始まりの日-3-
「かくかくしかじか……というわけです」
”……”
天使コスプレの女は語り始めるや否や、息継ぎが全く無いままに3分ほどぺらぺらと説明だけをした。
到底理解が追いつかないと思ったが、不思議と内容がすんなりと頭に残った。
多分、彼女の話が、幼稚園児でも分かるように端的であったことによる。
彼女の話を纏めると、こうだ。
――天使コスプレの女の話、メモ――
Q.天使コスプレの女は何者なのか?
A.天使です
Q.天使とは何なのか?
A.俺たちの一次元上の存在。神様の使い。
Q.橘 美月はどうなったのか?
A.死んではいないが、今は、この世界にいない
Q.橘 美月はこの世界に帰ってこれるのか?
A.俺次第では、帰ってこれる
Q.俺に彼女を作らせる目的は何か?
A.天使コスプレの女も上の者に命令を受けただけ。分からない
Q.どうして俺が選ばれたのか?
A.ルーレットで決めた
Q.天使コスプレの女の名前は?
A.フランソワ
Q.どうして、俺が死なないといけないのか?
A.本来は俺の寿命が一か月後。逆に今回はラッキーチャンス
Q.10人の女生徒の選定基準は?
A.俺と相性が良さそうな5人。そして、天使コスプレの女が好みで選んだ5人。
――天使コスプレの女の話、メモ -終-――
……色々とツッコミどころが多い。
実際は、”上空規約”やら、”アトフォロスの旋律”などと、意味の分からない単語が混じったり、偶に”#%&*$K%”みたいな、人間の言葉じゃない単語を発したりしていた。
まあ、そういうのを除いて、俺が分かることを切り取って纏めるとこんな感じだ。
説明が端的であった分、もう少し説明が欲しいところも多い。
俺は右手を上げた。
”質問いいか?”
「駄目」
質問タイム終了。
何ということだろう。質問を拒否された。
【質問すれば、答えが返ってくる】というのは、学生の持つ利権のように感じていたが、どうやら甘えていたようだ。こういうことも、勿論あるに決まってる。
が、しかし、こっちは命が掛かってるので、引く訳にはいかない。
”いや、少しだけだ。まだ、分からないことがあるから教えてくれよ”
「この私があんたみたいな馬鹿にも分かるように、懇切丁寧に説明してあげたのよ。分からないことがあるなんて、あり得ないわ」
天使コスプレの女は、高飛車を崩さない。
俺は、舌打ちを打ちたくなるのを何とか堪えた。
ここで、機嫌を損ねるのはよろしくないだろう。
”いや、あんたの説明は大変分かりやすかったし、よく分かった。ただ、ほんの少しもうちょっと聞きたいことがあるんだよ。それくらい構わないだろ?”
「フランソワよ」
”は?”
「フランソワ。あんたじゃない。……はぁ、ほんとに話を聞いてないのかしら。先が思いやられるわね」
いや、貴女も俺の事、”あんた” って言うじゃないですか。
少しむかっ腹が溜まってきたな。
”フランソワ……さんは、話口調がコロコロ変わりますよね”
「そうかしら?」
”最初会った時とか、さっきの説明の時は穏やかで、優しい感じなのに……今とか、都会のギャルみたいな感じだし”
「んー……意識してなかったけど、確かにそうね……橘 美月 の口調に影響を受けてるのかしら」
”いや、それはないだろ。橘はお前が教室で演じてたような 【物静かで大人しい】奴だったはずだぜ”
「あんたは、女の子ってのをよく知らないのよ。裏では、皆こんなもんなのよ」
フランソワは、腰に手を当てて自慢げだ。
俺は、頭をポリポリと掻いた。
登場人物 形容 ーそのいちー 容姿編
滝沢 遼 (俺)……髪は黒。前髪は長く、目が前髪で全部隠れるほど。髪全体としてはそんなに長くない。髪を立たせたりせず、のっぺりとしている。顔立ちは面長の顔に、切れ長の目、スッと伸びた鼻筋、薄い唇。身長は175cm、細身。服を脱ぐと意外にも程よく筋肉が付いている。少し怖い印象を持たれたり、陰気な雰囲気を纏っている様に見られることが多い。学生服はキチンと、規定通り着こなす。私服のセンスは悪い。キャラクターの入ったTシャツや、パーカーを着て、下に父親のお下がりの古いジーンズを履いたりする。




