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第39話 ペパー商会にポーションを初卸

リアルで色々とあり、投稿が少し遅れました。


 「・・・流石に四日目になると、この顔と声も自分のモノだと慣れが出てきたな。」


 あれからエリカと別れた俺はこの世界、しいてはコナタに来てからずっと泊まっている『初冒の宿』を利用し、朝起きて自分の声と顔を見ても驚きや違和感を感じ無くなりつつある事を自覚しながら朝の支度を始めた。




 「カズサさん、おはようございます!」

 「ああ、おはようエリカ。」


 宿で出された朝食を食した後、時間を見計らって何時もの様に『初冒の宿』を出てギルドに向かうと、エリカがギルドの正面出入り口の付近で待機しており、俺の姿を見ると元気よく挨拶してきたので、俺もちゃんと挨拶を返した。


 挨拶は大事、古事記にも書かれているからな。


 「昨日、言った通り今日はまずはペパー商会と言う商店に俺の製作したポーションを卸しに行くから、それからどうするかはその後次第だな。」 

 「はい、わかりました。」

 「でも、その前に」

 「その前に?」

 「昨日、修復に出した服を取りに行く事からだな。」

 「はい?服ですか?」


 最初の目的地を聞いて、エリカは怪訝な表情で首を軽く傾けた。


 ・・・エリカって見た目、結構可愛いから、こういう仕草って結構絵になるんだよな・・・。




 「あ、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」


 昨日と同じく引き攣った笑みで挨拶してきた店員の声を背に受けながら、俺は修復を頼んでいたこの世界に転生転移された時に着ていた服が入った袋を手に持ちながら店を出た。


 「・・・その服ってどういう感じの服なんですか?」


 店員の様子に対しては一切突っ込まず、俺が手にしている服の入った袋を見ながらエリカが訊ねてきたので、彼女に袋を渡して中身を見る様に言い、それに従って袋に入っている服を見て何とも言えない表情になった。


 「・・・何だかこの服を着たカズサさんは一見すると女性と見間違えられるんじゃないですか?」

 「そうだぜ。だからその服が修復する必要が出てきたついでに、今着ている服に着替えたんだ。これなら俺が男だってすぐ分かるだろ?」

 「・・・それはそうですけど、じゃあ、どうしてこの服を着たんですか?気分転換か何かなんですか?」

 「・・・着たくて着たんじゃなくて、ここ・・に跳ばされた時に着せられたんだよ。」


 俺の返答に「跳ばされた時?」と疑問の表情になるも、俺がそれ以上何も言わない事に、何か事情があると察した様で、それ以上、何も訊いてはこなかった。


 こう言う時、察しの良い助かる。俺達はそのままペパー商会に着くまで無言だった。




 「いらっしゃ、あ、シン君、待ってたよ。」


 ペパー商会の経営している雑貨店に入ると、数日前の時と同様、カウンターで店番をしていたミントが客に対する来店の挨拶をしようとして、俺だと分かるとそれを止めたが、以前の時と違い、今回は微笑みながら迎え入れてくれた。


 「おはようミント、早速だが、契約通りポーション10個とハイポーション10個を製作したいんだが、空き瓶は20個集めておいてくれたか?」

 「ええ、それは問題ないけど、隣にいるシスターは紹介してくれないの?」

 「ああっと、そうだな。彼女はエリカ・クリスティーヌ、昨日、ギルドで冒険者登録をし終えた新人冒険者で、知り合いの冒険者パーティーの紹介でパーティーを組む事になった。」

 

 俺がそう説明するとエリカが、


 「エリカ・クリスティーヌです。レオンパーティーに属するマリア先輩の後輩で、同じパーティーでリーダーのレオンさんの提案でカズサさんとパーティーを組む事になりました。よろしくお願いします。」

 「ミント・ペパーよ。この雑貨店を経営しているペパー商会の経営者で、シン君には錬金術師である彼が製作したモノを卸してもらっているの。」

 「あ、それはカズサさんから聞きました。」

 「そう、じゃあ、彼女と自己紹介も終えた事だし、ポーション10個とハイポーション10個を製作してくれる。」

 

 ミントの言葉に俺は「ああ」と肯定すると、彼女はエリカを客が来ても良い様にと臨時の店番を頼み、ポーションを入れるための空き瓶を置いてある場所に案内してくれた。


 「水はその洗面台の蛇口からとってね。」


 ミントの指示通り、直ぐ近くに蛇口が付いた洗面台があり、これなら問題なくポーションが製作できる上、エリカはここにいないので、俺はアイテムボックスから製作に必要な分の薬草を取り出し、ポーションの製作に入った。


 「全くいつ見えてもその”アイテムボックス”と言うのは便利なものね。」

 「それは確かにな。」

 「彼女、エリカにはシン君のアイテムボックスの事は伝えたの?」

 「いや、流石にまだそこまでは信頼していない。」

 「まぁ、それが賢い選択でしょうね。とは言え、パーティーを組んだのならば、何時かは知られると思うから、大丈夫だと思ったのならば、時期を見て伝えた方が良いと思うわよ。」

 「ああ、それは分かってる。」


 俺はミントと話をしながらポーションの製作をした。

 と言っても材料さえあれば、俺の精神力が枯渇していない限り難なく製作出来るので、話が終わる頃には瞬く間にポーション10個とハイポーション10個を製作し、


 「ミント、それぞれ10ずつ製作したが、これらは何処に置いたらいいんだ?」

 「あ、もう終わったんだ。じゃあ、製作品を拝見させてもらうわ。」


 ミントは合計20のポーションを、1つずつ手に取り、全て確認し終えると、


 「うん、問題ないわ。ポーションの配置などは私がするから、まずは店に戻りましょう。」


 ミントが、そういうので、俺達はエリカが店番をしている店へと戻った。

 と言ってもそこ5分ほどの事なので、何かトラブルが起きたと言うことはなかった。


 「カズサさん、ポーション作成は終わったんですか?」

 「ええ、問題なく製作して卸してくれたわ。」


 エリカの質問に俺が答える前にミントが答える。それから俺を見、


 「卸してくれたポーションの代金はこの前言った様に、今現在ポーションの製作報酬は800エン、ハイポーションは5000エンとなっているけど、うちは余剰金がそれほどあるわけではないから、ポーションは600エン、ハイポーションは4700エンとなるわ。それに出来れば報酬の支払いは月末払いにしてほしいの。」

 「・・・それは構わないが、そのニュアンスだと、他の店では報酬の支払い方法が違う場合もあるのか?」

 「あ~、大通りに大きな店を出しているようなところだと、その場で支払う方式を採っているわね。」


 なるほど、大手は何処も資金に余力があるからその場で支払うという訳か。


 俺は報酬金額と支払方法に同意し、次は何時卸に来たら良いのか尋ねると、ミントはしばし思案した後、


 「取り合えず3日後に来て。その時、卸してもらう数は一応、ポーション10個とハイポーション10個のつもりでいて。まずはこの3日間でどれくらい売れるかを調べないといけないから。」


 ペパー商会は規模が小さい上、ポーション類を店に置くのも初めてなのだから、今から色々と検証していく訳か・・・ミントの商人としての手腕が試されるという訳だな・・・。


 ミントと決める事は決めたので、これ以上、この場にいても邪魔になるだけなので、俺達はペパー商会を出る事にした。


 「あ、ちょっと待ってシン君、シン君は錬金術師なのだから、これから色々なモノを製作していくんだよね?」

 「そりゃあ、俺の本職はモノづくりの錬金術師なんだから、それが食品だろうと薬品だろうと武具だろうと生み出してなんぼだ。」

 「うん、そうだね。だから、その生み出した物もペパー商会に持ち込んでね。他の錬金術師達も皆、そうしてポーションなどを卸している店に自分の生み出した物を持ち込んで交渉し、需要がありそうならば店で販売してもらっているから。」


 「それでヒットするモノもあり、それによって錬金術師として名声を得たり、財を成した人達もいるから・・・。」と続けるミントの説明を聞き、じゃあ、俺も日本でモノづくりの企業に勤めていた身として、錬金術師として、この世界でヒットする商品でも生み出してみるかと、意欲が湧いてきたのは確かだった。


 それにひょっとしたら、地球しいては日本ではスーパーやコンビニ、ホームセンター更には100円ショップなどで販売されていた商品も、俺のスキルでこの世界に生み出す事が出来れば、売れるかもしれない。


 金儲けの可能性を感じて、俺のヤル気が更に出てくるのを実感した。

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