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ほのかな想い

付き合い始めて半年になる翔と翔子、そんな二人を温かく見守る大地であるが言うに言えないモヤモヤした気持ちが心の中に渦巻き始める。このまま変わらずに楽しく過ごせる3人の時間を誰もが望むが果たして、、、。

4限の授業が終わってい大地(だいち)(かける)は食事を取るべく学食へ向けて話をしながらキャンパス内を歩いている。5月もゴールデンウィークが終わり、初夏を思わせる様な日差しがすっかり葉桜となった枝葉の隙間から木漏れ日を落とす。日差しは強いもののすり抜けていく風はまだ少しひんやりと心地よい。

『か〜ける!』二人の背後から突然大きな声がした。翔の彼女の翔子(しょうこ)だった。

『これからご飯食べるの?私も一緒に食べてもいい?』翔子は同じ理工学部でも建築学科の学生で同じ2年生の天文学部、この同じ様な名前繋がりでお互いを意識する様になり付き合い始めて半年になる。

『おお、俺は全然構わないけど、大地は大丈夫か?』

『あ、あぁ、俺ちょっと銀行で金おろさないといけないから後で合流するよ、いつもの席あたりだろ?』

『わかった、じゃぁ先行っている。』大地は二人に気を利かせたのか、小走りで走りながら振り返りせずに軽く右手をふって去っていた。

『今日の夜、みずがめ座流星群の観測行くでしょ?夜って多分寒いよね何着て行こうかな?』

『夜の天気ってどうなんだけ?雨ではなさそうだけど、、、』と言いながらスマホをとりだして今晩の天気を確認し始めた。

『くもり時々晴れ、最低気温14℃かぁ、ちょっと肌寒いかもね、ちょっと厚手の上着があった方がいいかも。それもそうだけど、くもりって言うのが気になるなぁ。星が見えればいいけど。』

『そっかぁ、でも私は翔が一緒だったら流れ星見れなくてもいいかなぁ。』と少し悪戯っぽい笑顔で翔を見つめて言うと、翔はまんざらでもない顔をして、『俺も』と答えると。

『あぁ、なんか鼻の下伸びてる。なんか変なこと考えているでしょ?』

『全然、一緒に流れ星が見られればいいなぁって事しか考えてないよ』とちょっと戯けて言った翔の背中を翔子は声を出して笑いながらながらバシバシと数回叩いた。

そんなたわい無い会話に幸せを感じた翔であった。

二人は学食でそれぞれの料理をとり席に着こうといつもよく座っている席へ行く。学食の奥の窓際4人席がいつも座る席なのだが、誰もが居心地がよく感じるのかそこだけがいつも使われていることが多く、今日も先客がすでに会話を弾ませていた。仕方なくそのテーブルから一つ空けて二つ目の窓際4人テープル席に座りお互いの料理をつつき合いながらいかにもカップルらしい仕草で言葉のない会話が始まる。そんなところに用事を済ませて合流しようと大地が入ってくるがそんな二人の様子が目に止まりしばらく遠目で二人の様子を窺っている。大地の前では見せたことのない翔子の笑顔が鳩尾(みぞおち)の辺りに締め付けられるような苦しさを感じさせていた。大地は大きくため息をつくと、少し沈んでいた表情を切り替え何事もなかった様に二人に合流する。

『お待たせ〜!あれ、翔は今日はカツカレーじゃないんだ。珍しいなぁ。お前あんまり珍しいことすると雨降るから気をつけろよ!』

『実は今夜は翔子が俺のアパートに来てカツカレー作ってくれるって言うからちょっと違うのにしてみた。』と翔はちょっと照れながら嬉しそうに話した。大地は再び鳩尾の辺りに痛みを感じた。

『珍しいことすると雨降るっていうのはちょっと違うだろ、例えば普段勉強しない人が勉強したり、料理とかしない人がしたりする時にいうことだろ、だからちょっと違うよ。』そんな言葉を聞いた翔子が『あっ』と急に声を上げた。

『わたし、今まで料理なんてほとんどしたことがないんだけど、、、、。今日はカレー作らない方がいいかなぁ』とちょっと嬉しそうに言うと慌てて翔が。

『いやっ、それはただの迷信だよ。大丈夫、大丈夫、天気予報は外れないから大丈夫。』どうやら翔が翔子に無理を言ってカツカレーを作ってもらう様にお願いしていたらしい。そこで大地は、

『じゃぁ、代わりに俺が作ってやろうか?カツカレーは俺の得意料理だぜ。俺だったら毎日料理しているから雨降る心配はないぞ』と悪戯ぽく言うと。

『えぇ〜、お前の料理はいつも食べてるからいいよ!翔子お願い作って。』

『う〜ん、どうしようかなぁ。』とちょっと考えてから何か思いついた様に翔子は大地を見つめて

『大地くんが手伝ってくれたらいいよ。』と突然言われた大地は少し顔を赤らめて

『あ、あぁ。もちろん。なんでも手伝っちゃうよ。』

『えぇ、そうなの?まぁ翔子が作ってくれるならいいかなぁ。』二人きりの時間を密かに期待していた翔は少し残念そうに答えるが、そのあとの流星観測のことを考えると効率がいいことに気づき、そのまま流星観測までの段取りを話し始めるが、楽しい時間は早く過ぎるもの、既に休み時間は残り少なくなり5限前の予鈴が鳴ろうとしていた。


誰もが経験したことのあるような3角関係、この後予想もしなかった出来事がこの関係に終止符を打つ。それをきっかけに『時間』に関わる謎を解き明かすきっかけを見つける。

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