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第56話 ポーションを卸すための素材である薬草を採取しに・・・3

我的にきりがよいので投稿します。

 「私はヤマトの冒険者で、同じ冒険者で活躍している姉の撫子なでしこの助力になろうと思い、この大陸に来ました。」


 ああ、先程、切腹しようとしていた時に撫子姉様と叫んでいたなと、そんな事を思いながら話の続きを聞いた。


 「姉様は戦巫女ー神官と戦士を兼用している職業と思ってくださいーとして既にAクラス冒険者として東の大陸では高名な冒険者で、その技術と強さを見込まれて、他数名の東の大陸のS,Aクラスの冒険者の方々と共に、この大陸で数か月前から起きたある事件の調査をこの大陸の高ランクの冒険者やこの国の騎士団の方々と共同する人員の一人としてこの大陸に来ました。私はそんな姉様のお力に少しでもなりたいと思いまして、故郷の都にあったギルドで姉様が受ける事になった調査の依頼についてお尋ねして、この大陸に来ました。」

 「・・・こう言っては何なのですが、よくキキョウさんがお尋ねして、その調査の依頼について教えていただけましたね・・・。普通はS,Aクラスの冒険者の方々が受けるような依頼について普通の冒険者がお尋ねしてもギルドは教えてくれないのですが・・・。」

 「私も故郷ではBクラスの冒険者で撫子姉様ともよく共に依頼をこなしていて、その縁で・・・。」

 「キキョウさんはBクラス冒険者なのですか。」


 キキョウの返答にエリカは驚きと納得の表情となった。

 まぁ、エリカの気持ちは理解出来る。目の前の彼女キキョウがBクラス冒険者と言うのも驚きだし、そんな彼女ならば地元の冒険者ギルドでならば、ギルド側も少しは融通を利かせるだろう。

 

 「この大陸に渡り、この国の皇がいる帝都のギルドで姉様達の情報を得ようとして、信じられない事を聞く事になりました。」

 「信じられない事?」

 「・・・姉様を含めた調査隊は消息不明となりました。」

 「え!?じゃあ、そのキキョウさんのお姉さん、撫子さんを含めた高ランク冒険者の方々がその調査の依頼を失敗したと言う事ですか!?」

 「そういう事になります。」


 キキョウの返答にエリカは信じられないと言う表情になっている。


 まぁ、エリカの驚きは理解できる。

 Sランク冒険者が戦う姿は見た事ないが、ギルド長である夕姫白蓮もSランク冒険者の一人で、初めて会った時、その強さは転生実験でこの世界の常人の4倍になった感覚がハッキリと今の俺より遥かに強いと告げていた。

 そんな夕姫白蓮と同等の超凄腕冒険者達が行方不明となったのだ。驚くなと言う方が無理だろう。


 俺達の驚きをよそにキキョウは続けた。


 「その事を聞いた私は姉様を見つけ出し、お救いしようとギルドに詳しい情報を聞こうとしたのですが、当然、Bクラス冒険者、ましてやよその大陸から来た私に帝都のギルドが融通を利かせてくれるはずもなく、姉様達の情報を得る事が出来ず、かといってこのまま何もしないと言う事も出来るはずもなく、独自に姉様達の情報を得ようと帝都内で調べた上で、姉様達がこの近くの”コナタ”と言う大きな街のギルドで、調査の対象について、より詳しい情報を得ていたと言う事を聞いて”コナタ”へと向かったのですが・・・。」

 

 そこでキキョウは俯き、しばし無言となった。どうやら、ここからが彼女の切腹に関する動機の話だろう・・・。

 しばし沈黙の後、話す決意が着いたらしく、説明を続けた。


 「姉様の身を案じるが余り、私自身の事を疎かにしていた事に”コナタ”に辿り着いてから気付いてしまいました。」

 「どういう事?」

 「・・・路銀がかなり少なくなっている事に、その時になってから気付き、姉様を探す前にまず当面の活動資金を稼がなければならなくなったのですが・・・」


 そこでまたキキョウは俯き、羞恥の籠った声色で、


 「私、自分の武器の手入れをしたのが、故郷にいる時のかなり前の話で、”コナタ”で護衛の依頼を受けたのですが、その護衛の最中、刀が折れてしまい、その上、折れた切っ先が護衛していた方に刺さって負傷させてしまった上、それが原因で他の護衛依頼を受けていた冒険者の方々まで動揺し、結果的には護衛依頼は達成できましたが、私は治療費などを支払う事になり、無一文になった上、主に使っていた武器も使えなくなり、”コナタ”の冒険者ギルドでの冒険者としての信用にも傷をつけてしまいました。」

 「でも、脇差はあるので、EやDの依頼はこなせるのでは・・・?」

 「・・・それをこなす前に空腹となってしまい、しかしお金はないのでやむを得ず、最後の力を振り絞って」

 『振り絞って?』

 「街の外に行き、生えているキノコや木の実を食してお腹を壊し、下痢になってしまい、何とかお腹の調子は戻りましたが、あまりの醜態の連続に、私では姉様をお救いするどころか冒険者としてもこれ以上やっていけないと思い、これ以上、恥をさらす前に・・・と」


 それで切腹しようとしたという訳か。どうも話を聞くとこのキキョウと言う娘は姉の事になると視野が狭くなる上に、猪突猛進する様である。要はシスコンで姉の事になると暴走するところがあるのだろう。

 

 俺がそんな感想を内心で抱いていると、エリカは「それは、その、大変でしたね」と同情する言葉を掛けているが、何とも言えない表情を浮かべているので、俺が思った事をエリカも思ったのかもしれない。


 幸い、キキョウはまだ俯いたままだったので、エリカの表情には気付いていない様である。しかし、話は聞いたが、どうするべきか・・・。流石に話を聞いて後は知らんぷりと言うのも後味が悪いよな・・・。

 取り合えず、S〇YJ〇Yを2つ食べて腹はそれなりに膨れたと思うので、後は武器の問題か・・・


 「あの、キキョウさん、よろしければその折れた刀と折れた切っ先を見せてもらえませんか?俺は錬金術師なので、ひょっとしたらその刀、直せるかもしれませんから。」

 「え、本当ですか!?」


 ガバッと顔を上げるキキョウ。でも直ぐに沈んだ表情となり、


 「・・・でも、先程申し上げた通り、修理費を払うお金を所持していないのですが・・・。」

 「・・・まぁ、これも縁と思って無料でやりますよ。それに」

 「それに?」

 「それにせっかく助けたのに、また人生を悲観して自害されたのでは、助けたこっちの労力も無駄になるので・・・。」


 俺の返しに「そ、そうですか」と少し引き攣らせながらも刀を受け取り、鞘から取り出し、折れた切っ先も受け取り、俺はさっそく錬金出来るかスキルで調べ、問題なく錬金出来る事が判明した。

 ただ、今まで直して来た物の中では一番、精神力を消費する事になったが・・・これは何でだ?


 疑問はあったが、それは取り合えず置いといて、早速俺はキキョウの刀を直す事にした。

 折れた部分を繋げて、スキルを発動すると次の瞬間、折れていた繋ぎ目が無くなり刀が元に戻った。


 「ああ、私の虎の爪とらのつめが!!」


 直った刀を見て喜ぶキキョウ、しかしこの刀、虎の爪と言うのか・・・何で虎の爪と言うのか全然分からないが・・・。


 直った刀を手にしたキキョウは嬉しそうに刀を見回すと、そのまま近くにあった岩を斬りつけ、そのまま両断してしまった。

 

 マジか?あんな固そうな岩をバターを斬る様に難なく両断するなんて・・・。


 「さ、さすがはBランクだけありますね。大した剣の技量です。」


 エリカも驚きながらも、彼女のランクを聞いていたので、寧ろ納得している。


 岩を両断しても問題がない事を確認したキキョウは喜びと安堵が混じった表情をしながら刀を鞘に納め、


 「カズサさん、エリカさん、ありがとうございます。自害しようとしていたところを止めて頂いただけでなく、食料まで恵んでいただいた上に、刀まで直していただき、このキキョウ、感謝してもしきれません。」


 そう言って深く頭を下げるキキョウ。この様子ならば自害する事もなさそうである。しかし、次の言葉は俺、いや俺達・・にとっても斜め予想の言葉だった。


 「これほどの恩を受けておきながら、もう1つお願いしたい事があるのは恥知らずと理解しているのですが、私をあなた方のパーティーに入れてくれませんか?」

 『は?』


 俺もエリカも予想していなかった彼女の頼みに声が重なった。

 俺達のパーティーに入れてくれ?Bランクの彼女キキョウが?どういう事?

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