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第8話 色々と訊ねたり答えたりするのは大事だよね。

 コナタと言う場所に向かって、ミントの荷馬車を引きながら進む俺。


 もっとも、俺は問題なく引っ張って普通の徒歩の速さで進んでいるが、先程のジャンとその仲間達の様子を見るに、普通はもっとゆっくりとしたスピードで進む事になる様である。


 逆に言えば、今のミントの荷馬車の重量を考えたら、今の俺のスピードが一般的にはあり得ない事になる様で、


 「ええっと、カズサさん?いやシンさん?でも男の子なんだし、ここは君付けで呼んだ方がいいのかな?」

 「・・・好きに呼んで構いませんよ。ペパーさん。」

 「じゃあ、シン君で。」

 「どうぞ。」

 「私もミントで良いよ。”ペパーさん”なんて普段呼ばれていないから違和感があるからね。」

 「ああ、分かったよミント。」


 名前を呼ぶと同時に彼女には敬語で接するを止めたが、ミントは気にする様子はなかった。それよりも自己紹介が終わると、ミントは待っていた様に、


 「それにしてもシン君、その見た目で、しかも錬金術だと言うのに、あんな凄い身体をしている上に、そんな筋力をしていると言うのだから、信じられないよね。何でそんな強さなのに錬金術師になっているの?傭兵や冒険者をすればいいじゃない。」

 「・・・いや、俺は元々、モノづくりの仕事・・・・・・・・をしており、この身体・・・・は後でなったんだよ。」


 ミントの質問に俺は、バカ正直に転生云々の事は言っても信じないだろうし、信じられて色々突っ込まれても面倒な事になると思い、余計な事は言わず、元からモノづくりの仕事をしこの身体は後でなったとだけ伝えた。


 嘘は言ってない。事実、俺が転生する前はモノづくり関係の研究職の仕事していたし、この見た目、絶世の美少女で、服を脱いだら鍛え抜かれた筋肉の鎧に覆われた漢の身体は、転生してなったものだ。

 ただ、その中に伝えていない事実があるだけだ。俺の話を聞いて、どう解釈するかは向こうの勝手である。


 思った通り、俺の話を聞いてミントは、


 「ああ、成程ね。そんな見た目をしていたら女の子と間違われて、時にはひどい目にもあいそうになったから、そうやって鍛えてその筋肉とパワーを得た訳ね。」

 

 勝手に納得してくれた。俺はそんなにミントにあいまいに笑うだけで返答はしなかった。


 「ところでシン君って名前もそうだけど、黒い髪とも言い、ヤマトの人なの?」

 

 いきなりそう尋ねて来たのだが、ヤマトとは何だと思い、まずはその事を尋ねると、


 「え?ヤマトはこの大陸から東の海を渡った大陸の更に先にある島国の事なんだけど、黒い髪は東の大陸の人の特徴でもあるんだけど、名前がヤマトの人特有のニュアンスだったから、って言うかヤマトの事を知らないと言う事はシン君はヤマトの人じゃないんだ?」 

 「いや、(今の)俺のルーツは知りたくても知りようが無いので・・・。」

 「・・・ひょっとしてご両親は・・・。」

 「ええ、両親とはもう会う事は二度と出来ないし・・・。」


 今の俺の身体はこの世界のどこの人種を元にしたのか、俺が知る術はなく、ミントの話に合わせて両親がいない様に話したが、事実、実の親とも会う事はもう二度とない。

 両親との関係は悪くなく、月に一度は安否確認の電話を入れていたのは確かだったので、父と母は俺が事故で死んだと聞いてどんな気持ちになったのだろうか・・・。

 

 そう考えたら、親不孝をしたのは確かだろう。何とも言えない気持ちになり、それが表にも出たのだろう。

 ミント達もバツが悪そうな表情となっている。


 「ごめんなさい。悪い事を訊ねて・・・。」

 「いや、気にしないでくれ。そういう運命なんだろうさ・・・。」


 ミント達を慰めるつもりで言ったが、俺が事故で死んで転生実験とやらで、この世界に絶世の男の娘の姿で転生したのも運命なんだろうと言葉に出して言うと、納得は未だできないが諦念は出てきた。


 そうなると、いつまでもこの姿の事に悩んでいても生産性がないので、話のついでに、俺達が向かっているコナタと言う場所ついて、更にはここはどういう国でその近隣諸国はどういう国なのかを尋ねると、怪訝な表情でミントは俺を見た。ジャン達も同じ表情をしている。


 「この国の事を訊くなんて変な事を訊くね?君、この道を通って来たのだから、そう言う事は把握しているんじゃないの?」


 ミントの返しに俺は内心で”しまった”と思ったが、とっさの言い訳で、


 「俺は自分の意思でここにいる訳じゃないんだ。」

 「?どういう事?」

 「俺は実験とやらに巻き込まれてここに、正確にはこの近くの山中に転移させられたんだよ。」


 神々の転生実験で転生転移した事を、余計な事は言わずに事実だけ言うと、ミント達は成程と納得し、それから俺を気の毒そうな表情で見た。


 えっ?これで納得するの!?マジで?!と言うか、何でそんな気の毒そうな目で俺を見るんだ!?と俺の方が内心、びっくりしたのだが、


 「古代文明の遺跡に転移装置やや上位魔法に転移の魔法があって、それの実験の過程で物だけでなく、人を跳ばす実験もしているんだけど、酷い魔法使いは面白半分で通りすがりの通行人に掛けていたずらする事もあると聞いてるから・・・、君も災難だったね・・・。」


 ミントの言葉に俺は冷や汗が流れた。面白半分で通りすがりの通行人に転移の魔法を掛けて、見知らぬ地に跳ばすのが、そこそこに行われているだなんて、なんてトンデモない世界なんだ!!

 

 俺が内心、ショックを受けている事など知る筈も無いミントは「じゃあ、シン君が、この国の事を知らないのも仕方がないね。」と納得して受け入れ、この国についてレクチャーし始め、急いで俺は意識をそっちに向けた。


 ミントの説明によれば、今、俺がいる国は”シュバルツァー帝国”と言う国で、俺がいる大陸”ラーシア”の中央から北部を支配しており、帝国と言うだけあり、その国力と軍事力は大陸最強だそうである。

 大陸の中央下の西は”エステリア”という王国が、中央から東は”ミラージュ”と言う名の王国があるそうである。


 俺達が今、向かっているコナタと言う場所は帝国東にある都市で、皇帝が住む帝都に比べたら落ちるが、帝国内東部にある町村では一番大きな街となる。


 「ふ~ん、じゃあ、帝国内では都会なんだ?」

 「そうですね。それは間違いないです。」


 それを聞いて俺は内心、田舎の村よりは都会の方が、行政や設備、店などもあるので、生きていく上で選択肢が多いだろうと思ったので、行き先は良さそうである。


 そう思ったところで、高さ五メートル程の石積みによる壁が見えてきた。どうやら街壁の様である。


 「あれがコナタですよ。」


 どうやら、俺達はコナタに到着した様である。


 もう少し時間があれば、今度はミントの事を訊こうと思ってのに・・・残念!!

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