第30話 俺は服屋に行って服装を変えるぞ!!
「う、う~ん、朝か・・・って、声が可笑しいような・・・?」
俺はまだ寝ぼけた頭で、自分の声が随分、可愛らしい声になった事に疑問を覚え、起き上がって鏡を見ると、そこに写った儚げな絶世の美少女の顔を見て、ギョッとなったが、直ぐに、ああ、今はこの顔が俺だったなと、今の自分を思い出して落ち着いた。
当たり前と言えば当たり前だが、この身体になっても、まだ三日目なので、自分の今の姿に慣れきっていないみたいだ。
俺はやれやれと思いながら歯を磨くために洗面台があるシャワー室に向かった。
身支度を整えた後、食堂で出された朝食を食べた後、部屋の鍵を返すついでに、フロントの店員に服屋の場所を聞くと、流石は帝国内東部にある町村では一番大きな街だけあり、全部で四店あるらしい。
更に防具屋でも防御力の高い服も扱っており、防具屋に至っては5店あるそうである。
・・・何気に服を購入しようかと思ったが、どうやら、気に入った服を探そうと思ったら場合によっては半日もしくは一日がかりになるかもしれない・・・。
「い、いらっしゃいませ!!どのような服をお探しでしょうか?」
さっそく、『初冒の宿』から一番近い服屋に入ると、中の女性店員は一瞬、俺の顔を見て呆けたような表情となったが、直ぐに我に返り、声を掛けて来た。
「男物の服を見たいんだが、それと可能ならばこの着ている服に着いた汚れ取りと修復も頼みたいのだが」
「汚れ取りと修復・・・ですか?・・・はい、それぐらいの状態ならば出来ますが、男物の服ですか?」
俺の要望を言うと、店員は俺の恰好を見て可能だと答えたが、その後の男物の服と聞いて怪訝な表情になった。
う~ん、見た目、儚げな絶世の美少女が朝一で男物の服を求めるのは不思議に思うのも仕方がない・・・のか・・・?
とは言え、向こうの販売のプロらしく、余計な事は言わず直ぐに「こちらになります。」と案内してくれた。
色んな種類の服があり、ユ〇クロで販売されている様なカジュアルなモノから、上質なモノまでそれなりにある。
男物売り場を見て回ると更にスーツらしきモノから、挙句に究極にして最強の暗殺拳を使う某世紀末救世主が出てくる世界に出てくるヒャッハーな奴らが身に着けている肩パッドみたい服まで置いてある。
あれ?この店、服屋であってコスプレ店じゃないよね?
内心で首を傾げながらもう少し見て回ると、先程とは逆に某世紀末救世主が着ているようなレザーのジャケットとパンツらしきものまである。
「・・・ここ、品ぞろえイイね・・・。」
「ありがとうございます。当店はコナタでも一番の服屋を自負しております故、多様な衣服をあつかっております。」
服のバリエーションに皮肉を込めて、そう言うと店員は素直な賛辞と認識したのか、誇らし気にそう返して来た。
取り合えず、こんなに服の種類があり、俺自身も気に入った服があったので、ここで何着か購入する事にした。
「た、大変、お似合いでございますお客様。」
試着室で着替えた俺の姿を見て、信じられないモノをみたと言わんばかりにの驚愕した表情を浮かべた後、引き攣った笑みであからさまな世辞を言う店員。
今、俺は某世紀末救世主が着ているようなレザーのジャケットとパンツを試着しているのだが、胸元は大きく開いているので、筋骨隆々の胸板と腹筋が見えている上、袖は付いていないので細身で色白ながらも屈強な筋肉の鎧を纏った腕が肩口から出ている。
俺が男だったと言う事実に驚愕しながら、思ってもいない世辞を店員をよそに、試着室に備え付けられた鏡を見てみると、首から下だけを見ると、某世紀末救世主のコスプレをしたみたいで結構似合っているなと思いながらも、首から上を入れてみると、凄く違和感がある。
しかし、これならば、誰がどう見ても男だと理解出来るだろうし、身体つきを見たら弱そうだと舐められる事もないだろう。
俺はこの服に加え、ブーツも購入し、他にも高そうなスーツと革靴らしきもの(こんなモノも置いていた)も購入し、俺がこの世界に来ていた服は血糊をふき取ってもらい、怪力熊の変異体との戦いで出来た斬り裂き傷などを修復してもらうために、この店に預けた。
全部で30万エン掛かったが、今の俺の懐状態ならば問題ないので、ポンッと払い、スーツと革靴を纏めて包んだ袋を手にして「あ、ありがとうございました。」と最後まで引き攣った笑みのままで挨拶してきた店員の声を背に受けながら店を出た。
思ったよりもあっさりと変わりの服を見つけ、時間もまだ9時半とまだ今日一日は始まったばかりともいえ、ミントのペパー商会に納品するのは明日故、今日は予定が全くない。
する事もない上、時間も余っているので、俺は人通りがない事もあり、すぐさまスーツと革靴をアイテムボックスに仕舞い、そのまま冒険者ギルドに向かう事にした。
昨日、Eランクの依頼をざっと見たが、直ぐに出来そうな依頼もいくつかあったので、受けてみるのもよいだろう。
服装も変わって、如何に首から上が儚げな美少女でも、首から下の身体つきが分かる男らしい服装に変えたので、これで女と間違われる事もないと思うので、俺はウキウキ気分で冒険者ギルドへと向かった。
案の定、通りすがる通行人達が、今の姿の俺を見て、ギョッとした表情や目を丸くして驚いていたり、信じられないと言う表情で立ち止まって俺を見続けいる。
まぁ、首から上は儚げな美少女なのに、首から下の今、着ているレザーのジャケットの胸元や肩口から出ている屈強な漢の腕を見たら驚くわな・・・。俺だって驚くもの・・・。
デメリットだけでなく、メリットも多いが、全く色んな意味で、とんでもない男の娘の身体に転生させられたもんだぜ・・・。
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