1 私の王国
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結婚しかない。
バカンス王国の王であるコップは思い詰めていた。
この小国を潰さぬ方法はどこかの大国のヒモになるしかない。なんとしても自分は王でいたかった。
問題はこんなショボい小国と結婚してくれる姫がいるかだが、有能な大臣に任せておけば問題ないだろう。
コップは立ち上がり大臣を呼んだ。
「王のお嫁様が見つかりました。北方のナントカ帝国をご存知ですか?」
「知るか。しかしお前が推すなら大国なのだろう」
「そこの絶体絶命姫が、ぜひ王と結婚されたいようです。週末に早速顔合わせの場を設けました。事前に肖像画を見せないことが条件でしたので、 よろしくお願いいたします」
どうもとんだブサイクのようだがまあいい。国の未来への期待は膨らむ一方だった。
週末。コップはナントカ帝国の宮殿を訪れていた。
さすが大国だけあって門も廊下も大きい。
「コップ様ですか?」
応接室で未来の花嫁を待っていたコップに女の声がかかる。
「絶体絶命姫! です……か……」
コップは恐怖を覚えた。
入ってきたのは着飾った恐竜だったからだ。
「どどどういうことだ……‼」
振り返ると大臣が窓から逃げようとしていた。
「持参金は受取済みです。あなたより私の方が王に向いていますから」
大臣はにやりとし、窓から逃げていく。
「私お婿さんって甘くて大好きです、よろしくお願いいたします」
背後で絶体絶命姫が口を開いて笑うのが分かった。
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