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第46話 依頼により護衛としてエルフの里に向かう道中で・・・

 「俺はシン・カズサです。」

 「エリカ・クリスティーヌです。」

 「リリア・イーストウッドです。」

 「・・・アイリス・イーストウッドだ。」


 俺達が自己紹介をすると、子供達の護衛兼保母と思われる大人の女性エルフ達も名前を名乗り返してくれた。

 銀髪の弓使いがリリアで、薄緑の髪の剣士がアイリスと言う名前か・・・。


 同じ苗字だから知らない者が聞いたら姉妹もしくは親類と思うだろうが、この世界に転生転移した時に頭にインストールされた情報によると、この世界のエルフは苗字は住んでいる里の名前を苗字にする様である。

 これは獣人などの他の亜人にも当てはまり、辺境の村などに住んでいる人間などにも当てはまる事の様である。

 

 インストールされた知識はこういう有難い知識も多田あるのだが、モンスターの名前や種類と言ったモノから、この世界の細かい部分については歯抜けな部分もあり、敢えてそうしているようにも思える。

 何度か思った事だが、転生実験を行ったと言う神々は絶対、そういう事で苦労する俺も含めた転生者達を見て愉しんでいる愉悦部の部員だろ。


 まぁ、それはいいとして、いや良くはないが、言っても詮無いので話を戻すと、エルフの苗字についてエリカが、何も尋ねないのを見るに、彼女もこの事・・・については知っている様である。


 「では、来て直ぐで申し訳ないのですが、イーストウッドへと出立して良いでしょうか?」

 「あ、大丈夫ですよ。エリカも良いよな?」

 「はい、道中の護衛は任せてください!」


 リリアの問いに俺達が同意すると「ほう、それは頼もしいな。道中の護衛はよろしく頼むぞ。」とアイリスも言ってきたので、それにも「はい、任せておいてください!」エリカが返答をし、俺も頷いた。

 

 リリアとアイリスは子供達に出立する事を伝え、子供達を引率して受付のカウンターに向かい、オーナのマークに挨拶をする。


 「オーナー、この度もお世話になりました。」

 「・・・ああ、何時でも利用してくれ。帰りの無事を祈っている。まぁ、護衛を引き受けたそこの冒険者二人はまだ新人だが、見込はあるので、道中、モンスターの襲撃があっても子供達は必ず守り抜くさ。そうだろ、カズサ、エリカ」


 そう言って俺達を真っ直ぐ見てくるマーク。元凄腕の冒険者のお眼鏡に適ったようなので、その期待に応えるためにも、俺もエリカもマークの目をしっかりと見据えて『はい、任せてください。』と声を合わせて答えた。

 

 俺達の返しにマークはニィと端から見ると、背中に悪寒が走るような笑みを浮かべ、すぐにそれを消すとリリアとアイリスを見、「また来てくれ。」と声を掛け、二人はそれに頷き、子供達にお礼と別れの挨拶を言う様に言い、子供達がそれぞれ別れの挨拶やお礼の言葉を言い終えると、俺達は精霊の休息所を出、そのままイーストウッドを目指して歩き出した。




 ぷぎゃと短い悲鳴を上げて倒れる豚のモンスター、嚙みつき豚。

 名前通り、獲物とみなした相手に鋭い牙で噛みついて攻撃してくる下級の豚のモンスターだが、イーストウッドへ向かう俺達を獲物とみなして襲ってきたが、リリアの矢が嚙みつき豚の眉間を貫き、一撃で仕留めてしまった。

 そして、モンスターに襲撃されるのはこれで4度目だが、全てリリアとアイリスがあっさりと返り討ちにしてしまう。


 え?じゃあ、俺達は何をしているのかって?俺達はその間、子供達の子守、ゲフゲフン、護衛を務めて、子供達が好奇心を刺激されて飛び出したりしないように目を光らせながら守る事である。

 とは言え、彼女達が強いのは感じ取っていたが、まさか、ここまで俺達の手助けが必要とされないとは思わなかった。

 マークの期待もあるので、俺もエリカも気合を入れていたのだが、肩透かしを食らった気分である。

 まぁ、それでも護衛の仕事である以上、気を抜くつもりは最後までないけどさ。


 俺がそんな事を思っていると、エリカが感心した様子で声を掛けてきた。


 「凄いですね。流石はイーストウッド伯の里の戦士ですね。」

 「?イーストウッド伯の里の戦士?どういう事?」


 俺の質問に、エリカは不思議そうな表情で俺を見たが、直ぐに「ああ、そういえばカズサさんは遠い所から事故で来たと言ってましたね。だったら知らないのも当然ですね。」と納得し説明してくれた。


 「約150年程前、まだ帝国が、今ほどの国力がなく王国であった時、その当時の第7王子が次の玉座を力づくで手に入れるべく内乱を起こしたんです。」

 「そうなの?ああ、でもそれで分かった。それを鎮圧した時、当時のイーストウッドのエルフ達が力を貸して大きく貢献したと言う訳だな・・・。」

 「・・・あ~、普通はそう思うかもしれませんが、逆なんです。その時「その時、当時、余りの王国の腐敗のため大改革をするためにもまずは膿を全て取り除かなければと、武力行動を起こした第7王子に|我々は力を貸したんだ。と言っても私やリリアが生まれる前の話だがな・・・。」


 エリカの説明にかぶせる様にアイリスが説明する。

 当時の情勢は今の様に大国3つがあるような状態ではなく小国が乱立し、日々、領土を巡って争っていた乱世の時代だったそうである。

 当時、まだそんな小国の1つで王国を名乗っていたシュバルツァー国内は政治と役人の腐敗により、国内は荒れに荒れており、何時滅んでもおかしくなかったそうである。

 おまけに、種族差別も横行しており、エルフも含む亜人達は人族よりも下と言う風潮もあったそうである。

 

 その時の王は現皇帝から見て祖父に当たる人物で、後に大改革をし現王の父で先王となる第7王子の父となる王であったが、当時の若き王はそんな腐敗と何時滅びるか分からない祖国の未来に絶望して、享楽に身を任せて生きていた暗愚な放蕩王であったそうである。

 おまけに国同士の政略結婚で嫁いできた王妃がまたロクでもない王女で、そんな両親の元に生まれた第一王子や第二王子も暗愚な王子だったそうである。


 「そんな話を聞かされると、よくそんなまともそうな第7王子が生まれてきたもんだな。」

 「そうだな。全ては当時のユピテルー今の帝都の事だーに一人の女医が現れた事からだ。」


 女医ねぇ、ふとした事から、この国の歴史を聞く事になったが、興味が惹かれた俺はアイリスの説明に折りを入れる事無く、最後まで聞く事にした。

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