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第21話 俺、ペパー商会と取引をする様になる。

寒いと言うのは厄介ですね。

皆様もお身体には十分にお気を付けください。

 報酬を貰い、レオン達と別れた俺は、ポーションやハイポーションを製作したとして、どこに持ち込んだら買い取ってもらえるのか?それとも自分で販売してよいものなのか?持ち込んだ場合の買取価格は?自分で売った場合の売り価格は?そういうのが知りたくて、俺はまずギルドのセリアに尋ねてみた。


 「ポーションを製作して持ち込んだ場合の買取価格の相場ですか?う~ん、それはちょっと冒険者ギルドでは分かりませんね。そういうのはポーションを販売している店、もしくは商人の方にでもお尋ねした方が良いと思いますよ。」


 餅は餅屋と言う事か・・・。

 どうやら、冒険者ギルドはその名の通り冒険者に関する事は把握しているが、ポーションの買取価格の相場は把握していない様である。

 とは言え、商人に聞いた方が良いと言うアドバイスを貰ったので、それに素直に従い、ミント商会に行く事にした。




 「いらっしゃ、あ、シン君か、今日は客として来てくれたと言う感じじゃないね。」


  ペパー商会の経営している雑貨店に入るとカウンターで店番をしていたミントが客に対する来店の挨拶をしようとして、俺だと分かるとそれを止めた。


 「ああ、ミントに聞きたい事があってな。」

 「聞きたい事?」

 「知っていたらで良いんだが、ポーションやハイポーションを製作して持ち込んだ場合の買取価格の相場を教えて欲しんだわ。」

 「・・・ポーションやハイポーションの買取価格の相場?何?シン君、ポーション類の棚卸をどこかの店にするつもりなの?」


 俺は金になるのならば、ポーションやハイポーションを製作して何処かの店に持ち込みか、自分で販売しようと思案している事をミントに伝えた。


 「成程、まぁ、確かに錬金術師はポーションやハイポーションと言った薬や武具を製作して、何処かの店に持ち込んで生活の糧の1つにしている人もいっぱいいるからね。シン君も錬金術師だからそうして当然と言えば当然か・・・。」


 一人納得して頷くミント。どうやらこの世界の錬金術師は俺が先程思い付いた事を、皆、しているようである。


 「で、ポーションとハイポーションの買取価格の相場ね。まず、これはあくまでこのコナタに限っての事だけど、今現在ポーションは800エン、ハイポーションは5000エンだね。」

 「・・・思ったよりも安いな。もう少し上の金額を予想していたんだが・・・。」

 「まぁ、今のところコナタではポーションもハイポーションも供給率は安定しているからね。買い占めなければならないような事も起きていないし・・・。帝国の帝都や帝国内の別の街、もしくは”エステリア”や”ミラージュ”にいけばまた違うだろうけど・・・。」

 「成程、次にポーション類を買い取ってもらうならば、どういう店が良いんだ?それとも俺がどっかの広場などで露天商でもして販売しても良いのか?」

 

 俺のこの問いにミントは渋い表情になり、


 「まず、今の帝国では露天商をするなら市長のいる役所に申請しにいかないといけないのだけれども、2年ほど前に露天商が規制を緩くして露天商が溢れてしまい、挙句に無申請の露天商も出てきてしまったから、今の帝国の主要都市では露天商をするには審査が厳しくなってるんだよね・・・。」

 「そうなのか?」

 「ええ、だからシン君が申請しに行っても許可が下りるかどうか分からないんだよね・・・。」

 「じゃあ、どっかの店に持っていく方が良いって訳だ?」

 「う~ん、確かに薬屋や道具を扱っている店に持っていくのが確実と言えば確実だけど、名の知れた所の店には専属の錬金術師が下ろしているから、シン君のような新人が持っていっても断られる可能性が大なんだよね。それか、もし買い取ってもらえたとしても立場が弱い事をいい事に相場の価格よりも安く買い取られるだろうね・・・。」

 「それじゃあ、どっちも無理と言う事じゃないか・・・、ポーションやハイポーションを大量に作成しても金になりそうにないな・・・。」

 「・・・先程も言った様に今はポーション類の供給率は安定しているからね。しばらくはシン君、錬金術師でいくより、冒険者でやっていった方がいいんじゃない?幸いにしてシン君は冒険者としてやっていけるだけの強さもあるし・・・。聞いたよ、夕べ、コナタの近くにある深い森でレオンパーティーに加勢して、ハイオーガを一人で討ち取ったって・・・。」


 おいおい、ミントも既にその事を知っているのかよ・・・。


 「その様子じゃ、私がこの事・・・を知っているのが意外だったみたいだね。でも、商人の情報を侮っちゃいけないよ。」


 そういうミントはそこそこの凄みと重さを出しており、何だかんだ言ってミントも小さいながらも1つの商会のトップであると言う事を改めて理解させられた。


 そこに客と思われる2人の10代後半の少女達が入って来た。

 俺とミントの様子に「お取込み中ですか?」と片方の少女が尋ねて来たので、


 「あ、問題ないですよ。」


 俺が思わず答えてしまったが、ミントは気にしてない様で、


 「はい、この人・・・の言った通り、問題ないです。いらっしゃいませ。」


 と笑顔で応じ、客の少女二人はそれに応じて、店の中を見回り始め、俺はカウンターから少しずれて、客の様子を見ながら、同じ様にミントの店の商品を見回してみた。


 しかしミントの奴、俺を彼と呼ばずに性別をぼかす様にこの人と言ったな・・・。まぁ、この見た目で彼と言っても相手を混乱させるだけだろうし、下手したら客が変な店主だと思って逃げるかもしれないし、俺もその場の流れとは言え、彼女と言われるよりは良いので、ミントって機転が利くんだなと、感心しながら見回すと、薬草などの雑貨以外の物も結構、置いている事に気付いた。


 案外、ミントの店にポーション類を下ろすのも良いかもしれない。

 俺がそんな事を思っていると、客である少女たちが手にそれぞれ、小物や薬草などを手にしてカウンターへとやって来た。

 そしてミントが清算しようとしたところで、


 「すいません。この店ではポーションとかは置いて無いんでしょうか?」


 と客の一人が尋ね、ミントは申し訳なさそうな表情になって、


 「申し訳ありません。まだポーションを卸していないんですよ。」

 「じゃあ、この店ではポーションは扱っていないんですね?」

 「はい、今はまだ置いておりません。」


 ミントのその返答に、客である少女達は、いささか落胆したような表情になった。



 清算が終わり、少女達が俺に軽く会釈をして店を出て行き、また、俺とミントだけになるとミントの方から声を掛けて来た。


 「ねぇ、シン君。」

 「ん?」

 「・・・シン君は先程、どこかの店にポーション類を卸したいと言っていたよね・・・。」

 「ああ」

 「・・・じゃあ、私のところに降ろしてみる気ある?」

 「いいのか?」


 俺はミントの顔をまじまじと見つめながら尋ねた。


 「うちもポーション類を置きたいとは思ってるんだけど、うちのような小さい商店に卸そうと考える錬金術なんて今までいなかったからね。そこにシン君が来て、そういう質問をしてくれたのはペパー商会にとっても渡りに船だったかもしれないから。でも」


 そこで間を入れて、今度はミントが俺を見据えて、


 「他の大手の店と違って客の数が少ないから、最初はそんなに置く事は出来ないし、私達もそんなに資金に余剰がある訳ではないから、どうしても買取価格の相場よりも安くなるよ。はっきり言って最初の内はシン君にさほど旨みはないと断言する。それは最初に言っておく。それでも良いのならば、シン君が製作したポーション類をうちに卸してよ。」


 ミントの話を聞いて、一瞬、どうしようかと迷ったがすぐに苦笑した。ここで断ったところで、どうせ、他にコネのない俺が別の店に持っていってももっと条件が悪いか、最悪、相手にされない可能性もある。


 ならば、向こうから提案してきたのだから、それに乗った方が良いだろう。幸い、手元には800万近くの金もあるので、懐にも余裕はあるので、ポーション類を卸す利益が相場よりも些か少なくとも問題はない。


 「分かった。それで良い。ペパー商会に俺の製作したポーション類を卸さしてくれ。」

 「へぇ~、即決したね。でも、うちに卸してくれる以上、最初はシン君の利益も薄いけど、そのうち内に卸してよかったと思わせてあげる。必ずね」


 そう言ってニヤリと笑ったミントは俺に右手を差しだして来た。


 「ああ、期待してるぜ。」


 俺はそう言って彼女の手を取った。こうして俺は俺の製作したポーション類を卸す店を見つけ出したのだった。

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