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ネイビージャイアント  作者: 水里勝雪
13/75

第十三話 蒼真ここに誕生す

♪小さな生命いのちの声を聞く

 せまる不思議の黒い影

 涙の海が怒るとき

 枯れた大地が怒るとき

 終わる果てなき戦いに

 誰かの平和を守るため

 青い光を輝かせ 

 ネイビー、ネイビー、ネイビー

 戦えネイビージャイアント

 七月の強い日差しが砂浜に反射し目が焼け付きそうになる。蒼真は汗をぬぐいながら、砂で足を取られつつも自分が育った家に向かっていた。母の手紙の意図を知るために。


 蒼真が育ったのは房総半島の先端にある小さな海水浴場で、釣り客用の小さな民宿が点在する以外は田んぼと畑しかない田舎だった。蒼真は子供の頃から変わらない風景に安堵する。しかしその気持ちと同じくらい憂いが交差する。捉えどころのない心持ちのまま周りを見渡すと、海水浴場から少し離れた場所に白い建物が見えた。蒼真の母が働いていた病院だ。


 ここからよく病院を眺めていた。あそこには母がいる。そう思いながら、いつもここでひとり遊んでいた。涙が出るほど寂しい気持ちを白い建物を見ることで慰めていた。綺麗で優しい母だった。その姿は今でも鮮明に思い出すことができる。だがそれ以上は思い出せない。母は看護師としてめったに家にいなかった。蒼真は一人、磯で生物を観察する日々を送っていた。


 普段は母の兄である叔父が面倒を見てくれていた。母が亡くなったあと、その叔父に男手一つで育てられた。

「そう言えば、ここで母さんと遊んだなぁ」

 小さな砂浜にはたくさんの親子連れが来ていた。その中には男の子と母親の二人連れで遊んでいる姿が何組か確認できる。記憶は少ないが母はやっぱり優しかった。自分のことを大切にしてくれた。


 そんな母が亡くなったのはこの地方に大地震が来たときだった。母は患者の避難を優先して最後まで病院に残り、その後、大津波が来て母は流された。この街のいろんな人から「母は立派だった」と言われた。でも蒼真は母に生きていてほしかった。自分のそばにずっといてほしかった。

 彼は海水浴場を抜けて海沿いの道路に出た。道には車が少ない。合わせて人も少ない。そんな道路を蒼真は歩いていく。慣れ親しんだ道を誰にも案内されずに真っすぐ実家に向かう。


 彼の目の前に看板がかかる建物が見えた。「お食事処」と小さな看板がかかっている。蒼真の叔父が経営する食堂だ。

「あれ?」


 彼が建物の入り口までやって来たときその戸は閉められていた。午後二時、昼どきは過ぎているとはいえまだ店を閉めるには早すぎる。それ以前に今日店を開けた形跡すら感じさせない。なぜならそもそも店の中に人がいる気配がないからだ。


「? どうしたんだろう」

 蒼真が中をのぞく。中は暗く、何か店を開く意図が感じられない。店の入り口、扉には蜘蛛の巣が張っていた。

「蒼真じゃないか?」

 その声に蒼真が振り向く。自転車に乗った初老の男が蒼真を見ていた。


「ガンさん!」

 初老の男は蒼真の実家に魚を卸していた魚屋のガンさんだった。

「いつ帰って来たんだ」

「今です」

 自転車を降りたガンさんが蒼真に近づく。


「お前、叔父さんがどこ行ったか知らないか?」

「えっ?」

「この春から姿が見えないんだ」

 蒼真が息を飲む。

「春って、いつですか?」

「三月の終わりごろからだ」


「三月!」

 目を丸くした蒼真を見てガンさんは肩を落とした。

「そうか、お前も、叔父さんが行方不明になったこと知らなかったのか」

 蒼真の耳にガンさんの言葉は入ってこなかった。


「叔父さんが、三月にいなくなっていた。ならばあの手紙は……」

 目の前の店をのぞく。変わらず真っ暗な店内、誰もいないテーブルと椅子が静かに並んでいた。

「なんで、なんで誰もいないんだ」

 心細さが蒼真の胸を満たしていく。それは子供の頃に感じた気持ちと同じ。どうして、母さん、どうしてそばにいないの……


 ×   ×   ×


「未確認飛行物体が房総半島上空に現れたという情報が海上防衛隊からあった」

 MECの作戦室に吉野隊長の声が響く。彼の眼前には三上、田所、芦名の面々が揃っていた。手を後ろに組み、彼らの前をゆっくりと歩く吉野隊長に田所が問いかけた。

「その飛行物体はどこへ向かったのですか」

 吉野隊長の足が止まった。


「消えた」

「消えた?」

 芦名の眉間に皺が寄る。

「隊長、どういうことですか?」


「海上防衛隊の偵察機の前で、忽然と消えたらしい」

「いきなり消えた、ということですか」

「目の前でいきなり、だそうだ。当然レーダーからも消えた」

「うむ」

 芦名が首を傾げながら自らの手を口元に持ってくる。

「隊長、これは根拠のない仮説ですが」

「なんだ」

 吉野隊長が芦名の前まで歩みを進めた。

「飛行物体は我々とは違う次元から来るのではないかと考えます。だから急に現れたり消えたりする」


「うむ、確かに根拠のない仮説だな」

 田所が一歩前に進み出た。

「仮に芦名隊員の仮説が正しいとすると、レーダーで見つけることは困難です」

「いずれにせよ、宇宙船を見つけることは容易ではない、ということか」

 芦名が田所のさらに前に進む。


「ならば自分の目で見つけるまでです」

 芦名が目の前の机からヘルメットを取った。

「どこへ行く」

「上空を探索してきます」

「待て」

 吉野隊長が呼び止めた。

「今行っても間に合わんぞ」


「分かっています。ただ気になるんです」

 芦名が吉野隊長の方に向き直った。

「蒼真君が実家に帰っているんです」

「蒼真君が?」

「そうです。それがちょうど宇宙船が現れた辺りになります」


「なに!」

 吉野隊長の表情が険しくなった。

「蒼真君はMECに協力してもらっていますが、基本的には一般市民です。もし宇宙人の狙いが彼ならば」

「分かった、芦名はスカイタイガーで房総半島上空を偵察」

 その言葉のあと吉野隊長が他の隊員たちの方に向き直る。


「田所はレーダーの監視を強化、三上は千葉周辺の航空機、および船舶に注意喚起と情報提供を要請してくれ」

「了解!」

 隊員たちが配置につく。芦名は足早に作戦室を出た。何かいやな予感が彼の心の中を埋めていく。

「蒼真君、無事でいてくれよ」

 芦名はスカイタイガーの格納庫へ足を速めた。


 ×   ×   ×


 蒼真は一人、暗く小さな食堂の椅子に座っていた。店は綺麗に片付けられ食材も残っていない。まるでいなくなることが分かっていたかのようだ、と、さっきガンさんが語ってくれた。誰もいない食堂、すりガラスを通した夏の日差しだけが暗い店内を照らしていた。


「叔父さん、どこ行ったんだろう」

 蒼真のか細い声が暗い店内に響く。裏道を猫が一声鳴きながら通り過ぎていく。おそらく、今まで静かだった店に人の気配がしたので様子を見に来たのだろう。それほど店は静かだった

  蒼真が足元の鞄に目をやる。そこには母から送られてきたものが一式詰め込まれていた。


「どうしたものかなぁ」

 蒼真は鞄の中から三冊のノートを取り出した。これも送られてきた段ボールに入っていたものだ。一番上のノートを開いてみるとそこには決してうまいとは言えない字が乱雑に並んでいる。おそらくこれは父の字だろう。


 ページをめくっていくとそこにはしかつめらしい化学式がぎっしりと書き込まれている。ほとんどはタンパク質の分子記号だ。さらにページをめくると、分子記号は少しずつ形を変えていく。タンパク質に別の物質を加えているようだ。各ページには赤で大きくバッテンが書かれている。恐らくうまくいかなかったのだろう。それが荒っぽく書かれた×の文字からうかがえる。そのページが続いていき、最後のページにも大きなバッテンが打たれている。


「父さんはなにをしたかったんだろう」

 このノートが送られてきたときあまりじっくり読むことはしなかった。MECの業務が忙しかったから、それは言い訳でほんとは恐ろしい研究をしていた自分の父の正体を知りたくなかったのかもしれない。


 二冊目のノートを開いてみる。今度はタンパク質とは違う物質の化学記号が見られる。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、いろいろな元素ができるだけタンパク質に近い形につなぎ合わせようとしたあとがある。しかし一冊目と同じく各ページに大きく赤いバッテンが書かれている。このページも、次のページも同じように赤く大きな×が、その次のページも、その次も。


「父さんはタンパク質に変わる物質を探していたんだ。なんでそんなことを」

 二冊目のノートも終わりに近づいてきた。最後のページには、リン、ホウ酸、水素、そしてその化学式の中心にⅩと書かれている。タンパク質で言うところの炭素の位置にあたるところだ。

「Ⅹってフレロビウムのことか。でも父さんはどうやってフレロビウムを手に入れたんだろう」


 二冊目のノートはそこまでだった。蒼真が一番下にある三冊目のノートを開いた。今度は化学式ではなく実験らしき記述が書かれている。それは何かに、光、電磁気、熱、電気を加える実験だ。このノートも今までと同じく各ページに大きく赤い×が書かれている。それは行けども、行けども赤いバッテンが続いていく。


「おそらく、二冊目で見つけた物質に何かのエネルギーを加える実験だろう。きっと、物質自体が安定していて、タンパク質のように変化していかなかったんだろうな」


 ページを進めていくとこの世にあるありとあらゆるエネルギーが書かれている。そしていくつもの実験が記されており結果は赤いバッテンが結論付けている。ページがノートの真ん中あたりまで進んだところで大きく赤い丸が書かれていた。実験は成功したのであろう、与えたエネルギーに「Y」と書かれている。


「Y?」

 蒼真が首を傾げる。確かにそこには「Y」を加えると書かれている。ただし、その正体については何も書かれていない。

「父さんはここで何かのエネルギーを見つけ出したんだ。さっきのX、そしてこのノートのY、このふたつがあれば……」

 蒼真は鞄のポケットに入れてあった母の手紙を取り出した。


『その異生物は普段は目に見えない空気のような状態で浮遊するのですが、我々生物のあるエネルギーと融合すると、その生物に寄生するように体内に入り込み、異様な姿で新たな生物として誕生するのです。詳しいことは私にも分かりませんが、生物の生きるエネルギーの源と融合すると、その生物は巨大化し、凶悪化するのだと』


 ここに書かれている異生物がⅩ、生きるエネルギーの源がYとすると、この実験で生まれたのは怪獣ということになる。父はその怪獣をどうしたのだろう? その先のノートには何も書かれていない。想像ではあるが、きっと父はZをあらかじめ準備していたのではないだろうか。それはネイビージャイアントが放つ青い光。あの光が何者なのか蒼真も分からない。


 そして次のページには、唐突に「フレロビウム」の文字が現れた。それ以上でも以下でもない。ページの中央に硬い字で書かれている。それが何を意味しているのか、Ⅹとの関係はどうのか、このページだけでは何も分からなかった。


 ノートの後半は白紙だった。蒼真が期待する父の痕跡は見当たらない。ここまで来たが結局何の手掛かりもつかめない。ネイビージャイアントとは何なのか、なぜ戦うのか、誰も教えてはくれない。蒼真は天を仰いだ。そこには薄暗い天井があるだけだった。


「あなたのお父さんはあなたをネイビージャイアントにするためにどんな研究をしたのかしら」

 蒼真がハッとして辺りを見渡す。薄暗い厨房、すりガラスを通した光を反射してハレーションした白いワンピースの少女がそこにいた。

「君はいつからここに」

「いつから? そんなことは関係ないわ。私は悩んでいる人、怒っている人のそばにいつでも現れるの」

 少女がほほ笑むと蒼真にぞっとした感覚が背中を走った。


「君は何者なんだ」

「さっきの質問以上にどうでも良い話ね。私は何者でもない、ただのお話し相手」

「お話し相手?」

 なぜだろう、この少女と話していると心がざらつく、とてもいやな感じが彼の心を蝕んでいく。


「君は僕のなにを知っているんだ」

「悩んでいる。なぜ変身するのか、なぜ戦うのか」

「どうして君は僕がネイビージャイアントだと言うことを知っているんだ」

「あなたの心の中が分かるから」

「心の中?」

 蒼真の心はさらにざらつく。この少女には嘘は通じないというのか。


「なら、悩みを聞いてくれるのか?」

「もちろん」

 少女の笑顔がさらに満面の笑みに変わる。

「僕は怪獣と戦わないといけない、そう母の手紙には書いてあった。あんな優しかった母がなぜ自分に命をかけて戦えと言うんだ」

 少女は少しだけ首を傾げた。


「あなたは戦う必要はないのよ。だって戦えば戦うほどあなたは傷つく」

「でも僕が戦わないと街が壊れる、大勢の人が死ぬ。たくさんの人々の平和が奪われる。それでも戦うなと言うのか?」

「でもね」

 少女はぴょんと蒼真の前まで飛んで見せた。

「人間て、もうすぐ絶滅するのよ。そんな遠くない未来にみんないなくなる」

「え?」

 驚く蒼真の前を横切りながら、少女の解説は続く。


「人間はね、自らが作った文明とやらで、自分達が住みやすい環境を作った。でも、それは地球全体の自然から見れば悪でしかない。海を汚し、空気を変え、森を壊した。たくさんの生命が失われ、たくさんの種が絶滅した。地球上に人間が溢れかえり、これ以上増えれば自分たちの種以外のタンパク質を持つ生命を食い尽くし、生命の源である水をも飲み尽くし、二酸化炭素を排出し続ける。人によって地球は生命を育むことのできない星へ変貌する。そうなれば人類も自滅することになる」


「しかしわれわれ人間はそれを乗り越える知恵がある」

「知恵?」

 少女が立ち止まり、クスクスと笑い出した。

「なにがおかしい」

「だって、怪獣一匹倒せないのよ。そんな知恵、たかが知れてるわ」

 少女の笑いが止まった。


「人間は一歩地球外に出れば一瞬で命がなくなるほどのか弱い生き物。それが地球上では我がもの顔で大地を汚し、他の生き物を殺している。地球外で生きられない人間は自滅するしか道はないの」

 蒼真は樹海で死んでいた生き物たちを思い出した。人間の都合で死んでいった生物は確かにいる。そしてその原因は人間だ。


「この前、樹海で産業廃棄物を捨てた業者の社長、警察に捕まったって、今朝ニュースで言ってたわ。でも今回で三回目らしいよ、逮捕されるの。たぶん、刑期が終わったらまた同じことをするよ、あの社長。人間なんてそんなもの。きっと悪いと思ってないのよ」

「だからと言って怪獣を容認できない。やっぱり人を救わないと」

「立派ね、あなた自身が怪獣に殺されるかもしれないのに」

「それは……」

 少女はくるりと向きを変えカウンターの前の椅子に座った。


「感傷に浸っている暇はないわ。あなたの前にはまた怪獣が現れる。それは今まで以上に強力な怪獣。あなたではかなわない。それでも戦うの? あなたのお母さんは本当にそれを望んでいるの?」

「母さん……」

 蒼真が下を向く。本当に命をかけて人類を守るべきなんだろうか。人は間違いを犯し、自滅する。ならば戦う意味はなんなのか。それでも母は戦えと。


「父さんは宇宙人に殺されたんだ。その思いを引き継げと母は言っているんだ。戦うことは母の願いでもある」

「お父さんはあなたを怪獣と戦うように仕向けた。その研究は本当に許されるの?  異生物を作り出し、それが人類に敵意を向ける。まさに自業自得。あなたはその犠牲者なのよ」

「犠牲者?」

 蒼真の胸の中に疑心が生まれる。


「あなたはお父さんを恨むべきよ」

「父を?」

「そう」

 少女が蒼真の足元を指さした。そこには彼の鞄が置かれている。

「三冊目のノートの最後のページを見てみて」

 蒼真が慌ててそのページを開いた。三冊目のノート、その半分は白紙だったはず。彼の手が最終ページを開く。白紙のままだと思っていたページに薄っすらと字が浮き上がってきた。


「?」

 蒼真の目にはっきり浮かび上がってきた文字が見えた。

『蒼真ここに誕生す』

「蒼真ここに誕生す、どういう意味だ」

 少女が椅子からぴょんと飛び降りた。


「町はずれに小高い山があるの、知っているわね」

 蒼真が頷く。

「その中腹ぐらいに小屋があるわ。一度行ってみるといい」

「そこになにがあるんだ」

「行けば分かるわ」


「君はなにを知っているんだ。どうしてその場所に僕の秘密があると」

 蒼真が少女に近づこうとする。少女はサッと蒼真をかわし、小走りに厨房の裏へ走り出した。

「待て!」

 蒼真が慌てて追う。しかし一瞬物陰に隠れたと思ったら、もうすでに少女の姿はなかった。


 ×   ×   ×


「なんで美波がいるんだよ」

 田舎の山道、蒼真は横に歩いている美波に向かって頬を膨らませた。

「だって、蒼真君ひとりじゃ心配じゃない」


 白い幅広の鍔の帽子をかぶった美波がニコニコしながら話している。鬱蒼とした木々が夏の青空を覆い隠していた。その中を蒼真は黙々と歩いていく。横を歩く美波だけがニコニコと笑顔で彼について歩いていた。


「子供じゃないんだから、大丈夫だよ」

 山道は少し薄暗い。ただときどき降り注ぐ木漏れ日は七月の力強い光だ。蒼真は眩しそうに目に掌を当てた。そのとき足元の木の根に引っかかりよろけて地面に手を突いた。

「ほら、ひとりじゃ危ないじゃない」

 変わらない笑顔で美波が蒼真を見下ろす。彼はさらに頬を膨らました。


「ご心配をおかけしてたいへん申し訳ございません」

 蒼真が立ち上がり手についた土をポンポンと払った。立ち止まっていた美波がぐるりと辺りを見回した。

「蒼真君って、こんな田舎で育ったんだね」

「そうですが、それがなにか」

「通りで都会的なスマートさを感じないと思ってたら、なるほどね」

「放っておいてよ」

 蒼真の頬の膨らみはそれ以上膨らまなかった。美波が笑顔で、


「まぁ、関係ないけどね」

「?」

「さぁ、行きましょう」

 美波が楽しそうに歩いていく。白い帽子の鍔が歩くごとに揺れている。蒼真は心が少し軽くなった。さっきまでは本当に苦しかった。美波が言う通り自分ひとりじゃ気が狂いそうになる。


「なにしてるの、行くよ」

 美波が振り返る。

「はーい」

 蒼真の頬の膨らみはなくなっていた。


 二人が並んで歩いて二十分、小さなプレハブ小屋が見えた。これが少女の言っていた場所なのだろうか。

 二人はその小屋に近づいてみた。小屋を建てるためなのだろうか、そこだけ木々がない。小屋の上だけ夏の青空がのぞいていた。その強烈な光が朽ちた小屋を浮きださせている。トタン屋根は傾き周りの雑草が壁に絡みついていた。使用されなくなってかなりの時間がたっていることは明白だった。


「ここって、蒼真君のなんなの?」

 少し不安そうに美波が蒼真を見上げる。

「僕にも分からない。ただここに僕が何者なのかが分かるものがあるらしい」

「何者って?」


 蒼真は美波の質問に答えなかった。自分がネイビージャイアントであることは彼女には言えない。蒼真の心に寂しさが湧いてきた。美波は自分がネイビージャイアントだと分かったらどうするだろう。異質な存在として避けて自分の目の前から消えるのであろうか。


 そんな気持ちを抱えながら、彼はそっと小屋の入り口の戸を開けてみた。中は暗くてよく見えない。窓に草がびっしりこびりつき、日の光を取り込めないようにしていた。


「入ってみよう」

 美波が黙って頷いた。

 中は二十畳ぐらいだろうか、薄暗くてよくは見えないが、横長の机が二台、部屋の中央に鎮座している。そしてその上にはビーカーや試験管、バーナーなど、学校の理科室を思わせる器具が置かれていた。


「なにか実験していたみたいね」

 美波がゆっくり部屋の中央に進む。蒼真もその後に続いた。

 ここは父の実験室、蒼真は直感的にそう思った。彼の近くにあった顕微鏡、その横にある埃をかぶったシャーレ。きっとここで父は人が踏み込んではいけない研究に没頭していた。異生物を生み出すという研究に。


「ん? ここになにか書いてある」

 美波が蒼真に呼びかけた。蒼真が慌てて美波の横に行く。美波が見ている視線の先、そこは実験器具が置かれていない机、その空間に何かが見えた。木でできた机に何か刃物で傷つけたあと。

「彫ってあるわね、文字」

「うん」

 薄暗い中では何が書かれているのか分かりにくい。蒼真がポケットから携帯を取り出し、その携帯のライトをその文字に向けた。


「えーと」

 蒼真が映し出された文字を読む。

「蒼真ここに……」

 蒼真の言葉はそこで途切れた。目の前に刻まれた文字「蒼真ここに誕生す」その文字に彼の視線は釘付けになった。三冊目のノートに記されていた同じ言葉がここにも存在していたからだ。


「蒼真ここに誕生す、って、蒼真君ってここで生まれたの?」

 状況が分かっていない美波が蒼真の顔を覗き込む。蒼真の頭は混乱の渦に巻き込まれていた。もしかして、自分はこの実験室で生み出された人工的生命なのか。自分は人間ではないのか?

「蒼真君、顔色悪いよ」


 美波が心配そうに声をかける。しかしその声は蒼真には届かない。自分は父によって生み出された生命、だとするといくつか合点がいく。ネイビージャイアントが人工生命だとすれば巨大化することも、光線を放つことも不思議ではない。なにより、母が自分に戦えと言うことも。自分のお腹を痛めた子供ではない自分に命をかけろといっても全く矛盾がない。いや、しかし……


 蒼真はポケットから小さな箱を取り出した。さきほど叔父の家で見つけた箱、そこには「命名・蒼真 へその緒」と書かれている。そう、自分は人間だ。母から生まれた。そのことをこの箱は証明している。ならばこの文字は何を意味するのだろう?


「そうよね、こんなところで生まれたわけないよね」

 美波が蒼真を気にしながらも無邪気そうに笑った。

「だったらもしかして、ここで蒼真君のお母さんとお父さんが愛し合って蒼真君がお腹に宿ったとか。キャ! ロマンチックね。ご両親の愛の結晶が蒼真君って、ことね。きっとこの文字はそのことを記したかったのよ」

 少しおどけて見せる美波を見ることなく蒼真は机の文字を凝視していた。美波の顔から笑顔が消えた。


「ごめんね、蒼真君、両親を早くに亡くしたから、二人のことあんまり覚えてないのよね。余計なこと言っちゃったかしら」

 蒼真が文字から目を離す、そして美波を見る。

「うんうん、そんなことないよ。今ここに美波と一緒にいれてよかった。やっぱり僕ひとりじゃ心細かった」

 美波がはにかみながら頷いた。


 蒼真は心の底から美波がそばにいてくれたことに感謝した。もし彼女がいなければ、自分が人造人間かもしれないという考えに取り憑かれ、狂気に陥っていたに違いない。彼女がいてくれるからこそ冷静さを保つことができるのだ。そう、彼女の言葉通り、自分はここで母の胎内に宿ったのかもしれない。その思いを父が机に文字として残したのだろう。だがまだ疑問が残る。もしそうであるならばなぜ研究ノートの最終ページに同じ言葉を書き記したのか。異生物を生み出す研究ノートの最終ページに。


 蒼真は落ち着くために大きく息を吐いた。そして改めて部屋の中を見回してみた。光の少ない部屋には一般的な器具ばかりが並んでいる。特別な機材があるわけでもない。これなら神谷研究室やササキ製薬、MEC科学班の実験室の方がはるかに最先端のものが揃っている。本当にこんな場所で生命を生み出す研究ができたのだろうか?


 彼は再び机の上、棚の中、床下、天井裏、あらゆる場所を探してみた。しかし何一つ彼の疑問を晴らすものは見つからなかった。

「蒼真君の探してるものってなに? 私も探すよ」

 美波の呼びかけにも耳を貸さず蒼真はひたすら探し続けた。しかしやはり見つからない。力尽きたように椅子に崩れ落ちる蒼真。その姿を見た美波は静かにペットボトルの水を差し出した。


「ありがとう」

「蒼真君がなにを探しているのか、言いたくなければ言わなくっていいよ」

 水を飲み干した蒼真はふと寂しげな表情を浮かべる美波に目を向けた。

「ごめん、今は言いたくないんだ」


「そう、でも私、蒼真君は何者でも構わないよ。だって蒼真君は蒼真君だもの」

 その言葉に蒼真の胸は締め付けられた。

「ありがとう、うれしいよ。美波は本当に優しいね」

「今頃気付いたの?」

 美波が微笑むと蒼真も自然と笑みを浮かべた。二人の心が温かく包まれるようだった。

 そのとき、蒼真のMECシーバーがけたたましく鳴り響いた。


「はい、蒼真です」

 蒼真はすかさずMECシーバーに応答した。

『こちらスカイタイガー、芦名だ』

「芦名さん、どうしたんですか」

『今、房総半島上空、宇宙船を発見。追跡中。多分君のいる方向に向かっている。気を付けて』

「え、」

 蒼真は慌てて小屋を飛び出した。しかし外に出ると木々が密集しており空を覆い隠している。宇宙船らしきものは見えない。


「了解しました。こちらで町に避難指示を出してもらうようお願いします」

「お願いする。ただ、もしかすると宇宙船は君を狙っているのかもしれない」

「え、僕をですか?」

「君はMECの一員だが一般人だ。気を付けて」

「了解、芦名さんも気を付けて」

 蒼真は美波の腕を取った。

「ここは危険だ。出よう」


 ×   ×   ×


「本部、こちらスカイタイガー、房総半島東の海上に宇宙船発見。追跡します」

『了解、敵の正体が分かっていない。充分気を付けろ』


 吉野隊長の返答に「了解」と応え芦名は宇宙船を追った。確かにあの形は以前から見ている宇宙船と同じものだ。だとすると、敵と考えて間違いない。

 芦名はミサイル発射の解除ボタンを押した。すると、予想通り敵の宇宙船からミサイル攻撃が芦名機に向かって発射された。


「本部、敵が攻撃してきました。こちらも応戦します」

『了解、こちらからも援軍を出す』

 スカイタイガーは巧みにミサイルをかわしながら宇宙船に接近した。そしてミサイルを発射、だが宇宙船に命中しても何も起こらない。スカイタイガーの持つミサイルでは全く歯が立たないのだ。


「かなり強固な金属でできているようだ。おそらく地球外の合金」

 芦名機は宇宙船を観察するため周りを一周してみた。どこかに弱点があるはずだ、だがそんなに簡単には見つからない。

 スカイタイガーが宇宙船の後方に回ったとき尾翼付近からレーザーが放たれた。不意を突かれた芦名機は光線をかわし切れず、その光りが後方部に命中する。


「しまった。燃料タンクがやられた」

 スカイタイガーの翼が火の手に包まれる。

「本部、燃料タンクがやられました。海上に不時着します」

『大丈夫か』

「大丈夫です」

 スカイタイガーは高熱にも耐える合金で作られている。この程度の火災では大きな影響はない。しかし芦名の体は緊張で硬直していた。


「あのときのトラウマで、こういう状況は苦手なんだよな」

 北九州で初めて怪獣と戦ったとき、芦名の戦闘機は怪獣の放つ火炎で燃え上がり激突した。誰もが、いや、本人でさえも死んだと思った。しかし炎に包まれながらどこからか女性の声が聞こえた。

「まだ死んではいけない。まだあなたにはやることがある」


「あのときと同じだ」

 芦名は機体をできるだけ水平に保ち、海上、それもできるだけ船舶のない沖に向かった。その間も炎が機体を覆っていたが彼は冷静さを保ち続けた。


「死なないって分かっていても結構怖いな」

 芦名は目を閉じた。その瞬間、どこからともなく声が聞こえてきた。そう、あのときの女性の声が再び響いたのだ。


「芦名雄介。私の言うことをよく聞きなさい」

「誰なんだ、お前は」

 芦名を無視するかのように女性の言葉は続く。

「今、宇宙人は新たに宇宙生物にフレロビウムを与えることで凶悪な宇宙怪獣を作ろうとしています。あなたはネイビージャイアントを助けその怪獣を倒さなければなりません」


「新たな宇宙怪獣?」

「そうです。なので私はあなたに新しい武器を授けます」

 その声と共に芦名の手に何かが握られた。それは赤く輝くサーベルのような剣だった。

「これは?」

「ネイビーサーベル。どんなものでも切断できる武器です。これを使ってネイビージャイアントを助けるのです」


「どうやって使うのです。そもそもネイビーをどう助けろと」

「大丈夫、きっとあなたならできる」

「しかし」

 と言いかけたその瞬間、スカイタイガーに大きな衝撃が走る。その機体が海に突っ込んだのである。


 ×   ×   ×


「あ、芦名さんが」

 海岸で美波と蒼真は宇宙船とスカイタイガーの激しい戦闘を見上げていた。

「大丈夫、あれぐらいでスカイタイガーは破壊しない」

 蒼真は冷静さを保ちながらも海上付近に目を向けた。その視界の端に何か黒いものが動くのを捉えた。

「?」

 蒼真は何かいやな予感がした。そしてその思いを払拭すべく黒い影の方向に走っていく。


「待って、どこ行くの」

 美波の呼びかけを無視し蒼真は影が入り込んだ岩陰に回り込んだ。そこにはまるで彼を待っていたかのように一人の男が立っている。慌てて追ってきた美波が蒼真の横に立ちその男を見るや恐怖で顔が硬直した。

「蒼真君、気を付けて。その人宇宙人!」

 彼らを待ち構えていたかのように黒衣の男が不気味に嗤う。


「阿久津蒼真君、はじめまして」

 蒼真が身構え、美波は彼の後ろに身をひそめた。

「君には今日まで我々のやりたいことを邪魔されました。誠に遺憾です。そこで本日はそんなあなたにお目にかけたいものがあります」

 そう言うと黒衣の男が横に歩いた。その後、彼の陰に隠れたいたのであろう、異様なムカデ型の生物が姿を現した。


「これは、太陽系以外の惑星から連れてきた宇宙生物です。今、この地球に連れてこられて興奮しています。つまり怒っている」

「まさかこの生物を」

 蒼真の言葉を無視して黒衣の男は自らの話を続けた。

「そうです。この生物は地球にはない硬度の高い皮膚で覆われています。どんな攻撃でも跳ね返すことができるでしょう」


 ムカデ型の生物は体をくねらせ大きく手足を広げた。地球の生物で言えば威嚇の表現だが、おそらくこの地球外生物も蒼真たちを威嚇しているのだろう。

「やめろ、その生物になんの罪がある」

「そう、彼には罪はありません。あるとすればあなた、阿久津蒼真に罪があります」

「なに!」

 黒衣の男が静かに右手を上げると上空にスカイタイガーを墜落させた宇宙船が現れた。


「美波、逃げろ。あの生物が巨大化する」

 蒼真は美波の手を取って走り出した。宇宙船から白い霧状のものが放たれ、それが地上のムカデ型生物に降り注いだ。

「ギャオー」

 蒼真たちの後ろで大きな咆哮が鳴り響く。


「逃げろ!」

「助けて!」

 海岸にいた海水浴客たちは一斉に逃げ出した。巨大化した生物、ムデカが一歩、また一歩と町の方へ歩み寄っていく。人家がムデカに踏みつぶされ、火災が発生する。人々は慌てて山の方へ逃げ出した。

 蒼真の記憶がよみがえる。あのときと同じだ。あのときも自分は山の方へ逃げた。あの大地震があった日を思い出す。


「あ、病院が」

 美波が叫ぶ。ムデカが向かっているのは海岸沿いの市民病院。そう、蒼真の母が務めていた病院だ。

「美波、ここで待ってて」

「でも、蒼真君ひとりでなにができるの」

「大丈夫、みんなを避難させるだけだよ」

「ほんと?」

「あゝ」


 蒼真は思い出した。あのとき自分を山側に避難させ、自らは一人で病院に向かった、あの母の姿を。今なら分かる、母の思いが。人類がどう、自然破壊がどう、そんなことは関係ない。あの病院には逃げられない患者さんたちが大勢いる。助けたい、助けなければ、そこに理由などない。


「美波、大丈夫だから、ここにいて」

「分かったわ」

 蒼真は駆けだした。病院に向かって。

「たぶん母さんなら、最後まで病院にいて、患者さんを避難させてたよね。そう、母さんは自分の身を捨ててでもみんなを助けたかったんだよね。だから僕もいく。僕はそのために力を与えられたんだから」


 蒼真の腕時計が青く光る。

 ムデカと病院の間に青い光が天に向かって伸びた。現れたネイビージャイアントにムデカは身をよじらせて怒りをあらわにする。ムデカはそのまま病院に向かって突進、それをネイビーが受け止めた。しかしムデカの力の方が強くネイビーはじりじりと後退していく。ネイビーが後方の病院を見る、距離はわずかしかない。


 ネイビーは全力を振り絞ってムデカの腹に蹴りを入れた。怯んだムデカ、その隙にネイビーはムデカと体を入れ替え、後方へ大きく投げ飛ばした。地面に横たわるムデカ。


 ネイビーはムデカに近づきその巨体を大きく持ち上げた。そしてムデカを海へ放り投げる、すると大きな水しぶきと共に波が海岸に押し寄せた。怒り狂ったムデカが海上に姿を現す。その足が体から切り離されてネイビーへ矢のように飛んできた。ネイビーは避けたが一本が彼の足に刺さり呻きながら膝をついた。


 ムデカがネイビーに近づこうとしたとき赤い光がネイビーに飛び込んできた。彼の体が紫紺に変わりそのまま腕をクロスして赤い光線を放った。強烈な赤い光線を受けたムデカだったが、その光線を跳ね返すかのように無傷でネイビーに迫ってきた。それほどムデカの皮膚は強力なのだ。


 ムデカの一本の足がネイビーに接近し彼の首に巻き付いた。ネイビーは苦しみ、触手を振り払おうとしたが、今度はムデカの別の触手が彼の両手に絡みつく。ネイビーは身動きが取れなくなる。ムデカの口から火炎が放たれた。その攻撃が直撃してネイビーは跪いた。このままではやられてしまう。ネイビーは触手で動かない右手を力ずくで払いのけ、天に向けて伸ばした。するとその手に赤い光が現れ、彼の手には赤いサーベルが握られていた。


 ネイビーはそのサーベルを振り下ろし、右手、左手、そして首に巻き付いていた触手を次々と切り落としていく。ムデカは怒り、そのままネイビーに突進してきた。ネイビーはすかさずサーベルでムデカの首を切り落とした。落ちた首からは赤い光があふれ出す。ネイビーがゆっくりと左手を突き出す。落ちた首に青い光線が当たると、その胴体も動きを止め、ムデカの首も胴体も音もなく消えていった。


 ×   ×   ×


「もう、本当に心配させるんだから」

 駆け寄ってきた美波の頬がぷっくりと膨らんでいる。砂浜に一人立つ蒼真はそんな彼女を優しい笑顔で迎えた。

「ごめん、でも僕だってMECの一員だよ」

「でも科学班じゃない」

 美波はさらに頬をぷっくりと膨らませ、蒼真の腕をしっかりとつかんだ。


「本当に心配したんだから」

「ありがとう」

 蒼真の心は再び温かくなった。

 彼の前の海は、まるで何事もなかったかのように穏やかに波打っている。さっきの騒ぎで誰もいなくなった浜辺には、蒼真と美波だけが残っていた。蒼真は遠くにある病院の建物に目を向ける。そこにはさっきと変わらない建物が静かに佇んでいた。


「病院無事でよかったわね」

 蒼真がゆっくり頷く。

「蒼真君のお母さんも、きっと蒼真君と同じように最後まで病院に残ってたんでしょうね」

「多分母さんは弱い人を助けないといても立ってもいられない性分だったんだと思う。僕の周りの人はみんなそう言っていたから」

「そうなんだ、すてきなお母さんね」

 美波も病院を見つめながら蒼真に寄り添った。


 そう、美波の言う通り彼の母は素晴らしい人だった。自らの命を顧みず弱い人々のために尽力した。その血が自分にも流れていると考えると蒼真の心は少し軽くなった。そうだ人を助けたいと思う気持ちに理由なんていらない。人類が地球を破壊しようが、他の生き物の命を奪っていようが、そんな悪い人ばかりではない。弱い人々、助けを求める人々のために戦うこと。それは立派な理由になる。それ以上でも、それ以下でもない。


「母さん、見ていて。どんなに宇宙人が誘惑しても僕は迷わない。人を救う。弱い人たちを守る。だって僕は母さんの子供だから」

 蒼真は大海原を見ながらそう誓った。

《予告》

百合は家事ロボットアメックスと共に生活を送っている。しかし仕事ではミスが発生しストレスが溜まっていく。イライラする彼女が麻袋を取り出す、気付いた蒼真が百合取り上げるのだが、次回ネイビージャイアント「快適な生活」お楽しみに

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