バッと通ったトラックが俺を引き摺らない
「いや誰得さそれ」
俺の口から自然に零れたのは少しも自然とは言い難い台詞。
いやだって、死に戻りって。ゼロから異世界生活始める系の小説で散々掘り尽くされたネタじゃねえか。今更なんだそれ。ほんとリゼロ面白いよね。なんであのタイミングで記憶消えたのか全くわからん。続きを早く投稿してほしいところだが長月達平先生を過労死させては元も子もないので気長に待つというのが作者の方針だ。知らねえよ。
さておき、仮にその死に戻り的なアレに巻き込まれたとして、友人が話していたのは3日間死ねなくなるという内容だった筈だ。
正直聞きながら「死ねなくなるとかどんなチートwwwww無敵やんw怪談じゃないってそれw快談に迫るお得な話だってブッフォwwwwww」とか考えてなかったと言えば嘘になる。しかし死ねなくなるのではなく死んでもそれがなかったことになるとはこれ如何に。
まあいいとして。
その話の出処である友人に、学校にて話を聞くのが妥当だろう。
…はい。
お察しの通り戻っていますとも。
まさかの3回…死に戻りのきっかけになった最初のを含めると4回?連続で死亡って。救われねえ。
しかし俺は見た。(ででででっ、ででででっ、でーでーっ!!)飛び散る血液の、その先の赤く輝く信号機をっ!!
…とまぁ要するに信号無視して跳ねられて死んでました。すいません。
救いようが無いどころの話ではない。今時小学一年生でも信号くらい守る。小学一年生のが小学六年生より信号を守る気がしたのはきっと俺の心が汚れているからだろう。どこで間違えた…。
いや、そんなものは分かりきっている。どこで間違えたか?信号だ。
ドヤァ…とエコーまでかかりそうなテンションで言ってはみるが、一人きりの静かな家に響く残響(ECHO)は予想外に虚しく、うっかり泣きそうになる。あのうるさい妹がどれだけありがたい存在だったか察した。
しかし信号無視してたってことに気づければもう車に撥ねられたりとかいう失敗は犯さずに済むかもしれない。犯してた時点でおかしいんだけど。
ジリリリリリリリリリリリリリリ、と。
聞き慣れた音が耳元、正確には斜め前くらいから聞こえる。
うるせえ。
いつものように、それを止めた。
…。
笑うなら笑え。
いやだって、死因わかってる癖に3連死亡とか…。
逝キスギィ!とか言われても文句言えねえ…。
いやだってどうしようもないんだって。
なんか信号が青になった二秒後くらいに予備動作無しで赤色に変わってんだよ。
というか自転車渡ってんのに容赦なく突っ込んでくるトラックもトラックだろ…。
次は信号のない道を通ろう…
ジリリリリリリリリリリリリリリ、と。
聞き慣れた音が耳元、正(以下略
「」
学校行くのやめようかな…
よし、決めた。俺今日もう学校行かねえ。
と二度寝と洒落込んだ。
カチャッ、と、ある程度聞き慣れたような解錠音が耳に届く。
「んー…?」
妹が帰ってきたのだろうか…って待ってなんであいつ学校行ってないの?俺もなんだけどさ。
まぁいいか。
「鈴音、おか…」
言葉は、俺に馬乗りになった黒ずくめの男に遮られた。
ジリリリリリリリリリリリリリリ、と。
聞き慣れた音が耳元、正確には斜め前くらいから聞こえる。
うるせえ。
いつものように、それを止めた。
いやもう飽きたわ。