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第6話 これも処世術と言う奴よ。

思ったよりもグダグダになったので、ここで投稿します。

 見た目、絶世の美少女上に、俺を女だと認識して犯そうと思ったクソったれた野盗達を殲滅して、わずかながら余韻に浸った後、俺は荷馬車の者達に声を掛けた。


 「この野盗達に襲われていた様子でしたが、大丈夫でしたか?」


 一応、荷馬車の者達はまともそうに見えるので、俺も敬語で接する事にした。

 まぁ、初対面の人間と接する時の基本だからな・・・。


 「あ、ああ、何とかな・・・。」


 俺に話しかけられて荷馬車の女性も護衛達も、一瞬、ビクッと緊張から身体を固くしたが、護衛のリーダーと思われる男が何とか声を出したと言う様子で返してきた。


 「そうですか、まぁ、無事ならばよかったですよ。」


 リーダーの返答に、俺は警戒されていると理解しているが故に、少しでもそれを解こうと、見た目だけとは言え安堵の様子を見せながら、そう返すと、それが功を成した様で、相手の警戒感が緩んだのが感じ取れた。


 「礼がまだだったな。助け「待って、ジャンさん、お礼は私から言うわ。」て、そうかい?ミントの嬢ちゃん?」


 ジャンと呼ばれた護衛のリーダーが礼を言おうとしたところを、荷馬車の持ち主で彼らの依頼主と思われる女性が待ったを掛けて、荷馬車から降りて俺の前に立った。


 「野盗に襲われているところを助けてくれてありがとう。私はミント=ペパー、この荷馬車の持ち主で商人をしているわ。」

 「どうも、俺は上総心、いや、こっちではシン=カズサになるのかな?」


 俺の自己紹介を聞くとミントだけでなくジャンと呼ばれた護衛のリーダーや他の生き残った護衛達も何とも言えない表情となった。


 「何か?」

 「あ、いや、あなたみたいな物凄く綺麗で可愛い娘が、自分の事を”俺”なんて言うからちょっと面食らったというか・・・。」

 「・・・」


 ミントの言葉に、今度は俺が苦虫を噛み潰した表情となり、変に誤解されたままでも不愉快だから、さっさと彼女達の認識の間違いを正す事にした。


 「あ~、あなた達が勘違いする見た目をしているのは自覚しているが、俺は男だ。そこは間違えないでください。」

 「は?」


 俺の言葉にミントは固まった。その顔には今、何を言われたか理解できないと書いている。

 いや、ミントだけでなくジャンや他の護衛達も固まっている。

 しばやくして起動したミントは力のない声で乾いた声を上げながら、


 「は、はは、いきなりあなたが冗談を言うから驚いたわ。でも、正直言ってつまらないよそれ・・・。」

 「いや、本当ですよ。嘘だと思うならー」


 俺はそう言って上の服を大きく捲って上半身をミント達に見せると、


 『!?!?』


 ミントは驚きのあまりか、両手を口に当て、ジャン達も目を見開いて、信じられないと言う表情になっている。

 俺は上の服を元に戻して身支度を整えると、


 「これで俺が男だと信じてくれました?」

 「あ、ああ、正直言って坊主・・の見た目だけを見たら、先程の身体つきが未だに信じられねぇ・・・。」


 俺が男だと言う新たな驚きに口に両手を当てたまま固まっているミントに皮ってジャンが答えた。

 俺の事を”坊主”と呼んだので、男であると理解してくれた様である。もっとも表情は凄く複雑なモノとなっているが・・・。


 まぁ、それについてはこんな顔と身体になった俺自身も思っている事なので、物凄く共感できた。

 そう考えたら、俺をこんな見た目に転生させた神々は間違いなく間違いなく”愉悦部”に属しているな・・・。


 俺の見た目はともかく、ミントは未だ別の驚きで固まっているが、護衛の皆様は理解してくれたようななので、


 「話は戻しますけど、生きている皆さんは無事だった様ですけど、その荷馬車の方は大丈夫何ですか?それと亡くなった護衛の人達は、そのまま放置でいいんでしょうか?」

 「っと、そうだったな。おい、ミントの嬢ちゃん、気持ちはよく分かるが、何時までも驚いている場合じゃないぞ。積み荷の方は大丈夫なのか?それとこのクソったれた賊どもの所為で荷馬車が損傷したみたいだが、動かす事は出来るのか?確認してくれ。」


 ジャンの指示にミントは我に返り、未だ信じられないと言う表情で俺を見つめた後、「分かったわ。ジャンさん。」と返答して荷馬車を調べ始めた。

 もっとも調べている間も複雑な表情をしていたから、俺の見た目が絶世の美少女なのに実は男であると言う事に釈然としないのだろう。

 まぁ、大丈夫だミント、俺も全然釈然としないから!!

 声には出さず、心の中でミントに共感の意を表明した。


 「お前らは俺と一緒に死んだ仲間達の装備品などを回収して遺体を一か所に集めろ。」


 俺がそんな事を思っていると、ジャンは生き残っている護衛仲間達に、そう指示を出し、亡くなった護衛達の遺体を集め、装備と言った遺品を回収し始めた。

 俺もボーっと突っ立っていても仕方がないので、護衛の遺体を集める事にした。


 「あ、俺も遺体集めを手伝います。」


 俺も手伝う事を伝えると、ジャンと他の護衛達だけでなくミントもギョッとした表情で俺を見、ジャンが


 「い、いや、じょじゃなく、坊主には危ない所を助けてもらったからな。そこまでしてもらう訳にはいかねぇよ。、な、なぁお前ら。」


 ジャンの声掛けに部下の護衛達だけでなくミントも、ブンブンと首を縦に振った。


 どうやら、俺が絶世の男の娘だけでなく、先程、野盗達を瞬く間に殲滅した事で、内心で俺に対していささか恐怖があるらしい。

 とは言え、俺もこのままでは手持ち無沙汰なので、彼らの意思に関係なく手伝う事にした。


 「やっぱり、俺も手伝いますよ。」

 「あっ」

 

 まだ回収されていない護衛と思われる遺体を持ち上げて集めている所に持っていった。


 俺の行動に誰かが声を上げたが、それから誰も何も言う事なく遺体集めは終わった。


 「・・・すまねぇな、遺体集めまで手伝ってもらって・・・。」

 「いや、構いませんよ。こういう困った時は助け合うものですから。」


 ジャンが礼を言って来たので、社交辞令も含め、向こうの印象をよりよくするため、そう返すと俺の考えは当たった様で「あんがとうな」と先程よりも、より声が柔らかくなっている。

 どうやら、より好感を持たれ、警戒を弱める事が出来た様だ。


 まぁ、これも社会に出て10年以上、会社の歯車として働いて来た処世術と言う奴よ。

 さぁ、荷馬車を調べているミントの方はどうかな?

面白いと感じたのならば、感想もしくは評価をお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 描写が丁寧であること、主人公に好感をもてること。 山賊を躊躇なく殺したのは後腐れなくて良かったと思う。よく見る、どうしようもない奴でも殺さないとか不殺を貫いたりとかそんなことでグダグダ悩む…
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