の小物入れです。シリウス様が、結婚が決まってから急いで注文を出して下さっていたのです。
スタンフォード家の専属工房で作られたそれは、掌に載るくらいの大きさで、艶やかな公爵家のサファイアブルーです。それに私の名前に因んだ白百合が、開いた花と蕾で形よくデザインされています。配色も縁飾りの金細工と相まってとっても上品で、趣味が良いと思います!さすが、シリウス様です!!
「ルシェール様、ほんの少しだけお待ち願えます?夫婦で行う、初めての共同作業ですの」
ルシェール様に向かって、私はウルウル目で、胸の前で手を合わせてお願いします。
「くっ・・・。判りました。お待ちします」
ルシェール様が顔を赤くして、目を逸らしました。良し!!頑張った、私!
「それでは、リリ。早く行ってきましょう。皆様、少しだけお待ちください」
シリウス様に促されて、テーブルを後にします。あくまでも普通に。慌てないように落ちついて。
テーブルから離れると、シリウス様が小さな声でおっしゃいました。
「いいですか、貴方は私の方を見て微笑んでいてください。そして、頷くだけにして下さい」
隣にいるシリウス様の顔を微笑みながら見つめて、大きく頷きます。
「死角に入ったら、私の伝令笛を渡します。何かあったら、さっきのオーキッド殿のように吹いて下さい。貴方に危機が迫っているなら長く。もしも、貴方と彼の両方に危機が迫っているなら短く2回。良いですね?」
(はい。判りました)と頷きます。
そして、中庭の出口まで行くと、荷物を受け取る陰でシリウス様が金色の小笛を見せて下さいました。
「リリ、この笛はこうするのです」
何とそれは、私の首に掛かっているスタンフォード家から頂いた≪公爵家の青≫のネックレスにパチリと嵌りました。まるで、デザインの一部の様に見えます。
「こう使うものだと、後で教えようと思っていたのですが、丁度良いです」
美しいリボンで飾られた手籠にプレゼントを入れると、シリウス様が軽々と持ち上げ、反対の手で私と手を繋ぎました。
そして、ニッコリと微笑み合った私達二人は、皆様がお待ちになるテーブルにゆっくりと戻ることにしました。
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