第22話 ポーションの素材を求めて、薬草採取の依頼を受ける!
「取り合えずシン君、まずはポーション10個とハイポーション10個を製作して欲しいんだけど。」
「了解した。しかし、まずはポーションを製作するための素材を集めて来なければならないので、今すぐとはいかないぜ。」
「それは理解しているわ」とミントは了解してくれたので、俺は早速、素材集めをしに行こうと思ったところで、薬草と水は直ぐに集められるとして、ポーション液を入れるための空き瓶はどこで手に入れたら良いのかと思い、ミントにその事を尋ねる事にした。
「ポーション液を入れるための空き瓶?ポーションを販売している店ならどこでも手に入るけど、他の錬金術師もポーションを製作しているから、同じ様に空き瓶を回収しようとするから、当然、店はそこに卸している顔見知りを優先するだろうし・・・。」
ミントは暫し、思案した後、
「シン君、空き瓶は私が集めておくから、シン君はそれ以外の素材を手に入れておいてくれる?」
「それは構わないが、空き瓶も俺が手に入れなくて良いのか?」
「確実性を考えたらね。私も新しい事をする以上は満足のいく出だしで始めたいから・・・。」
肩を竦めながら答えるミント。それに俺は「成程」納得して頷き、
「じゃあ、俺は合計20のポーションを製作するための薬草を集めてくるわ。」
「薬草を集めるつもりなら、ギルドのEランクの依頼書を見てみると良いよ。高確率で薬草採取の依頼が出ていると思うから。」
「分かった。俺は何時ぐらいに来たら良い?」
「う~ん、今から20の空き瓶を手に入れる手配をして集めるから、念を入れて明後日の朝に来てくれる。それまでに空き瓶20個用意しておくから。」
俺はそれに了解すると、ミントに依頼された数のポーションを製作するために必要な素材、薬草130枚を採取するためにペパー商会を出た。
その足で、俺は再び、冒険者ギルドに行き、中に入ると、その場にいた冒険者や職員達が俺を見て一瞬の沈黙があった。
止めてくれよ!!皆が俺の美貌に慣れるまで、ギルド館に入る度にこんなのが続くのかよ?!
俺は内心ゲンナリしながら、依頼書が貼られている依頼版のところに向かい、Eランクの依頼書が張られているところに来た。
依頼書を1つずつ見ていくと、チラシ配りや引っ越しの手伝い、施設の掃除と言った地球での派遣やバイトがするような仕事から、ファンタジー定番の下級の雑魚モンスター退治もそれなりにあり、俺が探していた薬草採取の依頼もあった。
すぐに手に取って依頼内容を読んで見ると、ターキ村の依頼者と一緒に薬草採取をして欲しいと言うものだった。依頼報酬は5000エンとかなり安い。とはいえ、俺にとってはポーションを製作するための薬草を集めのついでに過ぎない。
依頼書を手に持って、丁度開いているセリアの受付カウンターに差し出し、
「この依頼を受けたいんですけど。」
「あ、カズサさん、冒険者の依頼を受ける事にしたんですね。え~と、この依頼はどれどれ・・・?」
依頼書を見てから、ファイルを取り出して調べてから何とも言えないと言う表情になり、
「こんな事、ギルド職員が言ってはいけないんですけど、この依頼って依頼内容は問題ないんですけど、報酬の割に合わない依頼なんですよね・・・。」
「そうなんですか?」
「え、ええ、依頼内容だけで見れば、ただ依頼人の方と一緒に薬草を採取するだけなんですが、場所がターキ村ですから・・・。」
セリアの説明によればターキ村はコナタから北にある村で、徒歩で約一時間ぐらいの距離なのだが、冒険者から見れば、一時間も掛けて行き、そこの依頼をこなしてもらえる報酬が5000エンではただ働き同然と言う認識だそうである。
「そうですか。まぁ、俺は別に問題ないですよ。元々、俺も薬草を採取したかったんで、その依頼を果たす傍ら、俺も必要としている分の薬草を採取するつもりなので。」
「はぁ、そうですか。まぁ、ギルドとしても誰一人依頼を受けずに依頼期限を過ぎてしまうと言う事にならずに済むので助かります。」
そう言ってセリアは依頼の受理手続きをしてから、依頼書を渡して来た。この依頼主は村に住む十四歳の女の子だそうで「カズサさんより三つ四つ下ですね。」と言ってきたが、俺の実年齢は30過ぎなので実際は三つ四つどころではないが、そういう余計な事は言うつもりはない。
曖昧に笑って「そうですか。」とだけ返しておいた。
「依頼を完遂させましたら、依頼人に依頼書にサインをもらってください。サインがなされた依頼書をギルドに提出すれば報酬が支払われます。」
「分かりました。」
依頼の仕方と今から向かうターキ村への行き方を聞き終ると、礼を言ってギルドから出た。
そして、その足でそのままコナタの北門へと向かい、それを通過してターキ村へと向かった。
上総心が依頼を受け、ターキ村へと向かってから30分程経過した後のギルドにて
受付の仕事をしていたセリアに彼女の上司が一枚の書類を持ってやって来た。
「おい、セリア、帝国から緊急の知らせがきたぞ。」
「緊急の知らせですか?」
「ああ、ターキ村の近くの山中で怪力熊の変異種が出没したそうだ。怪力熊の進化種である剛力熊程ではないが、通常の個体より数段強いらしく、近隣の安全と治安の事も考慮して帝国から討伐隊が出された様だが、念のためこの変異体が討たれるまで、冒険者ギルドはターキ村の依頼を冒険者に受けさせない様に言って来た。あの村から冒険者ギルドに依頼は出ていたか?」
上司の説明と問いにセリアは息を飲み、緊張した表情で答えた。
「・・・ターキ村からは一件依頼が出ており、30分ほど前にEランクの冒険者が一人引き受けています。」
「何だと!?」
予想外のセリアの返答に上司が目を見開き、そこに「引き受けた冒険者は誰だ?」と二人が良く知っている声が掛かって来た。
「シン・カズサさんです。どうも引き受けて、そのままターキ村に向かうそうなので、恐らく今頃は村へと向かう途中だと思います。どうしますかギルド長?」
セリアがそう返し、声を掛けた人物を見、上司も同じ様に顔を向けると、その先にギルド長である夕姫白蓮が渋い表情をして立っていた。
「・・・向かっているというのならば、もはや我々ではどうにもなるまい。後はもう、カズサ次第だ。怪力熊の変異種と遭遇する事無く依頼を完遂させるならば良し、遭遇しても逃げ切るのならばそれも良し、戦って勝つのであれば、それもまた良いだろう。逆に変異種に殺られて終わるのであれば、あの男は冒険者としてはその程度だったと言う事だ。やむを得まい。」
「・・・ギルド長は、彼の事を多少は目に掛けていた様に思っていたのですが・・・。」
夕姫白蓮の言葉にセリアは意外そうに言うと、
「・・・将来性はありそうに思えたのだがな・・・。とは言え、ランクはどうあれ、依頼を受けた以上、それを如何にか達成させるのが冒険者の仕事であり、その過程で想定外の事が起こるのは冒険者の世界では当たり前だ。それをどう対処するかも、冒険者には必要となってくる。まぁ、今回の件はカズサが冒険者として適格かどうかの見極めにはなるだろうな・・・。」
肩を竦め、苦笑しながら答える夕姫白蓮。どこまでもシンを突き放した言葉だが、セリアも彼女の上司もそれに意義を唱えるどころか不快そうになる事もない。
彼女達もギルド職員として理解しているのだ。冒険者が依頼をこなす上で想定外の事が起こるのは当然の事で、それを如何にか出来るか出来ないかも、最後は全て冒険者自身の自己責任であると言う事を・・・。
そんな事が起きているとは知る筈も無く、俺は前方に徐々に木の柵と空堀に囲まれた畑が見え始め、間もなく、畑の向こうの先に盛り上げた土壁とその上に丸太を縛って作った木壁に取り囲まれた集落が見えた。
パッと見た感じ、のどかな村と言った感じである。
「あれがターキ村か・・・。」
これから出会う依頼人と、その依頼人と共にこなす上で、自分が必要としている薬草が摂る事に思いをはせるのだった。
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