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第53話 こうして俺達のエルフの護衛の依頼は終了した。

 暑さに苦戦しながらも、何とかお盆の間に書き上げて投稿する事が出来ました。

 里を襲撃して来たオーク達を全て討伐し、オークの死体処理や里人の安否確認などの後処理をし始める中、アイリスとリリアが俺達に近寄って来た。


 「いや、二人共、先程は助勢してくれて助かった。」

 「あ、いえ、私は咄嗟に銃を撃っただけですから。」

 「・・・俺も近くにあった斧で勢い任せで斬りかかっただけだから・・・。」

 「でもお二人のお陰で子供達は守られましたし、カズサさんが1体倒してくれたお陰で、敵が動揺し、その隙を突けましたから。」

 「ああ、二人には助けられたよ。礼を言う。この事も里長にちゃんと伝えておく。」


 二人から俺達が礼を受け取っているところに、オークの死体を調べていたエルフの1人が近寄って来た。


 「死体を調べたが、このオーク達は間違いなく誰かが送り込んできたオークだな。」

 「確かなのか?」

 「ああ、オーク共自体はどれも同レベルのオークで上位種はおらずそれなのに統率が取れている上、オーク達の持っていた武器はそこそこに良い武器だ。少なくとも数時間前に攻め込んできた債務者達が使っていた武器よりは質が良い。野良のオーク達が全員があのレベルの武器を持って上位種がいないのに統率が取れて攻め込んでくるなんてあり得ないだろう。」

 「確かにな。」

 「そうですね。」


 エルフの説明にアイリスとリリアが頷いた。


 それにしてもオーク達を送り込んできた者と債務者達を送り込んできた者が同じならば、そいつはあの・・債務者達よりはオーク達の方が使えると判断したんだろうな・・・。実に良い判断してるぜ!!

 いや、あの債務者達が酷過ぎると言う事か・・・?俺がそう思っていると、


 「あの、先程オーク達と数時間前の債務者の人達を武装させてこの里を攻めさせたのってやっぱり同じなんでしょうか?」

 「・・・まぁ、状況的に考えたらそうだろうな・・・。」

 「じゃあ、その人というか勢力にとって債務者の人達ってオーク達よりも使えないって判断したんですね。エロ豚達よりも使えないだなんて、ある意味可哀そうな人達ですね・・・。」

 

 『・・・・・・』


 ・・・まぁ、確かに哀れと言えば哀れだな・・・エリカの言葉に俺達は何とも言えない表情になった。


 


 それから俺達は里のエルフ達、特にアイリスとリリアから感謝の言葉を受けながら、里を出ようとしたところで、ニールを始めとした数人の里の子供達が寄って来た。


 「おかまの兄ちゃん、今日は色々ありがとうな。俺達も改めて礼を言うぜ。」


 ニールが礼を言うと、一緒にいた子供達もそれぞれ礼を言ってきた。


 「いや、まぁ、どういたしまして。君達も怪我もなく里の方も被害が最小限で済んでよかったよ。」

 

 俺はこう見えても中身は30の大人なので、おかまの兄ちゃんと呼ばれても大人の対応で、ニール達に応対してやろう。

 しかし、次にニールから出た言葉は、流石の俺でも予想外の言葉だった。


 「それにしても筋肉モリモリのおかまって強いんだな。だから俺もおかまの兄ちゃんのような筋肉モリモリのおかまになって、里のみんなを守ってやるぜ!!」


 ニールの突然の宣言に俺だけでなく、これを聞いていた里のエルフ達も可笑しな事を聞いた(実際可笑しな事だが)と言う表情でニールを見た。


 志は立派だけど、それで目指すのが筋肉モリモリのおかま!?しかもその原因は俺!?と言うか、この子からそう思われるほど俺活躍したか!?


 とは言え、子供の決意に水を差すのもどうかと思うので「なら、それを目標に努力するしかないな。頑張って?」と返した。最後が疑問形になってしまったが、幸い、ニールは気付かなった様で「おう!!」と嬉しそうに返した。


 このやり取りを見ていたエルフ達は皆、凄く何か言いたそうな表情になっていたが・・・。

 まぁ、それでも何も言わないと言う事は、この場ではニールの決意に水を差すつもりはなかったのだろう。

 それが良いのか悪いのか俺には判断がつかないが・・・。


 何にしても、俺達は今回の依頼も無事、達成し、この里に用もないので、俺達はコナタに戻るため里を発った。



  

 「いやぁ~、今日の依頼はイーストウッドまで護衛していけば良いと思っていたのですが、予想外の事態ばかりでしたね。」

 「ああ、そうだな。引き受けた時は二度も里の襲撃に出くわすだなんて思いもよらなかった。」

 「でも無事、依頼を達成出来て良かったです。それにしてもカズサさんって強いのは分かってたんですが錬金術師として技量も凄かったんですね。」

 「そうかな?」

 「そう思いますよ。少なくとも私が見習時代から聞いた錬金術師の方で、あれほどの高性能の銃を難なく造り出せる技量を持った方の話は聞きませんでしたから。」


 まぁ、神から与えられたチート能力だからな。内心でそう呟きながらも表には出さず「そーなのかー」と返しておいた。

 そんな俺の返しにエリカは噴き出しながら「カズサさんもお茶目なところがあるんですね。」と返してくれた。


 「しかし、手に入れた銃の1つを狙撃銃を造るための素材にして悪かったな。」

 「いえ、イーストウッドと人質に取られていた子供達を助ける事が出来たんですから良かったですよ。」

 「・・・それでも銃を1つ無くしたのは痛手だと思うから明日、銃を錬金するよ。」

 「え、いや、悪いですよ。」

 「構わない。俺としても錬金技術を磨きたいのもあるし・・・。」

 「カズサさんの技術なら十分に高いと思うのですが・・・。」

 「いやいや、俺の技術はまだまだだ。だからより多くの物を錬金術で造り出さして錬金技術を磨かねばならない。」


 実際、与えられたアルケミーとクリエイトの技術はあまり経験値が貯まっていないからな。しかし、エリカは俺の言葉を違う意味で受け取った様で、更にも増して敬意の籠った目で見つめてきた。

 どうやら彼女の好感を高めた様である。とは言え、地球にいた時は一度も女性と深い交流を持った事が無かったので、幾らか気恥ずかしさと動揺したのは否定しないが・・・。


 俺はそんな心中を治める為に話題を変えて明日の予定を話す事にした。


 「は、話は変わるんだが、明日は明後日ペパー商会に卸すポーションの素材である薬草を手に入れる為に行動するので、依頼は受けないつもりなので、エリカは他にしたい用事があれば、そちらを優先してくれても構わないぜ。」

 「あ、いえ、大丈夫ですよ。私の方もこれと言ってやらなければならない用事はないので、薬草集めを手伝います。」

 「そうか、じゃあ、明日もよろしく。」


 コナタに帰る道中、明日の予定も決め、俺達はそのままこれといったトラブルもなくコナタに戻り、冒険者ギルドに達成した依頼書を提出した。

 もっとも、依頼書に記載されていた里での活動をセリナが読むと、イーストウッドが襲撃を受けたと言う事も含めて騒ぎとなり、ギルド長に軽い尋問を受ける事になったが・・・。

 

 何はともあれこれで今日一日も終わった・・・。





 「300年前のこの事件での後の大錬金術師シン・カズサ氏の活躍が、私がこの世界に入りながら拳法家になる事を決意させたのよ。」


 私は今、2か月前、今まで誰も成しえなかった一対一、それも素手だけでドラゴンを討伐したエルフの拳法家ニール・イーストウッド氏に独占インタビューを申し込み、それが受理されて、こうして彼、いや失礼、彼女にインタビューをしている。


 そして話を聞く過程で、彼女が拳法家を目指すきっかけを尋ねたところで、この返答が返って来た。

 当時の事を思い浮かべているのか、うっとりとした表情になるニール・イーストウッド氏

 見た目は、エルフと言う事も有り、実に美しい顔立ちをしており、声も相まって顔だけを見れば30前後の美女にしか言えないが、その鍛え抜かれた筋肉の鎧に覆われた身体を見れば彼女が男性・・である事が理解できる。


 ただし、彼女の名誉と世間の認知のためにも記載しておくが、彼女は身体は男性でも心はまごう事なき女性であり、その言動も淑女である。その認識を間違えてはいけない。

 まぁ、これはニール・イーストウッド氏だけでなく、彼女の生まれ故郷である大陸に幾つかあるエルフの里の1つイーストウッドのエルフ達にも言える事だが・・・。


 イーストウッドのエルフ達はニール氏と同じ女性・・の拳法家が多い事で大陸の帝国内では有名な事実である。

 もっとも帝国内と言っても300年前に時の帝国悲願であった大陸統一を成して以来、大陸の国家は帝国しかないが・・・。

 未だ、この世界には世界中のエルフの里で、犯罪組織などが人身売買の為にエルフ達の身柄を抑え様と襲撃を掛けようとする愚か者達が存在するが、大体、150年ほど前ぐらいから帝国のイーストウッドだけは襲撃を受けた事がない。


 屈強なエルフの漢女達に犯罪組織も恐れをなしていると言う事である。


 その事をニール氏に伝えるとニール氏は、


 「そうなのよ。そういう連中からは『帝国のイーストウッドにはエルフの顔をしたオーガが大勢いるから関わるな。』なんて言葉もいつの間にか流れているのよ。まぁ、そのおかげでイーストウッドは150年、そういう襲撃を受けた事がないのだから喜ぶべきなのだけれども・・・それにしても私達のような見目麗しいエルフを捕まえてオーガだなんて失礼しちゃうわね。」


 そう言えばイーストウッドには、そのカズサ氏のご息女とご子息がおられると聞きましたが・・・?


 「ええ、あの姉弟ね。彼らはハーフエルフだけれどお父様であるカズサ氏の血を引いているだけあってお姉さんは音楽家兼音学者、弟さんの方はモンスター学の学者をしているわ。でも彼女達もお姉さんもそうだけど、弟さんも良いマッスルボディをしているわ。」


 その二人もイーストウッドでは名の知れた戦士だと聞き及んでいますが・・・。


 「そうよ。お姉さんも優れた戦士だけれど弟さんも優れた拳法家ね。それに弟さんの筋肉によるパワーも凄いわ。私もその気になれば帝国で発行されている帝国金貨を素手で引きちぎる事が出来るけど、弟さんも上腕二頭筋で酒瓶を粉砕する事が出来るからね。」


 では、ニール氏にとってはその姉弟もイーストウッドを守る上では頼りになる戦士であると同時に同門の好敵手でもあると言う事ですね。


 「ふふっ、まぁ、そういう事ね。ああ、そうそうカズサ氏と言えば、ご存じだと思うけど血族は何人かの女生との間にそれぞれいるのだけれど、どれも素敵なマッスルボディをしているのよね。あれはきっとカズサ氏の影響よ。事実、300年前、カズサ氏と共に行動を共にしていたシスターとの間の子孫が以前、イーストウッドに来ていたけど、実に良いマッスルボディをしていたもの。でもやっぱり私の中では一番美しくそして圧倒的な筋肉のパワーを持った方はシン・カズサ氏ね。今でもあの時のカズサ氏の凄さは未だにはっきりと思い出せるもの・・・。」


 後に、この時代、最も優れた大錬金術師、そして冒険者としても猛者として名をはせ、多くの人に影響を与える事になるシン・カズサ氏は、ニール氏の人生にもとても大きな影響を与えたのは確かの様である。


 

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