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1話

  「……涼、もっとはやく狙いを定めろ!その程度では一ノ瀬を継ぐ事なぞできんぞ!」


  「……っはい!」


  集中しろ、集中!……僕は一ノ瀬家の長男なんだ……!魔眼発動!


 その瞬間、空中に浮かぶ円盤が粉々に砕けちった。


 ゛一ノ瀬゛は100年前の第一次人魔対戦の時に活躍した日本魔法師の頂点の十家の一つである。


  魔眼という固有魔法を扱い、十家の中でも戦闘力に優れた一族である。


  「……今日はここまでだ。」


 ゛一ノいちのせ 玄真げんま゛は現当主であり、同時に涼の父親でもある。


「……はい!ありがとうございました」


涼は五歳の時から父親である玄真から一ノ瀬家の次期当主として毎日厳しい修行を受けている。そして、涼は今年の誕生日で十歳になる


(……ふぅー。身体が汗だくで気持ちわるいな……シャワーでも浴びに行くか)


涼はさっそく汗を流そうと風呂のある母屋へと向かって歩きだす。


「お兄様ー!!」


(……ん?)


愛くるしい顔でタオルを持って近づいてくるのは双子の弟のしょうである。


聖の見た目は、綺麗な黒髪に黒目。そして、顔つきは中性的で将来はかなりの美少年になるでろうことが予想される顔立ちである。


「お兄様!……タオルをどうぞ!」


聖はニコニコ笑いながら、タオルをさしてだしてくる。


「いつもありがとうな、聖」


「いえ!気にしないで下さい!それよりも、今日の修行はどうでしたか?」


聖は、ニコニコとした表情できいてくる。


「全然ダメダメだったよ………まだ発動までに時間がかかり過ぎてとてもじゃないけど実践では使いものにならないね…」


俺は、苦笑いしながら答える。


「……そんな事無いですよ!僕なんてまだ魔眼の発動すらできないですもん……」


聖は泣きそうな顔になりながらそう答えた。


「大丈夫!焦らなくても、そのうち使えるようになるさ」


聖の頭に右手をおいて撫でながら答える。


「はい!ありがとうごさいます!」


聖は、先程と同じような笑顔を浮かべる。


「……っあ!そうでした、お兄様に伝える事があったんでした!!」


なんだろう。今日何かあったかな?


「ん?なに?」


「鈴音が遊びに来てますよー?今はリビングで待って貰ってます!」


あー。そういえば今日来るみたいな事言ってたな。


「りょーかい。わざわざ、ありがとうね、聖……シャワー浴びたら向かうって言っといてくれる?」


「……はい!わかりました!」


さて、風呂行くか。





シャワーを浴びてスッキリした所で涼はさっそく鈴音の元へ向かう。


リビングの扉を開けると聖と鈴音がソファーに座りながら楽しそうに会話をしている。


「ごめん。待たせたね」


その声を聞いた鈴音が振り返る。


二科にしな 鈴音すずね゛日本魔法師の十家の一つであり、同時に涼の婚約者である。シミ一つない綺麗な白い肌、小ぶりな鼻に大きな目、腰に届きそうな程長いサラサラの黒髪、十人中十人が綺麗と言う程に全てが整ってる。9歳にしては大人びた雰囲気を放っている。


「遅いよ〜、涼」


「ごめん、ごめん。そんな事より、今日はどうしたの?」


「そんな事って……。まぁ、いいわ。アナタと聖の誕生日ってもうすぐじゃない?……今年はどうするの?」


「あー。そうかそろそろだったっけか。忘れてたな」


「もう、修行もいいけど自分の誕生日忘れるってアンタねぇ……。」


「ははは……。今年は十歳になる誕生日だから一ノ瀬家伝統のサバイバル修行をする事になるね」


一ノ瀬家では、十歳と十五歳、二十歳になる年の誕生日には何かしらの伝統儀式のような事をするのだ。


そして、涼達が迎える十歳の誕生日の年は一ノ瀬家が所有する無人島にて三日間のサバイバルを行う事となる。


いくら、強い力を持とうが使いこなせなければ意味が無い。そのため子供の頃から実践経験を積ませるのが一ノ瀬家の方針なのだ。


(でも、聖はまだ魔眼が使えないからな…俺が守ってやらないとな!)


「あーっ、そっか。そうだったわね。でも、気をつけてね?いくら能力があるからって絶対に安全なんて事は無いし、…それに魔獣だって出るんだからね……!」


「心配性だなー、鈴音は。魔獣って言ったってランクF~Eぐらいだよ?それぐらいなら何体居ても余裕さ」


事実、魔眼を完全には使いこなせていない涼でも、ランクF~E程度なら何体居ても対処はできる。


「それでも、絶対安全ってわけじゃないのよ?だから、無理はしないって約束して」


鈴音は真っ直ぐ涼を見つめる。


(うっ。全く鈴音にはかなわないな~。)


「……分かった分かった。無理はしない。約束するよ」


鈴音は真剣な目つきで俺を見つめてくる。そして、しばらく見つめた後笑顔に戻り、


「うん!なら安心だね!聖もしっかりお兄さんに守ってもらうのよ」


「う、うん。お兄様が居れば安心だね」


聖は笑顔で答えた。


だが、この時、涼も鈴音も気がつかなかった。聖の涼を見る目に狂気があることを。



















 

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