無題
視界を遮る建物が無くなったせいか、空を近く感じた。
今、自分がここにいる事が運命だとしたら。
生まれた時から、存在した時から、既に決まっていた事だったなら。
私は…私は、何のために今まで生きてきたというのだろう。
分からない。
何故私は泣いているんだろう。
何が悲しいんだろう。
人のいないこの場所で、涙を拭う事もせずに思い切り泣いた。
他人の目を気にせずに泣ける事は幸せだと思った。
どれほどの時間が経ったのか。
澄みきった青空は気付けば茜色に変わっていた。
落ち着いた所でゆっくりと歩き出し、どこか威圧的な高いフェンスに手をかけた。