仮 面 ハ イ ダ ー 近 日 発 売 !
御好評いただいている“無味MONSIEURダー”の姉妹品、“仮面ハイダー”が新登場。
ニオイを消してカオを消し忘れている人たち!そこのあなた、だいじょうぶでしょうか!?
頭隠して尻隠さずでは大変大変。
反対に、カオさえ消してしまえば、ちょっとぐらい自己臭が残っていても平気というもの、もう慌てることはありません。
ひとつ歴史の教科書をひもといてみましょう。
これは今世紀初頭のお話。
まだ公共の場で物を食べたり、家族でもない者達がテーブルを囲んで食事をしていました。口中に飲食物を入れた状態で、どうかすると咀嚼中の物が相手に見える。でもそんなことにはお構いなし、会話をしながら食事行為を楽しんでいました。もちろんノーマスクで。
今日、そういう事は考えられません。衆人環視の中で大便をするのに等しい行為と受け取られかねないでしょう。タベモノというものは口に入れた時から、その人のウンコになってゆく、ノミモノはオシッコになってゆく、まあ、こんな基礎的科学知識は小学生でも持っていますね。
タベモノをもぐもぐ、ノミモノをがぶがぶ。クチャクチャ口の中で唾液とかきまぜる、最もプライベートな生理プロセスを、恥ずかしがりもしないで、公衆の面前にさらしていました。ちゃんと映像だって残っています。時代を代表する美女と言われる人達が、グルメ番組とやらに出ては、キャメラの前でクチャクチャやっているのです。もちろん、その種の映像を流すなら風俗紊乱の罪で逮捕されちゃいますから、今となっては変態マニアの間だけで知られている超レア物のマル秘映像ですけれど。
いやはやどうも、のんきと言うか間抜けと言うか、個人情報の管理なんか言っている場合ではなかったんですよね。すすんで自らの生理にかかわる秘密を公にしておきながら、住所を知られるのは困るの、年齢がばれちゃうのは嫌のと騒いでいたんですから。今、他人に食べぐせ、飲みぐせ、排泄ぐせを知られる事は、若い女性の何よりも嫌うところとなっていますが、文明国としてこれは当然の成り行きと言えましょう。
もうひとつウン蓄を。クサイ洒落のつもりではないですけれども。(笑)
昔は妙齢の婦人が人前で鼻をかんだと言います。本当です。そのくせ自己臭は香水と消臭剤でもって消そう消そうと躍起になっていました。何とアンバランスな感覚だこと。
あのドロドロネバネバしたイヤらしいものを、薄い紙切れの中へフン!と出していたのです。人が見ている所でですよ。鼻が糸を引いたりなにかして。中には、恐る恐る紙切れを開いて、出したものを確かめる人がいたそうです。こんな事を聞いたらマニアさんたちは色めきたつかも知れませんね、その頃に生まれたかったと。
とはいえ、昭和時代の初めまでは立ち小便をする女性がいたのですから、それからすれば進歩は進歩でしょうか。
時は移って二十年前。
スケキヨ族が大きな話題に。それほど昔のことではないので覚えている人も多いのでは。
そうです。自分の顔を隠したい、透明人間になりたい、なぜなら究極の個人情報は人間の顔にあり。そう気付きはじめた人達が外出の際、白い仮面を被って出歩くようになった。当初、新しい風俗に世人は不安を募らせたようです。ひょっとしたらまたオウムまがいの危険宗教の出現ではないのかと。
でも、彼ら彼女らこそ、まともだった。誰だって無味無臭なクリーンな体と、類人猿的でない最先端の顔、ステート・オブ・ジ・アート・フェースが良いに決まっています。今となってみればこんな当たり前な物の感じ方も、当時の人々にはできなかったのですね。
まともな彼ら彼女らは、世間の風当たりが強くなった時、それをやわらげるために、インフルエンザにかこつけて、それ用のマスクに切り替える者がいた。口と鼻だけ覆う物体です。今考えるなら、口と鼻を隠してもそれ以外の部分を露出するのでは何の意味もないではないかと言いたくなりますが、彼ら彼女らの身になれば窮余の策だったのでしょう。
それに、何と言っても出始めの頃のスケキヨマスクは粗悪な品が多かった。通気性に乏しく、真夏ともなるととてもじゃないが被っていられない。苦しさのあまり白いマスクを取った時の、周囲に与える衝撃。顔面は茹で蛸のように変色して膨れ上がり、髪の毛の逆立った物凄い形相で、ハー、ハー、と息をついている。その様と言ったら、まるで赤鬼です。そんなのがあちらの街角こちらの街角と見られたものです。
さて、時代は更に下がって、私たちが暮らすこの現代。
スケキヨマスクを着用しての外出はもはや常識。いつしか「スケキヨ族」という言葉すら聞かないようになりました。スケキヨマスクを着用しない人は、体臭消去剤を使わない人や、衣服を身につけて歩かない人と同じくらい風変わりな存在となっています。
ところで、ここへ来て、新しいけれど当然な要求が消費者側から起こりつつあります。スケキヨマスクでは不十分だ、と。
確かに、従来の製品では顔の輪郭が判ってしまいます。
眼力のある人ならば、芸能人・著名人が使用する最高級のスケキヨマスクでさえ、その下にある、ナマの顔つきがほぼ推定できます。そこまで慧眼の持ち主でなくとも、例えばモデルの小吹雪さんが実は鉤鼻で、女優の不二ノ家紀子に至っては長嶋顎だ、ぐらいな事は地デジを通してでも見当がつきましょう。
ですから元は、芸能界の中から要望が起こりました。‥‥‥もっとステート・オブ・ジ・アートなスケキヨマスクが欲しい。......
今回、パリの下着メーカー・ダコール社との技術提携によって、全く新しい感覚の顔面グッズを共同開発。
その名も仮面ハイダー。全71タイプ。
仮面ハイダーはあなたの顔本来の凹凸をファッショナブルに反映させながら、しかも顔の個人性を目立たせないようにするという、この両立不可能とされてきた二つの機能を、ひとつのマスクに実現しました。
もう他人の目を気にする必要はない。これからは存分にマイフェースを楽しむ時代です。
スケキヨマスク同様、BMI社製のPID(Person Identifying Device) をインストールすれば、ハイダー着用者同士でお互い名前が判る、これは言わでものことです。
いざ、ガラスのごとく透明な理想人間に。無味MONSIEURダーと併せて使用するなら、あなたも完全無機質。
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2009年おとなのコラムに掲載