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「死んだんだよ。この写真を撮られた後に」


 遠藤の話によれば、この写真を撮った数日後に三人とも亡くなったそうだ。

 やはりここに写る三人は家族らしく、父親は車に撥ねられ、母親は階段を転げ落ち、娘は電車に轢かれそれぞれ死んだ。写真を撮られたわずか一か月足らずでの事だそうだ。


「調べたらこの岬、自殺の名所らしい。何かそういったものの類が関連してるんじゃないかって話だ」


 どうにもこじ付けにしか聞こえない話だ。確かに一か月で一家三人が全滅するというのは呪いじみている。だが、どうにも遠藤は簡単に呪いという結論に持っていこうとしているように感じる。

 写真に目を落とす。じっと見つめる。そこに写っているもの。そこに写っていないはずのもの。写っていなければならないもの。改めて神経を集中させて写真の中の真実を掬っていく。


 ――やはり、そうだ。


「遠藤さん」


 私はどかっと乱暴に背中をソファに預け、わざとらしいほどに大袈裟に足を目の前で組んで見せた。


「やめだ」

「……は?」


 急激な私の態度の変化に、遠藤は訝し気な表情を見せた。


「何? どゆ事?」

「あんたを客として扱うのはもうやめたって事」

「なんだそれ。客商売だろ? 俺は客としてこの写真の鑑定をあんたに――」

「だからてめえは客じゃねえって今言ってんだろ脳みそねえのか」


 男の眉間にぴくっと血管が浮き上がった。


「今この瞬間からお前は客でも何でもない。この事務所にたまたま上がり込んだ不審者って設定でいいかな?」

「んだその勝手な設定。てめぇ、何様だ」

「お前こそ何様だっつう話だ。客じゃないならとっとと帰れ」

「殴られてえのか?」

「殴って大丈夫なのか? いろいろと」


 威勢の良かった遠藤の姿勢がそこで一瞬、少しだけ怯んだ。


「なめるなよ」


 ここからは商売じゃない。喧嘩だ。

 この男の行動は、私の全てを愚弄しているも同然のものだ。

 売られた喧嘩は買ってやる。


「今すぐお引き取り願いたいところだが、付き合ってやるよ」


 ――お前の悪趣味な遊びにな。


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