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ネイビージャイアント  作者: 水里勝雪
12/75

第十二話 誰がために・・・

♪小さな生命いのちの声を聞く

 せまる不思議の黒い影

 涙の海が怒るとき

 枯れた大地が怒るとき

 終わる果てなき戦いに

 誰かの平和を守るため

 青い光を輝かせ 

 ネイビー、ネイビー、ネイビー

 戦えネイビージャイアント

「本当にここに捨てていいんですか?」

 白いシャツを着た青年が作業服を着た中年男に尋ねる。

「いいに決まっているだろう」

 富士の樹海、千二百年前、富士の噴火によって焼き尽くされた溶岩の上に緑が芽吹き、人を寄せ付けないほどの森林が広がる。踏み込めば人は迷い、二度と出てこれないという伝説まであるこの森に、二人の男が軽トラックを乗り付けてやって来た。その荷台には幾本ものドラム缶が積んである。


「いいか、俺たちは人助けでやってるようなもんなんだ。そうだろう、人が幸せに生きるためにはゴミが出る。誰かがそれを処理しないといけない。そうしないとみんなが困るだろう」

「はぁ」

 青年は中年男の言葉を飲み込めないままうなずいた。


「まぁきれいごとはそこまでにして、健太、お前、金が欲しいんだろ」

「金、欲しいです」

「なら黙って捨てろ」

「はぃ」

 健太は近くの軽トラまで走っていった。ふと見上げると空は見えなかった。鬱蒼とした木々に光が遮られ、とても昼間とは思えない暗さが彼らの行為を見えなくしていた。


「はぁー」

 ため息を吐きながら健太は荷台に乗り込み、一番後輪に近いドラム缶を力いっぱい蹴飛ばした。ドラム缶は勢いよく飛び出しそのままトラック後部の崖を下りていった。転がるドラム缶は幾本もの木々にぶつかりながら小さくなっていき、どこかの大きな岩にぶつかったのだろうか、大きな音が森に響き渡った。鳥たちがその音で慌ただしく飛び去っていく。


 健太がしゃがみ込むとそこにはどす黒い液体がドラム缶の軌跡を描いていた。

「これは俺のせいじゃない。仕方がないんだ」

 健太は独り言をつぶやきながらもう一個のドラム缶の前に立った。

「仕方ない」


 健太がもう一本のドラム缶を蹴飛ばすと再びドラム缶が大きな音を立てて崖を下っていった。もう鳥たちはいない。羽ばたく音も聞こえない。ドラム缶の影が見えなくなったところで健太は大きく息を吐いた。


 ×   ×   ×


「母さんはどうしてこんな手紙を」

 蒼真は一人自分の部屋で母の手紙を開いた。梅雨末期の曇り空、弱い陽の光が手紙の文字を照らし出している。

「どうして君はネイビージャイアントに興味を持たないんだ」

 森田の顔が浮かぶ。確かにそうだ、今までネイビーとは何者かを深く考えたことはなかった。


「父さんが発明した異生物。それは人のエネルギーとフレロビウムが反応することで怪獣となる。ならばネイビーは? 何に反応して巨大化する? そもそもこの時計にどんな秘密が」

 蒼真は左腕を見つめた。腕時計は何も語らずただ静かに時を刻んでいる。


「そう言えばネイビーが放つ青い光、あれは人の怒りを治める光、そう森田は言っていた。怒りを治めるとはどういう意味だ。それで怪獣がなぜ消えるのか」

 蒼真はもう一度手紙に目を落とす。その目に「怪獣殲滅の兵器」という文字が入った。


「兵器ってどういう意味? 普通戦士とか兵士とか言うよね。もしかして」

 蒼真は自分の頬をつねる。

「痛い」

 痛いと言うことは……

「自分は人間だよね」

 蒼真が手紙に問いかける。手紙は何も言わない。


「だめだ、分からない」

 蒼真の頭の中は混乱していた。ネイビーとは何者なのか、自分は何の異生物と融合しているのか、それと怪獣とは何が違うのか。彼は足元にあった段ボールを開けた。そこには三冊のノートが入っている。以前も開いたことがあったが、そこにはヒントとなるようなものは書かれていなかった。それでも、もう一度ノートを開いてみることにした。


「うーん。やっぱりない」

 蒼真は頭を天井に向けて見上げた。

「これ以上のことは分からないか」


 彼はそっと目を閉じる。脳裏に今まで戦ってきた光景がよみがえった。最初にプロサウルスと対決したときは無我夢中だった。そしてトリネックと戦ったとき、初めて意識を失って戦った。怪獣を倒したあとの街が大きく破壊されたあとを見て、自分の力が恐ろしくなった。自分には怪獣から人類を守る力がある一方で、破滅に追い込む力も持っている。意識のない状態で何かの間違いが起これば……

 先日の戦いでの森田の言葉が耳に残っている。


「ネイビー、お前は単なる人殺しに過ぎない」

 確かにこれまで幾体かの怪獣を死に追いやった。しかしそれはフレロビウムと融合したれっきとした人間。そう考えると急に蒼真は怖くなってきた。自分が今までやって来たことは……

「そう、あなたは人殺し」

 蒼真は女の子の声にハッとして振り返った。


「君は誰?」

 少女はその真っ暗な瞳で蒼真を真っすぐ見つめた。

「あなたは何人殺したの?」

「!」

「もうすでに十人、あなたに殺された人の数は十人!」


「やめろ!」

 蒼真は耳を塞いだ。

「人を殺してはいない。怪獣を、怪獣を倒しただけだ」

「怪獣ではないわ、あれはれっきとした人間よ」

「うるさい!」

 蒼真はその場にうずくまった。


「一体あなたはなんのために人を殺しているの?」

「僕は、僕は…… 殺してはいない……」

 少女は無表情のまま蒼真を睨みつけていた。

「あなたが守っているのは人類?でもね、あなたがどれだけ守っても人は愚かな行為を繰り返す」

「?」

 そう、自分はなぜ戦っている? 誰のために?


「そう、そんな愚かな人類のためにどうして戦っているの? あなた自身が怪獣に殺されるかもしれないのに」

 少女の言葉が蒼真の心に突き刺さった。一体、自分の命までかけて誰を守っているのか。そこまでして父が犯した罪を償わないといけないのか?


「やめるべきよ、戦うことを」

 蒼真が思わずうなずきかけたが、ハッと気づき首を左右に振った。

「僕は、僕は戦わなければならないんだ。なにがあっても戦わなければならないんだ」

 少女が笑った。

「続けるの? 人殺し」

 蒼真が息を飲んだ。


「人殺し……」

「やめろ!」

 蒼真は再び耳を塞ぎ、目を閉じた。 

 なぜだ、なぜ自分だけがこんな苦痛を味わう? 本当に自分が戦わないといけないのか? 本当に父の贖罪を自らが行わなければならないのか……


「なにしてるの?」

 蒼真が目を開けるとそこには美波が不思議そうな顔をして彼を見つめていた。

「ノックしたんだけれど全然返事がないから入ってみたら、耳を塞いでかがみこんでいるんだもん」

 蒼真は立ち上がり辺りを見回した。


「あれ、女の子は?」

「女の子?」

 美波は周りを見渡した。

「誰もいないわよ」

「おかしいな、そこに小学生ぐらいの女の子がいたんだけど」


「?」

 美波が首を傾げた。

「なに、寝ぼけてるの?」

 蒼真も首を傾げた。

「おかしいなぁ」


「そんなこと、どうでもいいから教授室に集まって!」

 美波の眉が逆ハの字になる。

「なにかあったの?」

 逆ハの字の傾きが大きくなった美波がさらに頬も膨らませる。

「この近くの樹海で産業廃棄物が不法投棄されていたらしいの」


「産業廃棄物?」

「そうなの。かなり周りの自然が汚されたみたいで、剣からの要請で、生態系に与える影響を調べて欲しいって依頼があって」

「汚された?」

「うん、詳しくは聞いてないけどかなり広範囲に影響が出ているみたい」

 蒼真がうなずいた。


「分かった。すぐ教授室へ行くよ」

 蒼真は美波をおいて部屋を出た。自然が汚された。さっきの少女の言葉が蒼真の耳によみがえる。

『あなたがどれだけ守っても人は愚かな行為を繰り返す。そんな愚かな人類のためにどうして戦っているの? あなた自身が怪獣に殺されるかもしれないのに』

 蒼真が頭を振った。彼は少女の言葉を振り払うが如く足早に教授室に向かった。


 ×   ×   ×


 現場に到着した蒼真の目に映ったのは、かなり腐敗した鹿の死骸と、その横に横たわるキツネの死骸。それ以上に目についたのは、おびただしい数のカラスの死骸だった。

 死骸の群れをしゃがみこんで調べていた八尾が大きなため息を吐いた。


「ひどいな、みんな硫化水素の化合物が原因で死んでいる」

 蒼真はかがんでおびただしい生物の屍を見つめた。その辺りに生える植物には黒い付着物があり蒼真はピンセットでそれをつまんでみた。

「これがみんなを殺したのか?」

 蒼真は黒い物質を小瓶の中にしまった。


「植物に付いたこの毒物を草食動物が食べて死んだ。その毒物が体内に残っていて、死骸を喰らいに来た肉食獣が死ぬ」

 蒼真の表情が苦痛に歪む。そして天を仰いだ。しかし樹海の中、見上げても空は見えない。樹海の木々の葉が完全に空を覆いつくし、太陽の光が地面に到達するのを防いでいる。わずかな光が蒼真の周りの屍を映し出していた。


 神山教授以下、七名の研究員がその薄暗い森を懐中電灯片手に周りの悲惨な状況を見守っている。

「ひどいことしやがる」

 八尾の言葉が蒼真の後ろから聞こえた。

「これが人の仕業」

 蒼真の心に少女の言葉が思い浮かぶ。


「あなたが守っているのは人類? でもね、あなたがどれだけ守っても人は愚かな行為を繰り返す」

 人の愚かな行為で自然が傷つく。そう、人の都合で罪もない命が失われていく。確かに少女の言うことに間違いはない。ならば……


「まず廃棄物の特定と生物の死因との因果関係の調査だ。とりあえず毒物の採取を急ごう」

 神山教授の号令に周りの研究生たちが一斉に動き出した。蒼真は辺りを見渡す。今いる位置から少し離れたところに切り立った崖があり、その反対側の木の茂みに人間一人ぐらいの大きさのドラム缶が幾本も散らばっている。何人かの研究生がそのドラム缶に近づいていった。


「おそらくあのドラム缶に廃棄物が詰められてたんだろうな。だとすると」

 蒼真が崖を見返す。

「あの上からドラム缶を落としたことになるな」

 蒼真は崖からドラム缶まで一本の黒い線ができていることに気付いた。そこからドラム缶の軌跡がたどれる。そしてその脇には屍が横たわっていた。


 フッと息を吐き蒼真は研究員たちが集まっているドラム缶とは反対側の崖の方へ向かった。もしかするとこの上に犯人の痕跡があるのではないかと考えたのだ。こんな愚かな行為をする人間がどこか許せなかった。自分はそんな奴らのために戦っているのではない、そんなことをする奴は特殊な人間だと、ある意味そう思いたかったのかもしれない。


 崖を登る道を見つけることは容易ではなかった。そもそも道などない。おそらくイノシシが通ったであろう獣道を登っていく。何度も足を取られながら崖を登り切ったときには、蒼真の服はドロドロになっていた。


 蒼真は周囲を見渡し黒い線の延長線上に立っていることを確認した。そこはやや平たい地面が広がり、足元の草が倒れていた。その形跡が細い二本のラインになって森の外へと続いている。

 蒼真がしゃがんで倒れた草を確認する。


「ここまで車で入って来たってわけか」

 ふと顔を上げたとき、彼のいる位置から数メートル先、大木の陰に人影が見えた。

「あれ?」

 蒼真が目を凝らすと、そこには白いTシャツを着た若い男の姿が半分覗いていた。蒼真が近づくと白い影は木の影に完全に隠れた。

「君!」

 蒼真が慌てて駆けだすと白い影が大木を離れて走り出した。


「待って!」

 蒼真もその男も足元の草や木々の根に足を取られ、思うように進まなかった。白い影が転ぶと、蒼真がやっとの思いで影に追いついた。

「なんで逃げるの!」

 蒼真が男の腕をつかむ。

「俺は関係ない」

「?」


 男が蒼真の腕を振り払う。

「じゃぁ、なんで逃げたの」

 男が蒼真をキっと睨みつける。

「仕方ないんだよ!」

「仕方ない?」

 蒼真が思わず首を傾げた。想定していない回答だったからである。


「仕方ないって、どういう意味?」

「それは……」

 男が立ち上がると、そのとき手に握っていた土を蒼真に投げつけた。

「わっぁ」

 蒼真の目に土が入り、彼がその場にうずくまる。


「仕方ないんだ。誰かがやらないと、どうしようもないんだ」

 そう言い残すと男が走り去っていく靴音が蒼真の耳に入ってきた。

「待て!」

 蒼真が立ち上がった。しかしそのときには、男の姿は木々に阻まれ見えなくなっていた。


 ×   ×   ×


 健太が自分の部屋に泥だらけになって転げ込んできた。やっぱりばれたか。誰かに見られることは分かってたのに。

 彼はごろりと畳の上に大の字になった。薄汚れた天井が彼の目に入る。小さな窓からの光は隣に立つ高級マンションのおかげでほぼ遮られてこの部屋にまで届かない。薄暗い部屋のはずなのに天井のシミははっきり確認できる。


「同じだな」

 子供の頃から何も変わっていない。薄暗い部屋も、天井のシミも。

 父は働かなかった。酒と賭けごと、そして暴力。そんな家庭だったわけだから貧乏だった。今と変わらない薄暗いアパート、小学生の頃からよくこうやって大の字になって天井を見上げた。そこにもやはりシミがあった。


 一度、友達の家に遊びに行ったことがある。その家の天井は真っ白だった。シミはなかった。こんな家があるんだと思った。もう少し高学年になるとほとんどの家はシミなどない家らしいことが分かって来た。子供心に自分の家が特殊だと分かる。そんな天井にシミのない家に住むなんて、縁のないことだと分かっていた。


 中学の頃父親が家を出て行った。出て行ってくれたときは心から清々した。だがそれも束の間だった。母親の少ない稼ぎでは高校卒業もままならず、やがて母が体を壊してあっという間に死んでいった。高校を中退して行き場のなくなった健太を拾ってくれたのは今の会社の社長、それは哀れみではなく、安い賃金でこき使える男が欲しかっただけ。


 彼は社長の言うことを聞くしかなかった。生きていくため、だからどんな言いつけにも従った。廃品回収で集めた家電を非公式なルートで売り飛ばす、車を盗んで海外へ密輸する、当然、産業廃棄物も闇で海に捨てた。とくに産廃は金になった。費用を削減したい中小企業は設備導入して産廃を処理するより健太たちに任せた方がコストは安い。健太たちも収入源として付加価値があった、世に言うWin―Winの関係なのである。社長は常々言う。


「この世の中には必要悪って奴があるんだ。俺たちは世の中から必要とされているんだ、胸張って生きていけばいい」

 幸せな奴らは何でも捨てる。自分が楽しむためなら何でも。ありとあらゆるものが捨てられる。それは自分たちが豊かな生活を送るため、そして危険なものは自分たちの知らない誰かに任せる。だから捨てられたものは誰かが後片付けしないといけない。


「それのなにが悪い」

 後片付けは俺たちのようなゴミのような人間がやる。そう、自分も世の中から捨てられた。そう考えればこの仕事は天職かも。


 しかしここ最近、海に捨てるにはリスクが高くなってきた。海岸沿いの警察の監視が強化されたのだ。警官だけではなく、監視カメラや住民による見回りなど、いろいろな目が健太たちの作業を妨げるようになった。海はまだいい。広い海は彼らの罪を薄めてくれる。母なる海の浄化に健太は救われてきた。しかし今回は違う。


「仕方ない、誰かが、誰かがやらないと」

 健太は体を横に向けカブトムシの幼虫のように体を丸めた。彼の脳裏に死んだ鹿やキツネ、カラスの姿が映る。

「俺は、俺は殺していない。あいつらが勝手に食って死んだだけだ」

 健太は自らの言い訳を心の中で繰り返した。


「俺は悪くない。人間が、豊かな奴が悪いんだ。そいつらの後始末をしているだけ、本当に悪いのはそのことを知らずにのうのうと暮らしている幸せな奴らだ」

 健太の耳に近くの公園から子供たちの声が聞こえる。その声のなか、母親だろうか、大人の女性の声が聞こえた。

「……ちゃん、帰るわよ。早く帰ってご飯にしましょ」


 健太は子供の頃を思い出す。母は優しい人だった。あんなダメ親父でなければ彼女も幸せだったに違いない。その母にいつも甘えていた。母はいつも幸せそうに自分を抱きしめてくれた。そんな母も過労で死んだ、誰かの幸せのために。彼女も捨てられたようなもの。この世の中すべては幸せな奴らの後始末。

「誰かがやらないと……」

 健太の目から涙が一粒こぼれた。


 ×   ×   ×


「信じられない。そんなひどいことする人がいるなんて」

 研究所のリビングで美波が口を尖らせている。彼女の表情には不満がにじみ出ていた。何かが彼女を苛立たせているようだ。

「そんなことをしたら森の生き物はみんな生きていけないじゃないの」

「そうだよ、誰なんだ、そんな悪事を働く奴は。天に変わって成敗してやる」


 八尾がおどける。しかし美波の怒りは収まったようには見えない。

 樹海の調査をした夜、泥だらけで帰宅した蒼真たちは遅い夕食をとっていた。もう夜も更けてきて時間は午後十一時になっている。ひとりリビングで物思いにふけっていた蒼真の横に美波が座った。そこに八尾がくっついて来たのである。


「きっとすごい極悪人の顔してんじゃない」

 八尾が顔をしかめる。

「なに八尾君、その顔、極悪人のつもり?」

 不機嫌だった美波が噴き出す。

「でも、そんな感じじゃなかったけどな」

 蒼真が天井を見上げるようにソファーの背もたれに寄りかかった。


「蒼真が見た男が犯人とは限らないんだろう」

「そうだけど」

 蒼真が首を傾げながら、

「誰かがやらないと仕方がない、って、どう聞いても自分が犯人ですって言っているようなもんじゃない?」


「確かに、そうね」

 美波が前のめりになって蒼真の言葉を追認する。

「で、その男のことは警察へ伝えたの」

「うん、一応、特徴は伝えておいたけど」

 蒼真は天井を眺めたまま、


「あの軽装なら近所の人じゃないかな」

「ならすぐ捕まるね」

「それならいいけど……」

 蒼真は天井から目を離さない。


「納得いってなさそうね」

「うーん。なんかね」

「なにかって?」

「なにか事情がありそうな雰囲気だったんだ」

 八尾が耳たぶを掻きながら、


「誰にだって事情はあるだろ」

「そうだけど、なんかこう、言いようのない、なにか」

「さっきからなにかしか言ってないぞ」

 八尾の口が歪む。

「で、どんな事情がありそうなの?」

 八尾と対照的ににこやかな美波が問う。


「よく分からない」

「なにそれ、そんな分からないこと心配しててもしょうがないじゃない」

 今度は美波の口が尖る。

「廃棄物を捨てたのは罪だけど、その廃棄物を作った人は罪にならないのかなぁ」

「?」

 美波と八尾が顔を見合わせる。


「もっと言うと、その廃棄物でできたものの恩恵を受けている人は罪にならないのかなぁ」

「蒼真君は犯人だけが罪を被るのはおかしいって言いたいの」

「どうなのかなぁ」

 蒼真は変わらず天井を見ながら、

「人間が廃棄物を生み出しているのは事実。それを違法に廃棄すれば罪、合法に処理すれば罪じゃない。でも正規の場所に処理しても、それを埋め立てればそれが自然に対してどう影響するか誰にも分からない」


 蒼真は彩から聞いた話を思い出した。彼女が会った宇宙人はこんなことを言っていたらしい。

『地球は人間が環境を破壊し続けていて、これから先、生命が住み続けることができない星になる』

 今、蒼真の心に浮かぶモヤモヤはこの宇宙人の言うことに通じるのだろうか。人類が地球の生物を絶滅に追いやるのだろうか。今朝の少女の言葉が蒼真の耳の中でよみがえる。


『あなたがどれだけ守っても人は愚かな行為をする。なぜそんな人間のために命がけで戦おうとするの』

 だとすれば自分は何のために戦っているのか。この星を滅ぼすかもしれない人たちのためなのか?

「でも、やっぱり私は捨てた人を許せない」

 美波の眉間に皴が寄る。


「だって、そこに捨てれば死んじゃう生き物がいるのよ。未来じゃなくて今、目の前にいる動物や植物が傷つく、それが分かっているのに捨てるのは、やっぱり許せない」

 美波の語気が強まる。八尾から大あくびが漏れる。


「まぁ、どちらにしても蒼真が見た男が犯人かどうか分からないし、明日もまだ調査が続くし、今日はこれぐらいにしないか」

「そうね、みんな疲れているし、ね、蒼真君」

 蒼真が変わらず天井を見たまま美波の言葉に答えない。


「蒼真君?」

 蒼真の頭は変わらず天井に向いている。彼の呼吸が一定のリズムを刻む。

「?」

 美波が蒼真の顔を覗く。彼の目は閉じ、口は半開き、小さないびきが聞こえる。


「寝てる」

「あんまり運動しないこいつが今日は動き回ってたから、よっぽど疲れたんじゃないか」

「そうかもね」

 美波は蒼真の寝顔を見ながら少しほっとした。さっきから蒼真の言葉に何か悩みのようなものを感じていた。何かよく分からないが、そんな気がした。

 美波は近くにあったひざ掛けを広げ彼の体に掛けた。美波の好意に気付かず蒼真は眠り続けていた。


 ×   ×   ×


 朽ち果てた大木が静かにその命の終焉を迎えている。根元には黒い液体が染み込み、養分を吸い上げることができなくなったその姿は、まるで生きていた頃の記憶を留めているかのようだ。木の洞には二匹のリスが横たわり、彼らの傍らには黒ずんだ木の実が散らばっている。リスの死骸は半ば朽ち果て、毒に汚染されたその体には微生物が群がり肉を分解している。どんな環境でも生命は生き抜こうとする、その姿はどこかの本に書かれていた通りだ。


 神谷研究室の調査は完了していた。毒物の特定も動物たちの死因もほぼ明らかになった。残るはこの環境で生物がどのように変化していくかの予測だけだ。神山教授は自然治癒の力で樹海の自然は保たれるだろうと言っていた。


 目の前の死骸はその言葉を裏付けるかのようだ。しかしこの二匹のリスの命は戻らない。それで良いのだろうか?

 蒼真は混乱していた。調査が終わった今でも彼はここに足を運んでしまう。本当に正しいとは何なのか? 人は自然を、地球を滅ぼす。その人を守るネイビー。それは正しいことなのか?


「自分はなんのために戦っている? それは母の言いつけ。母が戦えと手紙で書いて来たから」

 蒼真は二匹のリスの亡骸を掘り起こしたばかりの地面の穴にそっと置いた。物言わぬリスたちは静かに横たわり、蒼真はできるだけ汚染されていない土を掛けて穴を埋めた。彼の心には、彼らに対する申し訳なさが込み上げてくる。


「ごめんね。ごめんね」

 蒼真の目からは涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。こんなことをする人間をなぜ自分は守っているのか。自分は誰を守ろうとしているのか。彼の心は混乱していた。「なんで泣いてるんだ。お前が泣くことないだろう」

 その声に蒼真は弾かれたように振り向いた。人がいるとは思っていなかったからだ。


「これは全部俺がやったんだ。俺が殺したんだ、木も草も動物も」

 そこにいたのは以前見かけた白い影の青年。

「君は……」

「俺が悪徳廃棄物業者に雇われてここに毒物を捨てたんだ」

「君が……」

 男は蒼真を睨みつけたまま一、二歩蒼真に近づく。


「しかしな、俺は悪くない。俺自身が生き延びるためには仕方がないことなんだ」

「仕方がない?」

 蒼真が拳を固く握る。

「お前が生きていくために多くの生き物が死んだんだ。それでも仕方ないって言うのか」

「俺だけが悪いんじゃない、そのゴミを捨てた奴も悪い。その毒物を使って便利な道具を手に入れて幸せそうに暮らしている奴らだって悪い」


「それは詭弁だ」

「俺が詭弁なら、お前は偽善だ」

「偽善?」

「そう、お前だって生きていくために誰かの命を奪っている。魚、牛、豚、鳥、野菜だって植物だ。その命を奪っているからお前は生きている。ここの生き物の命が失われたのもやむを得ない。そう考えるのが自然だろう。自分が危害を加えていない生き物の死を見て涙する方が偽善だ」


「……」

 蒼真は言い返せなかった。自分は人類を守るという名目で怪獣を、いや、人を殺しているのだから。

「お前の偽善を言い当てられてなにも言い返せなさそうだな」

 健太が嗤う。蒼真はさらに拳を固く握りしめた。

「なら、なぜ君はここにいる?」

「?」


「君は、自分の行った行為を悔やんでいる。だから心が苦しくなってここに来ているのでは?」

 健太が固まった。

「なら、僕と一緒に泣いてくれないか。僕はただ哀しいだけなんだ。ただそれだけのこと」

「……」

 健太は黙り込みその目から涙が一粒流れた。


「いたぞ、捕まえろ」

 数十メートル離れたところから大きな声が響いた。蒼真が振り向くと数人の警官たちが健太を目指して走ってくるのが見えた。

「俺は、悪くない。悪いのは人間だ」

 そう言い残して健太は走り出した。


「待て!」

 警官たちが追いかける。蒼真は呆然とその光景を見送った。

 健太は木々の間を抜けて逃げた。足が木の根に取られ、ふらつきながらも蒼真から遠ざかっていく。蒼真もハッと我に返り、追いかけ始めた。警官たちが健太に迫っていく。かなり近づいた、そのとき……


「わぁっ」

 一人の警官が倒れた。その場で痙攣して倒れる。

「わぁっ」

 また一人、また一人と警官たちが次々に倒れていく。蒼真は辺りを見回したが、何か不審なものがあるようには思えなかった。それでも追跡していた五名の警官がすべて倒れてしまった。蒼真は逃げる健太に目をやる。そのとき、白い霧が彼の辺りに湧き上がってきた。


「あれは!」

 蒼真は立ち止まった。やがてその白い霧が消えたとき、健太の姿は跡形もなく消えていた。


 ×   ×   ×


 MEC科学班の実験室では職員たちがそれぞれの兵器開発に取り組んでいた。蒼真は与えられた自分の机で自らの左手をじっと見つめていた。兵器…… 彼は手元の手紙を開いた。そこには母の字が綴られていた。


『あなたには酷なお願いをします。怪獣による人類滅亡を防ぐため、怪獣殲滅の兵器として戦ってください。お父さんの贖罪を、お父さんの意思を次いで、そしてお父さんを殺した宇宙人の野望を阻止するために』


 自分が戦っている理由はこの手紙のせいだ。なぜ母はこんな手紙を残したのか。

『あゝ、あなたを危険な目にあわせたくない。でもあなたしかできないのです。不遇な運命を背負わせた母を許してください。』


 母は何を望んでいるのだろう。愛する息子を死の危険にさらしてまで何を求めているのか。父のせい? それとも……

 蒼真は頭を振った。そんなはずはない。母は自分を愛していた。小さな頃の記憶しかないが、間違いなく母の愛を感じていた。彼女が自分が死んでもいいなんて思うはずがない。


「大丈夫か?」

 蒼真の背中から声がした。振り返るとそこには芦名が立っていた。

「なんか元気ないぞ」

 芦名が蒼真の肩を軽く二度ほど叩いた。

「大丈夫です」


「そうか?そうには見えないが」

 芦名は蒼真の横のパイプ椅子に腰かけた。

「芦名さんはどうして戦っているんですか?」

「?」

 芦名が軽く首を傾げる。


「怪獣に係ることに疲れたのかい?」

「そう言うわけではないですけど」

「そうかい、だいぶん疲れているように見えるけど」

「以前、彩さんの前に現れた宇宙人と名乗る男の言うことが正しいんじゃないかって思いだして。人類は地球を滅ぼす、だから怪獣は自然の摂理、自然からの反撃」


「ほう」

「僕は誰のために戦っているか分からなくなって」

「なるほど」

 芦名が腕を組み語り始めた。


「どうして戦っているかかぁ。あんまり考えてこなかったけど」

 芦名が首を傾げながら、

「もともと自分が防衛隊に入った理由は、確か、かっこいいから」

「え、そんな理由ですか?」

「そう、最初はね」

 芦名が目を閉じる。


「でも、そのうちこの仕事に誇りを持ち始めた。自分が戦うことで誰かの幸せが守られる。そう思うと戦うことは怖くなくなっていった」

「誰かを守る、ですか」

 蒼真が項垂れる。

「僕もそう思ってMECに参加したんですよ。神谷研究室のメンバーや美波を守る。自分の大事な人を守るって」


「そう、それは大事なことだね」

 そう言うと芦名は目を閉じた。蒼真が一瞬焦った。

「ごめんなさい。昔のこと、思い出させましたか?」

「いや」

 芦名の目が開く。


「身近な人を想うのは大事だと思うよ」

「そうなら芦名さんは誰のために戦ってるんですか?」

「そうだな、やっぱり人間ってことかな」

 蒼真は芦名の言葉に心がこもっていないように感じた。

「でも、この前、それは偽善だと言われました」

「偽善か、そうかもしれない」


「?」

 蒼真が驚いて芦名を見返す。

「結局、誰かを守っている、そう思えることで自分を奮い立たせているだけかもしれない。最後は自分のため」

「自分のため、ですか」


 蒼真は右斜め上に目を向けた。もしかすると自分とあの青年は同じかもしれない。彼は生き延びるために罪を犯し、自分は怪獣と戦う運命を受け入れるために地球を、いや、みんなを守ると言っているだけなのだ。だとすると……


「緊急指令! 緊急指令!」

 警告音が防衛隊全体に響き渡る。

「富士山麓の樹海に怪獣出現、MEC隊員はスカイタイガーで迎撃せよ、繰り返す、富士山麓に怪獣出現、MEC出撃せよ」

 芦名が再び蒼真の肩を叩く。


「話の続きはまたあとで、とにかく行ってくる」

「がんばってください」

 その言葉を聞いて芦名は研究室を出て行った。

 一人残った蒼真は左腕の時計を見た。そこには青い光が輝いている。


「戦えと言っているのか、一体お前は誰なんだ」

 蒼真はひとり部屋を出て行き建物の外へ出た。誰もいないことを確認し目を閉じる。やがて体が軽くなっていくのを感じる。目を開くと目の前には緑が広がっていた。ここは産廃が廃棄された樹海だ。木々の高さよりも高いところに大きなトカゲの顔が見える。その顔がネイビーに近づいてくる。木々をかき分けその巨体がはっきりと見える。二本足の赤黒い肌のトカゲ、その背には炎を思わせる赤い鰭がゆらゆらと揺れている。


 ネイビーが怪獣アグリーの正面に立つ。その異様な赤黒い皮膚、もしかすると……

 アグリーがネイビーに突進してくる。まともに頭突きを喰らい後方に飛ばされる。かなりのパワーだ。赤い鰭が異様に光っている。

「もしかするとこの怪獣は樹海を荒らした人間に深い怒りを持つ動物たちの化身? だとすると今のパワーは怒りの大きさを表してる?」


 立ち上がるネイビー。身がすくむ。今まで人間の変異した怪獣としか戦ってこなかった。この怪獣にはどんなパワーがあるか分からない。身がすくむ。

「この怪獣はなにも悪いことをしていない、悪いのは人間なのに」

 ネイビーに迷いが生じる。そのすきを突くようにアグリーが再び突進してくる。今度はネイビーが受け止める。しかしそのパワーでじりじりと押し込まれていく。


「だめだ、このままだとやられる」

 ネイビーが体をかわす。勢い余ってアグリーが前のめりに倒れる。ネイビーが馬乗りになろうとアグリーに飛び乗る。そのとき背鰭が光る。


「熱っい!」

 ネイビーが弾き飛ばされた。強烈な熱で全身が痛む。仰向けに倒れたネイビーにアグリーが覆いかぶさった。アグリーの手がネイビーの首を絞めつける。

「苦しい……」

 アグリーの腕を外そうとするが、そのパワーは今までの怪獣よりも強い。


「くそっ、やられてたまるか!」

 ネイビーがアグリーの腹に両足を入れる。そのまま巴投げで投げ飛ばした。アグリーが樹海の方へ倒れる。背鰭の熱で木々が燃え始めた。

「どこだ、赤い光は」

 アグリーが咆哮をあげながら立ち上がった。全身を揺さぶり自らの怒りを表現している。そう、自分たちを死に追いやる人間に対する怒り、それが体全体から伝わってくるようだ。


「どこだ、光は」

 ネイビーが空中へ飛び上がる。そして上空からアグリーを観察した。体全体からかなりのエネルギーの放出が感じられる。

「そうか、この怪獣は怒りが大きすぎるんだ。だからエネルギーも半端ない。それが背中からあふれ出してるんだ」

 アグリーは上空のネイビーに威嚇し続けている。


「あの背鰭、あの赤い背鰭を狙えば」

 ネイビーが左手を背鰭に向ける。だが、

「本当にいいのか、あの怪獣に罪があるのか?」

 そのとき背鰭の一部が赤い火の玉になってネイビーの方へ飛んできた。


「わぁー」

 火の玉が直撃しネイビーは地面に落下した。アグリーがその隙を突いて何度も足蹴りにする。ネイビーは苦しみながらも必死に耐えていた。

「ダメだ、このままでは本当にやられる。仕方ない。仕方ないんだ」


 ネイビーが左手を背鰭に向ける。彼の手から放たれた青い光線は確実にアグリーの背鰭に命中した。アグリーは動きをやめ、くるくると回りながら地面に倒れていく。ネイビーが立ち上がると、アグリーはそのまま痙攣したように倒れ、大きな鳴き声をあげた。


「ごめん、ごめんなさい、でも、どうしようもない、仕方ないんだ」

 アグリーはそのままネイビーが見守るなかそっと消えていった。


 ×   ×   ×


 火災で黒く炭化した木々の中、たくさんのタヌキ、キツネ、リス、イノシシが死んでいる。この動物たちを殺したのは自分。その光景を目の前に蒼真は立ちすくんだ。彼らが何をした。


「自分はなにを守ろうとしたの」

 蒼真の心は混乱している。人類を守る、ならばこの動物たちは守らなくても良いのか。彼らに何の罪がある。自分は何をした。

 蒼真はアグリーが消えていくときの言葉を思い返した。


「ごめん、ごめんなさい、でも、どうしようもない、仕方ないんだ」

 “仕方ない”これはあの青年が言った言葉。生きていくためには仕方ない、確かに彼はそう言った。同じ言葉を今自分は口にした。そう、怪獣を倒さなければ自分が死ぬ、だから仕方ない、生きていくためには仕方ない。


 結局、自分のため。誰のためでもない、それは自分のため。それでも戦わないといけないのか。今の状況から逃げることはできないのか。

「母さん、どうして僕は戦わないといけないの。母さんは僕を愛してくれた、ならなぜ僕を守ってくれないの。どうして僕に戦えと言うの」

 蒼真はポケットに手を突っ込む。そこには母の手紙が。


「どうして、どうして……」

 木々が焼けた焦げ臭いにおいが蒼真の周りを包む。そのにおいが、少女の言葉を思い起こさせる。

『続けるの? 人殺し』

 青年の言葉もよみがえる。

『俺が詭弁なら、お前は偽善だ』

「どうして、どうして戦わないといけないの」


 蒼真は母の手紙を握りしめ、何度も、何度も繰り返して問う。しかしその答えは誰も答えてはくれなかった。焦げた木々だけが蒼真の周りに立ち尽くしているだけだった。

《予告》

自らの戦う意義を求めて実家へ帰ることを決意する蒼真、しかし手がかりが見つからず悩む彼の前に再び少女が現れる。彼女は山小屋へ向かへと告げるが。次回ネイビージャイアント「蒼真ここに誕生す」お楽しみに

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