7 再びNFOの世界へ
「で、誰にメッセージ返してるのさ?」
「宮崎。いつだか家に入れたことあるでしょ?」
「……私以外の女?」
目つきが怖いよ、真由。そもそも君は妹であって、彼女とかそういう関係ではないだろうに。
「んー、まぁ」
「私以外の女といっしょにゲームするの?」
「真由は女として見られないよ。オムツつけてたときから、いっしょにいるんだから」
「うっ、それはそうだけども……」
「だいたい、宮崎はランク150超えの大物なんだ。味方は多いほうが良いでしょ?」
「ランク150?」
「1000時間くらいプレイしないと、たどり着けない境地だね」
「うわ、バケモンじゃん」
「昔からゲーマーだったからね~。中学の頃いっしょにゲームしたけど、宮剤がうますぎて、おれ……私がトロールになってたよ」
「トロール? 亀?」
「下手なプレイヤーって意味。さて、返信し終えた。家に戻ろう」
その後もナンパされかけるが、なんとか切り抜け真希と真由は自宅へ戻るのだった。
*
「さて、早速やりますかね」
「お兄ちゃんの部屋で?」
「なんでおれの部屋なんだよ」
「だって、パソコンとか必要なんじゃないの?」
「いや、必要ない。これをかければ、勝手にログインできるしね。自分の部屋でやりなよ」
「嫌だ」
「へ?」
「お兄ちゃんの部屋でやりたい」
強情だ。面倒臭いので、真希は自室のドアを開けた。
「分かったよ……、どうぞ」
「エロ本とかある?」
「おれ、全部電子で揃えてる……なんでそんなこと聞くのさ」
「だって、私のお兄ちゃんだよ?」
「答えになってないよ」
真由はベッドの下や本棚を探り、がっくり肩を落とす。「あーあ。エッチな本があったら良かったのに」
「なんだよ、買えないの?」
「違うよ! 私はただ、お兄ちゃんの痴態が見たいだけ!」
「なんで声を荒げるのさ……」
良く分からないが、真由の機嫌を損ねる前にNFOの世界に飛び込んでしまおう。そう思い、真希はゲーミングチェアに座る。
「ベッドに座ってて。最悪寝そべっても良いようにね。意識が、あっちの世界に持っていかれちゃうからさ」
「こわっ」
「それがVRMMOだよ。大丈夫、眠る感覚だから」
ゴーグルをつけ、真希は意識をNFOの世界に持っていく。ローディングが入る頃、真由も同じことをしているのを確認し、ひとまず安心するのだった。
*
「うおー! 東京だ!!」真由は興奮した。
NFOは今の見た目をそのままゲームに反映するため、キャラメイクの必要がない。なので、真由は今風の女子中学生らしいパーカーにワイドパンツだし、真希は黒髪ロングヘアの美少女のまま、パジャマ姿であった。
「でも、車が爆走してる!? やべぇね! この世界!!」
「とりあえず、車に轢かれないように路肩に寄ろう。このゲーム、一回死んだら24時間再ログインできないしね」
「え、そうなの?」
「しかも死んだら、パクスコインや武器類すべて落としてしまう。だから気をつけて。よし、宮崎を呼ぼうか」
こういうときの宮崎だ。この前はランク150だったが、今はどうなっているだろうか。ゲーム内スマホで真希は宮崎を呼び出す。
すると、ヘリコプターが目の前に停まった。HUDにはフレンドマークがついているため、宮崎で間違いなさそうだ。
「おまたせ~。女子になった佐野に妹ちゃん」
厳つい黒塗りの軍用ヘリコプターを、道路に無理やり停めてしまった宮崎は、ふたりに気さくな挨拶代わりにハンドガンを2丁渡してくる。
「ありがと」
「え? これって、ピストル?」
「そうだね、妹ちゃん」
「これで、ヒトを殺すってことですか?」
「そのとおり。まぁ、しょっぱい性能だから、まずパクスコイン稼いで武器ショップ行かなきゃだね」
真由は震える手でハンドガンを受け取り、拾ってもなお手が震えている始末だった。




