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兎と兄弟

いづなさんより、2話。


紫蚊鈴党は全く手を着けていません。

まさに異色コラボです。


 「こ、これは…」

目を開けるとそこは壁一面に本が敷き詰められた図書館のような部屋。床は大理石で出来ており、天井から差し込む色とりどりの光を反射して五芒星の模様を浮かび上げている。

上を見るとステンドグラス製のドームの作りになっていた。


 「魔法館へようこそ太郎様。どうかそのまま前へお進みください」

先程の真っ白な女(以後真白と呼ぶことにする)は何事もないような顔をして太郎を書類が積み上げられた机へ誘導する。

「室長!!受験番号99番、佐江内太郎様をお連れいたしました」

真白は手にしていた杖を二度付くと、鐘のような音が部屋全体に広がっていく。

…も、もしや魔法使い、だとぉ……。

興奮のあまり整った唇が収縮しおちょぼ口になる太郎。こんな男をひょっとこと呼ぶものは、いてもおかしくないだろう。


『え、もう合格者が出たのか?少し待て』

部屋のどこからか聞こえる、と言うよりも脳の中に響くような感覚で聞こえてくるそれ。

太郎と真白以外このだだっ広い部屋に誰もいない。

「太郎様、申し訳ありませんがどうやら室長は外出中のようですのでそこのソファにお掛けください。お茶をお持ち致しますね」

外出って今誰か話しかけてきたよな?いや、幻聴なのか?まてまて変な薬を飲んだ覚えはない!はっ、これが所謂テレパシーって言うやつか!!?なんとっ…

残念な脳ミソをフル活用(しかし成績優秀)している太郎を放置して真白はさっさとどこかへ消えてしまった。




 左膝に左手を添えて左股に右肘を立てる。緩く丸めた右手に顎をつけてマイナス45°にうつむけばほら!

考える人の出来上がりである。

太郎は一人取り残された今、考えている。


真白は僕の築き上げた地位を横取りするつもりなのではないかと。

僕より眩しいことは決して許されることではない。

花は萎れていても僕が地を踏む時だけは満面の笑みで迎えてくれるし、小鳥は唄ってくれる。カラスだってハラショーなレクイエムを奏でてくれるのだ。光と影。決して交わることのない両者に愛された僕。選ばれし者。誰よりも特別だ。

なのに、

そんな僕より眩しいあいつはなんだ!?

この地位を奪いに来ている。じゃなきゃ雪だるま(より断然可愛いのは認めるけど!)のようにあんな真っ白にして自分をアピールしている意味が分からない。我が下部たちよ、そうは思わないか?


 『それは違うよ兄弟?』


ゴゴゴゴゴゴゴ

「え、え」

地響きが起き始め何かが這いずるように気味の悪い音がどんどんと太郎に近付いてくる。


『光と影に愛された者。それならば兄弟よ、オマエの存在はグレー。光を跳ね返す訳でも吸い込む訳でもない紛い物。両者に愛されし特別か?いや、違うな。その反対さ。オマエは両者に忌み嫌われている。そして恰好の餌になるだけさ』



雲隠れにし白昼の太陽よ、さらに深く雲に包まれて陽を無くしたまえ。



今までずっと明るかった部屋が徐々にモノクロの世界へと姿を変える。気のせいだろうか。太郎は悪寒を感じる。


『それと、真白というのはコニーのことか?アイツは別に自己主張をしているんじゃないよ。コニーは白兎の化身でね』


その言葉を合図に大きな風が太郎を軸にして一気に巻き起こる。そしてステンドグラスを通して光は差し込み、風は直ぐに止んだ。太郎もますます病んだ。


「よ。受験番号99番、佐江内太郎クンだね?」


 目の前に突如現れたのは右目に眼帯をした超絶イケメン。脚は床につかないまま腰を折って太郎の顔を覗きこむ。

太郎に向けて勝者の笑顔を見せた。真っ黒な色男の赤い唇から覗く白く尖った少し長めの犬歯は、その男の色気をさらに引き立てる。


「はじめまして。室長をやってるティル・ギーだ。お待ちしていた。オマエに会えたこと心より感謝する」


 太郎は生まれて初めての敗北感を味わった。


琥珀が嵌め込まれたような猫目で、長い前髪を左側だけ編み込みにしている漆黒の髪に、健康的に日焼けした肌。太郎よりも若干体格が良く、180センチはあるだろう。

髪を染めてカラコンを入れるなど人体改造は一切していない正真正銘元の素材。


尚且つファッションセンスがナイスだ。(想像にお任せ)

なにより太郎は名前に不満を覚える。


名前が『ティル・ギー』だとぉ……かっこよすぎる。僕なんか太郎だぞ太郎。

フルネーム池面太郎(イケメンだろう)だぞ?誰かさんに入れ替わって苗字変わっても佐江内太郎(サエナイだろう)…だぞぉ……僕の名前なんてナルシーか自虐にしか走らないのになんだこの人名格差社会は…。


誰から見ても太郎はナルシーだが太郎は全くそう思ってはいない。


 「あら室長帰っていらしたのですね」

真白もといコニーはお盆を持ってやってきた。

「ただいまコニー。今ちょうど戻ってきたところだよ」

ティルは一人用のソファに座って足を組む。まるで自分の足が長いだろうと強調しているように太郎は見えた。

「お二人ともお飲み物はどうなさいますか?紅茶とコーヒーがあります」

「紅茶を貰おう」

「僕はコーヒーで」

コーヒー実は好きじゃないけどコーヒー飲めるとかかっこいいじゃないかという概念が太郎にはある。


 「さっそく本題に入ろうか。改めて合格おめでとう佐江内クン。」

「ありがとうございます」

「佐江内クンは今回の試験ではじめての合格者になったわけだが、この選手権のルールは覚えているかな?」

訳もわからず異世界に来てしまった太郎がそんなこと知るわけない。

「ルールに従うつもりなど僕にはないので忘れました」

「プッ、面白いことを言うね。でも、今回は従って貰わないと困るからルールをちゃんと聞いてくれ」

コニーは「どうぞ」と静かにコーヒーを置いた。

「ミッションにクリアした合格者はまず俺の審査を受けてもらう。内容はただ俺の前で特技を見せればいい。それで俺が合格者の力量を計り、賞金を賭けるんだ」

「…賞金?」

「そう。審査を行ったあとは魔法界招待選手権協会が用意したワールドに行ってもらい合格者たちでバトルしてもらう。ルールはそれだけさ。簡単だろ?」


 太郎がかけていた眼鏡は落下した。




閲覧ありがとうございました。


このあとどうしましょう、

と考えている紫蚊鈴党です。


とりあえず、いづなさんの流れにのっかり、良いストーリーを築いていきたいですね。


いづなさん、お疲れ様でした。

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