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第50話 時には拳の一撃が物事を解決すると言う訳だ・・・

少し遅くなりました。

 俺が若干、センチになっていると、里のエルフの戦士達が、襲撃してきた謎の武装集団の中で唯一生き残っている腰を抜かして尻もちをついている男に尋問をし始めた。

 

 「貴様ら、ここはシュバルツァー帝国イーストウッド伯の領地である事を知っての狼藉か?」

 「シュ、シュバルツァー帝国イーストウッド伯?知るかよ!そ、そもそも俺は西の大陸に住んでるもんで、ここが中央大陸のシュバルツァー帝国内だと知ったのは今、初めてだ!!」

 

 男の喚くような返答にエルフ達は怪訝な表情となったが、男は構わず続けた。


 「お、俺達は全員、ギ、ギャンブルで莫大な借金をこさえちまったただの債務者だ!そして借金取りの奴らが、お、俺達は借金が返せない屑と見なして、俺達を全員拉致って得体のしれない怪しい奴らに売り飛ばしやがったんだよ!!そして俺達を買い取った奴らは、その場で俺達に魔法を掛けて眠らせ、目覚めた時には、ここからそこそこ歩いた村の外れに移動させられていて、全員にこの首輪が着けられてたんだよ!!そいつらはこの首輪には俺らの行動を監視、命令を聞かない場合、爆発して俺らを殺す機能が備わっており、実際、その事を聞かされて文句を言った数名はその場で首輪が作動して首から上が吹き飛びやがった!!」

 「・・・貴様達に下された命令とは何だ?」

 「奴らが用意した武器を持って、この里を襲撃して、エ、エルフを何人か拉致ってこいと言われた!!それ以外は聞かされてねぇ!」

 「・・・それでこのイーストウッドを襲撃しようとしたところで、里の子供達と遭遇したので、子供達を人質に捕ったと言う訳か・・・?」

 「し、仕方がねぇだろ!!言う通りにしなかったら、俺達は殺されるんだ!!寧ろ俺達も被害者だよ!!」

 「それで子供達を人質にとった上に危害を加えたという訳か?」


 喚く男の言い分を聞いて、明らかに怒りを押し殺した声色で問うエルフ。


 「だって、そうしないとお前らの身柄を確保なんて出来る訳ないだろ!!それをしなかったら俺達は殺されるんだ!!だったらするしかねぇだろ!!大体、ギャンブルの借金なんて下らねぇもんを踏み倒そうとしたぐらいでこんな目に俺達を合わせやがるんだ!!今の話を聞いたら借金取りとこんな首輪をつけた奴らが悪いんのは理解できるだろ!!俺達は全然悪くねぇ!!なぁ、分かるだろ!!」


 いや、全然分からねぇよ。話を聞くとこいつらが屑というのは理解できた。借金取りも、こいつらは到底借金を返済できない屑だと判断したのは理解できるわ。

 

 里のエルフの戦士達も、アイリスやリリア、エリカも怒りか、呆れ、もしくは侮蔑の表情で男を見ている。

 

 「・・・貴様にここを襲撃して里の同胞達を捕える様に命じた奴らはどんな奴らだ。」

 「ぜ、全員、スーツとか言う黒の上質でスマートな服を着た奴らだ。奴らを束ねている男だけは更に上質なスーツを着ていたが、見ただけで震えあがるような凄みと存在感がありやがる。あ、ありゃあ、どう見ても堅気じゃねぇ。いや、ひょっとしたら人間でない可能性もあるかもしれない・・・。」


 話している間に、その男の事を思い出したのか、見る見る顔が青ざめ、声にも怯えの色が出てきた。


 「その者達は今も、貴様達が目覚めて歩いてきたと言う村の外れにいるのか?」

 「し、知るかよ!!」

 「・・・貴様達が歩いてきたと言う村の名前は何と言う?」

 「そんなの分かる訳ねぇだろ!!俺達は気絶した状態でその村外れに連れてこられたんだぜ!!」


 どうやら、これ以上情報が得られそうにないなと俺は思ったが、里のエルフ達もそう思ったのか、武器を構え、それを見た男が更に取り乱した。


 「お、おい!俺は知っている事は喋ったし、降伏したんだぞ!!なのに俺をこ、殺そうとするのか?!」

 「貴様達は里に危機を齎し、剰え子供達を人質にとった挙句に危害まで加えた。その報いは受けてもらう。」

 「ふ、ふざけるな!危害を加えたと言っても怪我を負わせただけだし、里を襲撃したのだって、俺達にこの首輪をつけた奴らが命じた事で、それをしなかったら殺されていたんだぞ!!悪いのはそいつらじゃねぇか!!俺達は完全な被害者だよ!!」


 どこまでも他責な債務者の見苦しい自己弁護を聞かされるのも耳障りだと感じた様で、詰問していたエルフ達の一人が男を殺そうとした時だった。


 男の首輪が赤く点滅し始め、何事かとエルフ達が身構えると男が青ざめた表情で喚き始めた。


 「な、何で首輪が爆発する準備に入るんだよ?!お、俺は奴らの命令通りに働いたぞ!!な、なぁ、助けてくれよ!!頼むよ!!こんな所で死にたくねぇよ!!」


 喚きながら武器を構えていたエルフの一人に縋りつく男。

 このままでは男の首輪の爆発が縋りついたエルフにまで及び、このエルフも負傷してしまうだろう。

 すぐさま、直ぐ近くにいた数名のエルフの戦士達が、縋りついた男を引き剝がそうとしたが、命の危機が迫っているためか、縋る力が強く、縋りついているエルフから引き剝がす事が出来ない。


 「まずい!このままではイデが!!」

 

 「イデさん!!」

 「イデ!!」


 リリアやアイリスも悲痛の表情で叫ぶ。


 「おかまの兄ちゃん!!イデのおっちゃんを助けてくれよ!!」

 「カズサさん、何とかしてあげてください!!」


 何時の間にか近くに寄っていたニールやエリカが俺にそう言ってきたが、俺にどうしろと?

 あの首輪をぶっ壊せと?それとニール!俺はおかまじゃなく男の娘だ!!


 そう思ったところで、首輪の点滅が激しくなっている事に気付いた。爆発まで猶予はなさそうな上、今からこの縋りついている男を殺そうとしても、エルフ達では即死させるのは無理だろう。


 ええい、クソッ、こうなったら勢い任せだ!!


 「おい!そこどけ!!」


 俺は縋りついてる男を引き剝がそうとしていたエルフの一人を押しのけ、


 「おい、お前!こっちを向け!!」

 「へっ?」


 男に向かってそう叫び、俺の声に思わずと言った様子でこちらに振り向き、顔と一緒に露になった首輪の中心部に向かって、


 「オラァ!!」


 勢いをつけた全力の右拳を叩き込み、次の瞬間、首輪の中心部と共に男の首から上が粉々に砕け散った。


 飛び散った男の頭部の肉片や血しぶきで、俺も含め男の周りにいた者は血に染まり、肉片が媚りつき、エルフ達は「う、うわわわ!!」と取り乱し、アイリスやリリアも含めた他のエルフ達も目を見開き驚いた様子だったが、俺は無視してエリカとニールのクソガキを見、


 「頼まれた通り、何とかしたが、これでOKか?」


 そう訊ねると、他のエルフと同じく驚いていたエリカはきょとんとした表情になるが、直ぐに俺の質問の意味を解し、


 「ハイ♪これでOKです♪」


 と親指を立てて返して来た。ホント、こういうノリが良いシスターである。


 「エルフの皆さんも、これで良いですよね?グッドですよね?」


 笑顔で親指を立てながらそう訊ねるエリカに、里のエルフ達も困惑しながらも賛同した様で、アイリスが代表する形で「あ、ああ、これで良い。グッドだ。」と困惑した表情で親指を立て返した。


 「あんな方法でイデのおっちゃんを助けるなんて、筋肉モリモリのおかまの一撃ってスゲェんだな。」


 エリカの近くにいたニールも興奮した様子で、目を輝かせながら言う。

 あれ?何かニールに変な勘違いをさせてしまったような気がするんだが・・・まぁ、問題ないか。


 まぁ、何はともあれ、襲撃して来た奴らは返り討ちに出来、俺達が受けた本来の依頼である子供達のお守りじゃなく護衛も無事達成できたので、エリカの言葉じゃないがグッドだ!!

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