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第5話:『深淵の森、そして未知の技術』

古都での動力炉修理から、また数年が経った。リリィはさらに成長し、好奇心旺盛な少女へと変貌していた。彼女はもはや、ただ俺の背中に守られているだけの存在ではない。ロストテクノロジーの遺跡を訪れるたびに、目を輝かせてその仕組みを尋ねたり、ライドロンの複雑な機構を興味深そうに覗き込んだりするようになっていた。


「ねぇ、お兄ちゃん!この歯車は何のために回ってるの?この光はどこから来てるの?」


彼女の純粋な疑問に答えるうちに、俺自身もライドロンやロストテクノロジーへの理解を深めていった。リリィは、俺にとっての頼もしい助手であり、そして何よりも、この旅を明るく照らす存在だった。


ライドロンは、古都で見つけた希少な鉱石を取り込み、その性能を向上させていた。航続距離が伸び、ロボット形態での出力も上がった。しかし、ある時、ライドロンの診断システムが、これまで見たことのない未知のエネルギー反応を検知した。その反応は、古くから「魔物の巣」として恐れられている**深淵の森**の奥深くから発せられていた。


「未知のエネルギー……もしかしたら、ライドロンのさらなる強化に繋がるかもしれない」


俺はそう考え、リリィを連れて深淵の森へと足を踏み入れた。森の奥は、太陽の光も届かないほど鬱蒼としており、奇妙な植物や、これまで見たことのない魔物が蠢いていた。ライドロンを変形させ、ロボット形態で警戒しながら進む。リリィは、最初は少し怯えていたが、ライドロンのゴツゴツした指にしっかりと掴まり、周りの珍しい景色を観察していた。


数日後、森の最深部で、俺たちはその源を見つけた。そこにあったのは、巨大な樹木の根に絡みつくように存在する、奇妙なクリスタルだった。それは、ライドロンのコアと同じように青白い光を放っていたが、その光はより複雑で、不規則に明滅している。


「これは……なんだ?」


ライドロンの分析装置が、エラーを連発する。これまで解析してきたどのロストテクノロジーとも異なる反応。それは、まるで生きているかのように、エネルギーを放出し、周囲の空間を歪めているように見えた。


そのクリスタルの周りには、これまで見たことのない異形の魔物が群がっていた。それは、森の魔物とは明らかに異なる、まるで**生体と機械が融合したような姿**をしていた。


「まさか、これが……未知の技術が、生み出したものなのか?」


俺は直感的に理解した。この森の奥には、ライドロンの技術をも超える、あるいは全く異なる系統のロストテクノロジーが存在していると。そして、その技術は、恐ろしい形でこの世界の生態系に影響を与えているようだった。


その時、異形の魔物たちが一斉に俺たちに襲いかかってきた。ライドロンが迎撃するが、その攻撃はこれまで戦ってきた魔物とは比較にならないほど、素早く、そして強力だった。


「くっそ!こんな奴ら、どこから湧いてきやがった!」


俺の脳内実況は焦り始める。リリィを背に、ライドロンは必死に応戦する。この未知の技術は、ライドロンの可能性を広げる鍵となるのか、それとも、この世界の新たな脅威となるのか。俺はまだ知る由もなかった。


### 次回予告


深淵の森で遭遇した、未知のロストテクノロジー。

その力が、俺たちの旅に新たな影を落とす。

この世界で暗躍する秘密組織の魔の手が、ついにライドロンへと迫る。

リリィを守り抜くため、俺は戦う。


次回、ライドロンと紡ぐ家族の物語。


**第6話:『追われる鋼鉄、迫る影』**


「ふぅ、今日のパンも美味いな。この村の麦は特に香ばしい。ライドロンも静かに充電中か。たまにはこんな穏やかな時間も良いもんだ。」


お楽しみに!

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