Kapitel.24
勿論不安も大きかった。
悠翔と会って、なんて言って良いのかもわからないし、どんな顔をしたら良いのかもわからない。不安で不安で、仕方なかった。
けれど、悠翔に会いたかった。
いつも通り佑月と秀が迎えに来る。真央は、今日悠翔と会うことを話すつもりでいたが、二人に会うと、どうしても言えなかった。また、心配をかけてしまいそうだ。
流石に、早く時間が流れてほしいと思う。
けれど、授業はきちんと受けた。
家に着いてから着替えようとしてクローゼットを開け、真央は一着のワンピースを思い出した。悠翔との初デートの時に着たワンピース。デートの前の日、悠翔が買ってくれたものだ。
それを見てしまうと悠翔のことを思い出してしまって、奥の方にしまった気がする。
真央は、そっとそのワンピースを引っ張り出して着た。
「あれ、姉ちゃんどっか行くの?」
階段を下りてきた真央の姿を見て、一樹が驚いたような声を出す。
「うん、ちょっとね」
「え、ご飯は?」
「食べるよ。時間あるし」
「あ、そう……」
一樹は真央の着ているワンピースを見て、はっと気が付いた。
「姉ちゃんそれ……。そのワンピース…」
「あ、気付いちゃった?」
真央は少し悲しそうに、それでも悪戯っぽく笑った。
「悠翔が会いたいって言うから行ってくるね」
「え、また悠翔さんと会ったの?」
「ううん。佑月たちには言ってないんだけど、実は悠翔のメアド知ってるんだよね」
「えぇえええぇ」
一樹は素直に驚く。
「お願いがあるんだけど」
真央が溜息を吐きながら言った。
「このこと、佑月たちには言わないでほしいの」
「えっ……」
「佑月たちが悠翔と会うなんて知ったら、絶対心配するでしょ。もう心配かけられないよ」
「…わかった」
一樹は、渋々頷いた。