第2話 チート能力の一端を知る。
少し短めですが第2話です。
今の状況を三行で言えば、
・仕事帰りに事故にあって死んだ。
・神々の転生実験と言う思惑で向こうの選んだチート能力でと姿で強制転生
・見た目、絶世の美少女だけど男と言う俗に言う男の娘になっていった←今ここ
斜め予想な展開に俺は放心し、しばらく四つん這いになって"ずーん"となっていた。
そりゃあだって、普通の男の姿から見た目だけとは言え、絶世の美少女に変えられたらショックを受けるなと言う方が無理だろう。
どれくらいの時間が経過したか分からないが、何時までも落ち込んでいても仕方がないから、取り合えずはこの場から移動しようと思えるぐらいに気持ちが持ち直したので、俺は立ち上がった。
そして改めて水面に映った自分の姿を見てみると、顔は見た目10代後半の絶世の美少女。俺の本来の年齢は30過ぎだったので、見た目で言えば10以上若返っている事になる。
その上、服装も一見してみると男と女、どちらが着ても違和感のない服装故にどう見ても女性いや女の子にしか見えない。
しかし、服を捲って裸体を映して見れば、細いながらも無駄な筋肉のない屈強な漢の身体が映っている。
どう見ても首から上と下が噛み合っていない。明らかに転生させた神々が意図的にしたとしか思えない。
ひょっとしたら転生実験とやらを画策した神は、他人の不幸と苦悩を愉悦とする愉悦部の部員ではないだろうな?
そんな事を思いながらも、俺は川の流れに沿って歩き始めた。
しばらく歩いていると、いきなり川の中から俺に向かって、拳2つ分ぐらいの大きさの透明な塊が突撃してきた。
今のこの身体になる前ならば、とっさの事で反応できなかったかもしれないが、今の俺には突撃してくる塊のスピードが非常にゆっくりに見え、俺は難なくその場から数歩下がり、しばらくしてから俺がいた場所に、その塊が激突し、激突した場所がほんの少しだけ窪みが出来た。
あのままいたら軽い打ち身程度の怪我はしていたと理解出来ると、目の前の生物が、明らかに俺に害する意思があると分かり、返り討ちにする気になったのと同時に、この身体に変えられた不条理な怒りもぶつけたくなり、近くに出ている大石に向かって、その塊を全力で蹴っ飛ばすと、その塊は凄い勢いで大石に跳んでいき、そのまま石の中にめり込んだ。
しばらく見ていると、その塊はずるずると石の中から滑る様にして地面に落ちた。
ピクリとも動く気配が無いので、どうやら死んだ様である。
「こいつは一体、何なんだ?」
俺は首を傾げながら、この透明の塊を観察し、手に取ってまじまじと見た。やっぱり透明の塊としか言い現し様がない。
ちょっと気になるし、収納とかできないか?と思った次の瞬間、手に持っていた透明の塊が消えた。
「えっ!?おい!どういう事だよこれ!!」
思わず叫ぶと、「どこ行ったよ?!出て来いよ!!」と叫びながら強く思うと俺の目の前に透明の塊の亡骸が置かれている。
「どういう事だこれ・・・?」
首を更に傾げながら、自分に与えられたチート能力の事を思い浮かべ、
「ああ、これがアイテムを収納できるアイテムボックスと言うモノか・・・。」
俺は目の前の透明の塊がアイテムボックスに収納された事に気付いた。そして目の前の透明の塊の亡骸を収納と念じたが、収納される気配はなかった。
次に手に持って収納と念じると消えたので、どうやらこのアイテムボックスは手に持った物しか収納できないらしい。
それでも便利と言えば便利である。どれくらいの許容量があるのか知らないが、これがあれば多くのアイテムを所持する事が出来るからである。
アイテムボックス、ゲームなどでは、ただ単にアイテムを収納するだけで最初から搭載されているものだが、いざ手にしてみると非常に便利なモノである。
もし、このアイテムボックスがこの世界では当たり前の標準装備だとしたら、それはそれでこの世界は凄いな・・・。
何はともあれ、外見はとにかくとして与えられたチート能力の内、この世界の平均総合能力の4倍の能力とこのアイテムボックスは、間違いなく当たりの能力だと確信した。
しかし、結局、この襲い掛かって来た透明の塊は何だったんだ?
人里に辿り着けたら、尋ねてみよう。
そう言う意味では、些細な事だが、この世界での最初の目的が出来たのは確かだった。
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ちなみに、この透明の塊のモンスター、物語の重要な部分を担うなどの要素は全くないですwww