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New Frontier Online -PK・強盗・仮想通貨のVRMMOで遊んでいたらTSした件-  作者: 東山スバル
おめでとう! 少年は少女に進化した!!

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6/8

6 TS化の悲しき性

 真由はウキウキと破顔した。兄、いや姉? としては嬉しい限りである。


「お兄ちゃんとゲーム! お兄ちゃんとゲーム~!」

「喜ぶところ、そこ?」

「当たり前じゃん! 小学生のとき以来、お兄ちゃんゲームにドハマリして、私に構ってくれなかったんだから!」

「うーん、そうかな」

「自覚ないの? ずっと寂しかったんだからさ、こっちは」


 中学生の妹なんて、一般論でいえば兄を忌避しそうなものだが、真由にその常識は通用しないようだ。といっても、嫌われるよりはマシだ、と真希は思った。


「んじゃ、食べ終わったらデバイス買いに行こう──もう食べ終わったの? ちゃんと噛まなきゃ駄目だよ」

「こんな日くらい良いでしょ! さぁ、行くよ。お兄ちゃん!」


 まだ食べ終わっていないのに、真由に細い腕を引っ張られて外へ連れて行かれるのだった。


 *


「(うぉ、すげぇ美人がいるぞ)」

「(姉のほうだろ? 妹はそんなでもない)」

「(おれ、ナンパしようかな……)」


 真希はPCショップに向かう道中、そんな会話を3回ほど聞いてしまった。


(聴こえてるんだよなぁ……。きのうまで男だったヤツをナンパするなんて、愚かしいけどさ)


 やはり佐野真希は、絶世の美人高校生になっているらしい。正直、悪い気がしないのも事実だった。男たちから一重に目線を集め、ヒソヒソと褒め称えられる。悪い気がしないどころか、良い気分だと感じてしまう。


「着いたよ、真由」


 かなりの敷居面積を誇るパソコンショップについた。BTOパソコンからゲーミングデバイス、そしてVRMMOデバイスが売っている。しかも決済はパクスコインで可能。真希は一応、スマホと連携されているニュー・フロンティア・オンラインのアカウントに、80000パクスコインが入っているのを確認した。


「うわ、変な匂いがする。なんか、雑巾みたいな匂い」

「……そういうこと、大声で言わないの。PCショップなんてそんな場所なんだから」

「まぁ良いや。こんな臭いところに長くいたくないから、早くデバイスってヤツ買ってよ」

「分かったよ……」


 3階に登り、真希と真由はサングラスみたいなデバイスを見つける。


「何色が良い?」

「なんでも良いよ。しいていえば、おに──お姉ちゃんといっしょなのが良い」

「なら、黒色だね」


 公の場で女子になった兄をお兄ちゃんと呼んだら変なのは、真由も分かっているようだった。リアルでTSしました、なんて誰にも信じてもらえないだろうし。


「すみません。この黒のNFOデバイスをください」


 店員にそう話しかけ、真希はケースの中からデバイスが取り出されるのを待つ。


「50000円になりますが、よろしいですか?」

「あぁ、パクスコイン使えますか?」

「使えますよ」

「なら、それで決済します」


 バーコードでパクスコインを支払い、真希と真由はデバイスの入った箱を持って外へ出る。


「はー、空気がうまい!!」

「そんなこと言うなよ……。聴こえるぞ?」

「聞こえたって問題ないもん。私にはお兄ちゃんがいるし」

「(お兄ちゃんって呼ぶな。一応お姉ちゃんって呼んでおけ)」

「はいはい。んじゃ、帰ろうか」

「うん。……って、すげぇメッセージが来てる」


 真希は先ほどスマホを出したが、そのときメッセージがあり得ないくらい溜まっているのも見てしまった。おそらくは……、


「やっぱり宮崎か。真由、少しストップ。メッセージ返信しなきゃ、だからさ」

「メンドッ。歩きスマホすれば良いじゃん」

「おれは、そういうことしない主義──「おれって言った。クラスの3軍女子みたい」

「……私はそういうことしない主義なんだよ」


 一人称を安定させなくてはならない。これがTS化の悲しき性というものだろう。


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