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39. 招かざる客は誰ですか?

ようやくリリ側で情報共有できました。

思いのほか、時間がかかってしまいました。


読んで下さっている皆様、お付き合いくださいませ。ね。

「お待たせいたしました」


 王宮からシリウス様が、お迎えに来て下さいました。私は準備に手間取りはしましたが、お待たせすることなく玄関ホールに向かえます。大きな姿見の前でくるりと回って後ろも確認すると、マーサに薄桃色のドレスの入った箱を持ってくれるように頼みました。


「さあ、()()()に朝のご挨拶をしましょう」





 明るいホールはガラス窓を通した光に満ち溢れて、大理石の床が白く光り輝いている。 花瓶には彼女の名前に因んだ白百合が生けられて芳しい香りが漂っている。そこへ玄関ホールへの階段を軽やかに降りてくる彼女の姿が見えた。


「シリウス様! おはようございます!」


 キラキラと光りに溶けるようなプラチナブロンドは、両サイドが編み込まれてサファイアブルーのリボンで飾られている。艶のあるシルクは彼女の髪に良く映えている。この色はもしかして・・・?


「おはようございます。リリ。今日はいつにもまして可憐な姿ですね。青いリボンがとてもよくお似合いです。この色は・・・?」


「お分かりになりまして?シリウス様の瞳の色ですわ。今日のドレスにぴったりだと思いましたの」


 頬を染めて、リボンを軽く触ると自分の手に届くところまで近づいてきた。今日は瞳の中の矢車菊がいつにも増して鮮やかに咲いているように見える。ブルーの部分が大きくて濃いようだ。


「お気遣い頂いたのですね。貴方のその姿を、一番に見られるなんて光栄ですね」


 彼女の耳に唇を寄せて小さな声で言うと、途端に彼女は真っ赤になり、耳を押さえて一歩後ずさった。可愛らしい珊瑚の様な唇がパクパクと動いている。言葉にならない何かを発しているようだが、涙目になって自分を見上げている。


(くっ。かわ・・・っ!)


 自分が今までに感じたことが無い気持ちでいる事を、何とか抑えて彼女の手を取った。


「さあ、行きましょう。皆さんがお待ちですから」





 宮廷近衛士団の馬車に揺られながら、シリウス様と私は王宮へと向かいます。お父様とクラウスお兄様はすでに出仕しておりますし、お母様はグランデルク伯爵家の馬車に乗ってすでに向かっていらっしゃいます。両親ともども呼び出されるって、どんな()()()なんでしょう?

 結婚の事より、誘拐された時のことについてですよね。何をこれからお話しするか判りませんが、2年前のことがこんなに大事になるなんて思ってもいませんでした。



「シリウス様、まだ私、全部思い出した訳では無いのですけど・・・」


「はい。それは承知しています。昨夜、貴方の記憶の一部が取り戻せたので、改めて関係者に情報を伝えて頂きたいのと、明日に備えたことも相談したいのです」


「明日?明日というのは?」


 明日何があったかしら?備えが必要な事なんて思い当たりませんけど?


「王妃様のお茶会です。もしかしたら、()()()()()が来るかもしれません」


「招かざる客?ですか?いつもの皆様の他に、どなたかいらっしゃいますの?」


 シリウス様は私の手をギュッと握り締めると、真剣な目で見つめてきました。


「誰が来ようとも、私が貴方を守ります」


 そして、詳しい話は、王宮に着いてから話しましょう。とおっしゃいました。




 王宮に到着すると、アレッド王太子様の執務室までシリウス様にエスコートされて進みます。昨日二人で伺ったときも、すれ違う人達から驚かれましたけど、今日のシリウス様は、ここでは見慣れた宮廷近衛騎士の濃紺に金刺繍の制服ですよ?珍しいことなど無いと思いますけど?


 もしや、私の様な小娘を連れていることで、不審に思われているのでしょうか?あの、噂に聞いたことがあるロリ・・・何とかという特殊な趣味嗜好とか!?まさか?

 一瞬、歩みが止まりました。


「リリ?」


「あの、もしかして・・・(聞き辛いですわ)」


「ああ、結婚したことが漏れているかもしれませんね。気にしないで行きましょう」


 違った。そっちの話題のことでした。

 それはそうですわね。また、早とちりしてシリウス様に変なことを口にするところでした。イケナイ、イケナイ。


「幼女趣味などありませんから。ご安心ください」


「!!!!!!」


 バレテーラ!?




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 執務室には、アレッド、クラウス、セーヴル、グランデルク伯爵夫妻がすでに席に着いて二人を待っていた。リリはアレッドの正面の席に、そしてシリウスはその隣に腰をかけた。


「リリ嬢、貴方は記憶の一部が戻ったと聞いたけど、そうなのか?」


 アレッドが最初に話しかけてきた。リリは直接答えていいものかと、シリウスの顔を見上げると彼が目を細めて頷いてくれた。


「はい。殿下。まだ断片ですが、薬を嗅がされて馬車の中で目が覚めて、暫くしてまた眠らさるまでの時間ですけど」


「リリ、続けて詳しく話してくれ」


 クラウスに促されて、リリは思い出したことを伝えた。シリウスに伝えたとほぼ同じことだったが、新たに加わったことがあった。


「このドレスは、そのお屋敷で着替えさせられたドレスです。このドレスの刺繍、≪百合に蛇≫ の柄ですが、この柄は馬車の壁布にも使われていました。最初に馬車の中で気が付きましたが、その後ドレスの柄も同じだったのでオーダーメイドですわね。この柄に意味はあるのでしょうか?変な柄ですもの」


「それは、百合が貴方で蛇は首謀者を示しているのでしょう」


「そう。シリウスの言った通り。百合はリリのことで、蛇は・・・パルマン辺境伯の紋章にも使われているのだ」


「当時から限りなく黒に近かったパルマン辺境伯だが、その彼が今、王都に向かっている。目的ははっきりとは判らないが、もしかしたらお前の17歳の誕生日に何かし掛けるかもしれない」


 クラウスが、リリに判るように説明してくれた。求婚?妾?の申し入れを断ってから、誘拐事件で社交界から引き籠らずにはいられなかった。結果的に相手の願い通りに、社交界に染まらないまま一昨日まできた。

 そんな時に、パルマン辺境伯がいきなり連絡もなく上洛する情報を掴んだ。17歳になったら婚約期間も不要で結婚が可能になるが、明日の貴婦人しか招かれない王妃様のお茶会で、もしも強引に求婚されたら止められないし、断ることができないかもしれない。


「嫌です。そんな訳の分からない方と結婚なんて・・・」


「だから、シリウスが結婚を急いでいたのだ。明日の王妃様のお茶会ではシリウスと共に参加してくれ。王妃様は、お前たちの結婚祝いの席として下さる。幸い、主だった貴族のご婦人たちが皆参加されるから、小規模ではあるが発表することができる」


 つまり、パルマン辺境伯が、リリを狙って行動を起こす前に先手を打ってシリウスと結婚し、次期公爵夫人になったという既成事実を作ったのだった。


「でも、本当にそのパルマン辺境伯が首謀者なのでしょうか?それにルイ様とカーン様というのはどんな関係なのでしょう?」


 クラウスが更に続ける。オーキッド・フォン・パルマン辺境伯は、自分達よりも6歳年上で10年前に辺境伯を継承している。当時はまだ社交界にも出ていたがしばらくすると全く表に出て来なくなったという。

 領地に籠って、王家からの呼び出しや王室行事にも顔を出すことは無かった。ただ、数年前に思い出したように王宮に来て、陛下や王妃、王太子に絡みまくって帰って行ったという。この時のことを思い出してアレッド王太子の顔色が悪くなった。相当、迷惑だったに違いない。


 そんな、辺境伯だが領地内は安定して領民には慕われているようだった。さすが国境を守る軍事の専門家だけあり、領地の屋敷は鉄壁の守りで中の情報を窺い知ることは困難だった。ただ、彼の従者の様な、友人の様な、家族の様な二人の若者がいるのは判った。二人の名前が、ルイとカーンと呼ばれていることも判明している


「ルイという銀髪の青年は、貴族階級であることも考えられます。そして、その銀髪からこのメルト国の人間ではない可能性もあります」


「シリウス、そうなのか?」


 アレッドが聞き返す。確かにこのメルト王国には銀髪の貴族は極少ない。年齢から該当者がいないことをクラウスが伝えると、アレッドは頭を抱えた。


「どこかの国の貴族がパルマン辺境伯と共謀しているということか?アイツは何をしたいのだ?」





「とにかく、明日の王妃様のお茶会に、彼等が乗り込んでくる可能性がある。参加できるのはリリとシリウス、母上とタンザール侯爵夫人(レチル)だから、十分注意をして欲しい。シリウス、リリを宜しく頼む」



 オーキッド・フォン・パルマン辺境伯が王都に着くまで・・・・あと少し。


誤字脱字は気づき次第修正します。

面白かった、続きが気になると思って頂けましたら、


ぜひ、ぜひ、評価ボタンを押して下さいませ。

今後の参考と、どうなんだろう?という疑問も持ちながらの執筆なので

励みになります。いつも、これでいいのかな?と思いながら書いておりますゆえ。


ブックマークしてくださった皆様もありがとうございます。

これからも、よろしくお願いします。

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