デジャヴ
誰もが経験する様なデジャヴ、そんなデジャヴがこのあと3人の影響を与えていくとこを、今の時点ではまだ知る由もない。
翔の家でカレーを食べたあと、降り続く雨の中3人は車で流星を観測する予定であった小高い丘の上にある生川緑地公園へと向かった。運転する大地の横で翔はスマホの雨雲情報を眺めながら言った。
『なんかこの先雨がしばらくつづきそうだなぁ。所々で雨が弱まるポイントはありそうだけど、星が見えるかはちょっと微妙だなぁ』そんな翔をみて後部座席の翔子は
『良く車の中でスマホ見てて酔わないよねぇ。はぁ、なんか見ているこっちが気持ち悪くなりそうだからやめてよ。』
『えぇっ?これぐらい全然平気だよ。翔子って乗り物酔いとかって弱かったっけ?』
『うん、助手席で真っ直ぐ前みてるだけだったら全然大丈夫なんだけどね。あと電車とかも。でも、大型バスで後ろの方とかで前が見えないところに座ると駄目なんだよね。』と後ろの席の真ん中に座り、運転席と助手席の間から覗き込む様に前を見ている翔子に大地が。
『あっ、だから真ん中に座ってるのか?そこに座ってると急ブレーキの時に前に飛び出してくるから気をつけてね。』
と言いつつ大地がちょっと強くブレーキを踏むと翔子は前座席に間から前に飛び出そうになる。
『ちょっと、大地やめてよもう、私後部座席でシートベルトすると酔いやすからこうしてるの。だから安全運転でおねがいね。』とちょっとムッとした口調で翔子が言ったかと思うと。
『あっ。この道前に来たことあったっけ?この先に道路の右側に赤い尖がった屋根の家があるよね。』と翔子が脈絡もなく続ける。
『えぇ?多分翔子とここに来るの初めてじゃないかなぁ、、、?あれ、でも本当に赤い屋根の家があるぞ。』と翔が言うと大地がルームミラーで翔子をチラッと見ながら言う
『今までは高尾の方だったらか、こっちは多分来たことないよなぁ。それって、もしかしてデジャヴ?』
『そうそう、私ね小学校1年の時に滑り台の上から落っこちて頭打ったことがあるの。その時、丸一日ぐらい昏睡状態でママとパパはすごく心配だったみたいなんだけね、、、。』
『その話とデジャヴって関係あるの?』と突然違うことを話し出した翔子に翔が少し冷たい感じで言うので翔子もすこしイラッとしながら続ける。
『ちょっと、まだ話し終わってないんだから最後まで聞いてよ。えっとなに話してたんだっけ?ほら忘れちゃったじゃん。』という翔子をフォローする様に大地が
『丸一日昏睡状態だったって話の後だよ。』と優しく言うと。
『そうそう、で、その昏睡状態の後に今みたいなデジャヴの様なことが良くあるの。多分この頭を打ったことが原因なんじゃなかなぁと勝手に思ってるんだけど。』
『ふ〜ん。あ、でも確かに頭を打ってから驚異の能力が身についたってこの前テレビでやっていたなぁ。それに近いのかなぁ?』と翔がムッとした翔子に少し気遣う様に話しかけた。
『それでね、多分1日昏睡状態の時に見たんだと思うんだけど、変な夢がいつまでも頭から離れないの。』と話し続ける翔子に翔が不思議そうな顔で後ろを振り返りながら。
『何、その不思議な夢って?』
『私は多分まだ赤ちゃんだと思うんだけど、しっかりと意識と記憶があって二人の男の人に抱っこされているのね。でその二人の男の人たちはなぜか二人とも黄色い帽子とサングラスの様なメガネをかけたの。それで、そのサングラスを外してものすごく号泣しているの、、、ね?なんか変でしょ?』
『確かに変だなぁ、それも何かのデジャヴなのかなぁ?今まで気づかなかっただけで同じ様な情景があったのかもね?』と大地が運転しながら言うと。
『うぅ〜ん、分かんない。てへぺろ』と翔子は少し戯けて最近流行りのタレントの口癖を少して真似て返した。
大地は、そんな翔子の仕草をミラー越しみて少しキュンとした表情をさせるとすかさず翔が
『大地、なにキュンとしてんだよ、あっ、お前もしかして翔子のこと好きなんじゃないの?』と言い終わる前に大地が
『そんなことないよ、、。』とちょっと照れながら否定する。
そんな話をしながら目的地の生川緑地公園に到着して大地は公園の有料駐車場に止めた。
奇跡的ながら、雨が止み雲の切れ間から少し星空を覗かせていた。
雨上がりの後もあって少し湿度が高いものの昼間の暑さとは打って変わって少し涼しげな心地よい風が通り過ぎて行った。
3人のこれからの展開、翔子の見た不思議な夢がこの後どの様に関わってくるのか?翔子の見るデジャヴの真相に翔と大地はどの様に関わっているのか、、、、。