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ネイビージャイアント  作者: 水里勝雪
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第二話 赤い光が怒るとき

♪小さな生命いのちの声を聞く

 せまる不思議の黒い影

 涙の海が怒るとき

 枯れた大地が怒るとき

 終わる果てなき戦いに

 誰かの平和を守るため

 青い光を輝かせ 

 ネイビー、ネイビー、ネイビー

 戦えネイビージャイアント

「この巨人は?」

 大型画面に映し出された紺色の巨人、その映像に芦名雄介は目を凝らしていた。


 壁には大型画面のほかにも、いくつもの小さなモニタが配置されている。一つは雪に覆われた地域、隣には真っ青な海、別の画面には都会の喧騒が映し出されている。モニタには極東各地の状況が映し出され、この場所から怪現象が起こっていないか確認できるようになっている。防衛隊員たちはその画面を見つめ、手元のレーダーと見比べながら異常の有無をチェックしていた。


 ここは防衛隊怪獣攻撃班、通称MEC(Monster extermination corps)の作戦室。先ほどの巨大なスクリーンには、紺色の巨人と炎の怪獣が対峙していた。芦名はその場に居合わせなかったため、この巨人の姿を見ていない。それ以上に、この巨人が何者であるかも分かっていない。敵なのか、味方なのか、その正体すらも不明である。


 芦名と同じスクリーンを見つめる男たちが三人いた。前列にはMEC隊長の吉野が立ち、その後方には神経質そうな三上と、少しのんきそうな田所が控えている。二人とも芦名の同僚であり、MECの隊員である。


 吉野隊長は、芦名の疑問に静かに答えた。

「なんの情報もない。何も分からない、それが答えだ。ただ今回の件では我々の味方だったことは言うまでもなく事実のようだ」


 三上が首を軽く横に振りながら、

「あきれた話だよ。そもそもこの世に怪獣がいること自体ファンタジーなのに、おまけにヒーローまで出て来るとは、世間はいつの間にテレビの中の世界と同化してしまったんだ、って感じかな」


「俺はヒーロー好きだけどね」

 田所の言葉に“ちっ”と舌打ちし三上の目がきつくなる。

「俺はそもそも、祖父や父のようにこの国を守るために防衛隊に入隊したのに、なんで怪獣と戦わなきゃならないんだ」


 三上は少し嫌味な表情を浮かべながら、画面に向かって立ち、怪獣を指さした。彼の叔父は防衛隊の次官であり、曾祖父は太平洋戦争で戦死した中将である。そんな彼が、まるで子供番組のような怪獣と戦うことに、プライドが傷つくのも無理はない。


 吉野隊長は再び画面の二つの影を指さした。

「このたび、この怪獣と巨人のコードネームが決まった。怪獣の名前は、プロサウルス、巨人の名前は、ネイビージャイアント」

 吉野隊長の言葉に

「ネイビー?」

 と、三上が素っ頓狂な声をあげる。田所も首を傾げ、

「ネイビージャイアント、紺色の巨人、そのまんまだな」

 と、やや冷めた言葉でその名前を繰り返した。


「とにかく、今後もこのような怪獣の出現が想定される。我々としては、いついかなるときにも攻撃できるよう、怠ることなく準備が必要だ。さっそく三上は各地の状況から、怪獣出現の予兆がないか確認してくれ」

 吉野隊長の号令に、

「了解」

 と返答し、三上が作戦室を出て行く。

「田所と芦名は今回の怪獣出現地域に出向き、怪獣攻撃のヒントをつかんできてくれ」


「隊長、お願いがあります」

 芦名が直立のまま吉野隊長に進言する。

「東阪大学の阿久津蒼真君を連れて行きたいのですが」

 吉野隊長が軽く頷く。

「そうだな、彼には色々と調査に協力してもらわないといけないからな」

 田所が首を傾げて、


「誰だ、その阿久津蒼真って人」

「東阪大学、神山研究室の研究員で、以前、怪獣の皮膚の分析をしてもらった人だよ」

「へぇ、そんな学者さんを現場に連れって行って大丈夫か」

 芦名は以前出会った蒼真の姿を思い浮かべた。確かに、彼からは正義感も覇気も感じられなかった、がしかし何か言いようのないものを感じた。それが何かと問われても明確には答えられない。ただ、この危機を救ってくれる予感があった。


「とにかく、研究所で彼を拾って現場に向かいます」

「分かった。神山教授には私から連絡しておこう」

 吉野が頷いた。

「田所、行くぞ」

「おう」


 二人は作戦室をあとにし、MECの戦闘車ピンシャーが待つピットへと向かった。廊下を進む途中、芦名の脳裏に北九州に現れた双頭の怪獣の記憶が蘇る。あのとき、ネイビージャイアントは現れなかった。なぜだろう。もし現れていれば、鳥居は命を落とさずに済んだはずだ。考えても仕方のないことだが、心の奥底から怒りが湧き上がってくる。もしあのとき、もし現れていれば。


 そんな思いに囚われていると、言いようのない不安が芦名の心を覆った。過去にも同じようなことを考えたことがある。そう、あのとき、あの瞬間に中止しておけば。

 芦名はもやもやした気持ちを抱えたまま、ピンシャーに乗り込んだ。


   ×   ×   ×


「この人にもフレロビウムを感じますね」

 晴天の空の下、雲一つない青空が広がり、荒涼とした街には人影が全く見当たらない。その代わりに、半壊したビル、瓦礫で塞がれた道路、曲がった電柱や街灯が無残な姿を晒している。怪獣の破壊力の凄まじさを思い知らされる光景だ。


 明るい春の日差しの中、その荒廃した街に蒼真は立っていた。彼の前には一人の男の死体が横たわっている。街の荒廃とは対照的に、男は整ったスーツとネクタイを身に着けており、その身なりは乱れておらず、外傷も見当たらなかった。蒼真はひざまずき、男に開発した検知装置をかざす。針が大きく左右に振れている。芦名が蒼真の横をすり抜け、死体に近づきその様子を伺った。


「ここは怪獣が消えていった場所だ、本当なら踏みつぶされていてもおかしくないのにこの死体は何故か綺麗だ。この男、なんか妙だな」

 芦名の言葉に、蒼真は反応を示さなかった。彼は装置の目盛りを手元のメモに書き留めている。やがて、おもむろに立ち上がると、今度は周囲の折れた電信柱や崩れたビルの壁に向けて装置をかざし始めた。


「微量ですけど周辺の建造物からフレロビウムから発する放射線を感じます」

「とすると、あの怪獣は以前、北九州に現れた怪獣と同じな訳か」

 芦名が周りを見回す。

「それにしても、なぜ怪獣の死骸がないんだ」

 蒼真が振り返りもう一度倒れている男に装置をかざしてみる。

「この男から一番放射線を感じます。彼が怪獣だったんじゃないでしょうか」

「この男が?」

 芦名が見返す。何の変哲もない死体。

「まさか」


 芦名が懐疑的になるのも無理はない。蒼真自身も、本来なら想像すらできない事実だからだ。しかし、彼には確信があった。なぜなら、母の手紙にはこう書かれていたのだ。

『異生物は我々生物のあるエネルギーと融合すると、その生物に寄生するように体内に入り込み、異様な姿で新たな生物として誕生するのです』

 恐らくこの男は異生物に取りつかれ、怪獣の姿に変わったのだろう。フレロビウムの放射線がそれを示している。

 蒼真は周囲に聞こえないように小さなため息を吐いた。この事実を信じたくはなかった。なぜなら、これから先怪獣と戦い続けなければならないことを意味しているからだ。なぜ自分が……


 気分を変えようと蒼真は立ち上がった。いつもなら視界を遮る建物が崩れ、目の前が大きく開けている。その先に二人の男女が見えた。一人はMECの隊員服を着ており、体格から田所だと分かった。もう一人は黒いスーツに黒いパンツ、そのスタイルの良さはモデルのようだ。髪は肩までストレートに伸び、その凛々しい姿は遠目にも美しいと分かる。


 蒼真は芦名に目をやった。彼はその女性を凝視しており、その表情は青ざめて見えた。以前、神山研究室で見た芦名の姿そのままだった。彼は彼女を恐れているのか、問いただそうとしたが、そんな雰囲気ではなかった。


「蒼真君、連れてきたよ」

 田所の横に立っていた女性が蒼真に微笑みかける。

「お待たせしました」

「彩さんこそ、こんなところまで来てもらってすみません」

 蒼真がペコリと頭を下げた。その瞬間、彼女の笑顔が一瞬凍りついたように見えた。芦名の姿が彼女の視界に入ったからだと、蒼真は直感した。


「ご依頼の触媒を持って参りました」

 彩は微笑みを浮かべ、その大きな瞳は芦名を完全に無視するかのように、ただ蒼真だけを見つめていた。

「ちょっと緊急だったんで、研究室に忘れてきてしまって」

「高城美波さんから、今すぐ持って行ってほしいと連絡をいただいたので、大至急お持ちしました。神山先生の営業担当としては呼ばれればどこでも伺います」

「頼もしいです」


 蒼真は気まずそうに右手で頭を掻いた。彩はその場にひざまずき、カバンから茶色の小瓶を取り出した。その一連の動作の中で、彼女は一度も芦名に目を向けることはなかった。明らかに無視している、と蒼真は感じた。

「なんだい、それ」

 田所の問いに、

「この装置に必要な薬品を彩さんの会社から提供してもらっているんですよ」


 そういうと、装置にある突起状のキャップを外し、彩から受け取った瓶の液体を注ぎ込んでいく。蒼真が液体を注ぎ終え、キャップを閉め、そして顔を上げる。その間、彼女は一度も芦名に目を向けることはなかった。明らかに無視している、と蒼真は感じた。


「そうそう、紹介が遅れました。こちらMECの芦名隊員です」

 彩は一瞬芦名の方に視線を向けた。その顔には先ほどの笑顔はなかった。

「芦名さん、こちらササキ製薬の鳥居彩さん。神山研究室で使う色々な薬品を提供してもらってるんです」

 彩は初めて芦名の方に向き直り軽く会釈した。芦名は先ほどの青ざめた表情を消しわずかに微笑みながら会釈を返した。しかし、彩の硬い表情は変わらなかった。

「鳥居彩と申します」


 彩の表情は蒼真に対するものとは明らかに異なっていた。口元は固く結ばれ、頬は緊張でこわばり、目には笑みの影もない。その大きな瞳は、まるで睨みつけるかのように芦名を凝視していた。

「鳥居さん…… 私はMECの」

「知っています。芦名雄介隊員」

 彩の目がさらにきつくなった。


「私の弟は三か月前まで防衛隊にいました。死んでしまいましたけれど」

「じゃぁあなたは鳥居隊員の」

「姉です」

「お姉さん……」


 芦名の表情はさらに硬直した。そう言えば、以前彼から聞いたことがある。北九州の戦いで怪獣に後輩を殺された話を。もしかして、その後輩とは彩の……


「弟さんのことは申し訳ありません。あのとき僕が……・」

「私、気にしていません。弟が選んだ仕事です。それだけのことです」

 彩の淡々とした返答に、蒼真は彼女の目に潜む殺気を感じ取った。言葉と心が一致していないことは明白だった。蒼真は彩の真意を測りかねていた。やがて、彩が蒼真に視線を向けると、その表情は再び柔和なものに変わっていた。


「蒼真さん、また足りなくなったら連絡くださいね」

 彩は笑顔だった。蒼真は戸惑った、さっきまでの表情とは全く違う。

「ありがとうございます。本当に彩さんには助けられます」

「じゃぁ、お邪魔なようなので、私はこれで帰ります」

 彩は蒼真に軽く会釈し、蒼真もそれに応じて首を少し下げた。次に彩は芦名の方に向き直り、深々とお辞儀をした。芦名もまた、深く頭を下げた。


「お送りします」

 田所が彩に声を掛けると、彩は顔を上げたが、その表情は依然として硬いままだった。彼女は何も言わずに振り返り、髪が揺れる。そのまま田所を従えて芦名のそばを離れていった。去っていく二人を芦名はじっと見つめていたが、彼もまた言葉を発することはなかった。

 蒼真は思った。いったい二人の間に何があったのか。明らかに彩は芦名を嫌悪している。その冷たい怒りはどこから来るのか。蒼真の想像力は掻き立てられた。


   ×   ×   ×


「芦名さんは彩さんのこと、ご存知だったんですか?」

 瓦礫に覆われた灰色の街。その中に建てられた白い屋根のテントは、周囲の荒廃と不釣り合いな清らかさを放っていた。テントの下では、隊員服を着た男たちが忙しく動き回っている。その中に、一人だけ場違いな白衣にジーンズ姿の男がいた。ひ弱なその姿は、明らかに隊員ではないことを物語っていた。その場違いな蒼真の隣には、芦名が立っていた。


「あぁ」

 芦名が手元の資料を見ながら気のない返事をした。

「以前、芦名さんから聞いた北九州での戦いのときの……」

「そう、あのとき戦死した後輩のお姉さんだ」

 思い出したくないのだろうか、芦名の目は蒼真を見ていない。

 彼らのまわりには一般隊員達が機材の搬入作業を進めている。


「それはこっちだ」

 芦名が機材を持つ隊員に指示を出す。

「でも分かっていた割には、初めて知ったって顔してましたよ」

「さっきの会話、立ち聞きしてたのか?」

「あんな近くで話していて聞こえないほうがおかしいでしょう」

 芦名は一般隊員が機材の設置が終わったのを確認した。

「ご苦労さん」

 一般隊員たちは敬礼をし、テントの外へと散っていった。蒼真はその姿を目で追い続けていた。


「芦名さんが以前研究室に来たときに、彩さんを見た瞬間、顔面蒼白になってましたよ」

 芦名は無言で近くの机に資料を置いた。その机には、人が抱えられるほどの大きさの段ボールが置かれている。芦名はその中から差し入れのペットボトルを取り出した。ラベルには『おいしいお茶』と書かれている。

「彼女を知っていたらあんなに驚かないですよね」

 芦名がペットボトルのキャップを開ける。


「あのときは鳥居のお姉さんとは知らなかった。俺もあのとき初めて会ったんだ。あまりに綺麗な人だから息を飲んだんだよ」

「それにしては顔色があまりにも青ざめてましたよ。まるで幽霊を見たかのような顔でした」

「そうか?」

 芦名がペットボトルのお茶を口に含む。


「芦名さんの話って、つじつまが合ってない気がします。なにを隠しているんですか」

「隠してるつもりはないんだが、言いたくないんだ」

 芦名は近くのパイプ椅子に腰を下ろした。蒼真はこれ以上彼の私事に踏み込んでよいものかと悩んだ。それはいつも張りのある芦名の肩が、今日は丸く見えたからだ。


「似てたんだよ。死んだ彼女に」

 芦名がボソッと呟いた。

「死んだ?」

 今度は蒼真が驚かされた。

「死んだって……」

「二年前、事故でね」

 芦名の肩がますます小さく見える。

「似てるって?」

「瓜二つって奴かな。確かに研究室で初めて会ったときは正直幽霊かと思ったよ」

 芦名がペットボトルのお茶を一機に飲み干した。


「そうでしたか。辛いことを思い出させたのならごめんなさい」

 蒼真が頭を下げる。

「忘れようと思っていた。彩さんを見るまでは心の隅に追いやっていた気がする。彩さんに会ったことは、辛くても忘れてはいけないって言う暗示かもしれない。そんな気がする」

 飲み終わったペットボトルを机の横にあったゴミ袋に放り込み、芦名が資料を手に取る。

「まぁ、昔話はこの辺にして、仕事の話に戻ろう」


 芦名が蒼真を見る。その目はさっきの暗い目ではなく突き刺すような鋭さを持っていた。

「怪獣は人が変化したもの、それが君の仮説か」

「まだ、神山先生にも話してはいないので断言はできませんが、今日の調査結果から怪獣はあのサラリーマンだと思います」

「うむ」

 芦名が腕組みをし、首を傾げる。


「なぜ人間が怪獣に?」

「あくまで仮説ですがフレロビウムを持つ、我々と違う異生物が、人のエネルギーに反応して怪獣になった」

「人のエネルギー?」

 芦名の眉間にしわが寄る。


 しかし、蒼真には確信があった。母の手紙がその真実を語っているのだから。

「僕にもそれがなんか分かりません、ただ人と反応することで怪獣になる」

「なるほど、大胆な仮説だね」

「フレロビウムを含む怪獣が現れたこと、怪獣が消えた場所から人間の死体が発見されたこと。死体にはフレロビウムから発する放射線が多量に観測されたこと。これだけが事実であとは仮説にもならない、僕の空想です」


 蒼真は少し誤魔化した。あまりしゃべりすぎると自分の正体までばれてしまいそうな気がしたから。

「うむ」

 芦名は腕を組み、遠くを見つめていた。彩が去っていったその方向には今はただ瓦礫が広がるばかり。彼の視線はその荒廃した景色にじっと注がれていた。


   ×   ×   ×


 彩は会社を退社し、一人帰宅の途に着いていた。最寄り駅までの道は、すっかり闇に包まれている。今日も遅くなった。怪獣が現れた街へ出向いていたため、進めようとしていた業務が遅れたのだ。ただ、それだけではない。なぜか仕事の手が止まり、何か引っかかるものがあった。


 会社を出てしばらくは数人の人と一緒に歩いていたが、五分も歩くと道には彩一人になっていた。いつもより人が少ない。それほど遅くなってしまったのだ。周りのビルからは、残業している人々の明かりが漏れている。歩道にある幾本かの街灯も光を届けてくれている。しかし、今日の帰り道はいつもより暗く感じた。まるで自分の心を映しているかのように。


「そこのあなた。体が怒りで満ち溢れていますよ」

 聞き覚えがない声が彼女の後ろから聞こえた。

「誰?」

 彩が振り返ると、そこには中年男の顔だけが浮かび上がっていた。彩はぎょっとしたが、よく見ると、男は闇に溶け込むほど黒い衣装をまとっていることに気づいた。その不気味な顔が、徐々に彩に近づいてくる。


「あなた、誰かを恨んでいらっしゃるようだ」

 彩の体が恐怖で硬直する。

「ど、どちら様ですか」

「私はあなたをお救いするために、はるばる遠い世界からやって来たものです」

 彩はこの男が変質者ではないかと疑った。すぐにここを離れなければ、逃げなければと思うが、なぜか足が動かない。


「あなたが恨んでいる人を当ててみましょう。それは防衛隊怪獣攻撃班、MEC所属の芦名雄介隊員」

 彩が絶句する。この男、私の心の中をなぜ言い当てられる?

「私は、誰も恨んでません」

 彩が毅然と答える。本当は泣きたいほど怖いのに。

「そうですか? あなたのお弟さんは無茶な作戦で命を落としました。その原因を作った男を本当に恨まずにいられますか?」


 男の目は、まるで彩の心を見透かすかのように鋭く睨んでいた。

「あなたには本当のことを言っていませんね」

 彩が後ずさりする。

「さあ、ほんとのことを言いなさい。彼を無視するだけではあなたの心は満たされません」

 彩の後ずさりが止まる。無意識に両手が固く握られている。

「さぁ、あなたの怒りを爆発させなさい」

 黒衣の男が彩に迫って来る。ハッとなる彩。怖い、誰か助けて。


「彩さん」

 そのとき、明るく爽やかな声が彼女の耳に届いた。彩が振り返る。

「芦名さん!」

 彩は我に返った。

「ふふふ、あなたにとってもっとも憎い男の登場ですね」

 その声の方向に向き直ると、そこにはあの男の姿はなかった。いつの間にか闇の中に消えていたのだった。


「彩さん、大丈夫ですか」

 再び彩が振り返る。そこには凛々しい芦名の姿があった。

「大丈夫です。なんでもありません」

「でも顔が青ざめてますよ」

「お気遣いなく」

 本当は泣きたいほど怖かった。芦名のおかげで助かったのだが、彼女は自分の気持ちに正直になれなかった。だからこそ、表面上は気丈に振る舞った。


「さっきの人は誰ですか」

「分かりません。知らない人です」

「女性一人の夜道、気を付けてくださいね」

 その言葉に彩が首を傾げた。


「確かに危険なので気を付けます。でも芦名さんこそどうしてここに?」

「実は彩さんに話があって、蒼真君に彩さんの勤め先を聞いたんです。ここに着いたとき変な男に話しかけられている彩さんを見かけて呼びかけたんです」

「そうですか」

 彩が疑いの目で芦名を見る。

「本当に偶然ですよ」

 芦名が疑われていると思い大きく首を振った。


「まぁ、助けていただいたのでお話は信じます。で、なんのご用でしょう」

「歩きながら話しましょう。送って行きますよ」

 彩がまた不審そうな目で見る。

「大丈夫ですよ、なにもしませんから」

 その言葉を彩は聞き流しながら、駅へと足を進めた。


「実は鳥居に頼まれていたものをあなたに渡し損ねたので」

 芦名は肩に掛けていた鞄から、紺色の小さな細長い箱を取り出した。

「なんですかそれ」

「自分が以前、彼女に買って渡そうとしたペンダントです」

「彼女?」

 彩が小首を傾げる。


「ええ、死んだんですけどね、二年前に、事故で」

「死んだ?」

 彩が目を丸くした。

「ええ、二年前、バスが谷に転落した事故、覚えてませんか」

「あゝ、そう言えば」


 芦名は箱を手の中で遊ばせながら、

「本当は、二人でそのバスに乗るはずだったんです。前の週に急に仕事が入って、少し遅れるから先に宿に行ってほしいと、そしてあの事故が起こったんです」

 芦名が天を仰いだ。

「そのときに渡そうとしたペンダントがこれです」

 芦名は紺色の箱からペンダントを取り出し、彩の目の前に差し出した。


「そのペンダントをなんで弟が?」

「姉さんの誕生日に渡したいって言ってました。たまたま死んだ恋人の話をしていて、このペンダントの話になって、いつまでも持っていると辛いんじゃないかと鳥居に言われたんで、彼に渡すって言ったんです」


「でもなんで弟が」

「彼は言ってました。両親を早くに亡くして、姉にはとても世話になっている。何か感謝を形にしたいと思いつつも、なんか照れくさい。なので、先輩からいらなくなったペンダントをもらったんで、あげると口実すれば、照れくさくなく渡せるかなって」

「彼がそんなことを」

 彩の視線が斜め下に向く。


「なので受け取ってください」

 芦名がペンダントを箱に納め彩に差し出した。

「本当の話なんでしょうね、今の話」

「疑ってます?」

「弟からそんな話、聞いていないので」

 彩の目には、依然として不審の色が浮かんでいた。


「大丈夫ですよ、自分はまだ死んだ恋人を愛していますから」

 芦名はポケットから一枚の写真を取り出した。彩がそれに目を向けると、二人の男女が並んで映っているのが見えた。一人は芦名、もう一人は……

「なんか、私に似てますね」

「ええ、確かに」

「だから私に近づいたんですか?」

「いえ、違います」

 芦名が困り顔で頭を掻きながら、


「そんなにいじめないでください」

 彩がクスッと笑った。

「ごめんなさい。芦名さんは防衛隊の隊員のわりに弱腰ですね」

「え、まぁ。女性には弱くって。彼女にもよくいじられていました」

 彩は写真を見直した。そこには自分と瓜二つの女性が芦名に寄りかかっている。その光景に、まるで自分が芦名に寄りかかっているかのような錯覚に陥り、妙な気分に包まれた。


「とにかく、このネックレスはあくまで鳥居隊員からお姉さんである彩さんへ、です。受け取ってください」

 彩は紺色の箱を受け取った。

「分かりました。とりあえずこれは預かっておきます」

 受け取った箱は彩の鞄の中へ。


「お話がこれだけなら失礼します」

「あ、駅まで送りますよ。さっきの男がまた現れたら……」

「さっきの人は私には危害を加えませんでした」

「それって、まるで自分が」

「失礼します」


 彩の表情は昼間とは異なり少し口角が上がっている。彼女は軽く頭を下げ、芦名を一人残して闇の中へと歩み去っていった。


   ×   ×   ×


「なんでなんだよ、俺よりあいつのほうが良いって言うのかよ」

 若い男の叫び声が夜の公園に響き渡る。わずかな光が届くブランコの脇には、スーツ姿のやせ細った男がひざまずいていた。


「俺のほうが良いに決まってるじゃないか。かずみ、なんで、俺を選ばない」

 辺りには誰一人いない。野良猫どころか光に集まる虫すら見当たらない。ただ一人、男が泣いているだけだった。

「なんでなんだよ、なんで、そんなに俺って魅力ないのかよ、最低でもあいつよりはましなはずだ」

 男はブランコの鎖にしがみついた。鎖の錆が彼の手にこびりつく。


「なんでだよ、なんで……」

 彼の声は次第に小さくなりやがて完全に消えた。その瞬間、彼は崩れるように地面に手を付く。

肩が震えている後ろ姿に小さな影が近づいてきた。


「お兄ちゃんのほうがかっこいいに決まってるよ」

 ハッとして男が振り返ると光のない公園に一筋の輝きが見えた。そこには白いワンピースをまとった少女が立っており、彼女の周りには漆黒の闇が寄せ付けられなかった。男は驚きに目を見開いた。

「きっと、その人よりお兄ちゃんのほうがかっこいいよ」

 男の口元が緩む。


「そう、そうだよね。お嬢ちゃんもそう思うよね」

 男はスラックスに付いた泥を払いながら、ゆっくりと立ち上がった。

「でもね、お姉ちゃんはお兄ちゃんのことより、別の人のほうが好きみたい。さっきもお城みたいなビルに二人で入って行ったよ」

「え、なんで君がそんなことを」


 少女は屈託のない笑顔を見せながら、

「私のことはどうでもいいの、でもあのお城で二人はなにするんだろう。お兄ちゃん知ってる?」

 少女の言葉が男の脳裏におぞましい光景を呼び起こす。かずみがあの男と抱き合い、絡み合い、そして一線を越える。

「やめろ、それ以上言うな」

 男は耳を押さえて膝を付く。触れたブランコが小さく揺れている。


「でも、お姉ちゃん、とっても嬉しそうだったよ。お兄ちゃんといるときより、ずっと、ずっと、くっ付いてたよ」

「やめろ!」

 男は女の子に向かって叫んだ。しかし女の子は全く動じない。そのままの笑顔で、


「おにいちゃんにこれあげる」

 白く光る少女の手には、薄暗い色の麻袋が握られている。男は差し出されたその麻袋を手に取った。

「気が収まらなかったら、これを使って」

 男は不思議そうに袋を見つめた。その袋に彼女があの男に抱かれる姿が映る。


「くそ、あの女、殺してやる」

 男の怒りは頂点に達した、いや違う、暴走し始めたのだ。勢いよく袋を開くと、中から白い霧のようなものが立ち上りその霧が男を包み込んでいった。

「ぎゃー」

 男の叫び声が、公園に広がる闇に吸い込まれていった。


   ×   ×   ×


「会えました?」

 夜が更けても怪獣調査は続いていた。明かりのない瓦礫の街、その中心に煌々と光るライトが白いテントを浮かび上がらせている。テントの周りでは、防衛隊の隊員たちが足早に行き交っていた。幕の下では、これまでの調査結果をノートパソコンに打ち込む芦名の姿があった。その彼に声を掛ける男女がいた。蒼真と美波である。


「あぁ」

 芦名が気のない返事をする。

「なんのこと?」

 美波が小首を傾げた。

「芦名さんが、彩さんに会いたいって言うんで、勤め先を教えたんだよ」

 蒼真が何の気なしに答えた。


「それって、個人情報じゃない。勝手に教えるの、まずいよ。まして男の人になんて。芦名さんだから良いけど」

「当然、芦名さんだから教えたんだ」

 蒼真がしかめ面で反論する。

「でも、彩さん、芦名さんのことよく知らないのに、気分悪くしない」

 美波が頬を膨らませ、

「もう、蒼真君は、女心が分かってないなぁ」

 蒼真も同じぐらい頬を膨らませ、

「でもね、彩さん、芦名さんのこと知ってたんだよ」

 それを聞いた美波が目を丸くする。


「へぇ、そうなんだ」

「それがさぁ」

 蒼真が話そうとするところに芦名の言葉が割って入る。

「すまない、確かに彼女、気分を害したかもしれない」

「ほら」

 美波が誇らしげな顔を蒼真に見せる。


「え、彩さん、怒ってたんですか」

 蒼真の不安げな様子に、

「いや、そこまで怒っているようには見えなかったけど、気分はよくなかったんじゃないのかなぁ。彼女は弟さんのことで自分に嫌な感情を持っている、そんな気がする」

「なにかその件で話をしたんですか?」

「いや、でも彼女の目を見れば分かる」

 芦名のキーボードを打つ手が止まった。


「まぁ。もとはと言えば俺が悪いんだから」

 芦名がパソコンを閉じた。そしてそれを小脇に抱える。

「ちょっと分析結果を本部に報告してくる」

 そう言うとその場を離れていった。


 残された蒼真と美波は顔を見合わせた。

「どういうこと、彩さんがどうして芦名さんのこと知ってるの?」

「実は……」

 蒼真は昼間に芦名から聞いた話を美波に聞かせた。


「へぇ、彩さんって、亡くなった芦名さんの恋人に似てるんだ。だから初めて会ったとき、あんな驚いた顔してたんだね」

 美波は納得したかのように頷く。そして笑みを浮かべ、

「きっと、今でも芦名さん、その人のことを想ってる、って感じかなぁ。なんかあこがれるなぁ。私もそんな想ってくれる人と出会いたいなぁ」

 美波が蒼真をじっと見た。


「いなくなった人を想っても無駄じゃないのかな。いないんだから」

 蒼真が首を傾げる。

「もう、蒼真君は夢がない」

 美波の口が尖る。


「でも、自分だけが事故に合わず生き残ったことで芦名さんの心が痛むのは僕ですら分かる気がする。それに三か月前の北九州での戦闘でも自分だけが生き残った。そこで彩さんの弟さんも亡くなっているのに。芦名さん、自分を責めてるんじゃないのかなぁ」


 蒼真は芦名が立ち去った方向に目をやった。防衛隊の隊員たちは相変わらずあわただしく動き回っている。その向こうに芦名がいるはずだが、ここからは見えない。その先にはただ漆黒の闇が広がっているだけだった。


「芦名さんは彩さんに謝りにいったんだよ、きっと。弟さんのこと、そして事故に合った恋人の代わり、つまり恋人にそっくりな彩さんに自分が事故のときそばにいられなかったことを。でも彩さんは許さなかった」

「確かに、そうかもしれないわね」

 美波がため息を吐く。


「なに!?」

 美波が周りを見回した。辺りが急に騒々しくなる。

「どうしたんだ」

 蒼真がテントを出る。美波もあとを追いかける。

「怪獣だ、怪獣が出たぞ」


 遠くから大きな声が響き渡る。彼らの周りにいた防衛隊員たちは一斉に火器を手にし、一方向へ駆け出していった。蒼真はその方向に目をやる。テントから数キロは離れているだろうか、半分崩れたビルが轟音と共に完全に砕け散った。跡形もなくなったビルの土煙の向こう、夜の闇の中にさらに黒く蠢くものが見える。それは四つの長い首がゆらゆらと揺れていた。


「あれは」

 蒼真の目が暗闇の何かを捉える。

「あれは北九州に現れた怪獣、首が二つから四つになっている」

 美波が蒼真に寄りかかり腕をぎゅっとつかんだ。蒼真もその手を握り返す。


「美波、逃げて」

「え?」

 美波が蒼真を見返す。

「蒼真君も一緒に」

「僕は行かなければならないところがあるんだ」

「なにそれ?」

 美波が不安そうに蒼真を見る。


「とにかく、怪獣からできるだけ離れるんだ。急いで!」

 そう言うと美波の手を払いのけた。そして一直線に怪獣の方に駆け出して行く。

「蒼真君!」

 美波が叫ぶ。しかし蒼真は振り向かない。やがて蒼真の姿が闇の中に消えていく。


「どうした!」

 美波の後ろで声がした。振り返るとそこに芦名が。

「蒼真君が、蒼真君が怪獣に向かって……」

「なに!」

 芦名が腰の銃を抜く。

「大丈夫、蒼真君は自分が助け出すから。美波さんは早く逃げて」

 泣きそうな美波に笑顔で応える芦名。そして彼もまた、蒼真のあとを追うように走り去っていった。


 芦名がテントを離れた頃、蒼真はすでに怪獣の足元近くまでたどり着いていた。腕の時計が青く光る、蒼真は何も言わずにその左手を天に向かって突き出した。するとみるみるうちに視線が上昇し、やがて怪獣と同じ高さに達した。


 ネイビーは四つ首の怪獣トリネックと対峙した。蒼真は怪獣の全身を観察し、どこかに赤い光がないか探したが、正面からは見つからなかった。そのとき、トリネックが口から火炎を吐いた。ネイビーはかろうじて避けたが、トリネックは連続して火炎を吐き続けた。次々と吐かれる火炎に、とうとう避けきれず直撃を受け、吹っ飛ばされるネイビー。


「わぁー」

 倒れたネイビーにトリネックが突進してくる。なんとか立ち上がり、その巨体を受け止める、が、突進の勢いに押されて後退していくしかない。

「うっ」

 なんとか踏みとどまり、組み合ったままトリネックを投げ飛ばそうとするが相手はビクともしない。逆に、トリネックの体重に負けて仰向けに倒れるネイビー。


 トリネックが下敷きになったネイビーに首を伸ばし、肩に噛みついてきた。

「あぶない、ネイビー頑張れ」

 芦名がこの二体の戦いの場にようやくたどり着いた。


「あいつ、あのときの怪獣の進化系か」

 芦名の脳裏には、仲間たちが次々と墜落させられる光景が浮かび上がる。そして鳥居が、そして最後に自分が。

「くそ! あいつだけは許せない。仲間を、仲間を返せ」

 芦名の心に怒りの炎が燃える。

「許せない、許せない」


 彼は怒りの目で怪獣を鋭く睨みつけた。すると、どうだろう、彼の体が赤い光に包まれていく。

「なに?」


 彼を包む光がネイビーの方へと流れ込み、そのままネイビーの中へと取り込まれていく。一瞬、ネイビーの体が赤く光りトリネックが投げ飛ばされる。近くのビルが轟音と共に倒壊していく。

 立ち上がったネイビーの体は徐々に赤みを帯び、やがて紫紺に変わった。それは今までのネイビーとは異なる姿だった。ネイビーの手がクロスし、そこから放たれた赤い光線がトリネックに命中、大きな爆発を引き起こしてトリネックを後退させた。


 苦しむトリネック。ネイビーは光線を放ち続ける。トリネックはなんとか避けることができたが、光線は後ろのビルに命中し轟音と共にビルが崩れ落ちる。ネイビーはまるで狂ったかのように光線を放ち続ける。それはトリネックにも命中したが、外れた光線は生き残ったビルたちを容赦なく破壊していった。


 最後の光線がトリネックの右から二本目の頭に命中した。後方に倒れる首とその隣の首の間に赤い光が瞬いた。ネイビーは空中へと飛び上がり、そのまま左手を突き出した。指先から放たれた青い光線がトリネックの赤い光を捉えた。その瞬間、トリネックの動きが止まり、やがて体全体が赤く輝き始めた。光がトリネックの体を覆いつくし、その光が消えたとき、トリネックの姿もまた消えていた。


   ×   ×   ×


 怪獣トリネックが消えた場所の近く、奇跡的に残ったビルの屋上に蒼真は立っていた。彼はそこから薄明かりに包まれた街を見渡した。東の空が徐々に明るくなる、夜明けが近いことを告げていた。

暗闇が少しずつ消え、街の様子が次第に鮮明になっていく。


「ひどいな」

 蒼真はボソッと呟いた。街は完全に破壊されている。それも怪獣の破壊行為だけではないようだ。ビルは崩れているというより、跡形もなく消えている。


「これは僕がやったんだろうか」

 しかし、蒼真にはその瞬間の記憶がなかった。怪獣に覆いかぶされ、苦しいと感じたその刹那からの記憶が途切れている。気が付けば、彼はこの場所に立っていた。

「なにがあったんだ」


 蒼真の心に不安がよぎる。記憶はないが何か嫌な気分がする。それは腹立たしいときに感じる感情、怒りをぶちまけたときの気分。そのことが街をこんな姿にしたのか、怒りの暴走、蒼真は身震いする。

ふと見るとビルの下、瓦礫の道端に芦名の姿が見える。彼もまた辺りの光景に唖然としているのだろうか、一歩も動くことなくその場に立ちすくんでいる。


「芦名さんに聞けばなにが起こったか、教えてもらえるはず」

 だが、それを知る勇気はなかった。自分の力の恐ろしさを知ることになるから。一つ間違えば大きな悲劇を生むかもしれない力を。芦名と蒼真を朝日が照らす。日が昇り、破壊された街がより鮮明に目に映る。蒼真は思う。自分の力は本当に人々のためになるのだろうか。それとも。


 彼の思いに関係なく、朝日は地上を照らし続けた。


《予告》

 フレロビウムが人間を怪獣化する、そう提唱した蒼真が怪獣攻撃への参加を依頼される。戦うべきなのか、悩む蒼真に怪獣アンジラスが襲い掛かる。

次回ネイビージャイアント「MECへ、そしてありがとう」 お楽しみに。


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