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トラウマは俺がどうにかしてやる!

「う〜ん…う〜、イヤだぁ…」

「めい?大丈夫か?おい!」

めいを引き取ってから一週間が経つが、一昨日くらいから夜中になるとめいはうなされていて、こうやって俺が声を掛けながらお腹や背中をさすると落ち着くんだが…。


「なぁ、お前は小さい時うなされてたとかある?」

「俺っすかぁ?どぉですかねぇ…あっ、でも決まって同じ怖い夢を見てた時期ってありますよ!!大助さん、うなされてんすか?」

「いーや?俺じゃねーよ。」


「えっ?じゃあ…」

「ありがとな!!」

俺は昼飯時に大工仲間に聞いてみたがやはりいろんな人が怖い夢だとか日常のストレスとか言う。やっぱここは頭領の奥さんに頼るか。

「そうね…めいちゃん、いきなり環境が変わったわけだし、お父さんやお母さんもいきなりいなくなっちゃったのよ?やっぱりその不安やストレスが原因かもしれないわねぇ…」

「どうしたら良いんですかねぇ…。俺、うなされて涙流してるめいの姿見るの辛いんですよ。まだ会ったばかりですけどやっぱり俺の従兄弟ですから…」

従兄弟ってこんな大切なもんだとは思わなかった。でもなんだか他の従兄弟よりずっと大切で、家族のように思えてきたのは確かだ。


「寝る前にいつも何してる?」

「えっ?あっ、う〜ん…テレビをぼーっと二人で見てるか、え〜っと…」

「絵本なんかを読んであげたりいろいろ日常の些細な話をしたりしなきゃダメよ。こういう事で子供はストレス発散出来るんだから!」

「絵本ねぇ…」


俺は大人の絵本くらいしか買わないからいまいち子供の絵本コーナーに戸惑った。(大人の方の絵本への戸惑いは忘れちまった。)

俺は頭領と遊んでもらっていためいを呼んで本屋に向かった。

「めいはさ、何か好きなのあんのか?」

めいはじーっと絵本コーナーを見回し一冊俺に渡した。

「めいさー、これ絵本じゃねーぞ?字ィばっかだぞ?」

「いいの。これがいいなぁ。これ買ってくれる?」

幼稚園生ってのは絵が好きなんだとばかり思ってたがめいは違ったようで《世界の名作》などと難しそうな本を持って来た。(ガキの頃の俺にはとんでもねー本だった)


「めい、寝る前に今日買った本読んでやるぞ。」

「…!いいの!?」

「おぅ!今日はどれが良い?毎日一つずつ読んでやるからな!」

「じゃあね…これ!」

「ヘンゼルとグレーテルか。ふむふむ。よし!はじめっぞ!!」

俺はこの話の内容など考えずに読んでしまった。

「お母さんとお父さんはヘンゼルとグレーテルを捨てに…」

「やめてぇ!!!!もう読まないで!!!」

「おっ…おい!どうしたんだよ…泣くなよ…」

俺はようやく事の重大さに気付いたんだが、めいは泣きやまない。

親が子供を捨てる話なんて聞かせちゃいけなかったんだ…俺のくそったれ…めいはきっと両親が自分の事を捨てたんだと思ってる。今俺はどうしたら…

「めい、ごめんなァ。ほれ、抱っこしたる!!そーだ!夜遊びしちゃおう!!」

丁度次の日が二人そろって休日だしレンタルビデオ屋に行き、めいが見たいビデオを借りて夜中まで二人で見た。めいにようやく笑顔が戻って、俺は明日あたり親が死んだり親が子供を捨てたりしない絵本を買いに行こうと思っている。もちろんさっきの本はお蔵入り。

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