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第1章 朝起きたら日常系ライトノベル主人公だった

読書狂は図書館ウサギを夢見る――あるいは図書館ウサギのお仕事日記



***


 ここは夢の中だ。それは知ってる。


 だって超チートだもんおれ。何か化け物みたいなのポンポン倒しまくってる。うごうご動いてて超気持ち悪い。轟鬱滅魔羅獣戦…みたいな。漢字のフォントがくっついて塊になったり触手のように伸びたりして攻撃してくる。ヤバイ、漢字多すぎてゲシュタルト崩壊起きそう。

 おれは漢字の化け物を相手に、右へ左へ逃げ回る。


「センパイ!右です!」


 おれの耳に飛び込んできたのは、女の子の声。

 いつの間にかおれの横を走っていたその子は、頭にうさ耳を装着していた。ヘッドホンのように装着しているので何かの機械っぽいのだが、真っ白く滑らかなフォルムのせいでうさ耳カチューシャにしか見えない。いやいやいくらおれが、ケモ耳の中でもうさ耳が最強だと思ってるからといってもこれは露骨すぎる。しかも女の子が銀髪たれ目系ロリ巨乳って。


「わたしが『囁く者(ウィスプ)』を引きつけますから、センパイは『引用(quotation)』準備お願いします!」

 そういうと彼女は、高層ビルくらいの高さを跳ねて、化け物に向かっていった。ウサギなんて目じゃないものすごい脚力。そして何故か拳一つで黒い化け物とやりあっている。可愛い見た目に反して武闘派だった。やばいギャップ萌え。

 おれは彼女の指示に従って、何か難しい呪文を詠唱する。大魔法には発動に時間がかかる的なやつだな。お約束だ。

「誘導します!三つ数えて発射ですよ!三、二、一!」

 彼女が目の前で大きくジャンプすると同時に、化け物の顎が彼女の幻影を掠める。そのせいで巨体がぐらついてわずかに隙を見せる。

『Ἀπολογία Σωκράτους……!!!』

 おれは何語かわからない言語を叫びながら、化け物に向かって大魔法を放った。化け物はおれの放った光に包まれるとバタバタもがくが、やがて抵抗もむなしく、光の中に吸い込まれ、小さい光の粒になる。そして一冊の本が現れて、すとんとおれの手の中に落ちた。

「センパイ、今日もカッコよかったです。お疲れ様でした!」

 銀髪ロリ巨乳がおれの元に駆け寄る。その愛らしい笑顔は――彼女は――


「あれ?黎美(りみ)?」

 どう見ても我が愛しい妹、天音黎美だった。妹と同じ顔の彼女は、一瞬ぽかんとした顔をして、その後ぽかぽかとおれを殴って抗議する。

「何言ってるんです? わたし、あなたの妹になった覚えないですよう! それに妹だったら、あ、あんなことやそんなこととかゴニョゴニョなこともできないじゃないですかあ!」

 でもそのぷーと膨れる顔は間違いなくおれの妹。ああそうだった。ここは夢の中なんだった。夢だから辻褄が合わなくてもオッケー。おれの思う通りの世界。つまり。

「あはは。おかしいのはお前の方だぞ黎美。語尾にぴょんとか付けてみろよ」

「?!何言ってるんですかぴょん!ってきゃー!!!何か語尾変わってるぴょん!」

 よし、とおれは夢の中でガッツポーズする。しかし面白い夢だな。

 夢も楽しいが、そろそろ現実で本物の黎美が起こしてくれることだろう。声が聞こえてくる。

(お兄ちゃん……お兄ちゃん……)

「なっ、捕獲したはずの『囁く者』が固有結界?! ってセンパイどうして?! ちょっと、センパイ! センパ」

 さらば銀髪ロリ巨乳系後輩。おれの妄想。

 なかなかドキドキでワクワクで楽しい夢だったぞ。


***


「ちょっと!!!お兄ちゃん起きて!!!もう起きないと遅刻だよ!!!」

 むくりと起き上がると、夢に見たとおりの銀髪ロリ巨乳がフライパンを持って仁王立ちしていた。というか妹だった。

 おはよう、我が妹。おはよう、いつもの日常。

「……お前、センパイ呼びとか、語尾にぴょんとかつける気ない?」

「殴るよ?」

 フライパンを振りかぶるのはやめておくれよ妹。

 おれは天音栞示(かんじ)

 ちょっと厨二な夢を見る、ラノベ書き志望の普通の学生だ。


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