2 バッチバチのドンバチ
「えーっ! アンタもこのゲームしてるんだ!!」
「そりゃあ、ゲーマーだもん。しかも仮想通貨を稼げるとなれば、やらない手はないよ。まぁ、初歩中の初歩も知らなかったけどね」
宮崎翠は、小学校と中学校の同級生だ。昔はあまり垢抜けない少女だったので、分からなかったが、どうやら高校2年生になって色々変わったらしい。
「このゲーム、姿をリアルのまま投影するんだよね? 宮崎、変わったね」
「中身は変わんないよ。相変わらず、ゲーム三昧の生活してる」
「そうなんだ。なんとなく安心した」
宮崎は、生粋のゲーマーだ。真希もゲーマーの端くれだったので、趣味が合っていっしょにオンラインゲームをしていたが、彼女のゲームに対する無尽蔵の体力には度々驚かされた。ひどいときなんて、24時間ぶっつけでオンゲーしていたほどだ。
宮崎は腕を組み、コクコク頷く。「いやー、まさかリアルの知り合いに会うなんて。なんか感動するな」そして彼女はなにかを取り出した。「記念に☆5ギアを与えてせんじよう。中身は分かんないけど、あたしの血と涙の結晶なのは間違いない」
「良いの? どうせ、高難易度のミッションをクリアしまくった結果でしょ?」
「良いよ。効果が分かんない以上、使うのも怖いし」
「人身御供ってわけかよ……。まぁ良いや。もらっておこう。ありがとう」
星型の機械。どうも、身体に装着するタイプのものらしい。真希は宮崎が見守る中、それを胸辺りにつけた。
すると、
『〝ザ・ミラクル〟を装着しました』
という機械音声が聴こえた。ザ・ミラクル? どういうことだろうか。
宮崎は怪訝そうな面持ちになる。「ん? なんか、効果なくね?」
「そうだね。なんにも変わらない」
「なら、ハズレギアか~。あーあ。せっかく、高難易度強盗クリアして手に入れたのに」
「でも、☆5なんでしょ? なら、なにかあるはず」
「まぁ、あとで分かるっしょ。早速だけど佐野、ミッションしようぜ!!」
「良いよ~」
宮崎はデバイスで、真希のそれにミッション内容を送る。
『バッチバチのドンバチ』
「どういうミッション?」
「アンタ、このゲームのことどれくらい知ってるの?」
「仮想通貨を稼げることと、まるで現実の世界で暴走できることくらいかな」
「甘いわ! 良い? このゲームのありとあらゆるミッションは、PVPなんですよ!! つまり、奪うか奪われるかの二択!! このミッションは初心者向けだから、たいしたランクのヤツはいないけどね」
「怖いなぁ」
「大丈夫! あたしは〝ウェポン・ホイール〟と大量の武器、乗り物を持ってるから!! 佐野は援護に徹していれば良いのさ!!」
「宮崎、昔からゲームうまいもんね」
「そのとおり!! こんな見た目だけど高校デビュー失敗して、通信制に流れただけはあるだろ!!」
「う、うん」
(あまり聞かないほうが良いな……)
「さぁ、行こう!!」
『ミッションを開始します』
またもや機械音が流れ、早速常時表示されているHUDに敵性が表示された。宮崎はデバイスで車──ふたり乗りの赤いスポーツカーを取り出し、真希に乗るよう促す。
「さぁ、レッツ・ファッキン・ドライブだァ!!」
「う、うん」
現実ではできない暴走ができるのが、このゲームの売りだ。だから佐野はNFOの世界に足を踏み入れたわけだが、宮崎がアクセルを踏み続けタコメーターに180キロとか表示されれば、さすがに意識も飛びかける。
「佐野! これしきで意識飛ばすなよ!?」
「よ、良く宮崎は事故らないで運転できるね……」
「当たり前じゃあ! あたしを誰だと思ってる!!」
そうこうしているうちに、目的地にたどり着いた。車が停まった先には、武装したギャングみたいな格好をした連中が5人。宮崎は真希にアサルトライフルを渡して、自身はガトリングを取り出して突撃し始めた。




