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第3話 俺の見た目が物凄く可愛くても良い事なんて何にもない!!

 チート能力の一端を確認できた俺は、その後、ウキウキした気分で川に沿って歩き、それから二時間程経過し、今の俺の気分は最悪だった。

 何故なら俺の目の前には・・・


 「ヒャッハー、こいつは間違いなく上玉だぜ!!」

 「胸はねえが、良い女だぁ~!!」

 「こんな綺麗な小娘、見た事ねぇぜ!!」


 下品な笑い声を上げながら、俺を嘗めまわす様に見る8人ほどの男達。

 どれも全部、飾りっ気のない如何にも安物と分かる鎧と剣や斧を身に着け、髪はぼさぼさ、髭も伸ばし放題、しかし体型はがっちりと如何にも山賊か野盗と類と理解できる集団だった。


 しかし、この山、この二時間歩いている間、あの透明の塊の襲撃から始まり、少しデカい狼や大トカゲ、牙が鋭いイノシシや大蛇と言ったモンスターが何度か俺を襲撃し、挙句に山賊の類と言うのだから、実は危険地帯なのではないだろうか・・・?

 

 まぁ、俺はこの辺りはおろか、この世界の事も碌に知らないので、何とも言えないのだけれども・・・。


 それよりも気になるのはこいつらの俺を見る目だ。こいつら、俺を女だと思って犯そうと言う意思がハッキリと伝わってくる。

 正直、今も背中に怖気が走っている。

 美少女の外見をしているせいで、女と認識されて男に犯されそうになるだなんて冗談じゃない!!

 俺は改めて、この見た目に変えた神を恨んだ。そんな心境を知らない俺に


 「おいっ、綺麗なお嬢ちゃん、命が惜しかった有り金と持っている荷物を置いて、着ている服を全部脱ぎな。」

 「そうそう、そうすれば俺達がすげえ気持ちいい事してやるからよう~。」

 「あまりの気持ちよさに、自分から腰を振る様になるんじゃね~か?」

 

 それぞれ、好き勝手な事をほざいているが、どれも俺にとっては受け入れる事の出来ない要求だったが、その中でも我慢できない事があったので、思わず反論してしまった。


 「ふざけんな!!どれも受け入れるつもりなどないが、そもそも、俺は男だ!!男同士でホモり合う気なんて、さらさらないんだよ!!」

 

 俺の反論を聞いて、山賊達は一瞬、何を言われたか理解できないと言う表情になったが、すぐにゲラゲラと笑い始めた。


 「おいおい嬢ちゃん、言葉遣いが男っぽい事は認めるが、その見た目でそんな事言っても意味ないぜ。嘘にもなりやしねぇよ。」

 「くっ」


 山賊の頭の言葉に俺は言葉に詰まった。確かに今の俺の見た目は絶世の美少女の上、声も完全に少女のモノであり、身体も小柄となっている上に細身で色白い、おまけに服装も男と女、どちらが着ても違和感がない服装なので、確かにこれで男だと言っても通じないだろう。


 そんな俺の様子を勘違いした様で、


 「どうやら、男だと嘘ついても無駄だと理解出来たみたいだな。さてお話は終わりだ。」


 そう言って一瞬の間を入れた後、どすの効いた声で、


 「従わねぇってんなら力づくだ!!テメェら、この小娘を捕えろ!!殺してねぇなら、ある程度、痛めつけても構わねぇ!!」


 頭が命令を発した瞬間、俺は足元に転がっていた石を、賊の頭の顔に目掛けて、全力で蹴っ飛ばすと、次の瞬間、賊の頭の頭部が砕け散った。

 突然の事に一瞬、何が起きたか理解できない様だったが、頭だった首無し死体が崩れ落ちると、


 『頭っ?!テメェっっっ!!!!』


 頭が俺に殺されたと理解した残りの山賊達は激高したが、俺は透かさず残り七人となった山賊達二人の頭部目掛けて続けて石をそれぞれに蹴っ飛ばすと、二人の賊の頭部も同じく砕け散った。


 『!?』


 瞬く間に頭を含めて三人が俺に殺された事に、一瞬怯んだ表情になったが、俺のひ弱そうな見た目に強気が戻ったのか、残り5人が向かって来た。


 もっとも総合能力が常人の4倍ある俺には山賊達の動きが実にゆっくりに見え、逆に俺が迫って来ていた山賊の首に向かって勢いをつけて飛び蹴りをかますと、山賊の首はあっさりと折れ、そのままの勢いで、

後に続いていた賊の胸に拳を叩き込んで胸を陥没させ、残った賊達の首に手刀を叩き込んでへし折り、裏拳や周り蹴りを顔面に叩き込むと頭がおかしな方向に曲がりながら、身体も勢いよく回転しながら跳んで、1つは川の中に落ち、もう1つは草むらの奥へと消えた。 


 こうして俺を女と勘違いして襲って来た山賊達は気持ちいい事ではなく、物理的に天国に昇天する事となった。


 しかし、この見た目で、こんな厄介事に巻き込まれるのならば、見た目が物凄く可愛くても良い事なんて何にもないじゃないか!!


 声にこそ出さなかったが、内心で思いっきり叫んだ。

 

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