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ネイビージャイアント  作者: 水里勝雪
25/71

第二十五話 ルビー色の石が瞬くとき

♪小さな生命いのちの声を聞く

 せまる不思議の黒い影

 涙の海が怒るとき

 枯れた大地が怒るとき

 終わる果てなき戦いに

 誰かの平和を守るため

 青い光を輝かせ 

 ネイビー、ネイビー、ネイビー

 戦えネイビージャイアント

「ビルマンデが消えた原因はまだわかっていません」

 蒼真は作戦室の大型モニタを指差した。そこには大きく羽を広げたビルマンデが映し出されている。モニタの前には吉野隊長、田所、そして三上の隊員たちがビルマンデを凝視していた。三上は訝しげに眉をひそめる。

「怪獣はどうしてここに飛来したんだ?」

「それは、おそらく彩さん」

「彩さん?」

 三上の眉がさらに中央に寄り、険しい表情を浮かべた。


「彩さんって、あのササキ製薬に務めていた鳥居彩のことか?」

「はい、そうです」

 蒼真ははっきりと答えた。

「なぜ彼女が狙われるんだ?」

「彼女が狙われている理由は分かりません、でも……」

 蒼真は手元のタブレットを操作し画面を切り替える。モニタにはどこかの地方の地図が大写しされた。


「これはビルマンデが降り立った場所の地図です。ちなみにこの赤い点がビルマンデ、そしてこの青い点が彩さんの避難経路です。赤い点は防衛隊のレーダーが捕えたビルマンデの位置、青い点は彩さんの携帯からの位置情報から特定しています。なのでかなり正確な位置を表しています」

 蒼真は再びタブレットを操作し始める。すると画面上の赤い点と青い点が動き出した。

「青い点は人家が集中した場所から田畑が広がる場所に移動しています。それを追うように赤い点が動いています」

「偶然じゃないのか?」

 三上が冷ややかな表情で画面を見ている。


「それがですね。もうちょっと話、進めますね」

 赤い点が青い点に追いつく。そのあと青い点が赤い点の近くまで進んだ。やがて青い点が元の方角とは逆方向に進むと、赤い点もその後を追うように動き出した。

「怪獣が彩さんを追っています」

「それは彩さんが怪獣の前まで出て、注意を引きつけたからでは?」

 どこまでも否定的な三上に対し、蒼真は最後の一押しを加えた。

「もう少し前、ビルマンテが地上に降りたところを見てみましょう。一緒にいた紗香さんと言う女性の話だと、紗香さんが足をくじいて、近くの民家の陰に隠れていたその近くにビルマンデが飛来したそうです。画面で言うとこのときです」

 モニタに映る赤い点と青い点が、さっき見た経過を逆回しで戻っていく。そして、ビルマンデが着地した時間まで遡っていった。


「ここに他の避難者の形態の位置情報をあてはめます」

 画面には黄色い複数の点が映し出される。その位置は赤い点からかなり離れていた。

「黄色い点が避難者の位置です。ほとんどの人は彩さんたちからかなり離れています。なのにビルマンデは彩さんたちが隠れている辺りに着地した」

「ふーん」

 三上は半ば納得できない表情を浮かべながら答えた。

「でも、ビルマンデはどうやって彩さんのいる位置を正確に知りえたんだ?」

「そこまでは……」

 さすがの蒼真も言葉に詰まった。


「まぁ、とにかく彩さんが狙われていることは間違いなさそうだ」

 吉野隊長が話に割って入った。

「で、そうだとして彩さんの護衛はどうなってるんだ?」

「彩さんには芦名さんが付き添っています。まだ彼女は気を失って意識を取り戻していないとのことで、病院に詰めています」

「適任ってやつだな」

 三上が含み笑いを浮かべる。

「とにかく、MECとしては全力で鳥居彩さんの保護を優先する。田所、三上はスカイタイガーで上空からビルマンデを捜索。蒼真君は高知に行って現場からビルマンデについて何か分からないか調査を進めてくれ」


「了解!」

 田所と三上はヘルメットを取り急いで作戦室を後にした。その後を追おうとした蒼真に吉野隊長が声をかけた。

「蒼真君、ちょっといいかな」

「はい」

 蒼真が怪訝な表情で吉野隊長を見返した。

「なんでしょう、隊長」

 吉野隊長の口がへの字に歪んでいる。

「現場に行ったら、真っ先に芦名と彩さんの様子を見て来てくれないか」

「え、なんか、お邪魔な気がしますが」

 蒼真の困惑に吉野隊長の口がさらにへの字に歪む。


「いや、あの二人、なんとなく危なっかしい気がして仕方がないんだ」

 吉野隊長の口がへの字に歪む理由が蒼真にもなんとなく納得がいく。

「それに、彩さんが何故怪獣や宇宙人に狙われているか、理由が知りたい」

「確かにそうですが……」

 蒼真は困惑の表情を浮かべた。彼にはなんとなく理由が分かっていたが、それを吉野隊長に告げることはできない。


「宇宙人の狙いが分かれば、我々の防衛体制も見直しが必要となるかもしれない」

 吉野隊長の真剣な表情に、

「分かりました。できるだけやってみます」

 そう言うと蒼真は自らのヘルメットを手に取り、作戦室を出ようとした。しかしふと足を止め、吉野隊長の方に振り返った。

「できるだけ、ふたりを邪魔しないよう、探ってきます」

 そう言って蒼真は作戦室から出て行った。


 ×   ×   × 


「過労ですって。しばらく眠れば元に戻るだろうって、お医者さんが言ってました」

 病室は思っていたよりも広く、窓からは秋にしては強い日差しが降り注いでいた。部屋の隅にある小さな机の上には手鏡とルビー色の石が置かれており、その石は日の光を浴びてキラキラと輝いている。

 その机を背にして芦名と紗香がベッドで滾々と眠る彩を見守っていた。

「ここ最近寝不足だと言ってたので、それが原因かなって思ってます」

 紗香が眉をひそめた。

「何かあったんですか?」

 彩の寝顔を見ながら芦名が問う。


「なんでも悪い夢を見るみたいでよく眠れないって言ってました」

「どんな夢か聞いていますか?」

「なんか、昔の会社の人が出てきたり、会ったことのないフラワーアレンジメントの先生だったりこの前亡くなったこの病院の院長も出てきたり、、確か、猫とか、森の動物たちも出てきて、みんながみんな苦しそうなんですって」

 昔の会社の人とは、もしや片岡孝之のことだろうか? そしてフラワーアレンジメントの先生は井上綾乃? 猫や森の動物たちも含め、みんな怪獣になった人たちだ。


「それで全員ががなにか言いたそうで、でも何も言ってくれない、って」

 井上綾乃が怪獣になったことはMECの機密事項である。妙な誹謗中傷を避けるための配慮だが、彩がどうしてそのことを知っているのだろう? 蒼真が話したのか? いや、いくら彼が民間人とはいえ、MEC科学班の隊員である以上、話すはずがない。では、なぜ彩は怪獣になった者たちのことを知っているのか?

「それ以外なにか言ってましたか?」

「いえ、特には」

 紗香が軽く首を振った。


「そうですか……」

 芦名の表情が曇る。彼の心に懸念が残された。

「でも、彩にMECの知り合いがいるなんて全然知りませんでした。彼女、東京の話あまりしてくれなくって」

「そうなんですね」

 彼女にとっては怪獣のことも、自分のことも、消したい記憶なのかもしれない。

「彩、弟さんを亡くしたから仕方ないのかなと思いましたけど。大事な家族を失ったことを忘れたいのかなぁって思ってました」


「そうですね」

 彼は彩の寝顔を覗き込んだ。今は安らかに眠っているようで悪夢を見ている様子はない。ただ彼女に心労をかけたのは間違いない。それに引き込んだのはMECだ。彩には申し訳ないことをした。いや、何か違う。そんな他人事ではない。自分は今、彼女を心の底から心配している。だから心が張り裂けそうに痛い。

 芦名はビルマンデに襲われる彩に思わず叫んだ言葉を思い出した。


「自分の大切な人をこれ以上失いたくない」

 あの言葉を聞いて彩はどう思ったのだろう。怪獣に襲われ、思い出したくない男が現れた。彼女の衝撃はいかばかりのものだったのだろう。芦名の胸がさらに苦しくなる。

「私は店があるのでいったん帰ります」

 紗香が手元の鞄を手に取った。

「ごめんなさい、一点確認させていただいてもいいですか?」

「はぁ」

 紗香が持ちかけた鞄を降ろした。


「ここ最近、彩さんの身辺で変わったことありましたか?」

「そうですね」

 紗香が小首を傾げながら、

「そう言えば、変な青年が来て黒い服を着た中年の男があなたを探している、みたいなことを言ってたと聞いたことがあります」

「変な青年? 黒衣の男?」

 芦名の眉間にはさらに深いしわが刻まれた。

「どんな青年でした?」

「さぁ、直接会ってないんで分からないんですが、聞いている限り、二十歳そこそこかなぁ、って感じでした」

 芦名が思い当たる男、それは立花健太だった。健太が彩の前に現れ、黒衣の男、つまり宇宙人のことを知らせた。それは一体何を意味しているのだろうか。


「他は?」

「特にないですね」

「そうですか」

 芦名が頷いた。

「ではこれで、芦名さんは彩のそばについてあげてください」

 そう言うと、紗香は再び鞄を手に取り、

「では」

 と一言、頭を下げて病室を出て行った。

 それを見送った芦名は、再び彩の顔を覗き込む。彼女は変わらず安らかな表情を浮かべていた。。


「彩さん、心細かったよね」

 宇宙人は彩の居場所を突き止めていた。だからこそここまで来たのだ。しかし健太がそれを彩に告げた理由は何だったのか。彼らは一体何を企んでいるのか。

 彩の表情は変わらず穏やかだった。だが芦名は彼女の不安や恐怖を思うと、黒衣の男への怒りがふつふつと湧き上がってくるのだった。


 ×   ×   × 


「本当に、正直になればいいのに」

 病院の横にある公園からは病室の窓が見える。秋にもかかわらず強い太陽の日差しが窓に反射してキラキラと輝いている。蒼真はベンチに座り五階の右端にある彩の病室の窓をじっと見つめていた。

「いろいろあるのよ」

 蒼真の隣に座る美波も、同じように五階の病室を見つめながら答えた。

「めんどくさいな」

 蒼真のため息に、

「そう? あなたの方がよっぽどめんどくさいけど」

「?」

 蒼真は首を傾げ美波の方へ顔を向けた。彼女は変わらず上を向いて病室を見つめていた。気のせいか、少し怒っているようにも見える。


「それはそうと、消えた怪獣は見つかったの?」

 蒼真は再び病室の窓に視線を戻した。

「いや、空はもとより、大気圏外も探しているんだけど全然見つからないんだ」

「そうなの」

「ただ、怪獣が消えたときの画像を分析すると、光が曲がって見えるんだ」

「? どういうこと?」

 蒼真が鼻の頭を指で掻きながら


「専門外なんでよく分からないんだけど、どうも空間に歪みができたらしいんだ」

「歪み?」

 美波が小首を傾げる。

「空間が歪んだんで光が曲がったように見えたんだ」

「あゝ、アインシュタインの特殊相対性理論でそんなこと授業で聞いた気がする」

「そうそう、それ」

 蒼真が二度頷く。

「で、その空間の歪みに怪獣が逃げ込んだとでも」

「多分」

「多分って」

 美波が蒼真の方を向く。蒼真は一瞬たじろいだ。


「もしそうなら、いきなりその空間から現れたり消えたりするってこと?」

「まぁ、そう言うことかもしれないね」

「もう、それって結構ヤバくない?」

「うん、そうね」

 美波の顔には先ほどよりも明確に怒りが浮かんでいる。蒼真は戸惑いを隠せないでいた。

「何とかならないの!」

「そんなこと言われても、専門外だし……」

「もう、MEC科学班の責任者なんでしょ。しっかりしてよ」

「はぁ」

 蒼真が申し訳なさそうに頭を掻く。


「勉強しなさい。専門外でも!」

 美波がいきなり立ち上がった。そして蒼真に背を向ける。

「物理以外でも、例えば心理学とか」

「?」

 蒼真が言葉に詰まった。美波は何を言いたいんだろう。

「特に女性心理……」

 美波が蒼真に背を向けたまま小声で話す。だが彼女の言葉は蒼真の耳には届かなかった。


 ×   ×   × 


 夜が明けた。病室の窓から淡い光が差し込み、暗闇に包まれていた部屋が少しずつ光を取り戻していく。芦名は白いベッドで眠る彩が朝日の光に包まれる様子を神々しく見つめていた。

 彩はまだ目覚めていない。その横には一睡もせず彩を見守っていた芦名がいる。芦名はその寝顔を見ながら彩とのこれまでのことを思い返していた。

 初めて会ったのは神山研究所、確か怪獣の皮膚の分析結果を聞きに行ったときだった。扉の向こうに立っていた女性はあまりにも小夜に似ていて、幽霊かと思って背中に冷たいものが走ったことをはっきり覚えている。


 その後、彼女が鳥居のお姉さんだと知って本当に驚いた。そして彼女が自分を恨んでいることを知ったとき、これも何かの因縁だと心に刻んだ気がする。

 芦名はポケットに手を入れる。そこには以前彩に手渡したペンダントがある。このペンダントを渡したとき、黒衣の男が現れた。彼女は狙われていたのだ。しかし自分は彩に近づいてはいけない、そう思い続けていた。

 彼女が片岡孝之に囚われ、それを救い出したとき、初めて彼女を抱きしめた。彼女はよほど怖かったのだろう、自分にしっかりしがみついていた。そのときのぬくもりは今でも忘れられない。そういえば、彼女の笑顔を初めて見たのは、蒼真と美波とを交えた遊園地、そのとき何か心がホッとしたような気がした。


 そういえば、いつからだろう。彼女を好きになったのは。思い返してもピンとくるものがない。もしかしたら初めて会ったときからかもしれない。しかし、それは許されないと思っていた。許されない? なぜ?

 それは彩が自分を恨んで拒否していたからか? それとも小夜を死に追いやった自分が、誰かと幸せになるなどあり得ないと思っていたからか? ただ、どちらにせよ彼女と結ばれることがないと思えば思うほど、彩への気持ちは大きくなっていったような気がする。だから彼女が自分の前からいなくなったとき、どこかホッとした気分になった。しかしそれでも彼女に会いたい気持ちは心の片隅で住み続けていた。それが今回実現したのである。嬉しいような、そうでないような複雑な感情。


 なぜ嬉しくないと思うのか。それは彩が自分を拒絶し続けているから。彼女はどう思っているのだろう。弟を死に至らしめた男、まだ恨んでいるのだろうか。

「彩さんはこれから先も、ずっと、自分のことを許してくれないんだろうか……」

 芦名がぽつりと呟いた瞬間、彩の瞼が微かに動いた。

「彩さん」

 芦名が優しく声をかけると、彩の瞼がゆっくりと開き始めた。

「彩さん、気が付いた?」

「ここは……」

 彩の目はまだおぼろげで宙を見つめている。


「病院ですよ。怪獣に襲われたあと、気絶したあなたを運び込んだんです」

 芦名の声に反応して、彩がハッと目を覚まし、そばにいた芦名を見つめた。

「芦名さん、ずっとそばで見守ってくれていたの?」

「えゝ」

 芦名は下を向き、小声で答えた。

「ごめんなさい。ご迷惑かもしれなかったですけど、やっぱり彩さんのことが心配で、ずっとここにいました」

 その言葉を聞いた彩が、驚いたように目を丸くする。そしてゆっくりその目が垂れ下がり眉がハの字になっていく。


「芦名さん…… 私、私、怖くって、とても怖くって」

 彩の目から一滴の涙が静かにこぼれ落ちた。

「芦名さんに助けて、そう願ったらあなたが来てくれた」

 芦名が彩の手を取った。

「大丈夫、自分がついているから」

「芦名さん」

 彩は芦名にしがみつき、彼の腕の中で泣きじゃくっていた。

「ごめんなさい、芦名さん、ごめんなさい」

「どうして謝るの?」

 芦名は戸惑った。謝るべきは自分なのに。


「私、うそついてたの。本当はあなたのこと大好きなのに、本当に愛しているのに、強がって、あなたから距離をおいた。本当は、本当はずっとそばにいて欲しかったのに。一緒にいたかったのに」

「えっ」

 芦名は彼女の言葉に動揺を隠せなかった。彩が自分を好きだと言う、思いもよらない告白。彼女はもう自分を恨んではいない。それならば……

「ごめん、謝るのは自分も同じだ。本当は、本当は君のことが好きなんだ。でも心に蓋をし続けてきた。もっと、もっと君のそばにいることが出来たら、こんな危ない目に合わなくてもよかったのに」

 彩が顔を上げる。


「もう、離さないで。ずっとそばにいて」

「もちろん、もう離さない」

 彩が目を閉じると芦名はそっと自分の唇を彼女の唇に重ねた。しばらくの間、二人はそのまま動かずにいた。彩の目からは、変わらず涙が溢れ続けていた。

「守る、もう、大事な人を失いたくない。彩は、彩は自分が守る」

 芦名は心でそう誓った。


 ×   ×   × 


「彩さんになにをしようとしてるんだ?」

 病室が見える公園に朝日を背に受けた健太が立っていた。その隣には朝日を浴びても漆黒の闇のような黒衣の男が健太と同じく病室を見上げていた。

「彼女には大きな役割がある」

「役割?」

 健太が笑った。

「なにそれ?」

 黒衣の男は無表情のまま、


「人類駆逐計画を加速するための大きな役割だよ」

 そう言うと、黒衣の男は不気味な笑みを浮かべた。

「へぇー。なにが始まるのかね」

 健太はおどけて見せたが黒衣の男は変わらない笑みを浮かべている。

「あのルビー色の石が関係するのか?」

「それは想像にお任せする。ただ今までとは違うものを我々は手にするのだ」

「今までにないもの?」

 健太が首を傾げる。


「そうだ。フレロビウムを越える強大な力が手に入る」

 健太が頭を掻くむしる。

「俺、頭悪いから何言ってんのか分からないけど、その力とやらが手に入るとどうなるんだ?」

「ネイビージャイアントがどれだけ攻撃しようともビクともしない怪獣が誕生するのだ。そのためには……」

「そのためには?」

「鳥居彩、彼女の存在が欠かせないのだ」

 男は笑みを消し、冷酷な表情で健太を見つめ返した。健太は背中に冷たいものが走る感覚を覚えた。

「まぁ、人類なんて滅ぼうと全滅しようと俺には関係ないけど、ちょっと彩さんは残したいよなぁ」

 再び健太が頭を掻く。

「だって彩さん、きれいだし。もったいないよ」


 ×   ×   × 


「ちょっと気になることがあってきたんですけど」

 開店前の花屋。まだ店先には一輪の花も飾られていない。静寂の中、店の奥から紗香が大きな鉢を抱えて現れた。ちょうどそのとき蒼真が彼女に声をかけたのであった。

「ごめんね、彩がいないんで人手が足りないのよ。奥にある植木鉢みんなここに持ってきてくれる? だったら話、聞いてあげる」

「はぁ」

 蒼真は静かに店の奥へと進む。その目に映るのは見事な蘭の花が咲き誇る三つの大きな植木鉢。とりあえず一戸持ち上げてみる。


「重い……」

 蒼真は大きな植木鉢を静かに抱え店先へと運び出す。その間、紗香は店内の花々を一つ一つ丹念にチェックしている。

「で、気になることってなに?」

 蒼真が一つ目の植木鉢を静かに店先に置いた瞬間、背後から紗香の声が響いた。

「芦名さんから聞いたんですけど」

 蒼真はもう一つの植木鉢を取りに再び店の奥深くへと歩みを進めた。


「芦名さんって、あのかっこいいMECの隊員さん?」

「そうです。ちなみに僕もMECの隊員ですけど」

「へぇ」

 紗香のそっけない返事に蒼真の心がモヤモヤした。そのままの気持ちで彼は重い植木鉢をもう一つ抱え上げた。

「うっ、重い。さっきのより重い……」

「なによ、そんな植木鉢ぐらい軽々と持ち上げなさいよ。男でしょ」

「す、すみません」

 蒼真は顔をしかめたまま大きな植木鉢を店先へと運び出した。


「本当にあなた、MECの隊員?」

「はい、まぁ、科学班ですけど」

 紗香があきれ顔で、

「そうね。確かに科学班って感じだわ」

 蒼真の眉間に皴が寄る。

「で、芦名さんの話だと、彩さんのところに怪しい青年が訪ねて来たとか」

 紗香が腕を組み小首を傾げる。


「訪ねて来たっていうか、お客さんよね」

「はぁ、まあそれはいいとして、どんな青年でした?」

 紗香は右手を顎の下にそっと添え、その視線を遠くへと向けた。

「彩からは詳しくは聞いてないわ」

「こんな青年では?」

 蒼真がポケットから立花健太の写真を取り出す。

「さぁ、私は直接会っていないから、分からないわ」

 蒼真は肩を落とし写真をポケットにしまう。


「その青年と彩さんが何を話したかって聞いてます」

「うーん」

 紗香が首を傾げながら、

「黒衣の男が彩のこと探してるって」

「黒衣の男……」

「彩ったら冗談で、その黒衣の男って宇宙人なのよって笑って言ってたわ」

 紗香が笑いながら答えるその様子を見つめ、蒼真は真剣な表情で、

「それ本当です。黒衣の男は宇宙人なんです」


「えっ」

 驚く紗香に

「で、他には何か言ってませんでしたか?」

「うーん、確かね、黒衣の男が、以前に彩に渡した赤い石をまだ持っているか? みたいなことを聞かれたって」

「赤い石?」

 蒼真は彩が大切そうに持っていたルビー色の赤い石を思い出した。確か宇宙人の話をしているときだったと記憶している。彼女はお守りだと言っていた記憶もある。そうか、あの石は宇宙人から贈られたものだったのか。何故、そのことを自分や芦名には話してくれなかったのだろうか。

「彩さんはその赤い石、今も持ってるんですか?」


「えゝ、いつもぼーっとその石見つめているときがあるんで」

「その石、どこにあります?」

「彩の部屋にあると思うんだけど……」

 蒼真が慌て最後の植木鉢を店先に出した。

「探させてください。その石」

「え、でも、見知らぬ男性に女性の部屋を探索させるのは、ちょっと気が引けます」


「緊急事態です。お願いします」

 蒼真は深く頭を垂れ、その角度は九十度を超えていた。彼の姿勢には、心からの謝意が込められていた。

「そうなんですか。しょうがないですね」

 そう言うと、紗香は蒼真を店の奥にある住居スペースへと案内した。後に続く蒼真の胸には予感があった。あの石が彩が狙われている理由の一つであることを。そしてそれを調べれば何かが明らかになると。蒼真は躊躇する紗香を追い、彩の部屋に足を踏み入れた。


 ×   ×   × 


「とにかく元気になってよかった」

 病院横の公園のベンチに彩と芦名が肩を並べて座っていた。

 最近、日が暮れるのが早くなり涼やかな秋風が公園を包み込む。二人の間に流れる風が彼らの距離をさらに近づけるように見えた。

「ありがとう、元気になったのは芦名さんのおかげ」

「いや、自分は何も……」

 芦名がやや照れくさそうに下を向いた。


「だって、芦名さん、私のこと大事な人って言ってくれたじゃないですか」

「えっ」

 芦名は彩の方へ向き直る。彩は微笑みを浮かべ優しい笑顔を芦名に向けた。

「私を助けてくれたとき、叫んでくれていましたよね。もう大事な人を失いたくないって」

「えゝ、そうです」

「私そのとき思ったんです。自分に嘘をつくのをやめようって。芦名さんには本当の気持ちを伝えようって」

「本当の気持ち?」

 芦名の目が驚きに大きく見開かれた。


「私、芦名さんのことが好きです。今まで嘘ついていました。ごめんなさい」

 芦名は静かに彩の目を見つめ、その視線は揺るがなかった。彩もまた芦名の眼差しに応え、しっかりと彼の目を見つめ返した。

「弟を失って悲しくてどうしようもなかったのは事実。だから防衛隊を憎んだことも事実。だから最初はあなたに恨みを持ったことも事実。でも、なぜ友也があなたを尊敬していたか分かるようになったんです。あなたは強いけど優しい。あなたを憎めば憎むほど私はあなたに惹かれて行ったんです。でも、それを私自身が拒んだ。それはきっとあなたに受け入れてもらえる自信がなかったから」

「自身?」

 芦名が首を傾げた。


「あなたは今でも小夜さんを愛している。私はただ小夜さんに瓜二つなだけ。だから私があなたの心に入る隙間はないって、勝手に思ってた」

「そんな、自分はそんな気持ちであなたには接しては……」

 芦名が強く首を振る。

「違うって言いたいんでしょ。でも分かるんです。あなたの小夜さんの思う気持ち。だってあなたは優しいから。決して小夜さんを裏切るようなことしないと思ったから。だから苦しくなってあなたの前から消えたの」

 彩がフッと息を吐いた。その息は心の奥底に押し込めていた全ての思いを解放するかのようだった。


「でもいいの、私が小夜さんの代わりでも。あなたのそばにいられるなら」

「それは違います」

 芦名の目は鋭く彩を見つめる。その視線には真剣な思いが込められていた。

「確かに自分は小夜のこと愛していた。彼女を死なせたのは自分だと。その思いで君を遠ざけてきたのも事実。なぜなら自分だけ幸せになる、そんなこと許されるわけないと思っていたから。でも今は違う。自分は彩さんを幸せにする、そう決めた。彩さんは自分にとってもっとも大切な人。君を守りたいんだ」

 その言葉を聞いて彩の目から涙がこぼれる。

 彼らの周りには赤とんぼが舞い、秋風が二人の距離をさらに縮めるかのようにそっと吹き抜けた。


「ありがとう、芦名さん。友也も祝福してくれるわ」

 芦名はポケットからあのペンダントを取り出した。彩は首をそっと前に傾ける。芦名は静かにペンダントを彼女の首にかけた。

「これは小夜にではなく、彩さんに。僕からの贈り物」

「ありがとう」

 彩は微笑みを浮かべる。その瞳には未だ涙の輝きが残っていた。

 彩と芦名の周りに飛んでいたトンボがいっせいに彼らから離れていった。

「?」

 何かの気配を察知した芦名が周りを見渡す。そのとき彩のポケットからまばゆいほどの赤い光が放たれる。


「なに!」

 その光が芦名を強く弾き飛ばし彼は地面に叩きつけられた。振り返る彼の目に飛び込んできたのは赤い光から現れた無数の人の腕だった。

「キャー」

 その無数の腕が彩をしっかりと掴んだ。彩は必死にもがき、逃れようとするが、幾重にも絡みつく腕たちは彼女を解放しようとはしなかった。

「芦名さん、助けて!」

「彩さん!」

 芦名は彼女に向かって駆け寄ろうとした。しかし再びまばゆい赤い光が彼を襲い、その身体を遠くに吹き飛ばした。


「お前だけが幸せになる、そんなこと許されるわけがない。鳥居彩、お前は俺たちと同じ苦しみを味わうのだ」

 赤い光の中から聞き覚えのある声が響いた。それは片岡孝之の声だった。彩を包み込む光が徐々に大きくなり、無数の腕は彼女をその光の中へと引き込もうとしていた。

「そうよ、あなただけが幸せになるなんて許さない」

 それは井上綾乃の声。

「許さない」「許さない」「許さない」

 宇津見莉奈の夫の雅之、森田和也、南野佳乃、それにササキ製薬を訴えてた人々の声も聞こえる。

「くそっ」

 芦名は再び彩に向かって駆け出した。しかし、見えざる透明な壁のような力が彼の道を塞いだ。彼は全力で前進しようと試みたが、その不可視の障壁により一歩も進むことができなかった。


「キャー、やめて!」

 彩がどんどんと赤い光に飲み込まれていく。

「私たちの恨み、憎しみをお前は持っていたはず。今さら何を言うのか!」

 光が彩を完全に飲み込んだ。

「彩さん!」

 芦名の叫びが響き渡ると同時に病院の上空にある空間が歪み始めた。そこに現れたのは赤黒い影、その影は目の前の赤い光を吸収し始めた。


「芦名さん、大丈夫ですか!」

 芦名が振り向くと、彼の視界に蒼真が駆け寄ってくる姿が見えた。

「大丈夫ですか?」

 蒼真の問いかけに対して芦名は険しい表情を浮かべたまま激しく叫んだ。

「あの、あの赤い光の中に彩さんがいるんだ」

「えっ」

 蒼真が上空を見上げる。赤い光は完全に影に飲み込まれていた。

「彼女が持っていた石、そこから赤い光が彼女を飲み込んで行ったんだ」


「石? ルビー色の石」

 二人は天空を仰ぎ見た。赤い光と一体化した影がゆっくりと地上に降り立ち、その形が次第に実体を帯びていく。やがてそこには金色に輝くビルマンデがそびえ立っていた。

「あ、あれ!」

 蒼真が指差す、そこにはビルマンデの胸に光る赤い物体が輝きを放っていた。

「あの中に彩さんがいる!」

 芦名は立ち上がりその体は怒りに震えた。すると蒼真の左腕に巻かれた時計が青く輝く。

「芦名さん」

 芦名が蒼真と腕を組む。蒼真がゆっくりと左腕を天に突き出すと、紫紺の光の柱がビルマンデの前にそびえ立った。その光が消えたとき紫紺のネイビージャイアントが彼の前に現れた。


「芦名さん、彩さんがいるあの赤い石を怪獣から取り上げましょう」

 ネイビーの中で蒼真が芦名に声をかける。

「分かった」

 ネイビーは右手を高々と挙げ、その手に光り輝くネイビーサーベルをしっかりと握りしめていた。

「これで切り取る」

 芦名の言葉に応じてネイビーはビルマンデに向かって全力で突進した。しかし突然の赤い光がビルマンデを包み込み、ネイビーを激しく弾き飛ばした。

「くそっ」

 芦名の怒りそのままにネイビーは再び突進した。しかし赤い光が彼の進行を阻み、ビルマンデの目から放たれた怪光線がネイビーに向かって一直線に飛んできた。その直撃を受けネイビーはついに倒れ込む。その瞬間、ビルマンデが羽を羽ばたかせ、倒れたネイビーに飛び乗り鋭い爪で彼を襲った。


「お願い、早く逃げて!」

 彩の声が聞こえる。

「彩さん!」

 芦名が叫び声を上げるとネイビーは手に持っていたサーベルを振りかざした。その刃は鮮やかにビルマンデの羽に切り込んだ。

「あっ」

 蒼真が叫ぶとサーベルはビルマンデの固い皮膚に歯が立たずその場で折れてしまった。これを見て気を良くしたのかビルマンデの攻撃はさらに激しさを増した。

「お願い、逃げて。この怪獣はルビー色の石の膨大なエネルギーで凶暴化しているの。この石には過去に怪獣になって無念な思いで亡くなった人の怒りが詰まっている。だから、いくらネイビージャイアントでも歯が立たないわ」


「そんな……」

 芦名がうめき声をあげる。

「芦名さん、怪獣の、怪獣の弱点を探すんです」

「弱点?」

「赤い光、赤い光をネイビーの青い光線で撃つんです」

「赤い光?」

 芦名はビルマンデを見上げる。その胸に輝く赤い石から大量の赤い光が放たれるのを目にした。


「わっー」

 蒼真の悲鳴が、ビルマンデの嘴がネイビーの胸に深く突き刺さる。ネイビーは動けなくなりその場に倒れ込む。それを見たビルマンデはゆっくり病院の方向へと進んで行った。

「蒼真君、撃って、この赤い石を、早く!」

 彩の悲痛な叫びが彼らの耳に響き渡った。

「だめだ、撃つな蒼真君」

 芦名が叫ぶ。

「自分が、なんとしてでも彩さんを守る」

 怪獣が病院のすぐ近くまで迫ってくる。病院内ではまだ避難が完了しておらず、入院患者たちは混乱の中を逃げ惑っている。看護師や医師たちは懸命にストレッチャーを使って病人を運び出そうとしていた。

「芦名さん、あなたは防衛隊の一員でしょ。あの人たちを守らなければならない使命があるの。だから、だから早く、早くこの石を撃って!」


「彩さん…… ウォー」

 ネイビーは残ったわずかな力を振り絞り立ち上がった。そしてビルマンデを後ろから羽交い絞めにする。しかしその努力も虚しく赤い光が再びビルマンデを包み込みネイビーを勢いよく投げ飛ばした。振り返りざまにビルマンデがネイビーを踏みつけ、その重さは今までに経験したことのないものだった。ネイビーの体が軋む音が響いた。

「うっ……」

 蒼真がうめき声をあげる。


「早く、早く撃って。そうしないと、そうしないと芦名さんが死んでしまう……」

 彩の声は悲痛に満ちていた。蒼真は意識が朦朧とする中、ビルマンデの赤い石を見上げる。そこには過去に怪獣となった人々の憎悪に包まれ苦しんでいる彩の姿があった。彼女は苦しんでいる。ならば、彼女を楽にしてあげなければ。

 ネイビーの左手が石に向かって伸びる。

「だめだ、蒼真君、撃つな!」

 蒼真は力尽きたように左手を降ろしそのまま気を失った。体の半分の機能を失いネイビーは完全に動けなくなった。それを見たビルマンデが勝利の雄叫びを挙げる。


「蒼真君、しっかり、しっかりするんだ」

 ビルマンデが再び病院を目指す。

「急いで、芦名さん。あなたが、あなたがやらなければ、多くの人たちが亡くなる。だから、お願い」

 芦名が目を閉じる。そこには涙で苦しむ彩の姿が。

「私、芦名さんに本当のことを言えてよかった。思い残すことなんかないわ。大丈夫、私が死んでも、あなたが生き残るなら。私は、私は幸せよ。きっと、小夜さんもそう思って死んでいったんだと思う。これで、これで私も小夜さんと同じ。永遠にあなたの心の中で生きていくことが出来る」

 ビルマンデの翼が病院を破壊しかけたその瞬間、動けなかったはずのネイビーの左手がビルマンデを狙い定めた。


「彩さん!」

 ネイビーの左手から放たれた青い光線がビルマンデの胸に突き刺さった。その瞬間、赤い石は粉々に砕け散り、キラキラと輝く破片がビルマンデの周囲を舞った。そしてゆっくりと天に昇っていき、やがて空間が再び歪みその中にに欠片たちは吸い込まれていった。

「彩さん!」

 芦名の叫びが空にこだまする。

 赤い石を失ったビルマンデはその動きを止め、静かに消えていった。


 ×   ×   × 


 病院の前は先ほどの怪獣襲撃が嘘のように静まり返っていた。一難去ってみな病棟に戻っていく。人々の顔には安堵の表情が浮かんでいた。

 しかしひとり悲痛な表情の男が佇んでいる。怪獣ビルマンデが消えた場所、その場に立ちすくんでいるのは芦名雄介。彼の目の前には鳥居彩がまるで眠っているかのように横たわっている。


「芦名さん」

 蒼真が近づいても、芦名は微動だにしなかった。

「芦名さん、ごめんなさい。僕が、僕があのとき赤い光を撃てば、って言わなければこんなことには」

 芦名が蒼真を一瞥する。その瞳には言葉にできない感情が宿っていた。

「分かってるさ。そうしなければこの病院が壊されていた」

 芦名の声はまるで風に消えゆく囁きのように小さく、耳を澄まさなければ聞こえないほどだった。


「君が悪いんじゃない。自分が、自分が彼女を守れなかった。ただそれだけだ」

 そう言うと芦名はゆっくりと彩を抱き上げた。

「すまない。君を守れなかった」

 彩は目を閉じたまま何も答えない。その穏やかな口元はまるで微笑んでいるかのようだった。その表情を見ると蒼真の胸はさらに苦しくなった。芦名はそんな彩の唇に自らの唇をそっと重ねた。そして彼女の体をしっかりと抱きしめた。

 蒼真はゆっくりと二人から離れようとした。ここは二人だけにすべきだと感じたからだ。背を向けて歩き出す蒼真の後ろから慟哭の声が聞こえた。蒼真は一瞬立ち止まり振り返る。そこには芦名が彩を抱きしめ続けている姿が、彼の肩が小さく震えていた。


 蒼真はその場を立ち去った。しかし芦名は彩をしっかりと抱きしめ続けた。

 それはいつまでも、いつまでも。

《予告》ルビー色の石が宇宙船に回収されたことを知る蒼真。一方、彩を失い気力を失っている芦名を見守る美波。そこにネイビエクスニュームを身に着けた怪獣トリブロッケンが。次回ネイビージャイアント「赤い光と共に」お楽しみに

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