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駅に着くと、友人らがすでに集まっていた。
「あ、薫〜おはよー」
「おっはー、今朝も冷えるね〜」
適当に返答しておく。
友人の一人、マドカは明るい笑顔がチャームポイント。
「ねぇねぇ、今日の体育外かなぁ?昼から雨降るよね?」
マドカが問いかける。
「だろうねー、また体育館で20分間走するんじゃない?」
問いに返したのは、ナツミ。
「あ〜、あたしも中だと思いまちこ」
薫は、爪をいしりながらつぶやいた。
瞬時、沈黙が支配。
「………お、およ?あたしなんか変なこと言った?」
異常な空気に気づき、薫はおどおどと二人を見る。
ナツミがけげんそうな顔をして、
「言った言った。…思いまちこって」
「………ぶっ!!!?ま、まじ!?あたしそれ言っちゃってた!?」
「ど、どうしたの?薫ちゃん。なんかあったの?」
マドカは、心配そうに薫を見つめる。
「な、なんかあったって………。あ、」
薫は、ぴ、と視線をあげた。
なんだなんだ?と、二人は薫の話の続きを待つ。
「あたしのとこにさぁ、死神が来て〜。あたしにとり憑くって言うんだ。まあ死ぬわけじゃないんだけど…。それでその死神の口調がおかしくて」
とか、言うわけ無かった。
薫は適当に促した。
「あ、これ知らねえ?あるお笑い芸人のネタ〜」
「…ふ〜ん。知らない」
冷たく、ナツミは吐いた。
――――――そうだ。
死神さんの存在ッて…
ありえない!!!!!!!!!!
な、なのにあたしは…
あたしは…
おもっくそ信じている。
死神さんの存在を―。
薫、16歳の冬。
死神と過ごす羽目になった…クリスマスやらお正月。
「あたし…死んじゃうのかなぁ」
誰にともなく、薫はつぶやいた。
黒い瞳が涙で潤む。
しかし、悲しみに暮れて流す涙など
彼女にはもう無かった。
「………いや、死んでたまるもんですか!つい最近そう決めたのよ。でもあたしには死神…死がせまってる…。一体どうしたら………」
そのようなことを考えて、1日の授業を過ごした。
「や…正直まじやばいよな。そら死神さんは‘まだ寿命は来てません’言ってるけど、死神は死神だしなぁ〜、嘘ついてるかもしれないしなぁ〜」
「追い払った方がいいのかな?…でもどうやって?…陰陽師、は違うか。神父?エクソシスト?つかそういうたぐいの人たちを呼ぶ金がないな…」
「なんか手っ取り早く効くものとか…………呪文?的な?」
「あ!!!!そうだッ!!!!図書館行こう!!!!」
薫が意気込むと、
「今日も元気ね〜春日さん」
購買のおばちゃんが笑っていた。
薫は、急いで図書館へ向かった。
次の電車が来るまでに、なにか情報を集めなければ―。