Kapitel.11
月曜日である翌日は、いつも通り学校へと行く。
秀も当たり前のようについてきた。
真央は回復してるように見せていたけれど、何を言ってもどこかしら上の空だった。
「この調子じゃ、授業さえろくに受けれるか問題だな」
「そうだよね……」
そう言って佑月は真央を見る。
真央は俯いたまま無言で歩いていた。
「おっはよー」
沙紀が元気良く言う。そんな沙紀に、真央は微笑んで言った。
「おはよう」
「……、周りには普通に見えるかもね」
「あぁ」
佑月と秀が小声で話してるのを気にも止めず、沙紀は嬉しそうに言う。
「いやぁ、人生は楽しいねぇ」
「何かあったの?」
「うん!へへ、聞きたい?」
「言いたいんでしょ」
「あっは。バレたー」
沙紀は、楽しそうに話している。真央も悲しそうな素振りなど全く見せなかった。
「真央も大丈夫そうだし、後は任せる」
「わかった」
秀と別れ、佑月は真央と沙紀の中に入っていく。
「何かあったのー?」
「聞きたいなら聞かせてあげよう!」
沙紀が得意げに言う。
「前に、片思いしてるって言ったじゃない?実はその相手、姉さんの彼氏なんだよ」
「え、えぇぇええ」
「だから、想いも届くはずないって言ったのね」
驚く佑月とは対照的に、冷静な真央。
「そ。だけど昨日ね、その彼氏、龍って言うんだけど、その龍さんがうちに来てさー。彼の何が良いって、本当に優しいわけよ!顔も良いし、性格も最高なの!その龍さんに頭撫でてもらったんだよーっ」
その時の事を思い出したのか、本当に幸せそうに言う沙紀。真央の顔が少し歪んだ。
「片思いしてるとさ、そういう些細なことが嬉しいわけよ。ましてや姉さんの彼氏だし、そう簡単には手を出せないじゃん。だから余計に、ね」
「それが初恋なの?」
「そ。今までこの人だ!って思える人がいなくてさ」
「その人とはどういう風に出会ったの?」
「それが、姉さんがうちに連れてきたのがきっかけでさ。一目惚れしちゃった的な」
「それ、どうするの。想い伝えるの?」
「いや、それは良いよ。龍さんに会う前から姉さんにいろいろと話聞いててさ。姉さん、凄い龍さんに惚れてるから。陰からずっと見てる」
ふと、沙紀がいいことを思いついたというように手を叩いた。
「あ、良かったらどう?いつか龍さんに会わせてあげようか!」
「え、でもお姉さんの彼氏なんでしょ。そう簡単に会えるの?」
「実は、姉さんも私が龍さんのこと好きって知ってるんだ。だから、私が友達に自慢したっておかしくないわけ。寧ろ、姉さんも喜んで会わせてくれると思うよ。ま、自慢されるでしょうけど」
「会いたい会いたい!」
佑月が手を挙げて言った。
「今日帰って姉さんに聞いてみるけど。平日は私部活あるから、早くて土曜だね。あ、一目惚れしちゃ駄目だよ!」
「あー。それは保証出来ないなぁ」
佑月がにやりと笑いながら言う。
「もう!冗談なし!」
「いやぁ、楽しみだね、真央」
「……え、私も行くの?」
「行くの!」
佑月に言われ、真央は頷くしかなかった。