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ブラックなショートショート集  作者: 上津英


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55/55

55 私達はツインレイ

『またね、大好き』


 LINEの通知音と共にそう言った私の彼氏は――行方不明になりました。




 私ってスピリチュアルが好きなだけで、勉強出来ない馬鹿です。

 でも東京の大学に通いたくて、合格出来そうなFラン大学に行きました。

 だから大学に期待なんかしていなかった。私の輝かしい上京ライフは、ネオンの明かりと共にあると信じていましたから。

 でも。

 私のそんな馬鹿みたいな考えは、桜の木の下で笑う和也さんを見た瞬間吹き飛びました。


──私はこの先輩に会う為に東京に来たんだ!! ううん、生まれて来たんだ!!


 ビビビッと来ました。運命の人だと、ツインレイなんだと、雷が落ちたような衝撃を味わいました。




 ツインレイってご存知ですか?

 運命の人とほぼ同じ意味なんですけど、運命の人よりもスピリチュアル寄りかな? 魂の片割れって意味。

 前世で1つだった魂が、今世で2つに割れ。その片割れをツインレイと言うんです。こんなの運命の人としか言えませんよね。

 私は占いサークルの先輩に『こんな人知らない?』と尋ねました。

 と。

 どうやら私のツインレイは人気者のようで、ちょっと顔の広い人に聞けばすぐに「あー和也だそれ多分」と言われる人だったのです。




 先輩に頼み込んで和也さんを紹介して貰いました。

 さすが私のツインレイ!

 笑いのツボも、スイーツ好きなのも一緒。美味しいスイーツのお店いっぱい知ってて、話しててあっという間に時間が過ぎました。

 そして。


『俺達付き合わね――』


 待ちに待ったその言葉が、和也さんの唇から紡がれたのです。


『はい、喜んで! もう離れないで下さいね。私達はツインレイなんですから』

『もう、って……? ツ、ツイ……?』

『ツインレイですっ!』


 私は和也さんが引いてるような気がする中、満面の笑みを向けたのでした。




 それからの日々はとても輝いていました。

 こんなに楽しくて良いの? こんなに夜遊びして良いの? ってドキドキしっ放し。

 和也さんに全て捧げて、やっぱり私の青春はネオンの明かりと共にありました。

 それもこれも和也さんがツインレイだから、こんなに幸せなんです。

 なのに――。


***


「和也の奴、どこ行っちゃったんだろうね」

「ね……でも、ツインレイにはサイレント期間って言う離れ離れになる期間が無くちゃいけませんから……これも仕方がないのかな。だって和也さんは私のツインレイですもん」


 大学がある沿線の電車の中、私と先輩は和也さんの事を話してた。


「まだその話してるの!? もうその話止めた方が良いよ! 和也の両親、捜索願出したんだよっ!」


 先輩は頬を引き攣らせながら言いました。


「っ」


 私はムッとなり押し黙りました。先輩も私と口を利きたくないのか何も言いません。

 沈黙が続く中、私が1人暮らししている部屋がある駅に到着しました。


「では失礼します」


 私は振り返る事なくそう言い、電車を降りアパートに向かって歩き出しました。


「捜索願、かあ……」


 考えるのは和也さんの事、先輩が言っていた事。

 残念だけど、確かにもうこの話をしている場合ではないのかもしれません。


「はあ……ただいまー」


 溜息を吐きながら帰宅した私は、真っ先に浴室――猿轡をし、手足を拘束された和也さんが居る――に向かいました。


「和也さんお待たせっ! 今帰ったよ!」

「っ!」


 私が帰って来た事に気付いた和也さんは、ビクッと肩を震わせました。


「ふふっ私が帰って来たのがそんなに嬉しいんですか? 可愛い~」


 和也さんのそんな動作も愛しくて私は頬を綻ばせます。

 普段は格好良い人が見せる偶にの可愛さって何でこんな最強なの……。


「ご両親が捜索願を出されたとか。だからそろそろ解放してあげますね~、和也さんは警察が動く前にしれっと戻って、自分探しの旅に出てたって事にして下さいね?」


 私が目を細めて言うと、和也さんは「んーっ」と不満げな声を上げました。それを見て私は唇を尖らせます。

 そして。


「は?」


 思っていた以上に低くて冷たい声が出たのでした。


「なに? 浮気したの許してあげるんですから、これくらい良いじゃないですか」

「!」


 そう。

 和也さんはツインレイである私を放って、あの日他の女と浮気しようとしてたんです。LINEの通知で判明しました。「またね、大好き」なんて調子の良い言葉を吐きながら、良く出来ますね?

 スイーツ店に詳しいのも女遊びが派手だったから。

 夜にばかり私と遊んでいたのも、私が遊びだったから!

 許せない。

 ツインレイだから許してあげるけど、お仕置きしなきゃ。だから私は和也さんを監禁しました。

 どこにも行かないように。もう魂が離れないように……って。


「これからはずっと私の傍に居て下さいね? だって私達はツインレイですもんね?」


 そう言って私はにっこり笑いました。


「んーっ……んー!」


 何故か怯えた表情で何度も頷く愛しい人に夕飯を作りに、私は台所に向かいました。

 あっ、今日は和也さんの好きなチーズケーキも作ろうかな?

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