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第4話:『失われた文明の光、再び』

「異世界整備士」としての俺の評判は、次第に広まっていった。ライドロンの力で魔物を退治するだけでなく、俺が持つ地球の科学知識とライドロンのロストテクノロジーに関する僅かな知見を組み合わせることで、この世界の壊れた機構を修理できることが知られるようになったのだ。もちろん、完璧に直せるわけではないが、動かなくなった水車を再稼働させたり、使い物にならなくなった農具を改良したりするだけで、人々は大いに喜び、感謝してくれた。


そんなある日、俺たちは朽ちた石造りの壁に囲まれた、とある**古都**に立ち寄った。かつての栄華を偲ばせる壮麗な建造物が残っていたが、街全体は薄暗く、活気がなかった。この街は、かつて夜でも光り輝いていたという伝説があるが、今やその光は失われて久しいという。


「どうか、この街に再び光を……」


街の長老が、俺に懇願してきた。この街の地下には、古代の文献にも記されている**巨大な動力炉**があるという。それが機能しなくなったことで、街は衰退の一途を辿っていた。


「古代の動力炉、か……」


俺は興味を惹かれた。ロストテクノロジーの残骸を修理するのは、ライドロンのメンテナンスに必要な素材や、この世界の謎を解く手がかりを得るためでもある。それに、リリィがこの街の薄暗い現実に寂しげな目をしているのも気になった。


長老の案内で、俺たちは地下深くに広がる巨大な空間へと足を踏み入れた。そこにあったのは、信じられないほど巨大な機械の集合体だった。表面には複雑な紋様が刻まれ、中央には、今は光を失った巨大なクリスタルが鎮座している。そのスケールは、ライドロンをも凌駕する。


「これは……すごいな。俺の知るどんな技術とも違う。でも、原理は核融合炉に似ている……?」


俺はライドロンの分析装置を使い、動力炉の構造を調べ始めた。膨大な量の情報が流れ込み、頭がクラクラする。ライドロンの内部にある核融合炉の技術と、この古代の動力炉には、どこか共通点があるように思えた。


修理は困難を極めた。錆びついた配線、破損した部品、そして解析不能な未知の機構。リリィも、幼いながらに工具を運んだり、瓦礫をどかしたりと手伝ってくれた。数日、いや、数週間かかっただろうか。食事も睡眠もそこそこに、俺は動力炉の修理に没頭した。


そして、ある夜。


「いける……はずだ!」


俺は最後の部品をはめ込み、ライドロンからエネルギーを供給するケーブルを動力炉に接続した。ライドロンの核融合炉が唸りを上げ、青白い光がケーブルを伝って動力炉へと流れ込む。


ズシン、と大地が震えた。


動力炉の中央に鎮座するクリスタルが、ゆっくりと光を放ち始めた。その光は次第に強くなり、やががて、古都の地下から天へと伸びる光の柱となった。


街中に、歓声が響き渡る。失われた光が、再び古都を照らしたのだ。


「やった……!やったね、お兄ちゃん!」


リリィが満面の笑みで俺に抱きついてきた。俺も、達成感と安堵で、思わず笑みがこぼれた。この街の人々の喜びは、俺にとって何よりの報酬だった。


そして、この修理の過程で、ライドロンのメンテナンスに必要な**希少な鉱石**を発見することができた。それは、ライドロンの力をさらに引き出す可能性を秘めていた。俺たちの旅は、まだ始まったばかりだ。


### 次回予告


古都に光を取り戻した俺たちは、新たな希少な鉱石を求めて旅を続ける。

リリィは成長し、ライドロンの秘密にも興味を持ち始める。

しかし、次に俺たちが足を踏み入れるのは、未知のエネルギーが蠢く深淵の森。

そこで出会うのは、希望か、それとも──。


次回、ライドロンと紡ぐ家族の物語。


**第5話:『深淵の森、そして未知の技術』**


「この遺跡の技術は……俺の知るものとも違う。一体、この世界はどこまで奥深いんだ?リリィ、もう少しだ。危険な場所からは離れていろ。」


お楽しみに!

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