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4. 妖精姫は存在を宮廷近衛騎士に知られる

サブタイトルもリリ視点に修正致しました。

誤字脱字、一部微修正を致しました。

本筋には影響はありません。


「見つからない?」

 クラウスは各部署からの報告を受けていたが、一向にリリの存在が確認できない。ホールに一番近い部屋ではアレッド王太子、セーヴル、レチアがいる。グランデルク伯爵夫妻も駆け付けた。


「クラウス。こんなに探してもいないということは、もう城外に出てしまったのではないか?」


「殿下、それについては警備兵から2台の馬車が、リリのいなくなった時間に城外に出て行ったとの報告がありました」


「その中にいた可能性があるか」


「多分そうではないかと。警備兵に後を追わせていますが、何分時間が経過しているのでどこまで追いつけるか・・・」


「攫われた理由に心当たりはあるのか?」


「いいえ。リリは今日が社交界デビューですし、今までもほとんど外には出ていないのです。それ故これといった心当たりは無いのです」


「ふむ・・」


グランデルク伯爵夫人は、息子たちの話を聞いて真っ青な顔をして卒倒寸前の様子だ。伯爵はそんな妻を支えているが、難しい顔をしてクラウスを見ている。


「父上、お心当たりがあるのですか?」


 視線に気づいたクラウスが父の座る椅子の前で膝をついて問うた。


「まさかとは思うが」


「何でしょう。今はどんな情報も欲しいのです。おっしゃってください」


「うむ」


「王太子様の前で申し上げるのは憚れますが」


「よい。グランデルク伯爵、気にせず申せ」


「はい。実は・・・」


 コンコン!と扉をノックする音がして、王太子の侍従であるレブランドが入ってきた。




「アレッド殿下。シリウス・スタンフォード様が隣国からお戻りになりました。お目通りを願い出ておりますが、お通しして宜しいでしょうか」


「シリウスが戻ったか。よし通せ」


 レブランドと入れ替わりにシリウスが部屋に入ってきた。


 隣国から早馬を飛ばしてきたにも関わらず、乱れたところは一切ない。髪一筋さえもだ。

 アレッドの前まで来ると騎士の礼を取った。


「シリウス・スタンフォード、只今戻りました」


「ああ、シリウスご苦労であった。さすがだな随分早く戻れたな。いい返事なのだろう」


「はい」


 殿下以外の顔ぶれに、任務の詳細は答えない。しかし、何かが起きていることに気づいた。


「クラウス、何かあったのか?」


 シリウスは表情の凍り付いたクラウスと、顔色を変えたグランデルク伯爵夫妻を見ながら問うた。

 クラウスが口を開く前にアレッド王太子が代わりに答えた。


「リリ・アンナ・グランデルク嬢が王宮から誘拐された」


「ヒッ」と息をのむ声とともに伯爵夫人が気を失った。




 クラウスによると彼のエスコートでデビュタントに来たリリは、ファーストダンス、王族への挨拶を終え、テーブル付近でクラウスとセーヴルに囲まれて寛いでいた。そして一人で化粧室に行った後消息が不明になった。


 探しに来たクラウス、セーヴルと合流したレチルの3人によって片方の靴が発見され、王宮内をくまなく探したが未だ見つかっていないという。そして、王宮から出て行った2台の馬車を追跡しているところだという。




「2台の馬車?」シリウスは聞き直した。


「ああ。リリがいなくなった時を同じくして王宮から猛スピードで出て行ったという」


「その馬車は、私も途中で出会った。不審に思えたので、部下2名に追跡させている」


「「「「「「本当にっ??!!!」」」」」」


「さすがであるな。シリウスよ。王宮内の探索に時間がかかり、遅れを取ったと危惧していたが!騎士2名が追跡していれば心強い」


「それより、リリ嬢の安否が心配です。お心当たりや首謀者からの知らせのような物はありましたか?」


「ああっ!父上!さっき云い掛けた心当たりとは何ですか?」


 クラウスが父親の肩をグラグラと揺する。


「そ、そうだ。実はどこからかリリの噂を聞きつけた高位貴族がリリを妾に欲しいと言ってきたのだ」


「何ですって!?どこのどいつですか?」


「落ち着けクラウス。候よ、高位貴族とは誰なのだ?」


 アレッド王太子は、椅子に深々と座り直し、膝の上で指を組んで聞き返した。


「それは、まずは打診に来たということで、高位貴族としか使者も言わないのです。本来ならば、そんな相手に会うこともないのですが、しつこく使者が来ていまして。使者の言葉から他国の可能性も感じられたため会うだけあってみたのです」


「伯爵にさえ直接名乗れない貴族とは・・・」


 アレッド王太子は首を捻る。


「我が、グランデルク伯爵家は古くから由緒ある家系として、貴族の系譜に身を連ねております。その娘をあまつさえ、妾に欲しいなどと言われて、誰がはいそうですか。と言えましょう。当然、お断りを致しました。きっちりと」


「父上、それは私も知りませんでした。何時頃のことなのですか?」


「半年程前のことだ。デビュタントの招待状が届いた頃だった」




「それでは、そのころから計画していたのでしょう。今日の日に狙いを定めて」

      

 シリウスが直立不動のままの姿勢で伯爵に向かって言った。



「おお・・・。どうかリリを助けて下さい。

あの子はまだ15歳です。あの子が助かるのであれば、私はどんなことでも致しましょう」


やっと4話になりました。お読みいただいてありがとうございます。

先が気になる!面白い!と思っていただけましたら

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