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悪役令嬢は魔術師になりたい  作者: 神楽 棗
第二章 奇想の魔術師
53/81

プロローグ


プロローグは短めです。


「へえ、これがネルドを滅ぼしたアテリア草ね」


 赤い髪の青年がアテリア草の葉を持ち上げて弄んだ。


「密偵からネルドの第三王女が自我を保ったまま魔物に変異したとの報告を受けています」


 青年の手が止まった。


「それは興味深い報告だな」


 報告していた騎士は青年に報告書を手渡した。


「皇帝陛下への報告書を私に渡してもいいのか?」


 青年は不敵に笑った。


「陛下より今後は皇太子殿下に一任すると仰せつかっております」


 アテリア草を机の上に置くと報告書を手に取った。


「長年かけた計画が破綻して投げやりになったか」


 報告書に目を通しながら、情けない皇帝陛下に対し鼻で笑った。


「展開が予想外過ぎましたからね…」

「予想外?あんな計画でそもそもあの国を手に入れられるわけないだろう。私なら…」


 アテリア草を手に取った。


「戦争を仕掛ける」


 騎士は眉を寄せた。


「しかしあの国は攻撃を仕掛けようとする者を弾きますよ」

「ネルドの第三王女が内部からの攻撃なら出来ると証明してくれただろ」

「アテリア草を使うということでしょうか…」


 ネルドの狂戦士、フリーデン王国のピッツバーグ公爵の実験、ネルドの第三王女の魔物化。

 報告書からもアテリア草を使用した結果はあまり良いものではなかった。

 それを自国の者に使うことに騎士は抵抗を感じた。


「使う者を厳選すればいい。この帝国の為に命をなげうつ覚悟のある奴を」

「しかしアテリア草を使っても無力化される可能性があります」

「聖女のエリアーナ・フロレンス・ウォルター侯爵令嬢か…」


 聖女の話は隣国のこの帝国の地にまで轟いていた。


「なら私の側妃にしてやろう」


 報告書とアテリア草を机に置き、口角を上げた。


「あの者はフリーデン王国王太子の婚約者ですよ」

「それがどうした」


 一睨みすると騎士は萎縮した。


「所詮はただの侯爵令嬢。帝国の皇太子が口説けば落ちないわけがない」


 頭を下げる騎士の顎を持ち上げて見下ろした。


「そうだろう」

「仰る通りです」


 皇族は昔から侵略した王国の美女を妃に迎えることが多いため、遺伝から美男美女が多く皇太子も例外ではなかった。

 返答に満足し顎から手を離した。


「王太子就任祝いの席に第八皇女を同行させよう」


 第八皇女は17歳になったばかりで皇女の中で最も美しいと称賛されている。


「第八皇女に迫られて嫌がる男はいない。そして私が直々に口説けば落ちない女はいない」


 騎士はそれ以上口を噤んだ。

 とても言えなかった。


 フリーデン王国の王太子は婚約者を溺愛しているという噂があることを…。





読んで頂きありがとうございます。

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